151 / 165
第四章 平穏
第六話 クルシュ様の心中
「ここがその家なんだが」
「・・・ええっと、凄く大きいですね」
クルシュ様の馬車に乗って案内されたのはクルシュ様の屋敷くらい大きな屋敷だった。
「白金貨10枚の屋敷だからね」
エリントスに初めて来たときも気にはなっていたんだ。最初は領主さまの家だと思っていたんだけど、クルシュ様の屋敷は壁の外に建っている、この屋敷は誰のものだったのかな?
「この屋敷はお父様、ゼル様が住んでいた屋敷だよ」
「ええっ、お父さんの形見みたいなものじゃないですか。そんなもの買えませんよ」
「ゼル様も喜んでくれるさ。この街を救ってくれたルーク君の物になるんだからね」
「う~」
エリントスでは確かに英雄として認知されてしまった。街の中に屋敷をもっても大丈夫だと思うけど、外から来た人が見たら僕が領主みたいになっちゃうよ。
「本当に欲がないですね。この屋敷は白金貨10枚じゃ買えないはずですよ」
「安い買い物だと思うけど?」
ルビリア様とサファリア様がそう言ってくるけど値段とかの問題じゃないんだよね。
「管理も私たちがするし、どうだろうか?」
いらない屋敷を手放したかったのかな?
「旅にもでるし、そんなに来れないけど手放したいならもらいますよ」
「手放したいわけじゃないよ。形見なんだからそんなはずはないだろ」
「ああ、すいません。じゃあ、なんで僕なんかに?」
僕の言葉を不快に思ってしまったみたいでクルシュ様は声を荒らげて答えた。そんなに形見として大事なら、なんで僕なんかに?
「私は街を守れなかった最低な領主だよ。お父様なら守れていたはずだ」
天を仰いでクルシュ様がそういった。クルシュ様はあの日から今まで後悔していたのかな。そんな苦悩が見える。
でも、クルシュ様は住民の為に色々と事を動かしている。あの日のワーウルフの素材を隣町で売ってお金にして、それを元手に恵まれない人達に住居を作ったりしていたんだ。そのおかげで街は一回り大きくなって前よりも立派になっている。クルシュ様は決して最低な領主じゃあない。
「クルシュ様、そんなに自分を卑下しないでください」
「そうですよ。クルシュ様はみんなの為に頑張っています」
ルビリア様達がクルシュ様に寄り添って慰めている。
「それはワーウルフをルーク君が倒してくれたからだよ。私ではそれはできない。できなかったら街の者たちが死んでいたんだ。死んでしまったらそこで終わりなんだ。本来ならあの時、この街は全滅していた。だから、領主である私は死んだんだ。だから、ルーク君にこの屋敷を買ってもらって新しい領主に」
「ええ~、いやですよ領主なんて!」
王都から早めに退散したのもユアンが女の子だと気づいてしまった王様が僕にティリス様をあてがうんじゃないかと思ったからだ。それなのにエリントスで領主になったら意味がないよ。それに領主していたら位が上がっちゃう、ということは王族との結婚も貴族の反対が少なくて済んでしまう。どこを見てもいいことがないよ。
「断られるのはわかっている。だから、屋敷だけでももらってほしいんだ。助けてくれたお礼だと思ってくれればいい。どうだろうか?」
「よかった。領主なんて僕は絶対にしないからね」
「じゃあ」
「領主はクルシュ様がしてください。それに、クルシュ様が領主を決めるわけじゃないですしね」
「そういえばそうだね。でも、私が後任を推薦することもできるんだよ。もちろん僕は推薦したいんだけど」
「結構です!間にあってます」
「ははは、でも、よかったよ。家っていうのはやっぱり人が住んでいて初めて息をするんだ。掃除をして綺麗にしているようでも屋敷は昔のように明るくはならなかった。ルーク君が住んでくれればこの屋敷も息を吹き返すだろ」
クルシュ様に少し元気が戻って僕を揶揄い始める。領主に推薦なんてされたら避けようがないからね。危ない危ない。
「じゃあ、ここにサインとお金はさっきの渡したお金から、ルーク君が居ない時はプラム達、メイドが掃除をするから安心してくれ」
僕はクルシュ様の出した羊皮紙にサインしてお金を渡した。
「色々見られているとやりにくそうだから私たちは帰るよ」
「あ、気を利かせてもらっちゃいましたね」
「ははは、いいんだよ。私と君の仲じゃないか、じゃあまた来るよ。屋敷がどうなるのか期待しているよ」
クルシュ様は笑いながら馬車に入っていった。ルビリア様達も一緒に馬車にはいって僕らに手を振って帰っていった。
「今から屋敷を見て回るの?」
「うん、折角だからね」
「兄さん、僕たちも見ていい?」
「別に許可はいらないでしょ」
「邪魔じゃないかなって思って」
ルナさんは街を見て回っているのでモナーナとユアンと一緒に屋敷へ入っていく。
「・・・ええっと、凄く大きいですね」
クルシュ様の馬車に乗って案内されたのはクルシュ様の屋敷くらい大きな屋敷だった。
「白金貨10枚の屋敷だからね」
エリントスに初めて来たときも気にはなっていたんだ。最初は領主さまの家だと思っていたんだけど、クルシュ様の屋敷は壁の外に建っている、この屋敷は誰のものだったのかな?
「この屋敷はお父様、ゼル様が住んでいた屋敷だよ」
「ええっ、お父さんの形見みたいなものじゃないですか。そんなもの買えませんよ」
「ゼル様も喜んでくれるさ。この街を救ってくれたルーク君の物になるんだからね」
「う~」
エリントスでは確かに英雄として認知されてしまった。街の中に屋敷をもっても大丈夫だと思うけど、外から来た人が見たら僕が領主みたいになっちゃうよ。
「本当に欲がないですね。この屋敷は白金貨10枚じゃ買えないはずですよ」
「安い買い物だと思うけど?」
ルビリア様とサファリア様がそう言ってくるけど値段とかの問題じゃないんだよね。
「管理も私たちがするし、どうだろうか?」
いらない屋敷を手放したかったのかな?
「旅にもでるし、そんなに来れないけど手放したいならもらいますよ」
「手放したいわけじゃないよ。形見なんだからそんなはずはないだろ」
「ああ、すいません。じゃあ、なんで僕なんかに?」
僕の言葉を不快に思ってしまったみたいでクルシュ様は声を荒らげて答えた。そんなに形見として大事なら、なんで僕なんかに?
「私は街を守れなかった最低な領主だよ。お父様なら守れていたはずだ」
天を仰いでクルシュ様がそういった。クルシュ様はあの日から今まで後悔していたのかな。そんな苦悩が見える。
でも、クルシュ様は住民の為に色々と事を動かしている。あの日のワーウルフの素材を隣町で売ってお金にして、それを元手に恵まれない人達に住居を作ったりしていたんだ。そのおかげで街は一回り大きくなって前よりも立派になっている。クルシュ様は決して最低な領主じゃあない。
「クルシュ様、そんなに自分を卑下しないでください」
「そうですよ。クルシュ様はみんなの為に頑張っています」
ルビリア様達がクルシュ様に寄り添って慰めている。
「それはワーウルフをルーク君が倒してくれたからだよ。私ではそれはできない。できなかったら街の者たちが死んでいたんだ。死んでしまったらそこで終わりなんだ。本来ならあの時、この街は全滅していた。だから、領主である私は死んだんだ。だから、ルーク君にこの屋敷を買ってもらって新しい領主に」
「ええ~、いやですよ領主なんて!」
王都から早めに退散したのもユアンが女の子だと気づいてしまった王様が僕にティリス様をあてがうんじゃないかと思ったからだ。それなのにエリントスで領主になったら意味がないよ。それに領主していたら位が上がっちゃう、ということは王族との結婚も貴族の反対が少なくて済んでしまう。どこを見てもいいことがないよ。
「断られるのはわかっている。だから、屋敷だけでももらってほしいんだ。助けてくれたお礼だと思ってくれればいい。どうだろうか?」
「よかった。領主なんて僕は絶対にしないからね」
「じゃあ」
「領主はクルシュ様がしてください。それに、クルシュ様が領主を決めるわけじゃないですしね」
「そういえばそうだね。でも、私が後任を推薦することもできるんだよ。もちろん僕は推薦したいんだけど」
「結構です!間にあってます」
「ははは、でも、よかったよ。家っていうのはやっぱり人が住んでいて初めて息をするんだ。掃除をして綺麗にしているようでも屋敷は昔のように明るくはならなかった。ルーク君が住んでくれればこの屋敷も息を吹き返すだろ」
クルシュ様に少し元気が戻って僕を揶揄い始める。領主に推薦なんてされたら避けようがないからね。危ない危ない。
「じゃあ、ここにサインとお金はさっきの渡したお金から、ルーク君が居ない時はプラム達、メイドが掃除をするから安心してくれ」
僕はクルシュ様の出した羊皮紙にサインしてお金を渡した。
「色々見られているとやりにくそうだから私たちは帰るよ」
「あ、気を利かせてもらっちゃいましたね」
「ははは、いいんだよ。私と君の仲じゃないか、じゃあまた来るよ。屋敷がどうなるのか期待しているよ」
クルシュ様は笑いながら馬車に入っていった。ルビリア様達も一緒に馬車にはいって僕らに手を振って帰っていった。
「今から屋敷を見て回るの?」
「うん、折角だからね」
「兄さん、僕たちも見ていい?」
「別に許可はいらないでしょ」
「邪魔じゃないかなって思って」
ルナさんは街を見て回っているのでモナーナとユアンと一緒に屋敷へ入っていく。
あなたにおすすめの小説
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス
優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました
お父さんは村の村長みたいな立場みたい
お母さんは病弱で家から出れないほど
二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます
ーーーーー
この作品は大変楽しく書けていましたが
49話で終わりとすることにいたしました
完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい
そんな欲求に屈してしまいましたすみません
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!