7 / 35
第一章 新しき世界
第7話 レベルアップ
しおりを挟む
◇
「どこまで行くんですか?」
私は強くなるためにオットーさんに連れられて山奥にやってきた。頂上まで上がってくると私が働いていたクーナリア王都が見下ろせます。
「あと少しだよ。ほら、あそこだ」
「あれは洞窟ですか?」
頂上を少し歩いていくと地面に入って行くような洞窟が見えてくる。オットーさんは私を一度見てからその洞窟に入って行く。
「これはなダンジョンと言われる魔物の巣窟だ」
「ダンジョン?」
「ああ、レベルを上げるにはもってこいなんだ。それに魔物が落とす素材もマモルにピッタリなものなんだぞ~」
オットーさんはよだれを拭いながら説明してくれる。私にピッタリで彼が涎を垂らすということは……。
「オーク肉オーク肉!」
「……やはり」
解体で見たことがある魔物、オーク。大量に前からやってくる。オットーさんの目がお肉になっていて次々と倒していく。
「え? 解体していないのに肉の塊に?」
「ダンジョンの魔物は外の魔物と違う。戦利品を残して消えていくんだ。魔物も時間で無限に湧いてくるからな。重宝するぜ!」
私が首を傾げて声をあげているとオークを倒しながら説明してくれる。あんな大きな斧を振り回しながら息も切れていませんね。私もあれを目指さないといけないんでしょうか?
「よっと! マモル。これにとどめをさしてみな」
「うっ。そ、そうですよね。私もやらないといけないんですよね」
オットーさんが瀕死のオークを引きずってくる。口から血を出してるオーク。恨めしそうに私を見つめてくる。
「とどめをささないと経験値は入らないぞ。強くならないとこの後も大変だ。それに魔物相手にとどめもさせないと人相手じゃもっと無理だ。お前を狙ってくる相手は魔物だけとは限らないからな」
オットーさんの話を聞きながら持たせてもらったショートソードを握る。瀕死のオークに首に刃を当てて、目を瞑って体重をかけて行く。
「うう……」
ショートソードからオークを切り裂く感触が伝わってくる。嫌な感触で今にも胃の内容物を出してしまいたくなります。
「マモル。今はいいけどよ。目は瞑るな。命から目を背けたらそれだけ自分の命を失うのが近づくと思え」
「そ、そうですよね。いついかなる時も目を開けていないと」
「そう言うことだ」
オットーさんの言葉に頷いてオークの最後を見届ける。お肉を残して消えていくオーク。罪悪感が半端ないですね。
『レベルが上がりました』
「上がりましたね」
オークを一体倒しただけでレベルが上がりました。これで21レベル。
「オークは30レベルでやっとの敵だからな。とりあえず入口付近で戦って30レベルを目指すぞ」
「は、はぁ……。こんなことをあと9回以上やらないといけないんですね」
オットーさんの言葉に元気なく答える。
お肉がタダで手に入るならなんとか我慢します。皆さんに喜んでいただけるんですから。
「マジックバッグは便利だな~。いっそのこと俺とパーティー組まないか?」
「私とオットーさんとじゃ釣り合わないですよ。私が振り回されるだけなのが目に見えてます」
「がはは、確かにそうだな。おっとオークが湧き始めた。時間ピッタリだ」
オットーさんの冗談に答えていると壁からオークが生まれる。まるで粘土から這い出るように生まれるんですね。
「よっと! 残り1体だ。やってみろ」
「ええ!? 戦うんですか?」
「そうだよ! 他に何をするってんだ?」
オットーさんの言うこともごもっともですね。さっきも言っていましたが魔物との戦いに躊躇していたら人との戦いなんて絶対にできません。男は度胸! やってやります!
「フゴ!」
「ひっ!?」
威圧してくるオーク。さっきのオークは瀕死、今回のオークは無傷。やはり、迫力が違います。
「槍に気をつけろ。ただのオークはそれでしか攻撃してこない」
「な、なるほど。リーチはあちらにありますね」
オットーさんはオークを始末し終えて応援に徹していますね。流石というかなんと言うか。しかし、槍と剣って私が不利なんじゃないですか?
「フゴ!」
「わっ!」
「フゴフゴ!」
「わっわ!」
槍を何度も突いてくるオーク。私はくねくねと躱す。そんな私の様子を見てオットーさんが笑っています。戦いなんて初めてやるんですから仕方ないでしょ。
「この!」
「フゴ!?」
槍を掴む腕にショートソードを振り下ろす。うまく腕に食い込んでオークが槍を手放して傷ついた腕を抑えた。私は必死に追撃してオークの頭をかち割った。
『レベルが上がりました』
「はぁ~……。なんとか勝てました」
システム音声さんが聞こえてきてホッと胸を撫でおろす。オークもお肉になって消えていますね。
「ははは、面白い動きだったがそれが功を奏していたな。中々いい戦いだったぞ」
「オットーさんは笑いすぎです。私も必死だったんですからね」
オットーさんが笑うものだから私は少し不機嫌ですよ。
「すまんすまん。でも最高に面白かったぞ」
「む、まだ笑いますか。オットーさんはよっぽど私の料理が食べたくないようですね」
「だ~。それだけはやめてくれ。俺の胃袋はもうあんたの料理がないと死んじまうんだ」
私の奥の手を披露するとオットーさんが跪いてきました。やはり胃袋を掴んだものが勝者ですね。
「どこまで行くんですか?」
私は強くなるためにオットーさんに連れられて山奥にやってきた。頂上まで上がってくると私が働いていたクーナリア王都が見下ろせます。
「あと少しだよ。ほら、あそこだ」
「あれは洞窟ですか?」
頂上を少し歩いていくと地面に入って行くような洞窟が見えてくる。オットーさんは私を一度見てからその洞窟に入って行く。
「これはなダンジョンと言われる魔物の巣窟だ」
「ダンジョン?」
「ああ、レベルを上げるにはもってこいなんだ。それに魔物が落とす素材もマモルにピッタリなものなんだぞ~」
オットーさんはよだれを拭いながら説明してくれる。私にピッタリで彼が涎を垂らすということは……。
「オーク肉オーク肉!」
「……やはり」
解体で見たことがある魔物、オーク。大量に前からやってくる。オットーさんの目がお肉になっていて次々と倒していく。
「え? 解体していないのに肉の塊に?」
「ダンジョンの魔物は外の魔物と違う。戦利品を残して消えていくんだ。魔物も時間で無限に湧いてくるからな。重宝するぜ!」
私が首を傾げて声をあげているとオークを倒しながら説明してくれる。あんな大きな斧を振り回しながら息も切れていませんね。私もあれを目指さないといけないんでしょうか?
「よっと! マモル。これにとどめをさしてみな」
「うっ。そ、そうですよね。私もやらないといけないんですよね」
オットーさんが瀕死のオークを引きずってくる。口から血を出してるオーク。恨めしそうに私を見つめてくる。
「とどめをささないと経験値は入らないぞ。強くならないとこの後も大変だ。それに魔物相手にとどめもさせないと人相手じゃもっと無理だ。お前を狙ってくる相手は魔物だけとは限らないからな」
オットーさんの話を聞きながら持たせてもらったショートソードを握る。瀕死のオークに首に刃を当てて、目を瞑って体重をかけて行く。
「うう……」
ショートソードからオークを切り裂く感触が伝わってくる。嫌な感触で今にも胃の内容物を出してしまいたくなります。
「マモル。今はいいけどよ。目は瞑るな。命から目を背けたらそれだけ自分の命を失うのが近づくと思え」
「そ、そうですよね。いついかなる時も目を開けていないと」
「そう言うことだ」
オットーさんの言葉に頷いてオークの最後を見届ける。お肉を残して消えていくオーク。罪悪感が半端ないですね。
『レベルが上がりました』
「上がりましたね」
オークを一体倒しただけでレベルが上がりました。これで21レベル。
「オークは30レベルでやっとの敵だからな。とりあえず入口付近で戦って30レベルを目指すぞ」
「は、はぁ……。こんなことをあと9回以上やらないといけないんですね」
オットーさんの言葉に元気なく答える。
お肉がタダで手に入るならなんとか我慢します。皆さんに喜んでいただけるんですから。
「マジックバッグは便利だな~。いっそのこと俺とパーティー組まないか?」
「私とオットーさんとじゃ釣り合わないですよ。私が振り回されるだけなのが目に見えてます」
「がはは、確かにそうだな。おっとオークが湧き始めた。時間ピッタリだ」
オットーさんの冗談に答えていると壁からオークが生まれる。まるで粘土から這い出るように生まれるんですね。
「よっと! 残り1体だ。やってみろ」
「ええ!? 戦うんですか?」
「そうだよ! 他に何をするってんだ?」
オットーさんの言うこともごもっともですね。さっきも言っていましたが魔物との戦いに躊躇していたら人との戦いなんて絶対にできません。男は度胸! やってやります!
「フゴ!」
「ひっ!?」
威圧してくるオーク。さっきのオークは瀕死、今回のオークは無傷。やはり、迫力が違います。
「槍に気をつけろ。ただのオークはそれでしか攻撃してこない」
「な、なるほど。リーチはあちらにありますね」
オットーさんはオークを始末し終えて応援に徹していますね。流石というかなんと言うか。しかし、槍と剣って私が不利なんじゃないですか?
「フゴ!」
「わっ!」
「フゴフゴ!」
「わっわ!」
槍を何度も突いてくるオーク。私はくねくねと躱す。そんな私の様子を見てオットーさんが笑っています。戦いなんて初めてやるんですから仕方ないでしょ。
「この!」
「フゴ!?」
槍を掴む腕にショートソードを振り下ろす。うまく腕に食い込んでオークが槍を手放して傷ついた腕を抑えた。私は必死に追撃してオークの頭をかち割った。
『レベルが上がりました』
「はぁ~……。なんとか勝てました」
システム音声さんが聞こえてきてホッと胸を撫でおろす。オークもお肉になって消えていますね。
「ははは、面白い動きだったがそれが功を奏していたな。中々いい戦いだったぞ」
「オットーさんは笑いすぎです。私も必死だったんですからね」
オットーさんが笑うものだから私は少し不機嫌ですよ。
「すまんすまん。でも最高に面白かったぞ」
「む、まだ笑いますか。オットーさんはよっぽど私の料理が食べたくないようですね」
「だ~。それだけはやめてくれ。俺の胃袋はもうあんたの料理がないと死んじまうんだ」
私の奥の手を披露するとオットーさんが跪いてきました。やはり胃袋を掴んだものが勝者ですね。
81
あなたにおすすめの小説
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
最強ドラゴンを生贄に召喚された俺。死霊使いで無双する!?
夢・風魔
ファンタジー
生贄となった生物の一部を吸収し、それを能力とする勇者召喚魔法。霊媒体質の御霊霊路(ミタマレイジ)は生贄となった最強のドラゴンの【残り物】を吸収し、鑑定により【死霊使い】となる。
しかし異世界で死霊使いは不吉とされ――厄介者だ――その一言でレイジは追放される。その背後には生贄となったドラゴンが憑りついていた。
ドラゴンを成仏させるべく、途中で出会った女冒険者ソディアと二人旅に出る。
次々と出会う死霊を仲間に加え(させられ)、どんどん増えていくアンデッド軍団。
アンデッド無双。そして規格外の魔力を持ち、魔法禁止令まで発動されるレイジ。
彼らの珍道中はどうなるのやら……。
*小説家になろうでも投稿しております。
*タイトルの「古代竜」というのをわかりやすく「最強ドラゴン」に変更しました。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる