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その後

お父さん達の世界へ

 大きな魔石にゲートを作った僕たちはお父さん達の世界に降り立った。

「何あれ?映画の撮影?」
「さあ?」

 ゲートから出ると黒い服にスカートの女性が呟いていた。でも、僕は構わずにお父さんの所に向かう。

「ルーク、怪しまれてるよ」
「変な機械でパシャパシャうるさいにゃ」

 モナーナとニャムが周りの行動に困惑している。僕も気になるけど今はお父さんだよね。

「兄さんのお父さんどんな顔するかな?」
「喜んでくれるよ。ユアンのお父さんも泣いて喜ぶんじゃないかな?」

 歩きながら期待を胸にユアンと話す。何だかドキドキしてきた。

「お父さん!」

 お父さんが見えて僕は大きな声で叫んじゃった。周りの人達も反応してしまうほどで何だか恥ずかしいけどそれだけうれしいから仕方ないよね。

「えっ・・・」

 お父さんはあまりにも急なことで驚いている。僕はお父さんの胸に飛び込んだ。

「あなた、まさか、ルークなの?」

 お父さんの横にいた綺麗な女性、あのメモでも見た僕のお母さんだ。僕に気づいて目に涙を浮かべている。

「ルーク!ルークなのか?でも、俺達がこの世界に帰ってきてまだ三年だぞ」
「え?お父さん、僕はもう17歳だよ。お父さん達がいなくなって16年は経っているよ」
「「えっ!」」

 僕の成長を見てお父さん達は驚いている。僕も驚いたよ、だってお父さん達はメモの姿のまま何だもん。

「本当にルークなのか。大きくなって」
「そうだよ!」
「それにあの子たちはお前の良い子達か?凄いな。流石俺の子供だ」

 お父さんは僕を持ち上げて高い高いをしてくれた。僕は成長したとはいえ大人としては小さいからね。お父さんはユアンよりも大きいから軽々僕を持ち上げてる。かっこいいなお父さん。

「ちょっとカイト、ここじゃ」
「ん?ああ、人目がありすぎるな」

 僕らの周りには人だかりができていた。僕らの涙につられて泣いてくれている人までいる。この世界はとても平和みたいだね。

「じゃあ俺んちに行くか。母さんたちにも孫を見せられるしな」
「そうだね。お義母さんも喜んでくれるね」

 という事で僕らはお父さんの家に向かうみたい。おばあちゃんもいるんだね。僕らの世界じゃ、そんなに長生きできないからこの世界がどれだけ長い時間平和なのかが伺える。

「と、その前にみんな・・・服を買おう」
「そうね。とっても綺麗で似合っているんだけど、この世界じゃ目立ってしまうから」

 お父さんとお母さんはそう言って、大きな建物へと入っていった。何か読めない文字が書いてあるけど服屋さんみたいだね。服がいっぱい飾ってある。

「みんな、好きな服を選んでいいわよ」

 お母さんはそう言ってくれているけどお金とか大丈夫なのかな?

「お父さん、お金大丈夫なの?」
「ん?おいおい、子供が親の財布を気にするなよ・・・正直言ってそんなに持っていないぞ」

 やっぱり無理しているんだね。こんなにいい布を使っている服屋さんだもん、高いに決まってるよ。

「お母さん大丈夫だよ。僕らの服は特別だから・・・ほら」
「「ええ!」」

 着替えたい服に触りながら僕は目を閉じて服に命じた。するとみるみる服の形状が変化して半そでの白い服に変わっていく。モナーナのローブを量産したんだよね。僕の関係者は大体こんな服を持ってるよ。汚れもすぐに綺麗になるから助かるって孤児院で働く人達も喜んでたよ。

「非常識なスキルだな、俺よりもはるかにすげえ」
「ルークは苦労せずに暮らせたのね。よかった」

 お父さんはびっくりして、お母さんは涙をぬぐっている。

「でも、あまり人のいる前ではやるなよ・・・この世界には魔法はないからな」

 お父さんが小声で言ってきた。周りにいた人が驚いていたのであまり使わない方がいいみたいだね。僕らの世界でもこれをやると驚かれたから、魔法のない世界だとさらに驚くことなんだろうね。そう言えば魔法がないってことはマナがない事と関係しているのかな?

「全員服を変えれるのか・・・じゃあ、買わなくて大丈夫そうだな」

 モナーナ達も全員、好きな服に着替えていた。フリフリの付いたスカートとかでとても可愛い。ユアンもこういった服に抵抗がなくなったから普通に着てるね。

「早くここから去った方がいいわね」
「そうだな」

 お父さんとお母さんはそう言って足早に建物から出ていく。僕らも置いてかれないようについて歩いた。







 お父さんの家の前につく、とても大きくといくつも扉が外から見える。お父さんはお金を持っていないって言っていたけど、とてもお金持ちなのかも。

「着いたぞ」
「お父さんはお金持ちだったんだね」
「何言ってんだよルーク。ああ、そうか。これ全部が俺のだと思ってるのか」

 お父さんは頭を抑えて話した。この建物はお父さんの物じゃないみたい。でも、ここがお父さんの家なんだよね?

「この世界は人がいっぱいいるんだよ。だから、縦に家を建ててみんなで暮らしているんだ」
「ええ!じゃあ、知らない人が隣の部屋で暮らしているって事?」

 僕は驚愕した。一つ隣の部屋に知らない人が住んでいるんだよ、驚かない方がおかしいよね。

「はは、まあ、平和って事だよ。人が人を殺したり、盗んだりすることなんて稀なんだ」
「・・・何だか凄い世界なんだね」

 僕は感心しちゃった。だって凄い平和なんだもん。僕らの世界でも盗みなんてごく一部の人のやることだけど、こんなにいっぱいの部屋があるってことはいっぱいの人がいるって事だもんね。それだけそのごく一部の人がいると思う。だから、どうしても警戒してしまいがちだと思うんだけどな。

「立ち話もなんだから早く入ろう」

 お父さんがそう言って建物の中に入っていく、透明な扉を開いたその先に更に扉があってお父さんは何かボタンを押した。ボタンは光っていたけどマナの力は感じなかった。あれはどういう仕組みなのかな?分解してみたいな~。

「これはエレベーターっていうんだ。上や下に行くための箱だよ」

 お父さんはそう言ってエレベーターの中に入っていった。とても狭そうだけど移動手段みたいなものみたい。魔法のない世界で更に人は弱いのかもしれない。そんなことを考えていると僕らを乗せたエレベーターが上へと上っていく、この技術を使えば僕らの世界でもかつようできそうだな~。

「こっちだ」

 エレベーターが到着してお父さんがエレベーターからでてすぐの部屋の鍵を開けた。

「「ただいま~」」
「ああ、お帰り。早かったね」

 お父さんとお母さんが中に入ると声が聞こえてきた。たぶん、おばあちゃんだろう。何だか急に緊張してきた。

「母さん、驚くことがあったんだよ」
「びっくりしないでくださいね」

 お父さんとお母さんがそう言って僕らの手を引っ張った。僕らが部屋に入るとおばあちゃんはキョトンとしている。

「俺達の子供のルークと」
「そのお嫁さん達で~す」
「はあぁ~?」

 お父さんとお母さんが大喜びでそう言うと呆れた顔でおばあちゃんが声を漏らした。どうやら信じていないみたい。

「あんたらの子供がこんなに大きいはずがないだろ。馬鹿も休み休み言いなさい」
「母さん本当なんだって、アスミを連れてきた時もいったと思うけど、俺とアキノとアスミは別の世界に行ったって」
「ああ、聞いているさ。でもおかしいだろ。こんな大きな子供がいるなんて」
「まあ確かに」

 お父さんは真実を話しているのにおばあちゃんの話にうなずいてしまう。だけど、本当に僕はお父さん達の子供なのだ。それはただ一つの真実。

「お義母さん、カイトの話は本当です。私とカイトの子供で名前はルークっていうの」
「う~ん、アスミちゃんが言うんだったら本当なんだろうね。アスミちゃんの姿が変わって帰ってきた時も驚いたけど、今回はそれ以上に驚いたよ」

 お母さんが説得をするとすぐにおばあちゃんは納得したみたい。お父さんは腑に落ちない様子だけど、分ってくれたみたいでよかった。

「ってことは孫って事だよね。嬉しいね~こんなに大きい孫ならひ孫が見られそうだよ」

 おばあちゃんはそう言ってとてもうれしそうにしている。

「いや~嬉しいね~。ゴホッゴホッ・・ごめんね。近頃、咳が良く出ちゃうんだよ。ゴホッゴホッ」

 おばあちゃんは苦しそうに咳をし始めた。僕はすぐにヒールとキュアを唱えておばあちゃんを癒してあげた。

「あれ?咳が出なくなったね。それに何だか体が楽になったよ?」
「「ルーク!?」」
「えっと、ヒールとキュアを唱えたんだけど、ダメでした?」

 おばあちゃんは元気になったみたいだけど、お父さんとお母さんが驚いた顔で僕を見ている。やっちゃダメだったかな?

「さっきも言ったがこの世界には魔法がないんだ。それはなぜかと言うと世界樹みたいなマナを作る木がないからなんだ」
「マナを取り込んで私たちもあなたたちの世界で魔法を使えたけど、こちらの世界では使えなかった」
「え?でも今普通に使えたよ」

 お父さんとお母さんは驚きながらこの世界の話をし始めた。マナがないと人は大きな魔法は使えない。確かにそう言う話はあるけど、僕は内包しているマナが多いから使えると思うんだよね。たぶん、僕らの装備のマナも相当なものだから当分は大丈夫でしょ。

「ルークは予想以上の規格外な存在みたいだな。俺も少しだけ、戻ってきた時には使えたけどこんなに強力じゃなかったからな」
「そうだね。市役所の人に幻術を使ったっきりだね」
「あ~戸籍を手に入れる時に使ったあれな。流石に昔のアスミの戸籍を手に入れるのはできなかったけどな」
「死んじゃってたからね」

 お父さんとお母さんはこれまでの苦労を笑いながら話している。

「あの・・・」
「ユアンどうしたの?」

 ユアンは申し訳なさそうに口を開いた。

「僕のお父さんはどこに?」
「ユアンってことはアキノの・・・大きくなったな~それに偉いベッピンさんだ」
「アキノ君も喜ぶわね。すぐに連絡してみるわ」

 お父さんとお母さんはユアンを見て凄く喜んでいる。ユアンのお父さんも近くにいるみたいだ。よかった。

「すぐにくるって」
「あの置物で連絡できるの?」
「ああ、あれは電話ってやつだよ。携帯っていう電話もあるけど、家の中じゃあっちを使ってる」

 白い手のひらサイズのものと携帯といった電話をお父さんが見せてきた。どんなに離れていても電波が届けば連絡できるんだってさ。この世界は世界の果てまで離れていても届くらしい、何だかスケールが凄いな~。

「アキノが来るまでのんびりしていようか」
「そうね。ルークの今までの話を聞きたいわ」

 ユアンのお父さんが来るまで僕らはこれまでの話をお父さん達に話した。お父さん達は嬉しそうに僕らの話を聞いてくれて僕らの世界を懐かしんでいた。
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