104 / 165
第二章 黒煙

第六十話 やっと隠居生活・・・ああ、ダメですよね

 ワティスさんの家について扉をたたくとクコが迎えてくれた。多少ダリルさんはクコを警戒するんだけどクコは気にしていないようですぐにワティスさんを呼んでくれた。

「これはこれはルークさんにダリルさん、今日はどういったご用ですか?」

 いつものソファーに座ると向かいにワティスさんが座る。ダリルさんも僕の横に座って話し出した。

「孤児院の事は知っていますよね。そこで子供達を多く受け入れたのですが何分、人がいなくて」
「なるほど、教育とお世話をする人がいないんですね」

 ダリルさんの言葉から大体の事を理解したワティスさん。流石商人、一を聞いて十を知るって感じで話が早くて助かります。

「では私の方で10人程手配しましょう。読み書きができる家政婦を。それで、ルークさんにはお願いが」
「あ、やっぱり無償じゃないですよね」
 
 そんな甘い話はないですよね。僕は苦笑いをしてワティスさんの条件を聞いていく。

「ひまわりを卸してもらうのと果物を卸してほしいのです。今回はメロンがいいのですが」
「そんな事ですか、いいですよ」
「おお、ありがとうございます。ではこれが前回のひまわりの代金です」
「・・・」

 またまたお金がいっぱいです。こんなにお金あって僕は何に使うのかな?家は自分で建てられるし、食べ物も作れるし。何に使ったらいいの?

「ルークさんはそのお金で国でも買うのですかな?」
「ワティスさんそれは冗談になっていないですな」
「「はっはっは」」

 ダリルさんとワティスさんが一緒になって僕を揶揄ってきた。僕が国なんて買うわけないじゃないか、英雄生活を通り越して王様生活ってどんな罰ゲームですか。英雄よりも過酷で大変でしょ、王様って。

「まあ、それは置いて置いて。人は二日三日で見つけて見せますよ」

 僕の出したメロンとひまわりの種を冷蔵室にしまうとワティスさんがそう話した。10人もそんな人材を確保できるなんて凄いな~。

「一人は儂何じゃけどな」
「あ~、そうか~、クコは歴史も知っているし適任だったね」
「うむ」

 クコは胸を張って鼻が高くなっている。クコなら危険があっても子供達を守れるし、確かに適任だね。

「クコは私よりも頭がいいですから最高の教師になると思いますよ」
「ワティスほどではないぞ。儂の愛した人間じゃからな。ワティスは凄いんじゃ」

 二人の間にハートマークが見える。ダリルさんと僕の前で堂々とイチャイチャしないでほしいんですけど。羨ましいったらないです。

 いい報告を聞けたはずなのに僕とダリルさんは俯き加減でワティスさんの家を出た。あんだけイチャイチャを見せられると流石にこんな気分になるよね。





 僕とダリルさんは一緒に嗜む子牛亭に帰ってきた。すると嗜む子牛亭の外で子供達が遊んでいて、それを傍らから見ていたティリス様とゼッバスチャンが僕を見つけると僕の方へと駆けてきた。何かあったのかな?

「ルーク!王都にはいつ行くの!もう準備できているわよ」
「ええ!もうですか?」
「ティリス様はルーク様達と一緒に行きたいと申しております」

 確かに世界樹のレインから王都の方にノーブルローズ様がいるって聞いたけど急げとは聞いていないんだよね。だからティリス様達に先に帰っていてもらって下調べして欲しかったんだけど。それに孤児院の人員の件もあるしね。すぐにはいけないよ。

「孤児院の事もあるのですぐにはいけませんよ」
「何!そうなのか...」
「先に行ってもらって色々調べてほしかったんだですけど」

 すぐに行けないと伝えると凄く残念そうにしたティリス様、何だか僕がいじめているみたいだけど、先に言ってて欲しいと言うとムスっとして黙っちゃった。

「ティリス様は寂しがり屋なのです。それにルーク様の馬車と私達の馬車では速度に差があり過ぎて先に行っても追いついてしまいますよ」

 無口になってしまったティリス様に代わってゼッバスチャンが説明してくれた。ティリス様はゼッバスチャンの言葉を聞いて恥ずかしいのか俯いてしまった。

「私はティリス様の唯一の執事なのです。ティリス様はその身分のせいでお友達といえる人はいないのです。普通の人と話したのもあなた達が初めてなのですよ」

 またまた、そんなわけないじゃないか。お姫様でも今まで話したことないなんて大袈裟だよね。って思ったんだけど、ティリス様が否定しないのを見ると本当なのかもしれない。

「分かりましたわかりましたよ。だけど、孤児院の人員を確保するまで離れるわけには行きません。子供達の方が大事ですからね」

 ゼッバスチャンが顔を近づけてきて圧をかけてきた。しょうがなく一緒に行くことにするけど孤児院の事は譲れない。

「わかった。無理をいってすまん。その間、子供達と遊んでいよう」
「フォフォフォ、ティリス様も遊びたい盛りですからな」

 何だか二人にはめられた感が強いけど仕方ないよね。王都に行く時は僕の馬車で行くことにしよう。流石に三週間も街道を行くのは飽きちゃうだろうからね。
 何で貴族の人達はそんな長い時間かけて王都に行くんだろうね。

「お帰りルーク」
「...ただいま」
「何か考え事かにゃ?」

 僕に気が付いたモナーナとニャムさん。考え事をしている僕を心配して顔を覗いてきた。

「何で貴族の人達は長旅をして街をまわるんだろう、何か良い事でもあるのかなって考えてたんだ」
「なるほどにゃ、ティリス様達と話していたのは王都に行く話だにゃ」
「ルークはそう言う所知らないんだね」

 僕の疑問に二人は知っている口のようです。僕だけ知らないって事は結構、常識なのかな?これでもエリントスで常識を学んだつもりなんだけど。

「そう言う事なら私がご説明いたしましょう」

 僕の背後からメイさんが顔を覗かせる。急に現れるもんだから僕はビクッとしてしまう。一緒に同行するようになってからメイさんは度々僕を脅かしてくる。完全に僕で遊んでいますね。

「貴族の方々は長旅をしてお金を落としているんです。更に王都から離れている領地を持っている貴族は王族から信用されていないとも言われています。お金を多く落とさせることでその貴族のお金を多く落とさせて貯金させない事で戦力を削いでいるのです。本来は地方にもお金を落とすという仕組みなのですがそれを利用して平和にも繋げているわけですね。ちなみにクルシュ様は王都の貴族からは嫌われています。優しすぎると色々と目障りなようですね」

 メイさんは得意気に説明しています。最後の方は愚痴っぽくなっているけどクルシュ様みたいに住民に優しい人は王都の貴族に嫌われるんだね。王都の貴族はどれだけ腐っているんだろうか、これから行くと思うと何だか気が重い。

 ルークは出来るだけ人員問題に時間がかかってほしいと思っていたのだがワティスさんのお陰で人員問題は解決していった。喜ばしい事だったのだがルークは素直に喜ぶことが出来ずにいたのだが、約束通り王都への準備をする事になってしまったルーク、寂し気なその背中がやる気のなさをかもし出していた。
感想 296

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!