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第四章 平穏

第一話 英雄の凱旋

 祭りの王都を後にして次の日、僕らを乗せた馬車はミスリーが速度を上げて街道を行く。土煙が凄くたっているので目立つみたい。それで目を付けた盗賊達がやってきてはモナーナ達の返り討ちにあっています。

「魔物がいなくなっているから盗賊達が集まっていたようですね」
「そういうことね」

 ルナさんの推測に僕は頷いて納得した。盗賊達はルナさんの矢に胴を貫かれて、モナーナの風に押しつぶされて全滅していく。

「モナーナもそうだけどルナさんは強いんですね」
「一応、エルフの村一の腕前ですから、代表としてルークさんの妾として選ばれています」

 ユアンの疑問にルナさんが答えるとユアンは怪訝な顔でルナさんを見ている。ルナさんは気にしないように矢を射っている。

「兄さん、僕はルナさんにはエルフの村に帰ってもらった方がいいと思うんだけど?」
「う~ん、断っても従わないと思うよ。それに孤児院にはエルフの子もいるから色々魔法とかも教えてもらえると助かるし」

 ルナさんには今回尋問とかの手間を省いてもらったからな~。正直、ちゃんとした情報を得られるっていうのは助かります。

「ミスリー、盗賊に追いつかれないようにしてね」
「うにゃ~」

 ミスリーはさらにスピードを上げると馬で追いかけていた盗賊達を置いていった。

「僕も一発やらせてね。何だかイライラするから」

 ユアンがそう言って馬車の後方に立ち上がった。漆黒の剣をアイテムバッグから取り出すと漆黒の剣の刃を指でなぞっていく。

「漆黒の剣に光を纏わせるのは大変だけど!」

 ユアンがなぞっていった剣が白い靄がかかっていく、黒い漆黒の剣に白い靄がかかることで威圧感が半端ないです。

「スゥ~~・・・ 兄さんの馬鹿~~~!!」
「ええっ、僕?」

 ユアンは僕の悪口を叫んで漆黒の剣を横なぎに払った。馬車の屋根を支える後方の木の棒がそれによって切れてしまっているけどそれは些細なことで盗賊達が横並びで追いかけてきていたんだけど、その盗賊達が空高く舞い上がって、地面に着地すると身動き一つしなくなっていた。馬も動かないのを見るとかなりのダメージで多分絶命してしまったのではないだろうか?盗賊達も悪いことをしてきたのだろうけど何だか悪いことをした気分だ。

「は~、スッキリした~」
「・・・」

 ツヤツヤになったユアンが僕の横にポスッと座る。僕の悪口言ったくせに僕の横に座ってくるとは、我が妹ながらいい度胸じゃないか。そうなのだ。ユアンは妹なのです。今までお風呂とか一緒に入っちゃってごめんねユアン。今度からは別々にしよう。

「それでルーク、エリントスによるんでしょ?」
「うん、久しぶりに小鳥のさえずり亭に立ち寄りたいし、実はクルシュ様がポーション自販機の収入が凄いことになっているから引き取ってほしいって言われているんだ」

 一貴族のクルシュ様が困るお金ってどんな量なんだろう?この話を聞いたときに僕は頭を悩ませました。ただでさえお金がいっぱいなのにこれ以上あると本当に世界に迷惑かけそうです。何か持続的にお金を使うことをしないとお金が僕というダムでせきとめられちゃうよ。悩みどころです。

「兄さんもクランを立ち上げるとか?」
「ええっ、そういえばクランってお金がかかるんだっけ?でも、そんな目立つことしたくないよ」
「でも、ルワースさんはお金がかかって仕方がないって言ってたよ。丁度いいんじゃないの?」

 ユアンがクランを作ればと気軽に言ってきた。そんな目立つことしたくないと思っていると、モナーナがルワースさんがお金にうるさかったことを言ってきた。確かにお金が僕で止まってしまうのは申し訳ない。う~ん。

「まあ、無理に立ち上げようとは言わないけどね」
「クランって何ができるの?」
「う~ん、小さな村なんかだと村長の代わりとかして村を大きくしたり、探索のキャンプ地に人を誘致させて村にしてしまったり、結構、融通の利く力が手に入るよ」

 う~ん。どれもこれも楽して暮らすっている僕の目標が見えない。面倒なのでそんなことは後にしてエリントスでゆっくりして、早くワインプールに帰ろう。孤児院でもお金は消費できるだろうし、ワティスさんに相談すればお金のことも何とかなるでしょ。

 僕がそんなことを考えていると夜も深くなって野営をすることになりました。野営といっても小屋があるのでみんなぬくぬくです。やっぱり便利、僕の小屋。






「おお~、ライガーの馬車とは珍しいな。ってルークじゃないか。大きくなったな?」

 三日ほどかかったけどエリントスに無事につきました。途中盗賊ばかりに襲われたけど全員返り討ちです。
 ライガーの馬車から僕が下りてくるとエイベルさんが僕に気づいたんだけど、何だか失礼な疑問文が飛んできました。

「すいませんね。僕は小さいですよ」
「はっはっは、悪い悪い。しかし、嬉しいぞ。エリントスに遊びに来たのか?」
「王都の帰りなんです」

 エイベルさんは僕の肩を抱いて頬をこすり付けてきました。こんなに愛されているとは思わなかったので少し僕は気圧されています。

「兄さんはそっちの人だったの?だから、僕のお風呂に・・」
「不潔・・」
「おじさんとルークさん・・・・いいかも」

 ユアンとモナーナ、それにルナさんが不穏なことをつぶやいています。特にルナさんは何がいいのかな?

「クルシュ様には連絡しておくから小鳥のさえずり亭に行ってやんな。ルルちゃんもスリンさんも待っているだろ」
「あっ、はい。カードは出さなくていいんですか?」
「おいおい、ここはお前の故郷だろ。そんなもん必要ねえよ」

 衛兵としてそれでいいのかと思ったけど何だか涙が出そうです。やっぱりエリントスは僕の故郷なんだよね。リバーハブ村は・・・なんだったっけ?
 
 僕らの馬車はそのまま小鳥のさえずり亭の前へとやってきて停車した。

 
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