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第二章 黒煙

第二十三話 ハーフエルフ

 嗜む子牛亭の前まで帰ってくるとカルロ君と子供達が遊んでいた。仕事の邪魔になってしまっていたのではないかと思ったんだけど違うみたい。カルロ君も楽しそうにボール遊びをしています。

「ルークお兄ちゃんおかえり~」
「「「「「「おかえりなさ~い」」」」」」
「ただいま~」

 一人の少女が気付くとみんなで僕におかえりと言ってきた。何だかこういうのもいいなと思っちゃった。

「ルークおかえりなさい」
「モナーナただいま、子供達の仕事場は見つかりそうだよ」
「メイさんともその話をしていたの、ギルドでの端仕事を斡旋してもらうっていう手もあるみたいなんだけど」

 なるほど、その手があったね。ワインプールの端仕事は主に僕がやっている。僕以外は手をつけていないので子供達に回せばいいんだ。素材も十分に溜まっているし、ワティスさんの所に全員が無理だった場合その手を使おうかな。

「みんな、話があるんだ。ここで話すのもなんだからみんな中に入って~」
「「「「「は~い」」」」」

 子供達の今日の話をする為に嗜む子牛亭の食事所を使わせてもらう。他のお客さんがいないからよかった。と言うよりこの嗜む子牛亭は旅人に知られていないみたいです、穴場というやつかな。

「改めて、僕はルーク。こっちはモナーナとメイさんね。宿屋のご主人のダリルさんとカルロ君。僕達はまだ君達の名前を聞いてなかったよね。みんなに自己紹介してくれるかな?」

 僕が音頭を取って話し出す。まずは自己紹介だ。ワティスさんの所でドキマギしないようにするためのものでもあります。

「じゃあ、俺から。俺はアラト、この中で一番年上だ。俺はいつかルークさんのような冒険者になりたい!」
「アラト君いいね~。でも、僕は冒険者と言うより生産者・・」
「次は僕ですね。僕はイラト。アラト兄さんより一歳年下ですけど僕もルークさんのような冒険者になりたいです」

 ええ~、僕の言葉を遮りましたねイラト君。というか、僕を尊敬している割には容赦ない様な。

 あっ犯人がわかった。メイさんがニヤニヤしている。何か吹き込まれたんだな。モナーナも笑っているのを見ると共犯だろう・・・。

「私はファフ、私はモナーナお姉ちゃんみたいになりたいです」
「ええ~」

 おお、この子はモナーナみたいになりたいんだね。モナーナは恥ずかしそうに俯いちゃった。恥ずかしさが分かったかいモナーナ・・。

「僕はエリシーナです・・・」

 子供達の自己紹介も最後の子になった。年齢順にやるのかと思ったら途中エリシーナちゃんが口ごもってしまった、結果この子が最後になった。エリシーナは俯いて帽子を深く被っちゃった。

「どうしたの、エリシーナちゃん?」
「ルークさん、エリシーナはハーフエルフなんだよ」
「ハーフエルフ?」

 そう言えば、人族以外の種族はニャムさんくらいしかあったことなかったね。エルフか~、だから耳を隠すような仕草をしたんだね。全然気にならなかったから気にしなかったけど。

「ハーフエルフがどうしたの?」
「えっ・・半端ものだって嫌われているんです。僕らの村じゃエリシーナの親もいたから大丈夫だったんだけどキウイ村では・・」
「ルークさんちょっと」

 アラト君の解説を聞いているとメイさんが僕の腕を引っ張ってみんなに聞こえない声で話し出した。

「ハーフエルフは世間的には嫌われているんです。エルフも嫌う国はありますがここら辺ではエルフは大丈夫ですが」
「そう言うものなの?」
「はい」

 う~ん、よくわからないな~。あんな綺麗な顔しているし、僕だったら友達になってほしいもんだけどな。

「メイさんは?」
「私ですか?私はメイド仲間にもハーフエルフはいましたからむしろ好きな部類です。というよりメイドとして人種で好き嫌いがあってはいけませんし」
「ふ~ん、よくわからないけどもしかしたらワティスさんの所で働けないかもしれないってこと?」
「そうですね。一応言っておいた方がいいかもしれません」
「言わないといけないような事なのかな~」
「商人ですから色々な人と接するはずですよ。嫌っている人とも必ず接触します。あの子の為にも言っておいた方がいいと思います」

 あの子がそれを知ったら傷つく、それならワティスさんの所で働かせたくないな~。

「じゃあよ。俺の畑で働くってのはどうだ?」
「ダリルさんの?」

 僕らの会話を聞いていたダリルさんはにこやかに笑ってそう言った。確かに畑仕事なら彼らの村でもやっていただろうし慣れているだろうけどいいのだろうか?

「いいんですか?」
「ああ、畑の収穫時期になってきたしな。人手がいるんだよ。それに村育ちって事はこういう事にも慣れてんだろ?丁度いいじゃねえか」

 そう言ってくれるとありがたい、エリシーナはダリルさんの所で大丈夫かな?

「一応本人に聞きましょうか」
「ああ、それが一番重要だな」

 話を切りあげて、皆の所に戻って話し始める。

「みんな、自己紹介ありがとう。僕やモナーナのようになりたいって言われてとても嬉しかったよ。それでこの後のみんなの話なんだけど仕事をくれる人が見つかりました」

 みんな期待と不安の混ざった表情をしている。そうそうに仕事が見つかったのは良かったけどその仕事が合うかは本人たち次第なんだよね。

「三つの選択肢が見つかったんだ。一つは商人のワティスさんの所での仕事、数字が出来れば一番いいんだけどできる子は積極的にワティスさんに言ってね。二つ目は冒険者ギルドにある端仕事っていう街のお掃除の仕事、これは安い仕事だけど冒険者ギルドに顔を売っておくっているのも大事かもしれない。三つ目はダリルさん、この嗜む子牛亭の主人であるダリルさんの畑や家畜の世話。君達の村でやっていた仕事に一番近いと思うよ。この三つが今見つかりました。お試しでやってみてダメだったら変更してもいいし、君達の自由にしていいよ。何か質問はあるかな?」

 僕がすべての説明を言い終わるとエリシーナが静かに手をあげた。

「僕はハーフエルフです。村では気付かなかったんですけど嫌われているみたいなんです。こんな僕でも仕事をさせてくれるんですか」

 涙目で訴える少女、ただハーフエルフってだけで嫌われてしまうなんてね。僕は常識が無くてほんとに良かったと思うよ。まあ、常識があっても嫌わなかったと思うけどね。

「大丈夫だよ。ダリルさんはあんなに怖い顔しているけどとても優しいし、ワティスさんっていう商人の人もとても優しいから。クコって言う子がいるんだけど、その子もワティスさんに助けてもらって今はとってものびのび暮らしているんだよ。エリシーナちゃんが望むならワティスさんの所で働くのもいいと思うよ」

 安心させるように話すとエリシーナは泣き出してしまった。すぐにモナーナが近づいて行って抱きしめると少女は抱き返して大きく声を上げて泣いた。

 キウイ村ではどういう仕打ちをされたんだろう。全くただでさえあの村に対して印象悪かったのに更に悪くなったよ。

「エリシーナ、大丈夫だ。俺が冒険者になってお前を守ってやる」
「兄さんだけじゃ無理だよ。僕も一緒に冒険者になってみんなを守るんだよ」

 兄弟二人がそう言って胸を張っていた。何とも頼もしい兄弟だろうか。そう言えばユアンは今頃何処で何をしているんだろう。
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