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第二章 悪しき影
第六十四話 行ってらっしゃい
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「じゃあ、私は一度魔族の国に帰るわ」
「「えっ!?」」
「帰っちゃうの?」
ソルトさんのお店で話し合った次の日の朝、サーシャさんが魔族の国に帰ると言ってきた。僕とシーナは驚いて、シーナが聞き返してる。彼女にとってはお姉さんがいなくなるという驚きがあるみたいだ。
「魔族の国に帰るって言ってもすぐに帰れるわけじゃないでしょ? もっとゆっくりしようよ」
「遊んでいたいんだけどね。私も軍に所属している身だからね。それに帰るのは簡単なのよ。来るときは自力で移動が大変だったんだけど、帰る時はミスラ様の転移の魔法で帰る事が出来るのよ。この石でね」
シーナがサーシャさんの腕を掴んで引き留めようとしている。サーシャさんは名残惜しそうにしているけど、帰らないといけないみたい。仕事だからしょうがないよね。
「じゃあ、またねアレク、シーナ・・・とても楽しかったわ。次に会う時はどんな形か分からないけど、二人の無事を祈ってる」
「サーシャさん・・」
「人族の英雄はとても優しかった。私は魔王様にそう伝えるわ。魔王様みたいだったってね」
「・・・」
サーシャさんはつぶらな瞳でそう言うと石を掲げて握りつぶした。石の破片がサーシャさんに降り注いで光り輝いていく。
「二人とも、大好きよ・・」
「「サーシャさん」」
光が収束していくとサーシャさんの姿が見えなくなり少しずつ消えていく。
部屋の中が静まり返る。サーシャさんは僕らの事に気付いていたんだ。それなのに顔色を変えずに付き合ってくれていた。サーシャさんには本当の事を言えばよかったな。
「サーシャさん怒ったのかな?」
「ううん、サーシャさんの最後の言葉を聞いただろ。大好きだって言ってくれたんだよ。怒っていたらそんな事言わないよ」
「うん、そうだよね。私も大好き」
シーナを慰めると彼女は涙を浮かべて呟いてる。
「今度会った時はどんな形か分からないって言ってたね。魔王とか言っていたけどその人の命令だったら私達は戦うことになるのかな?」
「そうはならないよ。僕がそうさせない」
シーナが心配そうに呟いてる。そうはならない、それを魔王がしてくるつもりなら、僕は魔王を倒す。そう、お父さん達みたいに。
「そうだね。私もそうならないようにしてみせるよ」
僕の言葉を聞いてシーナはフンスッと鼻息荒く声をあげた。
「アレク~、シーナ~、サーシャさん。ご飯ですよ~」
「「は~い」」
僕らが決意を表明しているとクル君の声が聞こえてきた。返事を返して酒場になっている受付前へと向かった。今日はオークのシチューって言っていたっけ。
「やあ、アレク君」
「えっ? トレドさん?」
銅像を届けに行った時に出会った大商人のトレドさんが食事をしていた。
「ここの料理は美味しいね。肉がとても新鮮だ」
トレドさんはオークシチューを口に含みながら話した。とても美味しそうで僕らもすぐに食べたいと思って席に着いた。
「はいよ。オークシチューお待ちどう」
「ラナさん、ありがとうございます」
「ははは、いいって事」
席に着くとすぐにシチューを持ってきてくれた。ラナさんとクル君が僕とシーナの前にそれぞれシチューを置いていってくれた。美味しそうな茶色いシチューはトマトの酸味の聞いた匂いで僕らを誘っているよ。
「今日は君たちに用があってきたんだけどね。思わぬ掘り出し物だったよ」
トレドさんは僕らに用があってきたみたい。美味しそうに頬張っているので食事が目的だと思っちゃったよ。
「僕らに用があるって何ですか?」
「配達?」
トレドさんが僕らに用があってきたといったので首を傾げて質問するとトレドさんはシチューからスプーンを離した。
「配達もお願いしたいのですが、それはまた今度。今回はアレクさん達にお店を任せたいと思ってきたんです」
「「お店?」」
トレドさんの言葉に僕らは共に顔を見合って、首を傾げた。僕らがお店をやるの?
「クードが消息不明と言うのは聞きましたか?」
「・・はい」
「気に病むことはありませんよ。チンピラを雇っていましたからそれにやられたのでしょう。それでクードがいなくなったことで困った事に彼の持っていた店が全て閉鎖してしまうといったことになってしまったんです。その店を売った人々の中にはまだお金を受け取っていない人もいて、商人ギルドとしては見過ごせない状況なのです」
「「はあ?」」
「そこで信用のある人に声をかけているのですが、最初に一番信頼のおける人物のアレクさん達の所に来たんです」
トレドさんが僕らをそんなに信頼しているとは思わなかった。
クードがいなくなったことでお店が開けなくなったりして困ってるんだな~。あんな人でも大商人だから、影響があるんだな~。トレドさんはクードが死んだことは知らないから山賊とかチンピラがやったんだろうって認識みたいだ。何だかごめんなさいトレドさん。
「でも、アレクも私もお店何て、それに出せる商品はないですよ」
「それなら安心してください。売ってほしい商品をこちらで見繕って商品棚に並べてくれるだけで大丈夫です。もちろん、売りたい商品があるならそれを置いてもらっても構いません」
「要は店番みたいなものですか?」
「そうですね。もちろん、依頼として冒険者ギルドに申請しますから昇格にも影響しますよ。指名依頼ですから、すぐにでも昇格候補に挙がると思います。どうでしょうか?」
店番くらいなら大丈夫かな?
「僕は大丈夫だと思うけど、シーナはどう思う?」
「サーシャさんと買い物をしてた時ちょっと思ったんだけど、アレクとあんなお店を経営出来たら楽しそうだなって思ってたんだ~。アレクが迷惑じゃなかったら、やってみたいかも」
僕だけで判断したら悪いと思ったのでシーナにも意見を聞くとそんな事を思っていてくれたみたい。
「アレクの服をこの町にも広めたいしね」
付け加えてシーナがそんな事を言ってくれた。ソソルソ村のように丈夫で動きやすい僕の服がドルドランの町で売ることが出来るのか~、確かにやってみたいな~。
「アレクさんはお洋服を仕立てられる?」
「はい! アレクの仕立てた服はとても丈夫で、私達の故郷のソソルソ村ではみんな着てるんですよ」
トレドさんが仕立てられるのかを聞くとシーナが自慢げに話した。そんなに喜んで話されると何だか恥ずかしいな。
「そうですか~では、丁度良かったのかもしれませんよ。報酬に関しては売上による出来高払いになると思いますが?」
トレドさんは興味深そうに頷いた。正直、僕はやってみたい。僕の服がこの町に受け入れられるのかって言うのも気になるし。
「やろうよアレク。アレクの服はあれがなくても丈夫で可愛くて、カッコいいんだから、絶対に売れるよ」
シーナが力強くそう言ってくれた。裁縫をやっていて、みんなに着てもらった時、僕はとてもうれしかった。それをこの町でも感じられるかもしれないんだね。
「トレドさん、その話お受けいたします」
「そうですか! ありがとうございます。シーナさんもありがとうございます」
トレドさんの話を了承するとトレドさんが握手を求めてきた。僕とシーナが握手に応えると彼はとてもいい笑顔。
「お店は北側の入り口付近です。看板に薔薇の絵が描かれています。店には私の部下がいると思いますので会っておいてください」
「トレドさんは一緒に来てくれないんですか?」
「すいません。クードの持っていた店はとても多くて、すぐにでも次の請け負ってくれそうな人の下に行かなければいけないのです。こればかりは部下にお願いできない事なので」
「大変ですね・・」
「はい・・、そう言う事なので、これを食べたらすぐにでも行かなくては」
トレドさんは急いでいると言っていたのにオークシチューを頬張っていく。一瞬でなくなったオークシチューの皿をラナさんに手渡すとすぐに外へと出ていった。
お店か~、まさか、こんな大きな町にお店を持てるなんて思わなかったな~。ドルドランに来てから色々あって、お店を持てると思わなかったから諦めていたけど、僕もシーナとお店を持ちたいと思っていたんだ。クードが死んでしまった事で迷惑を被った人達には悪いけど、全ていい方向に向かってる感じがするよ。
「「えっ!?」」
「帰っちゃうの?」
ソルトさんのお店で話し合った次の日の朝、サーシャさんが魔族の国に帰ると言ってきた。僕とシーナは驚いて、シーナが聞き返してる。彼女にとってはお姉さんがいなくなるという驚きがあるみたいだ。
「魔族の国に帰るって言ってもすぐに帰れるわけじゃないでしょ? もっとゆっくりしようよ」
「遊んでいたいんだけどね。私も軍に所属している身だからね。それに帰るのは簡単なのよ。来るときは自力で移動が大変だったんだけど、帰る時はミスラ様の転移の魔法で帰る事が出来るのよ。この石でね」
シーナがサーシャさんの腕を掴んで引き留めようとしている。サーシャさんは名残惜しそうにしているけど、帰らないといけないみたい。仕事だからしょうがないよね。
「じゃあ、またねアレク、シーナ・・・とても楽しかったわ。次に会う時はどんな形か分からないけど、二人の無事を祈ってる」
「サーシャさん・・」
「人族の英雄はとても優しかった。私は魔王様にそう伝えるわ。魔王様みたいだったってね」
「・・・」
サーシャさんはつぶらな瞳でそう言うと石を掲げて握りつぶした。石の破片がサーシャさんに降り注いで光り輝いていく。
「二人とも、大好きよ・・」
「「サーシャさん」」
光が収束していくとサーシャさんの姿が見えなくなり少しずつ消えていく。
部屋の中が静まり返る。サーシャさんは僕らの事に気付いていたんだ。それなのに顔色を変えずに付き合ってくれていた。サーシャさんには本当の事を言えばよかったな。
「サーシャさん怒ったのかな?」
「ううん、サーシャさんの最後の言葉を聞いただろ。大好きだって言ってくれたんだよ。怒っていたらそんな事言わないよ」
「うん、そうだよね。私も大好き」
シーナを慰めると彼女は涙を浮かべて呟いてる。
「今度会った時はどんな形か分からないって言ってたね。魔王とか言っていたけどその人の命令だったら私達は戦うことになるのかな?」
「そうはならないよ。僕がそうさせない」
シーナが心配そうに呟いてる。そうはならない、それを魔王がしてくるつもりなら、僕は魔王を倒す。そう、お父さん達みたいに。
「そうだね。私もそうならないようにしてみせるよ」
僕の言葉を聞いてシーナはフンスッと鼻息荒く声をあげた。
「アレク~、シーナ~、サーシャさん。ご飯ですよ~」
「「は~い」」
僕らが決意を表明しているとクル君の声が聞こえてきた。返事を返して酒場になっている受付前へと向かった。今日はオークのシチューって言っていたっけ。
「やあ、アレク君」
「えっ? トレドさん?」
銅像を届けに行った時に出会った大商人のトレドさんが食事をしていた。
「ここの料理は美味しいね。肉がとても新鮮だ」
トレドさんはオークシチューを口に含みながら話した。とても美味しそうで僕らもすぐに食べたいと思って席に着いた。
「はいよ。オークシチューお待ちどう」
「ラナさん、ありがとうございます」
「ははは、いいって事」
席に着くとすぐにシチューを持ってきてくれた。ラナさんとクル君が僕とシーナの前にそれぞれシチューを置いていってくれた。美味しそうな茶色いシチューはトマトの酸味の聞いた匂いで僕らを誘っているよ。
「今日は君たちに用があってきたんだけどね。思わぬ掘り出し物だったよ」
トレドさんは僕らに用があってきたみたい。美味しそうに頬張っているので食事が目的だと思っちゃったよ。
「僕らに用があるって何ですか?」
「配達?」
トレドさんが僕らに用があってきたといったので首を傾げて質問するとトレドさんはシチューからスプーンを離した。
「配達もお願いしたいのですが、それはまた今度。今回はアレクさん達にお店を任せたいと思ってきたんです」
「「お店?」」
トレドさんの言葉に僕らは共に顔を見合って、首を傾げた。僕らがお店をやるの?
「クードが消息不明と言うのは聞きましたか?」
「・・はい」
「気に病むことはありませんよ。チンピラを雇っていましたからそれにやられたのでしょう。それでクードがいなくなったことで困った事に彼の持っていた店が全て閉鎖してしまうといったことになってしまったんです。その店を売った人々の中にはまだお金を受け取っていない人もいて、商人ギルドとしては見過ごせない状況なのです」
「「はあ?」」
「そこで信用のある人に声をかけているのですが、最初に一番信頼のおける人物のアレクさん達の所に来たんです」
トレドさんが僕らをそんなに信頼しているとは思わなかった。
クードがいなくなったことでお店が開けなくなったりして困ってるんだな~。あんな人でも大商人だから、影響があるんだな~。トレドさんはクードが死んだことは知らないから山賊とかチンピラがやったんだろうって認識みたいだ。何だかごめんなさいトレドさん。
「でも、アレクも私もお店何て、それに出せる商品はないですよ」
「それなら安心してください。売ってほしい商品をこちらで見繕って商品棚に並べてくれるだけで大丈夫です。もちろん、売りたい商品があるならそれを置いてもらっても構いません」
「要は店番みたいなものですか?」
「そうですね。もちろん、依頼として冒険者ギルドに申請しますから昇格にも影響しますよ。指名依頼ですから、すぐにでも昇格候補に挙がると思います。どうでしょうか?」
店番くらいなら大丈夫かな?
「僕は大丈夫だと思うけど、シーナはどう思う?」
「サーシャさんと買い物をしてた時ちょっと思ったんだけど、アレクとあんなお店を経営出来たら楽しそうだなって思ってたんだ~。アレクが迷惑じゃなかったら、やってみたいかも」
僕だけで判断したら悪いと思ったのでシーナにも意見を聞くとそんな事を思っていてくれたみたい。
「アレクの服をこの町にも広めたいしね」
付け加えてシーナがそんな事を言ってくれた。ソソルソ村のように丈夫で動きやすい僕の服がドルドランの町で売ることが出来るのか~、確かにやってみたいな~。
「アレクさんはお洋服を仕立てられる?」
「はい! アレクの仕立てた服はとても丈夫で、私達の故郷のソソルソ村ではみんな着てるんですよ」
トレドさんが仕立てられるのかを聞くとシーナが自慢げに話した。そんなに喜んで話されると何だか恥ずかしいな。
「そうですか~では、丁度良かったのかもしれませんよ。報酬に関しては売上による出来高払いになると思いますが?」
トレドさんは興味深そうに頷いた。正直、僕はやってみたい。僕の服がこの町に受け入れられるのかって言うのも気になるし。
「やろうよアレク。アレクの服はあれがなくても丈夫で可愛くて、カッコいいんだから、絶対に売れるよ」
シーナが力強くそう言ってくれた。裁縫をやっていて、みんなに着てもらった時、僕はとてもうれしかった。それをこの町でも感じられるかもしれないんだね。
「トレドさん、その話お受けいたします」
「そうですか! ありがとうございます。シーナさんもありがとうございます」
トレドさんの話を了承するとトレドさんが握手を求めてきた。僕とシーナが握手に応えると彼はとてもいい笑顔。
「お店は北側の入り口付近です。看板に薔薇の絵が描かれています。店には私の部下がいると思いますので会っておいてください」
「トレドさんは一緒に来てくれないんですか?」
「すいません。クードの持っていた店はとても多くて、すぐにでも次の請け負ってくれそうな人の下に行かなければいけないのです。こればかりは部下にお願いできない事なので」
「大変ですね・・」
「はい・・、そう言う事なので、これを食べたらすぐにでも行かなくては」
トレドさんは急いでいると言っていたのにオークシチューを頬張っていく。一瞬でなくなったオークシチューの皿をラナさんに手渡すとすぐに外へと出ていった。
お店か~、まさか、こんな大きな町にお店を持てるなんて思わなかったな~。ドルドランに来てから色々あって、お店を持てると思わなかったから諦めていたけど、僕もシーナとお店を持ちたいと思っていたんだ。クードが死んでしまった事で迷惑を被った人達には悪いけど、全ていい方向に向かってる感じがするよ。
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