163 / 165
その後

 孤児院の地下で僕はゲートに使っている魔石を増設している。地下には下水が流れているんだけどその下水はとても綺麗でなぜかマナを帯びているんだ。魔石のマナにも活用しているんだけど、それでもマナは足りない。水は少しだけマナを魔石に残して流れていくと排水される。排水された先で綺麗な泉が出来ていて、最近ではそこに精霊が集まっているんだってさ。レインが言っていたので間違いないと思う。精霊なんてあったことなかったから信じられなかったけどね。
 今度からその精霊達がマナを少しだけくれるらしい、家賃みたいなものとレインは言っていたけどいいのだろうか?精霊って神様の子供みたいな物だからな~。何だか申し訳ないような。
 そんなことを考えながら手持ちのダイヤをコネコネと重ねていく。ダイヤを今の倍の5メートル級までに大きくしていくつもり、エリントスの魔石もそのくらいにして何とか安定させないと。

「全く君は・・・」

「誰?」

 コネコネと重ねていると白髪の少年が声をかけてきた。孤児院の子供で白髪の子は見たことがないので僕は首を傾げながら尋ねた。

「カイトの子ルーク、僕はこのシュヴァールファを作った神だよ」

「神様?」

 少年は自分の事を神と名乗って部屋の椅子に座った。作業している時に食べようと思っていたカットされているメロンをムシャムシャと美味しそうに食べている。本当に神様かな?

「あ~ごめんごめん。朝ごはんを食べ損ねちゃってね」

「いいんだけど、本当に神様なの?」

「まあ、信じられないのも無理はないね。でも、本当だよ」

 少年は僕の質問に答えながらメロンを全部たいらげていった。僕も食べたかったんだけど。

「いや~想像以上に美味しかったよ。ごちそうさま」

「神だという証拠は?」

「ん~そうだね~。君のやってきた事とかお父さんが異世界人だって事を知っているって言うのじゃダメかな?」

「う~ん孤児院の子供達が知っているから知ろうとすれば子供達から聞きこめば誰でも知ってるかな」

 僕の情報ってゆるゆるだからな~。まあ、今じゃ王様も知ってしまっているからね。隣国との摩擦が生まれるから秘匿対象にはなっているんだけど、知られてしまっているから無いような物だし。

「強さって隠すの大変だからね。じゃあ何もないな」

「潔いいんだね」

「まあ、今回は話をしに来ただけだからね」

 そう言って少年は椅子から立ち上がって宙に胡坐をかいた。明らかに浮いているので本当に神様なんだろうね。

「本当に神様なんだね」

「ん?あ~最初からこれを見せればよかったね」

 少年はふざけたように笑い答えた。無邪気な少年のようだけど目を見るとこの世の生物ではないんだと分かった。目が合わせ鏡のように深くとても深く環を作っていて今にも吸い込まれてしまいそうになる。

「おっと、そんなに目を見てはいけないよ。別の世界に行ってしまう」

「・・・僕が見ていたのは」

「ああ、少しだけ行ってしまったか、すまないね。幾重にも世界を作っていると管理も大変なんだよ。だから、自分の体にいつでも行けるようにしているのさ」

 少年は目と耳とおへそを指さして話した。そのどれもが環を幾重にも重ねたような模様がついていた。それは空間を超えているように見える。

「だからあんまり長時間見つめてはダメだよっと。では本題に入ろう。ゲートを閉じてくれないか?」

 少年は優しく微笑んでそう言ってきた。お父さんが心配していた通り神様がきてしまったようだね。でも、僕の子供達とお父さん達が会うまでは。

「世界は僕ら神の体なんだ。それが近づくというのはあまり良くないんだよ。いつまでもカイト達の世界の神とつながっていると他の神に誤解されるのさ。悪い事でもしているんじゃないかってね。基本僕ら神同士は干渉しないって言う暗黙のルールがあるからね」

「お父さん達からは世界が壊れるって聞いたけど」

「それに近いことになるのさ。カイト達の世界の物がこちらにあると少しずつ近づいてしまってぶつかってしまう。神同士の衝突は凄まじいものだよ」

 世界はこの少年のような人の体の一部、それが引かれあってしまうって事かな?ただあちらの世界の物があるだけで引かれあってしまう、何だか凄く怖い話だな。

「まあ、そう言うわけでゲートは閉じてくれるかな?今すぐとは言わないからさ」

「・・あと十か月くらいもちませんか?」

「十か月ね~。そんな長い時間保てるマナがあるのかい?確かに君はとても強いけど世界同士を繋げるなんて普通出来ない事だよ。このまま続けていたら人死にが出てしまうはず。君のわがままで君は愛している人達の中から死人を出すつもりかい?」

 僕がやっていることはわがままなのかな。ただただお父さん達に会いたくてやっただけなんだけどな。

「まあ君のお母さん、アスミをこちらに無理やり転生させたのは僕だからね。少しは責任を感じているからね。別れを告げるくらいは待てるけどね。精々三日くらいだよ」

「三日・・・」

 少年からそう告げられて僕は俯いた。三日じゃ何も伝えられないよ。

「気付くのに遅れて遅くなっちゃったけどさ、そう言う事だからよろしくね。あ、そうそう、僕の名前はイースレーンティア。イースでいいよ」

「・・・」

「別れを告げられない別れだってあるんだから三日ある君は最高についていると思うよ。じゃあね」

 イースはそう言って消えていった。

「ルーク入るよ~。も~食べたなら片づけて・・・どうしたのルーク!」

 イースが消えてすぐにモナーナが部屋に入ってきてメロンの入っていた皿を片づけ始めた。俯いて泣いている僕に気づいてモナーナは驚いてお皿を落として抱きしめてきた。僕はモナーナの温かさに声を抑えることができずに叫んで泣いた。
 どんなに強くなってもそれを褒めてくれるお父さん達に会えなくなっちゃう、それって意味があるのかな、僕はなんて弱いんだろう。どんなにこの世界で一番強くなっても、お父さん達に会えなくなっちゃうんだ。
 僕はどうしたらいいのかな。

「僕はなんて弱いんだ。お父さん達に子供を見せることもできない」

「・・・ルークは強いよ。世界の誰よりも・・ううん。全世界の誰よりもね」

 モナーナは抱きしめる力を強めて慰めてくれる。僕は弱いからその強さに甘えてしまう。

「私たちも含めルークの強さなんだよ。いつでも私たちを頼って。慰めることしかできないかもしれないけど・・・」

 モナーナの言う通り、今回はみんなの力を借り事になるのかな。でも世界を繋げるなんてずっと続けることができるわけないよね。短い期間だけど、お父さん達との時間を大事にしていこう。
感想 296

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!