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第一章 始まり

第十二話 モナーナ魔道具店 開店

「スリンさ~ん、戻りました。モナーナさんを連れてきましたよ」
「え?モナーナが外へ出たのかい?」

 僕はモナーナさんを連れて小鳥のさえずり亭に帰ってきて扉を開けてすぐに声をあげた。すると奥から驚いた声を上げてスリンさんが出てきた。その顔は驚きで染まっている。

「あの、その....スリンさん今日はありがとうございま..」
「いいんだよ。いいのさ。あんたは頑張ってるんだから」
「..はい」

 モナーナさんがお礼を言い終わる前にスリンさんが抱きしめた。スリンさんもモナーナさんも涙して小鳥のさえずり亭はすすり泣く声が響く。

 少しして泣きやんだ二人は食事を一緒に準備していた。その姿は親子のそれだった。僕はルンちゃんと遊び中。

「高い高いして~」
「はいはい~、たかいたか~い」

 ルンちゃんもまだまだ子供のようで断る事を知らない僕に高い高いをねだる。他にお客さんがいないので騒いでも大丈夫だが僕の腕が大丈夫か心配である。

「次は鳥さんごっこー」
「はいはい」

 横向きに抱き上げて走り回る。まるで鳥になったような気分になるのだろう。ルンちゃんは満面の笑みである。

「はい、出来たよ。これは私のおごりだから、お代はいらないよ」
「美味しそうですね」

 誰かの誕生日のような料理が並ぶ、鳥の丸焼きと豚のロースト、それにサラダが大量だ。

「あ、あの、ルークさん、今日はありがとう」
「え?ああ、お礼はいいですよ。それに明日からが本番ですからね。売って売って売りまくりましょう」

 そう言うとモナーナさんは顔を赤くして俯いちゃった。まるでユアンが女の子によくされる仕草に僕は思わず心が踊っちゃったけどすぐに幻想だと言い聞かせる。僕は1ルークなのでそんな期待しちゃダメなのさ。

「じゃあ、”モナーナ魔道具店”の復活を祝して!カンパーイ」
「「「カンパーイ」」」

 この日は、みんなで騒ぎました。

 


    そして、次の日、事件が...

「キャ~!!」
「何々?」

 僕は自分のベッドから飛び起きて部屋を走り回った。周りを見渡しても何もないので叫んだ人を見ると僕は青ざめた。

 叫んでいた人はモナーナさんで、今さっきまで横に寝ていたのは僕みたいです。

 僕みたいな役立たずがこんな可愛い子と添い寝何て何かの間違いだ。

「モナーナさん落ち着いて、きっと何かの間違いだから」
「...私も記憶がなくて..」

 別にお酒を飲んだわけじゃないんだけど...はっ!思いだした。

「ルークはポーションも作ってるのかい?」

 そう、それはお酒を飲んだスリンさんが言った言葉だった。

「はい、試しに色々作ったんです。寝ちゃうポーションとか回復ポーションとか」
「本当なのかい?モナーナ、飲んでみて...」

 スリンさんが座った目でモナーナさんに命令している。これは断れないよね。

 決心したのかモナーナさんは僕の睡眠ポーションを一気に飲み干した。

 パタッ、やはり死んだかのように倒れてスリンさんはその姿を見て笑い出した。

「ルーク、寝かせてやんな~。襲っちゃダメだよ~?」

 またもやスリンさんは座った目で僕を指さして指示してきた。仕方なく僕はモナーナさんを自室に運び入れる。ここが間違いだったのかも。

「よいしょ、それにしてもモナーナさんは軽いな~。片手で持てそうだよ」

 自分の筋力が上がってるという考えが微塵もないルーク。彼の装飾品は付喪神になっている。製作品達はルークが持っているだけで効果を発揮しているので恐ろしいことになっているのだった。

「帽子もとってあげないとね。それにしても綺麗な顔だな~」

 モナーナさんの顔を見ていると見とれてしまって時間を忘れた。だけど僕は1ルーク、高嶺の花だよね。

「チュッチュするの?」
「え!」

 いつの間にかルンちゃんが部屋に入って来ていた。ルンちゃんに見られてしまって、僕はすぐに否定して首と手を振った。

「違うの?」
「違うよ...さあ、上に行こうね~」
「あっ!これ何~?」
「あ!それは....睡眠ポーションのスプレー....」

 ルンちゃんが拾ってばら撒いたのはポーションだけじゃ心もとないので護身用にばら撒くタイプの物を作っておいた。まだ、一本しかなかったのでしまうのを忘れていた。見事にルンちゃんによって眠らされた僕はベッドに横たわった。

「というのが現状です」
「そ、そうだったんですね」
「信じてくれるんですか?」
「ル、ルークさんの言う事だもん。信じます」

 僕とモナーナさんは見つめあって微笑んだ。村じゃ体験できなかった事ばかりで何だか新鮮だな~。

「二人共~そろそろ起きな~。ルンはもう働いてるよ~」

 問題を起こしたルンちゃんはすでに起きていてキビキビ動いていた。恐るべし幼女。

 僕とモナーナさんはスリンさんのおごりで朝ごはんをいただいた。昨日の残りとスープだったのでお腹が重い。

「お腹いっぱいだね」
「はい...」

 ご飯を食べ終わり、モナーナさんのお店に一緒に歩いているんだけどお腹を押さえながら歩いてる。
    周りから変な視線を送られるけど構わない。だってお腹いっぱいなんだもん。

「ルークさん面白い」
「え!モナーナさんだって~」
「「プフッ、アハハハハ」」

 二人で共に見合って大笑いしちゃった。しばらくその笑いが収まらなくて大変だったけど何とか静まりました。

 やっとこさお店について昨日並べておいたアイテムと新規のアイテムを並べて開店準備をはじめる。

「とうとう、開店できるんですね」
「そんなにお店を閉めていたの?」
「はい、お父さんが死んじゃってお父さんの魔道具の在庫がきれてしまってからですから、半年くらいは経っているかと」

 わお、半年間一人を養うほど稼いだって事か~。これはもしかして魔道具って儲かるのかな~。
    ふふふ、楽して暮らすを目指すには魔道具かな。とか何とか思っていると開店時間になったので扉を開けるとおばさん方が一斉にやってきた。

 事前に宣伝しておいた。骨細工を探しているようで見つけるといち早く会計へと向かった。

「ええ!ちょ!ルークさん、どうしよう!」
「値札通りに会計してください。あ、ちょ、そんな、ダメ~」

 もみくちゃにされて何が何やらわかりません。

 新しいものが好きなおばさんは好きですか?僕は少し恐怖を感じました。

「骨細工は一瞬にして完売ですね」
「数量もそんなになかったですしね。大丈夫ですか?」

 モナーナさんのお膝の上でうなだれる僕。あのあと、不覚にも気絶してしまったんだけどモナーナさんが介抱してくれたみたいで何とか一命は取り止めました。
    装飾品は全部売れてしまったので、僕は新しい素材で装飾品を作ろうと思います。
    しかし、元手0銅貨の素材でこんなに儲かっていいのだろうか。普通の装飾品は宝石などを使っている為に大変高い、平民が手にできる物は皆無だ。
    そう言う意味では僕の作った物はとても安価だ。一番高くて銀貨2枚の首飾り、安い物は大銅貨8枚だ。元手が0だからどうしても値段は安くなりがちである。

 新しい素材とは植物、モナーナさんの家を掃除した時に集めた植物の蔓です。
    花はそのまま花飾りにして蔓は骨の時の様にコネコネして髪飾りにしてみた。
    東洋の国で売られていると言われているかんざしをイメージしてみたんだけどどうだろうか?。

「綺麗ですね。蔓だったとは思えません。ルークさん、あなたは一体...」
「ただのルークだよ」

 僕は人差し指で口を抑えてそう言うとモナーナさんは頬を赤くして俯いた。桃色の髪の間から見える表情は何だか照れているようだった。

「モナーナさんにはこれを」
「花飾りとかんざしをくっつけたんですか?」

 今作った二つを合成して花かんざしを作った。植物の緑色が光沢を帯びて花の赤が映える。モナーナさんの桃色の髪に差すと三色が際立ちモナーナさんの魅力を最大限に引き上げた。

「似合いますか?」
「うん、最高に似合ってますよ」
「そ、そうですか...」

 あ~、僕は幸せだな~。っていかんいかん、勘違いしてはいかんぞ。僕は1ルークなんだ。

 リニューアルオープンは無事閉店を迎えた。
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