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第一章
第29話 砂漠の街道にて
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「ステイン! そっちに行った~」
「了解!」
砂漠の道を進んでいると魔物に襲われることも多々ある。ミーシャが一匹のサンドワームと言われる大きいミミズを倒して叫ぶとステインが更にもう一匹を仕留めた。
スカイとキスタンに帰って来た時も何度か襲われたっけか。
「ヒューイ! そっちにも」
「ああ」
ディアボロスを引き抜き、盛り上がってくる地面へと構える。
「ヒューイ後ろ!」
「!?」
前の地面の盛り上がりは罠、背後からサンドワームが大きな口を開いて襲ってきた。
リーシャが声と共に矢を射る。彼女の矢でサンドワームの動きが止まった。
その隙をついてディアボロスでサンドワームを両断。
「ふぅ。ありがとうリーシャ」
「ううん。それよりも大丈夫だった? 怪我は?」
「大丈夫だよ。あってもすぐに治るの知ってるでしょ」
「それでも痛いことに変わりないでしょ。もう、ヒューイはもっと自分を大事にしないとダメだよ。人のことばっかり心配してさ」
お礼をいうとリーシャが心配してくれた。触診して調べてくれるけど、怪我はすぐに治るんだよな~。
でも、心配してもらうのってなんか安心するな。
リーシャは頬を膨らませて怒ってくれる。それでもみんなが無事ならいいんだ。それが僕のいる意味だしね。
「はいはい。イチャイチャしない。馬車に乗り込んで~」
「もう、お姉ちゃんは……自分のことは棚に上げるんだから」
ミーシャがリーシャの頭をポンポン叩いて馬車に乗り込んだ。僕らも続いて乗り込むと馬車が走り出す。
「魔物に会わなけりゃ、あと三日もすれば着くんだがな」
「ふむ、砂漠が終わってはげ山に着いたらすぐじゃからな」
ステインが呟くと御者を務めるワジソンが答えた。はげ山ってことはテスラ帝国って言うのは荒野の山にあるのか。
「ワジソンはそこに行ったことあるんだっけ?」
「うむ。ドワーフが多くいる国だからな。この斧も買い替えなけりゃいかんと思って居ったから丁度いい」
ミーシャの質問にワジソンが答える。そうか、ドワーフが多い国なのか。
「炎の剣もその国に寄贈されたはずだよ」
「へ~」
ルラナが僕の足に座って教えてくれた。ルラナは最近僕に座ることが当たり前になっちゃったな。
炎の剣か、ルラナの話を聞いてからだとなんだか感慨深いな。
「炎の剣か~。そういえば、オルダイナ王国は氷の杖が量産されてるんだったよね」
「うん。国外に渡らないようにされているみたいだけど、王城の守りに使われてるらしいね」
リーシャとミーシャが声をもらす。オルダイナも特別な武器を持ってるみたいだ。ディアボロスは闇の刀、あんまり表に出さないほうがよさそうだ。
「国外に情報が洩れていると言われていましたが冒険者達にも周知されているとは」
「ルレインさん。結構有名な話だよ。あとオルソナル大臣もきな臭いって有名だったしね」
ルレインさんが考え込んで声をもらすとミーシャが呆れた表情で答えた。みんな結構情報通だよな。僕が遅れてるだけかもしれないけど。
「ルレイン、怪我はない?」
「アルテナ様……。はい、私は無事です」
みんなで話してるとアルテナ様が声をあげた。ルレインさんの手を取って心配する彼女にみんな感心して見つめる。
ルレインさんもサンドワームと戦ってくれたから、ワームの攻撃を受けることなく仕留めていたな。
「あなたは私の騎士。体を大事にしてね」
「ありがとうございますアルテナ様」
ルレインさんを抱きしめてアルテナ様が声をかける。拠点にいた時よりも性格がよくなっているような気がするな。
「お兄ちゃん。眠い」
「ははは、揺れて眠れるなら寝ちゃいな」
感心してみているとブルームちゃんが僕に体を預けて目を瞑った。眠れるうちに眠っておいた方がいいな。
「私も寝ておこうかな。夜は私とヒューイが見張りになるだろうし」
「え? そうなの?」
チラチラとルラナとブルームちゃんを見たミーシャが声をあげる。いつの間にか僕が見張りをすることになってたみたい。
「ちょっとお姉ちゃん。見張りはまだ決めてないでしょ」
「そうだっけ? じゃあ、今決めました~」
「お姉ちゃん!」
リーシャが疑問を投げかけるとミーシャが答えた。どうやら、勝手に決めたようだ。リーシャが怒ってるよ。
「おいおい。見張りは俺達でもいいんだぞ」
「え~。ヒューイと一緒に見張りしたかったのにな~。もしも魔物が来たら暴れられるからやりたかったのにな~」
ステインが声をあげるとミーシャが残念そうに声をもらした。ミーシャは本当に戦うのが好きだな。
「は~。お姉ちゃんは本当に……。鈍感なんだから」
「ん? リーシャ何か言った?」
「何でもない。とにかく、見張りはみんなで平等に。いい?」
「はいはい。リーシャ様には逆らいませんよ~」
リーシャが呆れて声をもらす。僕にも聞こえないような声でもらすものだから、ミーシャは首を傾げてる。
ミーシャもリーシャには頭が上がらないみたいだな。
「ヒューイ、僕も寝るね」
「ルラナも? じゃあ僕も寝ようかな」
「ん? じゃあ、一緒に寝よ」
ルラナが僕から降りて横に寝る。僕もというとブルームちゃんと同じように横になった。三人で横並びに寝転ぶと自然とみんなも横になって言った。
起きているのはステインとワジソンだけ、二人は微笑んで御者席で雑談をしていた。
テスラ帝国の酒の話や、ドワーフの鍛冶屋の話。僕も少し興味があったから意識をなくすまで聞いてた。
しばらくすると夜に近づいてくる。
ステイン達に起こされたのは夕食に時間になった時だった。まだまだ砂漠の風景の中、みんなで食事の準備、テントを張って焚火を灯す。
ディアボロスの闇の収納なんて便利なものがあるから温かい食べ物がすぐに取り出せる。闇の収納の中は時間がすすまないみたいだから腐らないし温かいものは温かいまま。本当にディアボロスが手に入って良かったな。
「了解!」
砂漠の道を進んでいると魔物に襲われることも多々ある。ミーシャが一匹のサンドワームと言われる大きいミミズを倒して叫ぶとステインが更にもう一匹を仕留めた。
スカイとキスタンに帰って来た時も何度か襲われたっけか。
「ヒューイ! そっちにも」
「ああ」
ディアボロスを引き抜き、盛り上がってくる地面へと構える。
「ヒューイ後ろ!」
「!?」
前の地面の盛り上がりは罠、背後からサンドワームが大きな口を開いて襲ってきた。
リーシャが声と共に矢を射る。彼女の矢でサンドワームの動きが止まった。
その隙をついてディアボロスでサンドワームを両断。
「ふぅ。ありがとうリーシャ」
「ううん。それよりも大丈夫だった? 怪我は?」
「大丈夫だよ。あってもすぐに治るの知ってるでしょ」
「それでも痛いことに変わりないでしょ。もう、ヒューイはもっと自分を大事にしないとダメだよ。人のことばっかり心配してさ」
お礼をいうとリーシャが心配してくれた。触診して調べてくれるけど、怪我はすぐに治るんだよな~。
でも、心配してもらうのってなんか安心するな。
リーシャは頬を膨らませて怒ってくれる。それでもみんなが無事ならいいんだ。それが僕のいる意味だしね。
「はいはい。イチャイチャしない。馬車に乗り込んで~」
「もう、お姉ちゃんは……自分のことは棚に上げるんだから」
ミーシャがリーシャの頭をポンポン叩いて馬車に乗り込んだ。僕らも続いて乗り込むと馬車が走り出す。
「魔物に会わなけりゃ、あと三日もすれば着くんだがな」
「ふむ、砂漠が終わってはげ山に着いたらすぐじゃからな」
ステインが呟くと御者を務めるワジソンが答えた。はげ山ってことはテスラ帝国って言うのは荒野の山にあるのか。
「ワジソンはそこに行ったことあるんだっけ?」
「うむ。ドワーフが多くいる国だからな。この斧も買い替えなけりゃいかんと思って居ったから丁度いい」
ミーシャの質問にワジソンが答える。そうか、ドワーフが多い国なのか。
「炎の剣もその国に寄贈されたはずだよ」
「へ~」
ルラナが僕の足に座って教えてくれた。ルラナは最近僕に座ることが当たり前になっちゃったな。
炎の剣か、ルラナの話を聞いてからだとなんだか感慨深いな。
「炎の剣か~。そういえば、オルダイナ王国は氷の杖が量産されてるんだったよね」
「うん。国外に渡らないようにされているみたいだけど、王城の守りに使われてるらしいね」
リーシャとミーシャが声をもらす。オルダイナも特別な武器を持ってるみたいだ。ディアボロスは闇の刀、あんまり表に出さないほうがよさそうだ。
「国外に情報が洩れていると言われていましたが冒険者達にも周知されているとは」
「ルレインさん。結構有名な話だよ。あとオルソナル大臣もきな臭いって有名だったしね」
ルレインさんが考え込んで声をもらすとミーシャが呆れた表情で答えた。みんな結構情報通だよな。僕が遅れてるだけかもしれないけど。
「ルレイン、怪我はない?」
「アルテナ様……。はい、私は無事です」
みんなで話してるとアルテナ様が声をあげた。ルレインさんの手を取って心配する彼女にみんな感心して見つめる。
ルレインさんもサンドワームと戦ってくれたから、ワームの攻撃を受けることなく仕留めていたな。
「あなたは私の騎士。体を大事にしてね」
「ありがとうございますアルテナ様」
ルレインさんを抱きしめてアルテナ様が声をかける。拠点にいた時よりも性格がよくなっているような気がするな。
「お兄ちゃん。眠い」
「ははは、揺れて眠れるなら寝ちゃいな」
感心してみているとブルームちゃんが僕に体を預けて目を瞑った。眠れるうちに眠っておいた方がいいな。
「私も寝ておこうかな。夜は私とヒューイが見張りになるだろうし」
「え? そうなの?」
チラチラとルラナとブルームちゃんを見たミーシャが声をあげる。いつの間にか僕が見張りをすることになってたみたい。
「ちょっとお姉ちゃん。見張りはまだ決めてないでしょ」
「そうだっけ? じゃあ、今決めました~」
「お姉ちゃん!」
リーシャが疑問を投げかけるとミーシャが答えた。どうやら、勝手に決めたようだ。リーシャが怒ってるよ。
「おいおい。見張りは俺達でもいいんだぞ」
「え~。ヒューイと一緒に見張りしたかったのにな~。もしも魔物が来たら暴れられるからやりたかったのにな~」
ステインが声をあげるとミーシャが残念そうに声をもらした。ミーシャは本当に戦うのが好きだな。
「は~。お姉ちゃんは本当に……。鈍感なんだから」
「ん? リーシャ何か言った?」
「何でもない。とにかく、見張りはみんなで平等に。いい?」
「はいはい。リーシャ様には逆らいませんよ~」
リーシャが呆れて声をもらす。僕にも聞こえないような声でもらすものだから、ミーシャは首を傾げてる。
ミーシャもリーシャには頭が上がらないみたいだな。
「ヒューイ、僕も寝るね」
「ルラナも? じゃあ僕も寝ようかな」
「ん? じゃあ、一緒に寝よ」
ルラナが僕から降りて横に寝る。僕もというとブルームちゃんと同じように横になった。三人で横並びに寝転ぶと自然とみんなも横になって言った。
起きているのはステインとワジソンだけ、二人は微笑んで御者席で雑談をしていた。
テスラ帝国の酒の話や、ドワーフの鍛冶屋の話。僕も少し興味があったから意識をなくすまで聞いてた。
しばらくすると夜に近づいてくる。
ステイン達に起こされたのは夕食に時間になった時だった。まだまだ砂漠の風景の中、みんなで食事の準備、テントを張って焚火を灯す。
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