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第二章 黒煙

第二十話 希望

 夕日が落ちてきて子供達が起きてきた。5時間位寝ていた子供達は照れたように頭を掻いていた。

 子供達にゴブリン達の村から拾ってきたアイテムを見せると興味深そうに近づいて籠のアイテムを見ている。

「お母さんの指輪、それにお父さんのも」
「僕もあった」
「俺は父ちゃんの腕輪だ」

 みんなそれぞれ形見を見つける。泣き出してしまった子もいる。だけど、寝る前にも泣いていたので大分落ち着くのは、早かった。

「みんなあったんだね、よかった」
「ありがとうお兄ちゃん」
「あとはキウイ村の子達だね」

 子供達は僕たちにお礼を言って形見の品をだきしめていた。あのままじゃ身に付けられない物ばかりだけど・・・そうだ。僕はポンと手を叩いて子供達に提案する。

「みんなの形見を見に付けられるようにしようか?」
「えっできるんですか?」

 指輪や腕輪じゃ大きさが違うから身に付けられないもんね。僕は首飾り用のチェーンを取り出して一人一人につけて上げるとみんな喜んでくれた。

「ルークって本当にいい人だよね」
「そう?でも、やっぱり形見とかは肌身離さず、持ってたいよね」

 僕にはない物だけど、そう言うものだと思うんだよね。ちなみにチェーンは金の指輪の残り物だから金のチェーンです。流石にダイヤやミスリルのチェーンはやばいと思ってやめておきました。見た目も鉄のように加工したので大丈夫なはず。

「金も十分凄いものなんだけどね」
「ん?モナーナ、なんか言った?」
「ううん、ルークって本当にいい人だよね」

 モナーナがなんか言ったと思ったんだけど気のせいだったみたい。夜も深くなってくるので僕らは眠りにつくことにした。子供達は起きたばかりだったからどうかと思ったんだけどすぐに眠りについた。明日の朝、早くに僕らはキウイ村に向かうことにする。




 何事もなく夜が過ぎて朝になった。見張りがミスリーとロドフなので何かがあるはずがないけどね。

 まだ、朝日が横から差し込む中、僕らは平野を歩いて行く。一番小さな男の子は7歳なのでそんなに速度は出せない・・・と思っていたんだけどね。

「早い早~い」

 ミスリーが虎サイズになって3人を背に乗せた、ロドフが残りの二人をおんぶと抱っこで運んでいく。流石に歩いていると時間がかかってしまう、その分、危険な状況になる確率があがるからね。魔物だけじゃなくて人狩りもいるから用心しないといけない。
 子供達は親を失った事を悲しむばかりじゃなかった、この子達はとても強い子達みたい。ミスリーの背に乗った子もロドフにおんぶと抱っこされている子もみんなこの速度に喜んでる。やっぱり笑顔が一番だよね。

 急いだ結果、一時間ほどでキウイ村に到着。入口には先に助けた少年が柱にもたれかかって立っていた。とても心配している様子。

「アラト兄さん!」
「イラト!」

 ミスリーの背に乗っていた少年、アラト君が柱にもたれかかっていた少年、イラト君に走っていった。二人は涙を流して抱き合う。兄弟だったみたいだね。助けられてよかった。

「ルークさんに助けてもらったんだ。一日遅かったらゴブリン達の餌になっていたよ」
「やっぱり、ルークさんはエリントスの英雄のルークさんなんだ!」

 アラト君の話を聞いたイラト君がエリントスの噂を聞きつけたようで僕に輝かん目を向けてきた。とうとうここまで噂が流れてしまったようです。どうしよう。

「ルークさん、村長がお呼びです」
「あ、はい」

 子供達の再会を他所に入口を守っていたおじさんが僕をよびつけた。村長さんが僕に話があるみたいです。僕は促されるまま案内されて村長の家へ。

 村長の家に入ると村の村長とその補佐をしている感じの恰幅のいい男が二人座っていた。前回僕らが子供を助けに行く話をした時はいなかった人だ。3人は難しい顔をして話し出した。

「ルークさん、子供達を助けてくれてありがとうございます」
「いえ・・・」

 お礼を言ってきた恰幅のいいおじさんはうなだれながら話している。まるで助けた事が迷惑なように。

「・・それでとても言いにくいのですが」
「10人の子供を養う力がこの村には・・・」
「そう言う事ですか・・」

 村長と恰幅の良いおじさんが申し訳なさそうに話した。
 確かにこの規模の村で急に10人も増えてしまったら食料がたりないよね。だけど、それはあまりにも可哀そうだ。

「とても心苦しいのじゃが、銀貨三枚の報酬もやっと集めたほどなんじゃ。子供達をどうにかできんじゃろうか?」

 食べ物を渡してもいいんだけどそれだけじゃすまなそうだ。この村に彼らをおいて行っても碌なことにならないかもしれない。本当に怖いのは人なんだ。こういった時、子供達を奴隷商に売ってしまうかもしれない。そんな事、僕は許容できないよ。

「わかりました。僕らが彼らをワインプールへ連れて行きます」
「そうか、よかった」
「報酬は出せんが?」
「いりません」

 自分達の事しか考えていない人達の言葉はもう聞きたくない。僕は報酬の銀貨三枚もいらないと断った。僕は村長の家から出ると10人の子供を連れて村の外へと出ていった。
 僕はとても怒っている。子供は未来なんだ。子供がいて村も繁栄するんだよ。大事にしないで食い扶持としか見ていないんじゃ、あの村ももう終わりだよ。
 村から少し歩いて離れると小屋をアイテムバッグから取り出してみんなに中に入ってもらう、子供達はアイテムバッグの事や小屋について質問したいみたいだったけど僕の様子がおかしい事を感じ取ったのか黙ってた。村長との話を子供達に聞かせると彼らは涙してたよ。

「しょうがない事だよみんな、僕らの村でも受け入れる事はできなかったと思う」

 一番年長者のアラト君が泣いている女の子を慰めながら話している。やっぱり、街と違ってこういった村はギリギリの状況で生きているんだね。リバーハブ村も結構移住者には厳しかったみたいだけどここまでではなかったかな。

「アラト兄さん、このあとどうする?」
「ワインプールへ行くしかないよ。街なら生きて行くことはできる。俺が冒険者になってみんなを養うよ」
「兄さんがなるなら俺もなるよ」

 アラト君の決意にイラト君も合意している。その視線は僕を見つめていた。

「連れて行くんでしょ?」
「村にいても碌な目にあわないと思うからね」

 モナーナは笑顔で僕に問いかけた。僕は頷いて答える。
 街には連れて行くけど、10歳と10歳に満たない二人はまだ冒険者になれない。どうにか、ワインプールで仕事場を斡旋できたらいいなと思ってる。でも、そんなに簡単に事が進むとも思っていないんだよね。

 
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