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第四章 平穏

第四話 エリントスで端仕事

 僕はエリントスに帰ってきて、街のみんなにあいさつして回りました。ついでに端仕事を受けると冒険者ギルドのノーラさんに笑われました。

「ニャムの仕事取っちゃった。更にルーク君も取っちゃおうかしら?」

 ノーラさんはそう言ってニヤニヤしている。また僕は新しいお姉さんに揶揄われるのでした。

「ニャムの奴、孤児院に務めるとか言って冒険者ギルドを辞めちゃうんだもん。寂しいのよね。子供が育ったら率先してここのギルドに派遣するっていってもまだまだ先だろうしな~。揶揄う相手がいないと暇なのよね」

 ノーラさんは机を人差し指でイジイジしながら話している。彼女はイジイジしながら僕に視線を移してきてなんとも言えない空気だ。

「ルークさん、お久しぶりです」
「あ~リック君。久しぶり」

 新人冒険者のリック君が僕に気づいて声をかけてくれた。偉いな~ちゃんとあいさつできるなんて。

「ルークさんは相変わらず端仕事ですか」
「そういうリック君も」
「僕はルークさんのようになりたいからですけど、ルークさんはそんなことしなくていいのに」
「僕の場合は趣味みたいなものだから」

 リック君が感心して話してきたけど、本当の所、素材が欲しいなんて言えないよね。ちょっと溝を掬うと金が取れたり、煙突の埃を払うと更に金が出たりしているなんて言えるわけがない。

「ルークさんはいつまでエリントスに?」
「えっと、三日間くらいかな。ワインプールに行かないといけないから」
「そうですか~、僕はこの後、依頼を受けるんですけど王都の方なんです。初めての外の依頼なのでご教授願えないかな~って思ったんですけど、無理そうですね」

 どうやら、リック君は王都の方へ向かうようです。せっかく声をかけてくれたので何かあげたいな~。骨骨装備がいっぱいあるから何か合うのがあるかも。

「リック君はどんな装備なの?」
「えっ、僕は片手剣と盾ですよ。魔法も使いますけど土魔法の初級までです」

 ふむふむ、片手剣と盾ね。盾は少し小ぶりな丸いお鍋の蓋くらいの盾が似合いそうだね。あとは剣、長さは小ぶりが好きみたいだからショートソードくらいの物をあげよう。

「じゃあこれ。初めての遠征ということであげるよ。きっと、君を守ってくれるよ」
「そんな高価な物もらえませんよ。そんなつもりで言ったわけじゃ」
「もらってよリック君、一度出したものはしまえないよ。それにリック君には死んでほしくないから」
「・・・そうですよね。じゃあ、予備の装備として受け取ります。使わなくて済んだらワインプールに返しに行きますね」
「う~ん、まあ、いいか。その時、受け取る事はないと思うけどね」

 リック君は僕からの装備を受け取るとそう言って装備を腰にぶら下げた。普通の人はアイテムバッグなんて持っていない。彼にアイテムバッグも上げたいけど目立つよね。あげた装備はそれほど光り輝いていないけど、見る人によってはわかってしまうかもしれない。でも、先輩として餞別をあげたい気持ちもわかってほしいな。

「じゃあ、お先に行ってきます」
「いってらっしゃい」

 リック君は外で待っていた数人のパーティーと笑顔でハイタッチして歩いて行った。ちゃんとパーティーで動いているなら大丈夫だ。僕の杞憂だったみたい。

「さあ、僕は端仕事をして、モナーナ魔道具店を見に行こう。定期的に色々アイテムを送っていたんだけど大丈夫だったかな?」

 確か、プラムさんが切り盛りしてくれているはずだよね。

 噴水広場とモナーナ魔道具店までの道を依頼として片づける。その間、子供やおばさんたちにあいさつされたので軽く会釈して答える。みんな笑顔でとてもいい雰囲気、子供たちは僕の背中に乗ったりと遊んでいったけどおばさん達に叱られてしょんぼりしていたので僕は彼らを風魔法で浮かせてみた。スカートの子が恥ずかしそうに裾を抑えていたけど楽しそうに笑っているので大丈夫だろう。
 エリントスではすでに英雄視されているのでこういったことが普通にできる。やっぱりエリントスは僕の故郷だね。



「ルーク、いらっしゃい」

 モナーナ魔道具店に入るとモナーナが迎えてくれた。モナーナが帰ってきてからプラムさんはすぐにクルシュ様の屋敷に帰っていったみたい。ということはクルシュ様に僕が帰ってきたことが知られているからすぐにでも会いに来そうだね。また、お金が増えてしまいます。

「これが全部兄さんのアイテムなんだって?」
「あ~そうか。ユアンはモナーナと一緒だったんだっけ」

 ユアンが椅子に座りながら頬杖をついて話した。机にはモナーナのお父さんのティーセットが置いてある。前と変わらないラベンダーの紅茶の匂いがする。

「どれもこれも一級品。全部が全部国宝級。本当に兄さんは凄いね」

 英雄ユアンがそういうんだったら、そうなんだろうね。でも、あんまり広めないでね。有名になったら変な貴族が来そうだからさ。

「にゃ~」
「ミスリーもいたんだね」
「その子も兄さんが作ったんだもんね。凄いな~僕も欲しい」
「ユアンはもっと女の子の服を着た方がいいよ」
「そうだね。女の子なんだから」
「・・・今更、可愛い服なんか着れないよ。似合わないだろうしさ」
「そんなことないよ。ワインプールで買い物した時に着たらすっごい似合ってたもん。ルークにも見せてあげようっていうと遠慮して買わなかったけど」
「ちょ、モナーナ!言わない約束」

 ミスリーが僕の膝に飛び乗り、ミスリーを見てユアンは物欲しそうに指をくわえていた。モナーナの言う通り、女の子だろうが男の子だろうが普通の服は持っておいた方がいい。それにユアンに似合わない服なんてこの世にないよ。兄馬鹿だけど、何か?

「よ~っし、ユアンに最高の装備を作って普通の可愛い服のようにしちゃうぞ~」
「ええ、どうしたの兄さん」
「私の服みたいに形状を変えるんだよ。見た目は普通の可愛い服だけど、これって真紅のローブっていうルークの装備なんだよ。すっごい強いんだから」
「通りで・・・戦闘でも全然破けてないし、モナーナのステータス凄いもんね」

 僕がユアンの装備を本気で作ろうと意気込むとユアンは驚いて目を見開いた。モナーナが自慢げに真紅のローブを見せているとユアンも結構その気になってきたみたい。やっぱり、可愛いユアンには可愛い服をあげないとね。ユアンの場合僕よりもかっこいいからどんな服でも似合いそうだけど。
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