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第二章 黒煙

第十二話 掃除屋ルーク健在

「治してくれんかの~」

 依頼を受けて掃除をしているとしつこくクコが話しかけてくる。今までの話を聞いていると治してもいいと思うんだけど。

「治ったらどうするの?」
「そうじゃの~、前も言ったが人としてこの街で暮らしたいの~ちょっとだけ小僧に復讐したいが・・・」
「ってダメじゃん」

 復讐って言ってる・・・なんで言っちゃうかな~。

「まだ駄目だね。反省しなくちゃだめだよ」
「何を反省するのじゃ、わらわはただ山の頂上で寝ていただけじゃぞ」
「その前に何かしてたんじゃないの?」
「あの山に住み着いて50年も経つが何もしておらん。寝ておれば食事も少量ですむしの、これも前言ったと思うが」

 クコはそう言うけど討伐されるには何か理由があると思うんだけど。

「龍というだけで人はわらわ達を狩るんじゃ。武勲をあげると出世しやすいんじゃろ」
「そう言うものなのかな。僕はよくわからないや」

 出世をしたいと思ってない僕にとってどうでもいい事なんだよな~。なんでみんな出世したいんだろうか、忙しくなるだけなのに。

「人は人の上に立ちたいと思うものじゃがお主は違うんじゃな。ノルディックも同じような事を言っておったわ。同じ農業の神で同じことを思うとは生まれ変わりか?」 
「知らないよ神でもないし。だけど、忙しい事は嫌いだな~。龍なんて倒したらそれこそ王様に眼をつけられてあっちこっちで英雄ライフになっちゃうよ」

 今現在、ユアンがなっている状況だよね。王都に家まで貰っちゃって、その家に年間何日居れるんだかね。全く、英雄の話は子供に聞かせる物じゃないよ。ああやって自分の身を削って英雄らしくしないといけなくなっちゃうんだからさ。
 ユアンは才能があったから今の所、生きているけど普通の人じゃ龍と戦ったら10回は死ねるね、おまけに倒せないだろうし。あ~良かった、僕に才能が無くて。

「しかし、強さも兼ね備えているとは思わなかったぞ。オートカウンターといったらスキルレベル5の達人じゃないか」
「・・・へ~~、そうなんだ~」

 やばいやばいよ。クコは物知りだから知っていて当たり前だけど、ギルドマスターも、もしかしたらその事を知っているんじゃないかな?心配事が増える一方だよ。ワインプールではのんびり農業ライフを送りたいのに。

 ルークはため息を吐きながら掃除をしていく、今日の掃除は噴水広場と畑までの道、それから5件分の煙突掃除。最近は一瞬で掃除が終ってしまうのでこれでも一時間かからない程度で終わってしまう。ルークの掃除技術は掃除の範疇に収まらない。

「ルークお兄ちゃんお掃除はやーい」
「ほんとそうね~」

 ぶりっ子モードのクコが僕を褒める、それに合わせておばさん達も賛同して喜んでいます。僕の掃除の技術を学びたいらしいんだけど、参考にならないレベルみたいで少し驚いていました。

「掃除終わりましたので帰りますね」
「ちょっとまちな。これをあげるよ。掃除してくれたお礼さ」

 若い奥さんが僕を引き留めて籠を渡してきました。籠にはリンゴやワインが入っていた。

「えっ、いいですよ。これは仕事ですから、依頼料も払って貰っているんですから」
「いいのよ。依頼料はみんなで出し合ってるから少なかったし、自分でやれない所をやってもらっているんだからこういったボーナスは必要よ」

 何度か遠慮したんだけど断るのも失礼っぽいので受け取ることにした。

「あなたが来てくれるようになってから街が綺麗になってみんな感謝しているのよ。エリントスにいたんでしょ?エリントスも綺麗なんでしょうね」
「はい、今では冒険者の人達も端仕事を受けるようになって綺麗になってると思います」
「ふふ、あなたがいなくなったから少し汚れは残ってそうね」

 おば様方がクスッと笑った。僕をすごい褒めるものだから僕は照れて俯いた。
 でもエリントスは本当に綺麗になったよ。最初もそれほど汚くはなかったけどね。

「じゃあありがたくいただきます」

 掃除を終えて僕は宿屋にもどります。時間もまだあるのでギルドに行こうかと思ったんだけどギルドマスターや絡んできた人達が怖いので素直に帰ります。


「カルロく~ん」
「わ~!助けておとさん」
「諦めろ。可愛いお前が悪い」

 嗜む子牛亭に着くとクコがすぐにカルロ君に飛びついた。カルロ君の懇願にダリルさんが涙を飲んで諦めていた。何とも微笑ましい光景だろうか。

「お帰りルーク」
「ただいま」

 部屋に入るとモナーナが迎えてくれた。今日は冒険者活動をやらなかったようでずっと宿屋にいたみたい。

「掃除終わって製作するの?」
「うん、今日はダイヤが多く取れたからインゴット化と何かできないか考えるんだ~」

 煙突掃除をするとダイヤがニョキニョキと現れるから凄い溜まっちゃうんだよね。全部市場に卸したら恐ろしいことになりそうなので絶対にしません。
 という事でダイヤをインゴット化して試しに魔石を幾つか作っていきます。ルビリア様に渡した金の指輪みたいに魔法を込める。それを少しの制御でワティスさんの冷蔵部屋が出来てる、それを使って何かできないかなと思った時単純に逆の事を思いついたんだ。

「名付けて温暖机!」
「なにそれ・・」

 ルークの温暖机とはいわゆるこたつである。ダイヤに火の魔法[ヒート]を宿らせて机の下に付けただけのものだ。人肌よりも少しだけ高い熱をだすヒートの魔法が机の下を温かくするわけだ。

「机に布をかぶせれば暖かくして寝れるんだよ」
「・・今の季節じゃ売れないんじゃない?」

 ここら辺の地域じゃ春が長いから冬の期間は短い、それでも冬はあるわけだから売れるでしょ。

「メイさんに聞いてみよう」
「そうだね。また呆れられちゃうだろうけどね」

 目立ちたくないくせに色々世に出しちゃうってメイさんにはよく呆れられています。それでも色々作るの面白いから作っちゃうんだよね。

「これってテントとかにも活用できないの?そうすれば野営の時に役立ちそうだよ」
「あ~、そうか~」

 机が出来るのならそういった器具にも簡単につけられるよね。というかもっと小粒の魔石にして手に持てるようにすれば暖かく過ごせそうだよね。

 モナーナの助言で更にルークは現代のアイテムを作り上げていく、今正に作ったのは現代の物よりも高性能なホッカホカのホッカイロだ。低温火傷にまでならない適温で温めてくれるカイロ、ルークを止める人は誰もいない。

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