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第三章 王都リナージュ

第二十六話 マゲン

 僕らは城への進行準備を進める。内壁の門の前には30人の冒険者、地下には僕、モナーナ、ルナ、グガイン、ルワース、シルフィ、ダネンの7人です。

 グガインさんも名のある騎士だったので腕が鳴ると宿屋の受付に置いてあった片手剣をブンブンと振っていました。その速度を見て只者ではないことはわかったので同行を許可、できるだけ僕が目立たないようにしないといけないからね。
 
 作戦はこうだ。僕ら地下組が人質を確保したのち上空へと合図を撃ち出す。この合図は僕かモナーナが撃ちだす予定。単純に僕は炎の魔法でモナーナの場合は城を突き破る風魔法で代用するみたい。人が上にいなければいいけど。
 地下組は隠密で動かなくちゃいけないからこれ以上の人員は危ないかな。7人でも多いと思うけど。

「じゃあ、掘るよ~」

 僕の言葉にみんなが頷いている。緊張しているのは僕とモナーナだけ、みんなは場慣れしています。

 城の壁を掘り終わり、空洞が現れる。地下なだけに真っ暗だったけどルワースさんは首をかしげていた。

「こんなに暗いのにたいまつもロウソクもつけていない。ましてや王城ともなると光の魔石か火の魔石で光をとるものなのだが」
「一階にはそういうアイテムが置いてあったよ。ユアンと来た時にみたんだ」

 ルワースさんとシルフィさんが話した。そうなるとあえて光をとっていないということになるね。

「考えるのは後にしましょう。私とシルフィとダネンが左、中央はルーク君とルナさん、右はグガインとモナーナで行きましょう」

 自然とルワースさんが指示を飛ばした。僕らは無言でうなずく。モナーナは結構不服そうだったけど戦力的にはこれが一番バランスが良さそうなので納得しましょう。

「マナに感知系の魔法はついていないのでしょうか」
「わからないけど全員には僕のマナをつけているから気づかれないはず」

 感知されると面倒そうなので僕は闇のマナをまとわせました。みんなは気づいていなかったみたい。あんまり目立ちたくなかったのでみんなには言わなかったんだけど、大丈夫でしょう。

「相変わらずルークさんは規格外ですね」

 ルナさんはため息交じりに話してる。僕もこういう対応に慣れてきました。

 僕たちは城の中央に向かう道を歩いていく、しばらく歩いていくと広間が現れて僕たちは広間を見渡せるテラスから広間を見て唖然とする。

「行方不明の人達だよね・・」
「みな、口から木が?」

 城を調べたときからおかしいとは思っていたけど異常な光景が僕らの前に。みんな等間隔に立っていて天井を見上げて口を開いている。その口から木が生えてきていて身長の二倍ほどまで木が育っていた。

「人だよね?」
「ルークさん、全員本当の人間ですよ」

 僕らはテラスを降りて数人の体を触る。人肌を感じて生きていることを確認した。人型の植木鉢ではない、これは本当に人なんだ。こんな事していいわけない。

「マゲン、本当にこれで世界樹を作ることができるのか?」
「ヒッヒッヒ、できますともできますとも」

「だれか来ます」
「隠れよう」

 一人一人確認していると階段を降りる音とともに二人の男が降りてきた。一人はバルト様、もう一人は腰の曲がった老人だった。老人は黒衣をまとって目深にフードをかぶっている。

「しかし、この部屋は薄暗い、光をともしてはいけないのか?」
「そうですとも、光は世界樹に悪い影響を及ぼしますからな~」
「世界樹は生命の源であろう?光を嫌うのか?」
「闇と光は紙一重。どちらもなくてはならないものなのですよ。成長する過程では闇を吸い、成長しきると光をうむのですじゃ」
「そういうものか・・・」

 へ~と思ったんだけどそんなことはない。レインがそうだったように陽の光の下で育つことは可能。それに人の口から世界樹が生まれるなんてありえないでしょ。

「あの木は冥界で生えるという冥樹というものかもしれません。闇を好み命を吸い取って成長すると族長から聞いたことがあります」
「冥樹・・」

 名前だけでやばいものだってことがわかるね。冥界で成長できる生物、冥界って確か罪を犯した人が死んだときに行ける場所って言われている所だっけ。地獄ともいわれているけど地獄ともまた違う場所だってノルディック教でも教えていたはず。それが本当かどうかわからないけど、エルフの族長が言っているのだから本当にあるのかもしれない。

「まあいい、世界樹創生は全人類に必要なことだ。このままではマナがなくなってしまうからな」
「ヒッヒッヒ、そうですじゃ。必要な犠牲ですじゃ。不必要な人間を使い世界樹を作るのですじゃ」

「あの、マゲンという者。少しおかしいですよ」
「そうだね。でもバルト様も正気を保っているようだけど、騙されているだけなのかな?」

 バルト様とマゲンの話を聞いていて僕らは首をかしげる。かみ合っているようで噛み合っていない、そんな感じ。マゲンは世界樹を作るのに命と闇が必要といっている。まず、これが嘘だよね。レインは5本の木から普通に生まれた。ルナさんの言う冥樹である可能性もあるし。
 バルト様は普通に世界樹が世界に必要だって考えて作っているみたいだけど、こんな非人道的な方法で作れるなんておかしいと思わないのかな。

「では、あとは任せたぞマゲン」
「ヒッヒッヒ、任せてくだされ」

 マゲンに声をかけてバルト様は階段を上っていく。

「人間とはおかしなものじゃて、少し感情を操作するだけでその感情で何も見えん。救うべき民を使って世界をすくう物を作ろうとしてしまうとは。ヒッヒッヒ、それが世界を食うものともしらずにの~」

 マゲンは黒衣で見えない部分が蠢き下品な笑いを漏らした。バルト様がいなくなったとたんに声高らかに笑い出して本性丸出しです。

「しかし、よく育つ。世界樹の種をもとに作っただけはあるの~」

 マゲンが木を生やしている一人一人の様子を見て言っている。世界樹の種をもとに作っているようだけどそれはノーブルローズの種なのかな?

「特にこやつはよく育つ。ノルディック教の司祭とか言っていたか?人の欲や命で育つと言われているがこやつの欲はうまいのだろうな」

 列の中でもひと際大きな木を生やしている恰幅のいい白い男の肩に手を置いてマゲンがつぶやいている。

「あれは道中で助けたノルディック教の司祭では?」
「あ~、なんだっけ?アナドル?」
「ルークさん違いますよアドナルですよ」

 折角助けたのにこんなところに捕まってしまっていたようです。あの後に捕まったということは数日であの木を育てたんだね。ノルディック教の司祭って欲深なのかな?

「一緒に捕まえたこの騎士たちはダメだな。光を持ちすぎている。別の人間をいれるべきかもしれん。廃棄するか?」

 先ほどまで腰を曲げて歩いていたマゲンは少しずつ背筋が伸びてきて今では若い人のように歩いている。どうやら、老人だと偽っているみたい。話し声も若くなってきている。

「命を刈るのは容易いが楽しもうか。なあ、ネズミども!」
「「!?」」

 マゲンは一瞬にして僕らの前に現れた。フードに隠れていたマゲンの顔が僕らをにらみつける。
 
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