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その後

お父さんのお仕事

「おはよう、お父さん」
「うおっ・・なんだルークか。脅かすなよ。早速遊びに来たのか?」

 お父さん達の部屋から出て次の日、僕は仕事着のお父さんを見てみたいと思って待ち構えていました。この世界の作業着はとても通気性が良くて、ケガのしにくい丈夫な服みたい。何だかかっこいいな。

「お父さんの仕事を見学しようと思って」
「ん?そんなに面白いもんじゃないぞ」

 お父さんはそう言って、黄色いヘルメットをもってエレベーターへと歩いて行く。ダメと言われないので僕もついていくと、

「とりあえず、息子ですとか言うなよ。こんな年齢の近い息子なんて、この世界じゃ絶対にありえないからな」
「分ってるよ~」
「紹介する時はそうだな・・・いとこって紹介するかな」

 お父さんは楽しそうにそう言った。なんだかんだ僕と一緒にいられることが嬉しく思ってくれているみたい。

「おっ?モナーナさんも来てたのか」
「あっはい。お義母様に料理とか教わろうと思って」

 ボタンを押して上がってきたエレベーターからモナーナが現れて、お父さんが少し驚いているとモナーナが理由を話した。

「しかし、凄いなルークの力は。あの世界とこの世界を繋げちまうんだから」
「そうかな~。世界樹のレインの力が大半だよ」
「あ~なるほどな。マナの源である世界樹が味方にいるんだったな。そりゃ可能かもしれないな」

 エレベーターを降りるモナーナを見送って僕とお父さんはエレベーターに乗りながら話した。お父さん達の部屋は七階の部屋、エレベーターが降りていく。

「お父さんの仕事はステータスが活かせる仕事なの?」
「ん?ああ、確かに異世界のステータスだから、普通の人よりは遥かに凄いことができる。だけど、悪目立ちするとこの世界には恐ろしい者がいるんだよ」
「恐ろしい者?」
「ああ、メディアっていう恐ろしい者たちだ」

 お父さんは世にも恐ろしいものを見る様な顔で話した。お父さんがそんなに怖がるって事は相当なものなのかな?

「目立つとその人たちが来るって事?」
「ああ、だから、なるべく目立たないように生活するんだよ」

 お父さんはやっぱりすごい人だった。力を誇示しないで世間に溶け込んでいるんだ。凄いな~。

「あっ、お義父さんおはようございます」
「ん?・・・ああ、ユアンちゃんか....おはよう」

 エレベーターが降りている途中でユアンが現れた。お父さんは首を傾げながらもエレベーターが着くのをまった。

「・・・ユアンちゃんもアスミに料理を?」
「はい、モナ姉が先に言ってるって」
「ああ、さっき上で会ったよ」
「よかった。兄さん、お義父さんいってらっしゃい」
「「行って来ます」」

 色々と腑に落ちない様子のお父さんだけど、ユアンに見送られて僕とお父さんは仕事場に向かった。

 ユアンとモナーナがエレベーターから現れたのは僕がお父さんに内緒でエレベーターを改造したんだよね。マナを扱える人だけが見えるボタンとワープの改造を施したんだ。お父さん達の家である、マンションの地下に僕らの家を作ったんだ。一晩で作ったから簡単なものだけど、これからもっと大きくしていくよ。
 地下を広げている時は大変だったよ。ちょっと横に掘ると空洞があって、大きな車みたいなものが猛スピードで通過していったんだ。この世界の乗り物である、車はお父さんに会った時に教えてもらったけど、まさか、車以上の物があるとは思わなかったからびっくりした。
 だから、仕方なく、横広に家を作らないで縦に作ることにしたんだ。何故か縦にはその乗り物と遭遇しなかったからね。
 八十坪の敷地に三階建ての地下の家を建てて、パーティー室を一階にドカンと配置。もちろん、キッチンも完備でこだわりのオーブン三機。お父さん達にも来てほしいからね。二階は寝室とお風呂で三階はレインの管理できる室内栽培場。この世界の食べ物が気になるから通貨を得るために食べ物で稼ごうと思ってる。お父さん達には迷惑かけたくないからね。レインに任せれば一瞬で作物は育つのでお金にも困らないって寸法だ。

「本当に面白くないからな」
「お父さんの働く姿が見たいだけだから大丈夫だよ」

 お父さんの運転する車の助手席に乗るとお父さんが顔を赤くしてそう言ってきた。お父さんの嬉しいっていう気持ちが流れてきて何だか僕は涙が出そうになる。本当にお父さんに会えたんだな~。
 仕事場に着くと大きな建物が目の前にあった。

「ああ、カイトさん。おはようございます」
「おはようございます。アダチさん」

 お父さんに挨拶をした人がペコペコと頭を下げていた。お父さんも一緒になってペコペコしている。何だか面白い。

「その子は?」
「ああ、いとこですよ。それで仕事場を見たいっていうもんだから」
「ほ~建築に興味がおありで。ぜひうちに入社してくださいね」

 お父さんにアダチと言われた白いヘルメットを被った眼鏡の男の人が厚紙を差し出してきた。それには文字が書いてあるんだけど、まだ勉強不足で読めない。

「それは名刺っていうんだ。受け取っておけ」
「うん」

 素直に受け取ってズボンのポケットにしまった。ズボンのポケットはアイテムバッグとつながっているのでいくらでも入ります。全属性の魔法を極めると空間もゆがめるから何でもできるようになってしまったんだよね。何だか頑張っている皆さんに申し訳ない。

「じゃあ上に行きましょうか」
「はい」

 アダチさんが眼鏡をクイッとさせて裸のエレベータに乗っていった。その際にお父さんが僕のベルトに手首くらいの輪っかを取り付けてくれる。安全対策で必要なんだってさ。空も飛べるようになったから死にはしないんだけどね。まあ、この世界じゃ、人は自力では飛ばないらしいので飛ばないけど。

「どうです?高くて綺麗でしょう」

 エレベーターが頂上に着くとアダチさんがそう言って周りを見渡した。上には雲と太陽しかなくて、何だか独りぼっちの世界のようだった。僕らの世界じゃこんなに高い建物はないから、やっぱり、この世界の技術は凄いなって思う。

「綺麗ですね」
「そうでしょうそうでしょう。こんな景色が見られるのはこの仕事だけですよ。なので、入る時は御社にぜひ」
「アダチさん・・・」

 僕が目を輝かせて答えるとアダチさんは顔を近づけて勧誘してきた。お父さんは呆れ顔です。

「見学だけですよ」
「わかってますよ。だから、少しでも興味を持ってもらって、他の職種に差をつけるんですよ。ただでさえ今は人手不足なんですから、こういう若い子に興味を持ってもらって人づてに良さが伝われば、最高じゃないですか」

 お父さんとアダチさんが何か言い合いしている。この世界は人口が偏ってしまったようで働く人がいなくなってきているらしいです。これはテレビっていう置物で聞きました。僕の家にはまだないのでお父さん達の部屋で勝手に見ていました。そのついでにテレビの構造が分かったので今度作ります。
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