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第二章 黒煙

第十八話 エレメントマスター

「ミャミャミャ!」

 小さくなったミスリーは忍び足で村に潜入していく、ゴブリンはこん棒や木の枝で作ったような槍を構えて警戒している。
    普通のゴブリン達ではこういった警戒する事すらできない、更にサボっているゴブリンがいないのを見るとやはり支配級のノーブルやジェネラルはいる事になる。ミスリーは警戒して潜入していく。

 無事に一番大きな藁の家に入ったミスリー、屋根の部分からもぐりこんで下を覗いて行く。家は軽く10畳ほどの敷地でぎっしりと風格のあるゴブリンがしっかりと列を成して並んでいる。彼らはゴブリンソルジャー、精鋭と言われる部類だ。
 部屋の中央には子供が5人、ゴブリン達が涎を垂らして見ているのでそういう物として見ているのが伺える。
    これは彼ら精鋭の士気を高める為の宴なのかもしれない。ミスリーは最後に王の玉座のような椅子に座る額に傷のあるゴブリンを見ると踵を返してルークの元へと戻った。ミスリーは身振り手振りでルークに説明するとある程度わかったルークは戦闘準備を整える。

 ギャギャギャギャギャギャ!

 ルーク達が戦闘準備し始めるとゴブリン村から猛々しい声が聞こえてきた。村のすべての家からゴブリン達が飛び出してきてルーク達の方へと走ってきている。

「バレた?」
「そうみたいだよ」
「ミスリーは鎧にならずに迎撃、ロドフと一緒に前衛を勤めて。モナーナは出来るだけ村にダメージを与えないように魔法で対応、僕は剣で中央突破してくる」

 僕は大地の毛皮を羽織って月下の剣を携える。水の球と火の球、それに光の球を生み出して僕の側面を守らせる、僕はモナーナを遠隔から守る形。自動防御なので飛び道具はこれで大丈夫、僕に届いてもオートカウンターで跳ね返すけどね。

 そして、戦闘が始まる。

 ゴブリン達が騒ぎながら攻め立ててくる。
    石や矢がふってきたんだけど三つの属性の球が全てを弾いていく、ロドフとミスリーが中央突破で一番大きな家まで直進していくとそれにつられるようにゴブリンが攻撃していくんだけどロドフとミスリーは器用にカウンターを食らわせてゴブリンの首が飛んでいく。
 二匹に構わずに僕らの方へ来たゴブリンはモナーナの風の障壁で侵入できないでいる。
    風の障壁は僕らを囲うように施されているので誰も入れない。
    僕の作った装備をしているモナーナの魔力を越えられる人はいないしね。これなら属性の球は要らなかったかな。と思ったんだけど光の球は風の障壁の影響を受けずに外に出れたので光の球を操り障壁の外にいたゴブリン達を焼き切っていく。
    光の球は熱を放たないけど1000度の熱を保有しているみたいで触ると凄く熱いんだ、光の球がゴブリンの体を突き抜けて倒していく、完全防御と攻撃が合わさったらこんなに凄いんだね。

 しばらくすると外にいたゴブリンが全滅、総勢千匹はいたかな。大きな家に入ったロドフとミスリーが出てきて一番偉そうにしていたゴブリンも倒した様です。
    もちろん、捕まっていた人達も無事。縄でつながれてたようでロドフが縄を噛みきってくれた、捕まっていた子供は凄く怯えています。そりゃそうだよね、ワーウルフがこんな目の前にいるんだから、僕でも怯えるよ。

「大丈夫だった?」
「は はい、ありがとうございます。このワーウルフはお兄さんの?」
「従魔だよ」
「そうなんですね・・・」

 一番背の高い少年に声をかけると怯えながらも僕に質問してきた。僕が答えると納得したようにうなづいた。少年たちはまだ10歳ほどで少年以外は俯いて元気がない様子。

「ルーク、この子達に何か食べ物を上げた方がいいんじゃないの?」
「そうだね。丁度いいのがあるもんね」

 モナーナの指摘に僕は頷いてアイテムバッグから果物を取り出した。それは天にも昇るうまさなあれです。

「ふぁ~!なんて美味しいんだろう」
「こんな食べ物食べた事がないよ~」

 子供達はそう言って食べ始めた。
    僕らはゴブリン達の村をちょっと離れた所に簡単なテントを張った、流石にあの場で食べさせるのも気が引けるからね。
 このテントはモナーナの提案で作った温暖テントです。今はそれほど寒くないので魔石はオフしております。これで普通のちょっと広いテントだから子供達からも怪しまれないでしょう。

「美味しい美味しいよ~」
「えへへ、そんなに喜んで食べてもらえると僕もうれしいよ」
「ほんと、よかったね」

 僕とモナーナは子供達の笑顔でほっこり。でも、捕まった人達は全員子供なのが気になる。

「僕らはキウイ村から来たんだけど、捕まったのは君達だけかい?」
「僕たち以外には子供があと5人いました。だけどバラバラに運ばれたみたいで」
「それなら大丈夫、あとの5人は今キウイ村にいるよ」
「本当ですか?よかった・・」

 僕の言葉に安堵した少年はサクランボを頬張って涙を流した。泣くほど嬉しいのに食べるのを止められないようです、凄いね僕の作物。子供はっていうのが気になるけど。

「大人もいたんだよね」
「・・はい」

 僕の質問に少年はサクランボをかじりながら俯いた。その様子から大体何があったのか伺えた。あの大群のゴブリン達なのだから食料だって・・・。

「お母さん・・」
「父ちゃんも母ちゃんも・・」

 何かを思い出したのか少年たちは泣き出してしまった。やはり両親は全員。僕は言葉を失ってしまう。僕も両親が死んでしまっている。だけど、それは物心つく前の話だ。今、カテジナ叔母さんやユアンが死んでしまったなんて聞いたら僕も泣き出してしまうだろう。

「こういう時はお腹いっぱい食べましょ」

 テントの外で暖かい料理を作っていたモナーナはそう言って鍋を持ってきた。モナーナもアイテムバッグを持っているのでそう言った素材を入れているみたい、助かるな~。

「私のお父さんが好きだったビーフシチューだよ」
「好きだった・・って事はモナーナさんのお父さんは?」
「うん・・お母さんは幼い時にお父さんは1年前だよ」
「そうなんですね」
「ルークもね」

 モナーナの言葉に少年は感慨深く頷いてた。モナーナはそれを見て僕に微笑んだ。僕らは両親がいない、彼らの事を一番わかってあげられるのかもしれない。

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