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第一章 神様からの贈り物
第二十九話 マスターは伊達じゃない
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僕らはゴブリンの巣のあった山の隣の山から町へと戻ってきました。
天高く舞い上がった僕らは隣の山に舞い降りてたんだよね。それほど距離は離れていなかったんだけど傾斜が元の山よりも大きかったから大変だった。町側への道が全部崖だったんだよね。仕方なく服を作るために結っておいた糸を太くした物をロープにして下ってきたよ。
魔法はあんまり多用するのはよくないと思って、ウィンドプッシュでのダイブはやめておきました。どこで見られているかわからないからね。
「何とか、誰にも会わないで町の門まで着いたね」
「うん。ハンスさ~ん、戻りました~」
「無事だったか!」
「えっ? あ~・・・はい、何とか~」
門の前についてハンスさんに手を振って挨拶した。ハンスさんは凄い驚いて抱きしめてくれました。
僕は色々と察して何とか話を合わせようと気のない返事を返す。
「大変だったな。まさか、山が崩れるなんてな・・」
「・・はい、そんな事があるなんて今でも信じられませんよ」
ハンスさんの心配に僕とシーナは見合って口を開いた。本当は自分達のせいだというのに白々しい僕らです。
『(マスター、ここは私が)にゃお!』
「ん? 猫か? ペットにするのか?」
話を逸らせようとカクルがハンスさんの足へと絡みついていく。ハンスさんや衛兵さんの視線は完全にカクルへと集まる。
「青みがかった黒猫か~」
「可愛いな~」
「あん、抱かせて~」
衛兵さん達は男も女もみんなカクルに集まっていってしまった。僕らはその隙に門の中へ。
『うにゃん!』
カクルが僕の肩に飛びのってきた。見事にハンスさん達の気を引いてくれました。
「じゃあ、ハンスさん僕らはギルドへ行きますので」
「お、ああ、またな」
「猫ちゃんもまたね~」
質問攻めになるのを回避して、僕らは無事に町へと入った。とにかく、ギルドへ報告に行こう。
「アレク君、待っていたよ」
「えっ? ギルドマスターのドランさん?」
すぐにギルドに向かおうと思っていたら門をくぐって少し歩いていたら呼び止められた。声のする方を見るとドランさんとウーナさんが笑顔で立っていました。すごい笑顔です。
「さて、ソルトさんの店に行くぞ」
「ええ、今回の報告をそこでしてもらいましょうね~」
「えっ、二人とも何か怒ってます?」
僕とシーナはそれぞれ、ドランさんとウーナさんに肩を掴まれた。捕まえられているので歩きにくい。何故か怒っているようだけど、もしかして、山の件かな?
「もしかして、山の件ですか?」
「もしかしなくてもその件だよ。全く、ソルトさんと今後の事を話していたらこれだ・・また報告書がかさばるぞ」
ドランさんはそう言って頬をゲッソリとさせる。色々と迷惑かけているようですいません。
「そんな事はどうでもいいのよ。今回は何があったのよ。なんで山が崩れるような事になったの?」
ウーナさんが小声で語尾を強めて言ってきた。
「外で問い詰めるのはやめよう。私といるだけで彼らは目立っているからな」
ギルドマスターであるドランさんは町の人にも認知されている。視線が結構集まってくるんだよね。
「とにかく、ソルトの店に行くぞ」
僕らは力強いドランさん達に抱かれながらソルトさんのお店に向かうのだった。何だか怖いな~。
『中々強い人間だにゃ、でもマスターよりは全然弱いにゃ』
「ん? 何か言ったか?」
「ななな、何も聞こえなかったですよ」
カクルが何か言ってきました。今は猫の真似だけしていてくれないと困るよ。
「この猫は君たちのペットかい?」
「・・はい、東の森に行く時にちょっと・・」
「そうか、何故か、私の体に緊張が走ってしまってね。強い者と対峙すると反応することがあるのだが、気のせいか」
「ははは~・・・」
流石、ドランさん。伊達にギルドマスターやってないみたいです。カクルのうちに秘めてる力に少しだけ気付いているみたい。
天高く舞い上がった僕らは隣の山に舞い降りてたんだよね。それほど距離は離れていなかったんだけど傾斜が元の山よりも大きかったから大変だった。町側への道が全部崖だったんだよね。仕方なく服を作るために結っておいた糸を太くした物をロープにして下ってきたよ。
魔法はあんまり多用するのはよくないと思って、ウィンドプッシュでのダイブはやめておきました。どこで見られているかわからないからね。
「何とか、誰にも会わないで町の門まで着いたね」
「うん。ハンスさ~ん、戻りました~」
「無事だったか!」
「えっ? あ~・・・はい、何とか~」
門の前についてハンスさんに手を振って挨拶した。ハンスさんは凄い驚いて抱きしめてくれました。
僕は色々と察して何とか話を合わせようと気のない返事を返す。
「大変だったな。まさか、山が崩れるなんてな・・」
「・・はい、そんな事があるなんて今でも信じられませんよ」
ハンスさんの心配に僕とシーナは見合って口を開いた。本当は自分達のせいだというのに白々しい僕らです。
『(マスター、ここは私が)にゃお!』
「ん? 猫か? ペットにするのか?」
話を逸らせようとカクルがハンスさんの足へと絡みついていく。ハンスさんや衛兵さんの視線は完全にカクルへと集まる。
「青みがかった黒猫か~」
「可愛いな~」
「あん、抱かせて~」
衛兵さん達は男も女もみんなカクルに集まっていってしまった。僕らはその隙に門の中へ。
『うにゃん!』
カクルが僕の肩に飛びのってきた。見事にハンスさん達の気を引いてくれました。
「じゃあ、ハンスさん僕らはギルドへ行きますので」
「お、ああ、またな」
「猫ちゃんもまたね~」
質問攻めになるのを回避して、僕らは無事に町へと入った。とにかく、ギルドへ報告に行こう。
「アレク君、待っていたよ」
「えっ? ギルドマスターのドランさん?」
すぐにギルドに向かおうと思っていたら門をくぐって少し歩いていたら呼び止められた。声のする方を見るとドランさんとウーナさんが笑顔で立っていました。すごい笑顔です。
「さて、ソルトさんの店に行くぞ」
「ええ、今回の報告をそこでしてもらいましょうね~」
「えっ、二人とも何か怒ってます?」
僕とシーナはそれぞれ、ドランさんとウーナさんに肩を掴まれた。捕まえられているので歩きにくい。何故か怒っているようだけど、もしかして、山の件かな?
「もしかして、山の件ですか?」
「もしかしなくてもその件だよ。全く、ソルトさんと今後の事を話していたらこれだ・・また報告書がかさばるぞ」
ドランさんはそう言って頬をゲッソリとさせる。色々と迷惑かけているようですいません。
「そんな事はどうでもいいのよ。今回は何があったのよ。なんで山が崩れるような事になったの?」
ウーナさんが小声で語尾を強めて言ってきた。
「外で問い詰めるのはやめよう。私といるだけで彼らは目立っているからな」
ギルドマスターであるドランさんは町の人にも認知されている。視線が結構集まってくるんだよね。
「とにかく、ソルトの店に行くぞ」
僕らは力強いドランさん達に抱かれながらソルトさんのお店に向かうのだった。何だか怖いな~。
『中々強い人間だにゃ、でもマスターよりは全然弱いにゃ』
「ん? 何か言ったか?」
「ななな、何も聞こえなかったですよ」
カクルが何か言ってきました。今は猫の真似だけしていてくれないと困るよ。
「この猫は君たちのペットかい?」
「・・はい、東の森に行く時にちょっと・・」
「そうか、何故か、私の体に緊張が走ってしまってね。強い者と対峙すると反応することがあるのだが、気のせいか」
「ははは~・・・」
流石、ドランさん。伊達にギルドマスターやってないみたいです。カクルのうちに秘めてる力に少しだけ気付いているみたい。
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