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赤いサボテン
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やっと出られた。
果てしなく長い永い洞窟から俺は出られた。
本当に長かった。真っ暗で先が見えない洞窟だった。まだ明るい外の景色に目が慣れないが次第に周りが見えたきた。
洞窟の外にサボテンが生えたいた。
丁度いいや。永い間洞窟にいた為、喉も乾いていたから持ちやすいよう3等分に錆びたナイフで斬ってボロボロの革鞄に納めた。
次第、目が慣れてゆき外はどうなのかな?何があるのかな?どんなユートピアがあるのか?そんな事を考える。
だが、
俺は外を見ると生きる事に挫折する理由になる絶望がそこにはあった。
砂。乾きに渇ききった砂。
そう1歩踏み出すだけで目眩を起こし左右が分からなくなり立眩みが襲ってくる熱せられたフライパン。砂漠がそこには地平線の更にその向こうまで広がっていた。
真っ暗な洞窟の中ならまだ火を灯し壁を探し明かりに向かい出口があると分かるのだがこうも潔く周りが荒野だと笑けてくる。
俺は膝をついた。
その場で壊れて泣きたくなった。
なんで俺ばっかり。
だけどこれから先の事を考えると少しでも水分を多く身体に留めておいた方がいいのだろう。進む気など失せたが革鞄に入っているサボテンを1口齧って水分を補給して、よしやるか。と自分に言い聞かせてみた。
行ける。
足は動く。
だが足首はとても痛い。
靴は底が無くなり靴下は消えていて、邪魔だったからそこら辺に放り投げた。
肌が焼けるのを実感出来る。汗となり身体中から水分が飛ぶ。飛び続ける。
落ちた汗が足元に広がる砂場の1部に落ちる。渇いた砂達は我先にと、俺の汗を奪い合い取り合い、そしていつの間にかその一滴の汗は蒸発してしまう。砂たちが不服な顔をしているのを考えると少し元気が出てくる。
そしてそれまでよく見ていなかった空を見上げる。
頭を持ち上げる。
空だ。この砂漠、砂場よりも広い空だ。
雲の淀み1つとして無い快晴だ。
太陽ってそういえばこんなに気持ちいいんだなぁ。久々に感じるその懐かしさに僕はまた1つ元気づけられる。
迷いは消えた。
俺は歩を進める。
快進する。
渇いた砂々を踏んで、踏んで。
そして進み出した事おそらく直勘だが5時間は進んだと思う。とっくに革鞄の中のサボテンは底をつき早く何か水分が補給出来るものを探さねば死んでしまう。
覚悟は出来ていてもやはり足掻くことも大事だ。
そんな事をボンヤリと考えているとさっきよりも砂場の勾配がきつくなってきていることに気付く。ずっと同じ風景だったがある事に気付く。
坂だ。
砂場がいつの間にか上り坂になっていた。俺は好奇心に支配された。
走った。
その走りは俺の内側から来るもので止めることは出来ない。
走り続ける。
喉が破れる。
血が出る。
口腔内に入っていた砂と混ざって口の中の水分が消える。
恐らくこの上り坂の向こうに何も無かったら俺は死んでしまうその急いで走り続ける。
そしてやがて終わりが見えてくる。
坂の、終わりが見えてくる。
そして坂の上についた。
その下にあったのは、
サボテンの畑だ。
喉が破れているため声にならない歓喜の音を上げた。
はしゃいだ。六時間前とは打って変わってはしゃいだ。荒ぶるように、狂うように、壊れたようにはしゃいだ。
そして俺はすぐ坂を降りてサボテン畑に向かう。シャワーを浴びたかったからサボテンを錆びたナイフで切り刻む。サボテンの赤い紅い深紅の水が身体中にかかる。
飲み続ける。
砂場も俺も渇きを忘れ潤い始める。
俺は幸せを感じた。
そして俺はーーー
俺の死体を前に10人ほどの警察官が銃を構えながら歩み寄る。
歩み寄る。
そうだった。
俺はそうだった。
昔サボテンを、いや人を殺しまくって刑務所に入れたれてたんだ。精神に異常があるとみなされ途中から病院にいれられたんだっけ。
でも俺はまたサボテンを食べたくなって病院の看護師を一人殺して社会に戻ったんだ。だけど腐った社会に目眩がして何もわからなくなったんだ。だけど学校に沢山汚れのないサボテンが生えてて、それで気分がハイになって。
そして警察にその場で射殺された。
呆れた人生だ。呆れた人生だ。
なんで俺ばっかり。
果てしなく長い永い洞窟から俺は出られた。
本当に長かった。真っ暗で先が見えない洞窟だった。まだ明るい外の景色に目が慣れないが次第に周りが見えたきた。
洞窟の外にサボテンが生えたいた。
丁度いいや。永い間洞窟にいた為、喉も乾いていたから持ちやすいよう3等分に錆びたナイフで斬ってボロボロの革鞄に納めた。
次第、目が慣れてゆき外はどうなのかな?何があるのかな?どんなユートピアがあるのか?そんな事を考える。
だが、
俺は外を見ると生きる事に挫折する理由になる絶望がそこにはあった。
砂。乾きに渇ききった砂。
そう1歩踏み出すだけで目眩を起こし左右が分からなくなり立眩みが襲ってくる熱せられたフライパン。砂漠がそこには地平線の更にその向こうまで広がっていた。
真っ暗な洞窟の中ならまだ火を灯し壁を探し明かりに向かい出口があると分かるのだがこうも潔く周りが荒野だと笑けてくる。
俺は膝をついた。
その場で壊れて泣きたくなった。
なんで俺ばっかり。
だけどこれから先の事を考えると少しでも水分を多く身体に留めておいた方がいいのだろう。進む気など失せたが革鞄に入っているサボテンを1口齧って水分を補給して、よしやるか。と自分に言い聞かせてみた。
行ける。
足は動く。
だが足首はとても痛い。
靴は底が無くなり靴下は消えていて、邪魔だったからそこら辺に放り投げた。
肌が焼けるのを実感出来る。汗となり身体中から水分が飛ぶ。飛び続ける。
落ちた汗が足元に広がる砂場の1部に落ちる。渇いた砂達は我先にと、俺の汗を奪い合い取り合い、そしていつの間にかその一滴の汗は蒸発してしまう。砂たちが不服な顔をしているのを考えると少し元気が出てくる。
そしてそれまでよく見ていなかった空を見上げる。
頭を持ち上げる。
空だ。この砂漠、砂場よりも広い空だ。
雲の淀み1つとして無い快晴だ。
太陽ってそういえばこんなに気持ちいいんだなぁ。久々に感じるその懐かしさに僕はまた1つ元気づけられる。
迷いは消えた。
俺は歩を進める。
快進する。
渇いた砂々を踏んで、踏んで。
そして進み出した事おそらく直勘だが5時間は進んだと思う。とっくに革鞄の中のサボテンは底をつき早く何か水分が補給出来るものを探さねば死んでしまう。
覚悟は出来ていてもやはり足掻くことも大事だ。
そんな事をボンヤリと考えているとさっきよりも砂場の勾配がきつくなってきていることに気付く。ずっと同じ風景だったがある事に気付く。
坂だ。
砂場がいつの間にか上り坂になっていた。俺は好奇心に支配された。
走った。
その走りは俺の内側から来るもので止めることは出来ない。
走り続ける。
喉が破れる。
血が出る。
口腔内に入っていた砂と混ざって口の中の水分が消える。
恐らくこの上り坂の向こうに何も無かったら俺は死んでしまうその急いで走り続ける。
そしてやがて終わりが見えてくる。
坂の、終わりが見えてくる。
そして坂の上についた。
その下にあったのは、
サボテンの畑だ。
喉が破れているため声にならない歓喜の音を上げた。
はしゃいだ。六時間前とは打って変わってはしゃいだ。荒ぶるように、狂うように、壊れたようにはしゃいだ。
そして俺はすぐ坂を降りてサボテン畑に向かう。シャワーを浴びたかったからサボテンを錆びたナイフで切り刻む。サボテンの赤い紅い深紅の水が身体中にかかる。
飲み続ける。
砂場も俺も渇きを忘れ潤い始める。
俺は幸せを感じた。
そして俺はーーー
俺の死体を前に10人ほどの警察官が銃を構えながら歩み寄る。
歩み寄る。
そうだった。
俺はそうだった。
昔サボテンを、いや人を殺しまくって刑務所に入れたれてたんだ。精神に異常があるとみなされ途中から病院にいれられたんだっけ。
でも俺はまたサボテンを食べたくなって病院の看護師を一人殺して社会に戻ったんだ。だけど腐った社会に目眩がして何もわからなくなったんだ。だけど学校に沢山汚れのないサボテンが生えてて、それで気分がハイになって。
そして警察にその場で射殺された。
呆れた人生だ。呆れた人生だ。
なんで俺ばっかり。
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