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第二章 黒煙
第二話 黒煙龍
騎士団の早馬が来ることを知らずにルークは今日も日課の掃除をしていた。
「ルークさん、今日も掃除ですか?」
「はい、日課ですから」
声をかけるは新人冒険者のニック、彼はルークのファンで冒険者になり、ルークを見習って掃除の依頼を定期的にうけるいい青年である。
「ルークさん聞いてください。僕、この間Dランクになったんですよ」
「へ、へえ~凄いね~」
ニックの言葉を聞いて僕は驚愕した。僕はまだEランクで何も冒険者らしいことはしていない。ランクが上がるはずもない。
「ルークさんは冒険者ランク幾つなんですか、A、Sランクですか?」
「うっ」
ニックの輝く目が僕の胸を打つ。正直に言った方がいいのか悩んでいたその時、
「ルーク、騎士の方が君を探していたぞ」
「騎士?」
エイベルさんが門の方から走ってきてそう話した。僕は首を傾げた。騎士の方が僕に用があるってどういうことなのかな?
「私も同行しましょう」
「ええ、メイさん」
急に現れたメイさんに僕は驚いて声を出した。毎回、メイさんは急に現れて僕を驚かす、この頃はそれを楽しんでいるようにも伺える。たぶんこの勘はあってると思う。メイさんは微笑んでいるから。
「では行きましょう」
「は~・・」
仕方なくついて行きます。でも本当に何のようなんだろう。
門の方へと歩いて行くと街の人から声をかけられる。今やこの街で僕の事を知らない人はいなくなってしまった。そんなに目立ちたくなかったけど、僕はレベル1の英雄になっちゃったからしょうがない。
アレイストさんにはよく「まさか、1レベルの英雄になるとはね」と呆れられちゃうけど僕だってこんなことになるなんて思わなかったよ。それでもランクは上がっていないのは驚きだけどね。
「あなたがルークさんですか?」
「はい・・」
門に着くと馬に乗った騎士の人が訪ねてきた。僕は肯定すると騎士が馬から降りて手紙を差し出してきた。
「カテジナ様からこれを渡すようにと言われてこちらに来ました」
「叔母さんから」
僕は懐かしい人の名前を聞いて感慨深く手紙を見つめた。何だか懐かしすぎて涙腺が緩む。
「では私はこれで」
騎士はそう言って馬に跨りリバーハブ村の方向へと駆けていった。
「妙に急いでいるようだったな」
「たぶん、本隊に追いつくためじゃないかな」
僕は手紙の一部分を見てエイベルさんに言った。あの人は僕に手紙を届ける為だけにエリントスに来たみたい。だから本隊は先にカテジナ叔母さんを連れて王都リナージュへ向かってるみたいだ。あの人はそれに追いつくために急いでいるようだった。
手紙にはユアンとカテジナ叔母さんの住む家の住所が書いてあって仕送りは王都のギルドに送るようにという事が書いてあった。
もうすでにルークは多額の仕送りを送っている。本来ならばもう送らなくていいのだが。
「そうか~王都リナージュに引っ越すんだね。ユアンはやっぱりすごいな~。お兄ちゃんも鼻が高いよ」
呑気にそんな事を言って仕送りを続けるルークであった。
ルークがユアンの出世を喜んでいる時、エリントスから隣町ワインプールへの街道に不穏な黒煙が舞い降りていた。
「ううう、わらわの目が」
黒煙から生まれた龍は命からがらユアン率いる討伐隊から逃げてきた。黒煙龍は幼女の姿になり黒煙のような外套を被った、潰れた目を抑えて街道を歩いて行く。
「目が・・・何でこんな事に、あのような小僧に後れを取るとは」
黒煙龍は忌々しい聖属性の少年の事を思い出して歯軋りをしている。
「お嬢ちゃんこんな街道を一人でお散歩かい?」
「良さそうな外套被ってやがるな~」
黒煙龍の化けた幼女に声をかけてきた盗賊、この盗賊団は総勢30人。しかし、声をかける相手を間違えたようだ。
「お嬢ちゃんとはわらわの事か?」
「はっは~他に誰がいるってんだ」
「可愛らしい声してんな~。奴隷商に高く売れるぞ~」
「笑いが止まらねえな~」
盗賊達は幼女に近づいて行く、辺りは急に暗くなっていくが盗賊達は気にも留めず幼女へと手を向けた。
「大人しくしろよ~・・・」
「おまえ、手が・・・」
「ヒアァ~~、俺の手が~~」
幼女の肩に手を掛けた男は悲鳴を上げて後ろに倒れた。男の手は黒く焦げて零れ落ちた。まるで枯れ葉を握ったかのように崩れた男の手は風に攫われて空へと舞っていった。
「何しやがった」
「こいつ普通じゃねえ」
盗賊達はその様子を見て幼女へと武器をかざした。震えながらも勇敢に幼女へと剣を向けた盗賊達は少し距離をとって更に離れていく。
「場慣れしておるの。しかし、わらわに触ったのだから生きて帰れると思うなよ」
幼女は見る見ると姿を変えて黒煙龍の姿へと戻って行く。盗賊達は歯をガチガチと鳴らして尻もちをつく。Sランクの魔物である黒煙龍の圧は通常の者達にとって失神してもおかしくないものだ。盗賊達は意識を保ち少しずつ離れていっている、それなりの強さを持っているのが伺える。
「運が悪かったようじゃの。丁度わらわも腹が減っていたのじゃ」
黒煙龍は舌なめずりをして盗賊達を睨みつけた。
この日、名のある盗賊団が行方不明となった。その盗賊は子供も殺す非道な者達だ。近くの村や街の住人達は大いに喜んだのだった。
「ルークさん、今日も掃除ですか?」
「はい、日課ですから」
声をかけるは新人冒険者のニック、彼はルークのファンで冒険者になり、ルークを見習って掃除の依頼を定期的にうけるいい青年である。
「ルークさん聞いてください。僕、この間Dランクになったんですよ」
「へ、へえ~凄いね~」
ニックの言葉を聞いて僕は驚愕した。僕はまだEランクで何も冒険者らしいことはしていない。ランクが上がるはずもない。
「ルークさんは冒険者ランク幾つなんですか、A、Sランクですか?」
「うっ」
ニックの輝く目が僕の胸を打つ。正直に言った方がいいのか悩んでいたその時、
「ルーク、騎士の方が君を探していたぞ」
「騎士?」
エイベルさんが門の方から走ってきてそう話した。僕は首を傾げた。騎士の方が僕に用があるってどういうことなのかな?
「私も同行しましょう」
「ええ、メイさん」
急に現れたメイさんに僕は驚いて声を出した。毎回、メイさんは急に現れて僕を驚かす、この頃はそれを楽しんでいるようにも伺える。たぶんこの勘はあってると思う。メイさんは微笑んでいるから。
「では行きましょう」
「は~・・」
仕方なくついて行きます。でも本当に何のようなんだろう。
門の方へと歩いて行くと街の人から声をかけられる。今やこの街で僕の事を知らない人はいなくなってしまった。そんなに目立ちたくなかったけど、僕はレベル1の英雄になっちゃったからしょうがない。
アレイストさんにはよく「まさか、1レベルの英雄になるとはね」と呆れられちゃうけど僕だってこんなことになるなんて思わなかったよ。それでもランクは上がっていないのは驚きだけどね。
「あなたがルークさんですか?」
「はい・・」
門に着くと馬に乗った騎士の人が訪ねてきた。僕は肯定すると騎士が馬から降りて手紙を差し出してきた。
「カテジナ様からこれを渡すようにと言われてこちらに来ました」
「叔母さんから」
僕は懐かしい人の名前を聞いて感慨深く手紙を見つめた。何だか懐かしすぎて涙腺が緩む。
「では私はこれで」
騎士はそう言って馬に跨りリバーハブ村の方向へと駆けていった。
「妙に急いでいるようだったな」
「たぶん、本隊に追いつくためじゃないかな」
僕は手紙の一部分を見てエイベルさんに言った。あの人は僕に手紙を届ける為だけにエリントスに来たみたい。だから本隊は先にカテジナ叔母さんを連れて王都リナージュへ向かってるみたいだ。あの人はそれに追いつくために急いでいるようだった。
手紙にはユアンとカテジナ叔母さんの住む家の住所が書いてあって仕送りは王都のギルドに送るようにという事が書いてあった。
もうすでにルークは多額の仕送りを送っている。本来ならばもう送らなくていいのだが。
「そうか~王都リナージュに引っ越すんだね。ユアンはやっぱりすごいな~。お兄ちゃんも鼻が高いよ」
呑気にそんな事を言って仕送りを続けるルークであった。
ルークがユアンの出世を喜んでいる時、エリントスから隣町ワインプールへの街道に不穏な黒煙が舞い降りていた。
「ううう、わらわの目が」
黒煙から生まれた龍は命からがらユアン率いる討伐隊から逃げてきた。黒煙龍は幼女の姿になり黒煙のような外套を被った、潰れた目を抑えて街道を歩いて行く。
「目が・・・何でこんな事に、あのような小僧に後れを取るとは」
黒煙龍は忌々しい聖属性の少年の事を思い出して歯軋りをしている。
「お嬢ちゃんこんな街道を一人でお散歩かい?」
「良さそうな外套被ってやがるな~」
黒煙龍の化けた幼女に声をかけてきた盗賊、この盗賊団は総勢30人。しかし、声をかける相手を間違えたようだ。
「お嬢ちゃんとはわらわの事か?」
「はっは~他に誰がいるってんだ」
「可愛らしい声してんな~。奴隷商に高く売れるぞ~」
「笑いが止まらねえな~」
盗賊達は幼女に近づいて行く、辺りは急に暗くなっていくが盗賊達は気にも留めず幼女へと手を向けた。
「大人しくしろよ~・・・」
「おまえ、手が・・・」
「ヒアァ~~、俺の手が~~」
幼女の肩に手を掛けた男は悲鳴を上げて後ろに倒れた。男の手は黒く焦げて零れ落ちた。まるで枯れ葉を握ったかのように崩れた男の手は風に攫われて空へと舞っていった。
「何しやがった」
「こいつ普通じゃねえ」
盗賊達はその様子を見て幼女へと武器をかざした。震えながらも勇敢に幼女へと剣を向けた盗賊達は少し距離をとって更に離れていく。
「場慣れしておるの。しかし、わらわに触ったのだから生きて帰れると思うなよ」
幼女は見る見ると姿を変えて黒煙龍の姿へと戻って行く。盗賊達は歯をガチガチと鳴らして尻もちをつく。Sランクの魔物である黒煙龍の圧は通常の者達にとって失神してもおかしくないものだ。盗賊達は意識を保ち少しずつ離れていっている、それなりの強さを持っているのが伺える。
「運が悪かったようじゃの。丁度わらわも腹が減っていたのじゃ」
黒煙龍は舌なめずりをして盗賊達を睨みつけた。
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