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第一章
第19話
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「キャ~!」
ダンジョンが見えてきた。
女性の悲鳴が聞こえてきて、視線を向けるとオークに襲われてるのが見える。
「大丈夫、射ぬける」
シュ! リーシャが矢を射る。鋭い矢がオークの頭を貫いて後ろへと倒れていった。
「リーシャお姉ちゃんありがと!」
「ありがとうございますリーシャさん」
よく見たらレバナさんの診療所で治してあげたジナ君親子だった。リーシャがお礼を言われて彼の頭を撫でた。
あと少しでジナ君のお母さん、レムナさんが怪我をするところだった。オークの武器は大きなこん棒だったからもしかしたら……本当によかったよ。
「他に魔物を見ましたか?」
「いえ、ですがダンジョンの中から出てきました」
「冒険者のおじちゃん達が数人入っていったよお兄ちゃん!」
僕の質問に二人が答えてくれる。冒険者が入って行ったのにオークは出てきた?
扉の前の空間で戦ってるのか、オークは冒険者を無視して出てきたのかもな。
「ヒューイ! 魔物が出てきた!」
「レムナさん! ジナ君を連れてすぐに建物の中へ!」
「はい!」
ミーシャの声でダンジョンへ視線を向けて、レムナさんに指示を飛ばした。彼女達が逃げるのを見届ける。オークやゴブリンなどのE~Dランクの魔物がぞろぞろと出てきた。中に入った冒険者はやられたのか?
「三人とも! やるぞ!」
「「「はい!」」」
リーシャの矢が横一線に放たれる。僕とミーシャは大きく跳躍して矢を躱しながら切り込んだ。左右には矢と雷が落ちていく。
リーシャの矢は僕らを綺麗に避けて魔物に命中していく。
「ふふふ、ヒューイと一緒の私達に会ったのがあんた達の運のつき!」
大剣を振り回して縦に回転しながらオークへと突っ込むミーシャ。数匹のオークを切り裂いて魔物達の中へと入って行った。少しすると魔物達が吹き飛ばされてるのが見える。大暴れと言った感じだな。
それを見ている間にもリーシャの矢とルラナの雷が魔物達に射かけられる。圧倒しすぎだ。
「おかしな人間は戦わんのか?」
のんびり見ているとディアボロスが声をかけてきた。戦おうと思ったんだけど、ミーシャの勢いに気圧されちゃったんだよな。まあ、そうも言ってられないので。
「いくよ」
「ふふふ、魔物の血を吸えるわけだな」
血を吸えると喜ぶディアボロス。やっぱり、危ない奴なんだな。
僕も魔物の群れへと走り出す。今回は自分だけを強化してるわけじゃない。油断せずに慎重にリーシャから見える辺りで戦おう。魔物との戦闘経験はそんなにないからね。
しばらくダンジョンの入口から現れる魔物を倒してるとステイン達が冒険者達と一緒にやってきた。中にはスカイ達もいるのが見える。
「魔物の量がすげえな。全部引き止めてたのか?」
「うん。中に冒険者が数人入ったって聞いたけど、ずっと出てくるんだ」
ステインの質問に答えて魔物達へと視線を向ける。僕らにやられた魔物達、警戒を強めて横に並んで僕らを見てくる。ミーシャに怯えてるって感じだな。
「ヒューイ。あとは俺達に任せてくれ。一気に内部まで進むぞみんな!」
「「「「了解!」」」」
元気になったスカイ達が走り出す。他の冒険者達もスカイ達の後ろをついていくみたいだ。
結構、馬鹿にしてたはずだけど、実力は理解してるみたいだな。それとも、利用してやろうって人たちなのかな。
「怪我をしたらすぐに戻ってね」
「ああ、心配無用だ。ヒューイの手を煩わすつもりはないよ」
走っていくスカイに声をかけると親指を立てて答えた。
前のスカイからは想像もつかない笑顔で行って来た。いい人になってくれてよかった。
「ははは、あいつらもヒューイに恩を感じたか? いいこったな」
「ふむ、儂は少し癪だがな」
ステインの言葉にワジソンは不服そうに腕を組んで呟く。
ステイン達みたいに仲間になってくれてればよかったんだけどね。前は完全に奴隷扱いだったからな。
「ん、中に入れるようになったみたい。行こうヒューイ」
スカイ達の頑張りで魔物がダンジョンの扉のある空間まで下がっていった。僕らが倒した魔物は回収しておいたからスカイ達の倒した魔物は後でみんなで回収だな。
中に入ると、隅で横たわっている冒険者が見える。魔物達に囲まれて数人で守ってるな。
すぐにスカイ達に救われてる。
「何があった?」
守り抜いてた数人にスカイが質問をしてる。
「扉が開いて魔物が湧いてきたんだ。それで……」
「魔物だけか? 冒険者が逃げてきたんじゃないのか?」
「魔物だけ……」
ステインが疑問に思って声をあげたんだけど、答えは納得のいかないものだった。
冒険者がダンジョンから逃げてくると扉が一定時間開いたままになってしまう。
逃げるためだけの扉が存在するから、それを使えば逃げられる。だけど、ペナルティーとして、それを使うと一定時間、扉が開いたままになっちゃうんだよな。
五階ずつの間隔で帰るための扉が湧くからそれで逃げればペナルティーはないんだけど、それ以外でダンジョンを出るとこうなっちゃう。
だから、必ず逃げてきた冒険者がいるはずなんだけどな。
「……まさか、ダンジョンの中にまだいて、開いてる?」
ルラナが呟く。
その場にいた冒険者みんなが首を振ってるけど、否定はできない。
「人が人に恨みをもつこともあるからの~……」
そこでワジソンが呟く。まだ魔物がいるって言うのに暗い気もちになっちゃったな。
「切り替えていくぞみんな。どちらにしろ俺達冒険者のせいってこった! 町の迷惑にならないように扉が閉まるまで死守だ!」
ステインの言葉にみんなが『おう』と答えて戦っていた冒険者達に加勢していく。
ーーーーー
「さて、そろそろ町に戻りますか」
「ええ、そうね。ジューダス様」
ヒューイたちが魔物を押し下げているころ、ダンジョンの中ではジューダスの新しいチーム【インヴィンシブル】が扉を開放して隠れていた。
魔物がかなりの数、扉をくぐったのを見てほくそ笑んでいた。
「しかし、ジューダス様も人がお悪い。我らアクライ教会の名を知らしめるために町に魔物を放つなんて」
「ふふふ、そういうあなたもですよ、ゼリスさん。スカイを陥れてチームを奪ってしまおうなんてね」
なんとヒューイの代わりにインヴィンシブルランスに入ったゼリスがジューダスのチームに入っていた。話す言葉を察するにすべてが彼らの策略通りにことが進んだようだ。
「ふん、あれはあの方々が悪いんです。私が役立たずなどあり得ないのに。あ~思い出すだけでも腹が立つ。あのヒューイとかいう役立たずと比べるなんて!」
ゼリスはワナワナと手を振るわせて恨み節。その言葉に少し目を見開いてジューダスが口角をあげる。
「ヒューイ……」
「? 知っていますの?」
「いいえ、知りませんでした。知っていればアクライ教会に”没落”させていましたよ」
意味深げにヒューイの名を呟くジューダス。ゼリスは首を傾げて質問すると彼は声をあげた。
「ふふふ、教会に入れることを”没落”というのは貴方だけですよジューダス様」
彼の言葉にゼリスはクスクスと笑い話す。
「……栄えていたものが壊れて、アクライ教会へと入る。それが私達でしょう? 何も間違っていませんよ」
力強く握りこぶしを作り語るジューダス。ゼリスや司祭姿の4人にそれぞれ視線を向けると彼は大きく頷いた。
ジューダスのチームは司祭で作られたチーム。回復魔法を含んだ聖属性魔法を得意とするメンバーで構成されている。
元貴族のメンバーでもある為、みんな共感して彼に続いて頷く。
「私はね。みなを助けたいのです。栄えさせたいのです。それには苦しむ人を作らないといけない。魔物を町に入れて、苦しむ人を一人でも多く作り、それを我々が治す……。これは我らによる救済を作る作業なのです。嫌かもしれませんが皆さん、理解してください」
「理解しますとも。我らは教会の中でもジューダス様の味方ですわ」
ジューダスの演説を聞いてゼリスは目を輝かせる。他のメンバーも祈りを捧げるポーズで肯定をあらわにした。
「さあ。我らの新たな門出です! 行きますよ!」
意気揚々とジューダスは魔物のいなくなった扉へと歩いていく。
彼の言葉に『はい!』と力強く答えてついていく少女達。可愛らしくも強き彼女達はジューダスを崇拝し、神と崇めるのだった。
しかし、ジューダスの思惑通りとはいかない。ヒューイの力が無遠慮に力を発揮するようになったため、死する人はもちろんのこと、けが人もなく終わってしまったのだ。
ジューダスは憤慨するであろう。
「ふふふ、私の教会を崇めなさい」
扉をくぐる刹那。目を見開き呟くジューダス。言葉は虚空に消えた。
彼は教会を崇めている。その信仰心が今回のことへとつながったのだろう。
『教会を崇めよ』それが彼の原動力なのであった。
ダンジョンが見えてきた。
女性の悲鳴が聞こえてきて、視線を向けるとオークに襲われてるのが見える。
「大丈夫、射ぬける」
シュ! リーシャが矢を射る。鋭い矢がオークの頭を貫いて後ろへと倒れていった。
「リーシャお姉ちゃんありがと!」
「ありがとうございますリーシャさん」
よく見たらレバナさんの診療所で治してあげたジナ君親子だった。リーシャがお礼を言われて彼の頭を撫でた。
あと少しでジナ君のお母さん、レムナさんが怪我をするところだった。オークの武器は大きなこん棒だったからもしかしたら……本当によかったよ。
「他に魔物を見ましたか?」
「いえ、ですがダンジョンの中から出てきました」
「冒険者のおじちゃん達が数人入っていったよお兄ちゃん!」
僕の質問に二人が答えてくれる。冒険者が入って行ったのにオークは出てきた?
扉の前の空間で戦ってるのか、オークは冒険者を無視して出てきたのかもな。
「ヒューイ! 魔物が出てきた!」
「レムナさん! ジナ君を連れてすぐに建物の中へ!」
「はい!」
ミーシャの声でダンジョンへ視線を向けて、レムナさんに指示を飛ばした。彼女達が逃げるのを見届ける。オークやゴブリンなどのE~Dランクの魔物がぞろぞろと出てきた。中に入った冒険者はやられたのか?
「三人とも! やるぞ!」
「「「はい!」」」
リーシャの矢が横一線に放たれる。僕とミーシャは大きく跳躍して矢を躱しながら切り込んだ。左右には矢と雷が落ちていく。
リーシャの矢は僕らを綺麗に避けて魔物に命中していく。
「ふふふ、ヒューイと一緒の私達に会ったのがあんた達の運のつき!」
大剣を振り回して縦に回転しながらオークへと突っ込むミーシャ。数匹のオークを切り裂いて魔物達の中へと入って行った。少しすると魔物達が吹き飛ばされてるのが見える。大暴れと言った感じだな。
それを見ている間にもリーシャの矢とルラナの雷が魔物達に射かけられる。圧倒しすぎだ。
「おかしな人間は戦わんのか?」
のんびり見ているとディアボロスが声をかけてきた。戦おうと思ったんだけど、ミーシャの勢いに気圧されちゃったんだよな。まあ、そうも言ってられないので。
「いくよ」
「ふふふ、魔物の血を吸えるわけだな」
血を吸えると喜ぶディアボロス。やっぱり、危ない奴なんだな。
僕も魔物の群れへと走り出す。今回は自分だけを強化してるわけじゃない。油断せずに慎重にリーシャから見える辺りで戦おう。魔物との戦闘経験はそんなにないからね。
しばらくダンジョンの入口から現れる魔物を倒してるとステイン達が冒険者達と一緒にやってきた。中にはスカイ達もいるのが見える。
「魔物の量がすげえな。全部引き止めてたのか?」
「うん。中に冒険者が数人入ったって聞いたけど、ずっと出てくるんだ」
ステインの質問に答えて魔物達へと視線を向ける。僕らにやられた魔物達、警戒を強めて横に並んで僕らを見てくる。ミーシャに怯えてるって感じだな。
「ヒューイ。あとは俺達に任せてくれ。一気に内部まで進むぞみんな!」
「「「「了解!」」」」
元気になったスカイ達が走り出す。他の冒険者達もスカイ達の後ろをついていくみたいだ。
結構、馬鹿にしてたはずだけど、実力は理解してるみたいだな。それとも、利用してやろうって人たちなのかな。
「怪我をしたらすぐに戻ってね」
「ああ、心配無用だ。ヒューイの手を煩わすつもりはないよ」
走っていくスカイに声をかけると親指を立てて答えた。
前のスカイからは想像もつかない笑顔で行って来た。いい人になってくれてよかった。
「ははは、あいつらもヒューイに恩を感じたか? いいこったな」
「ふむ、儂は少し癪だがな」
ステインの言葉にワジソンは不服そうに腕を組んで呟く。
ステイン達みたいに仲間になってくれてればよかったんだけどね。前は完全に奴隷扱いだったからな。
「ん、中に入れるようになったみたい。行こうヒューイ」
スカイ達の頑張りで魔物がダンジョンの扉のある空間まで下がっていった。僕らが倒した魔物は回収しておいたからスカイ達の倒した魔物は後でみんなで回収だな。
中に入ると、隅で横たわっている冒険者が見える。魔物達に囲まれて数人で守ってるな。
すぐにスカイ達に救われてる。
「何があった?」
守り抜いてた数人にスカイが質問をしてる。
「扉が開いて魔物が湧いてきたんだ。それで……」
「魔物だけか? 冒険者が逃げてきたんじゃないのか?」
「魔物だけ……」
ステインが疑問に思って声をあげたんだけど、答えは納得のいかないものだった。
冒険者がダンジョンから逃げてくると扉が一定時間開いたままになってしまう。
逃げるためだけの扉が存在するから、それを使えば逃げられる。だけど、ペナルティーとして、それを使うと一定時間、扉が開いたままになっちゃうんだよな。
五階ずつの間隔で帰るための扉が湧くからそれで逃げればペナルティーはないんだけど、それ以外でダンジョンを出るとこうなっちゃう。
だから、必ず逃げてきた冒険者がいるはずなんだけどな。
「……まさか、ダンジョンの中にまだいて、開いてる?」
ルラナが呟く。
その場にいた冒険者みんなが首を振ってるけど、否定はできない。
「人が人に恨みをもつこともあるからの~……」
そこでワジソンが呟く。まだ魔物がいるって言うのに暗い気もちになっちゃったな。
「切り替えていくぞみんな。どちらにしろ俺達冒険者のせいってこった! 町の迷惑にならないように扉が閉まるまで死守だ!」
ステインの言葉にみんなが『おう』と答えて戦っていた冒険者達に加勢していく。
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「さて、そろそろ町に戻りますか」
「ええ、そうね。ジューダス様」
ヒューイたちが魔物を押し下げているころ、ダンジョンの中ではジューダスの新しいチーム【インヴィンシブル】が扉を開放して隠れていた。
魔物がかなりの数、扉をくぐったのを見てほくそ笑んでいた。
「しかし、ジューダス様も人がお悪い。我らアクライ教会の名を知らしめるために町に魔物を放つなんて」
「ふふふ、そういうあなたもですよ、ゼリスさん。スカイを陥れてチームを奪ってしまおうなんてね」
なんとヒューイの代わりにインヴィンシブルランスに入ったゼリスがジューダスのチームに入っていた。話す言葉を察するにすべてが彼らの策略通りにことが進んだようだ。
「ふん、あれはあの方々が悪いんです。私が役立たずなどあり得ないのに。あ~思い出すだけでも腹が立つ。あのヒューイとかいう役立たずと比べるなんて!」
ゼリスはワナワナと手を振るわせて恨み節。その言葉に少し目を見開いてジューダスが口角をあげる。
「ヒューイ……」
「? 知っていますの?」
「いいえ、知りませんでした。知っていればアクライ教会に”没落”させていましたよ」
意味深げにヒューイの名を呟くジューダス。ゼリスは首を傾げて質問すると彼は声をあげた。
「ふふふ、教会に入れることを”没落”というのは貴方だけですよジューダス様」
彼の言葉にゼリスはクスクスと笑い話す。
「……栄えていたものが壊れて、アクライ教会へと入る。それが私達でしょう? 何も間違っていませんよ」
力強く握りこぶしを作り語るジューダス。ゼリスや司祭姿の4人にそれぞれ視線を向けると彼は大きく頷いた。
ジューダスのチームは司祭で作られたチーム。回復魔法を含んだ聖属性魔法を得意とするメンバーで構成されている。
元貴族のメンバーでもある為、みんな共感して彼に続いて頷く。
「私はね。みなを助けたいのです。栄えさせたいのです。それには苦しむ人を作らないといけない。魔物を町に入れて、苦しむ人を一人でも多く作り、それを我々が治す……。これは我らによる救済を作る作業なのです。嫌かもしれませんが皆さん、理解してください」
「理解しますとも。我らは教会の中でもジューダス様の味方ですわ」
ジューダスの演説を聞いてゼリスは目を輝かせる。他のメンバーも祈りを捧げるポーズで肯定をあらわにした。
「さあ。我らの新たな門出です! 行きますよ!」
意気揚々とジューダスは魔物のいなくなった扉へと歩いていく。
彼の言葉に『はい!』と力強く答えてついていく少女達。可愛らしくも強き彼女達はジューダスを崇拝し、神と崇めるのだった。
しかし、ジューダスの思惑通りとはいかない。ヒューイの力が無遠慮に力を発揮するようになったため、死する人はもちろんのこと、けが人もなく終わってしまったのだ。
ジューダスは憤慨するであろう。
「ふふふ、私の教会を崇めなさい」
扉をくぐる刹那。目を見開き呟くジューダス。言葉は虚空に消えた。
彼は教会を崇めている。その信仰心が今回のことへとつながったのだろう。
『教会を崇めよ』それが彼の原動力なのであった。
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