39 / 165
第一章 始まり

第三十八話 モナーナ

「お父さん・・」

 私の名前はモナーナ、お母さんが付けてくれた名前でとても大好きな名前。お母さんは私を生んですぐに死んでしまったってお父さんは言ってた。5歳まではお父さんと放浪の旅をしていたけど、ある人との出会いでエリントスにお店を持つことになったの。

「あなたの魔道具の力は街の為になります」

 クルシュ様のお父様であるゼル様その人です。ゼル様もクルシュ様のように自分を犠牲にして街を大きくしていった人でした。自分の食べる物は後にして街の人達に分け与えていたの。
 私のお父様の魔道具は珍しい物だった。雨を降らせるジョウロとか、広範囲の土を耕すクワとかとてもユニークだった。傍から見ると魔法で事足りるような物だったけどゼル様は感動していたの。

「MPを使わずにこんなことが出来るあなたのアイテムは世界に愛されるべき物だ」

 ゼル様の言葉にお父さんは感動して涙を流してた。今までそんなに認めてくれた人はいなかったからお父さんは嬉しかったんだと思う。

 お父さんはそれから色々な魔道具を作ってゼル様に使ってもらってた、もちろんお金をいただいて。ゼル様に使ってもらったものはどれもこれもお店で大人気になって私達は裕福になっていったの。お父さんはどんな魔道具だって作れた。でも、お父さんは自分の病気を治す魔道具は作れなかった。

 ゼル様が病気で倒れた知らせを聞いたお父さんはゼル様を見に行ったの、今思えばその時に止めていれば病気にかからなかったかもしれない。お父さんは涙しながらゼル様の言葉を聞いたの。

「あなたの力はとても凄いですよ。私を治せなかったからといって作るのをやめないでください」

 ゼル様は最後までお父さんの事を想った言葉を残していったの。それから少しして、お父さんはゼル様と同じ病気にかかって寝たきりになっちゃった。

 お父さんは私に申し訳ないって言ってたけど、少し嬉しそうだった。私は怒ったよ。だって私を残そうとしてるんだもん、怒るに決まってるよ。でも、私が思っていた事と違う事を思っていたみたい。お父さんはベッドに横たわって私を見ていたの、

「モナーナももう14歳か、大きくなったな」

 お父さんはそう言って笑顔だった。お父さんは私を育てる事に夢中でちゃんと私を見れていなかったんだと思う。それでそんな事を言ったんだと思う。そして、ルークと会う一年前にお父さんはなくなっちゃった。

 だからかな、私はルークがクルシュ様と肩を並べて話しているのを見て嬉しくなっちゃった。何だかお父さんが帰ってきたような気がしたんだ・・・、本当は違うのにね。私の勝手な希望をルークに押し付けちゃった。

「モナーナは偉いな~」

 お父さんは真面目に話す私の言葉にいつもそう言って返してきてた。真面目に話すのにはぐらかすように頭を撫でてきたの、困っている人に魔道具を渡すお父さんはお金を得ようとしなかったの、だから怒っているのにお父さんはいつもはぐらかしてきたの。スリンさんにもいつも怒られていたのに治そうとしなかったお父さんだったけど、大好きだった。

「ルークったら!」
「わあっモナーナどうしたの?」
「どうしたもこうしたもないでしょ、もう、こんなに部屋散らかして、あんまり見せられないものもあるんでしょ?ルークは掃除も早いんだからちょっとやれば片付くのに」

 ルークは製作に入るとそこら辺に色んなものを放置しがち、私かスリンさん、それにルンちゃんが片付けてあげるんだけど一向に治らないの。

「モナーナいつもありがと」
「え?ううん、私こそありがと」
「モナーナは偉いな~、ちゃんと片付けられるんだから、僕なんかすぐに汚しちゃうよ。掃除は得意なんだけどね」
「・・・」
「どうしたのモナーナ」
「ううん、何でもない。また来るね」
「え?うん」

 私はルークの言葉にドキッとしちゃった。まるでお父さんの様なことを言うんだもん。あの背中に飛びつきそうになる自分を何とか我慢したけど、本当にお父さんと重なったの。

「やっぱり私はルークが好き」

 ワーウルフの群れとの戦いの前日、夜も深くなっていく。モナーナの独り言は小鳥のさえずり亭の虚空に消えた。


感想 296

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!