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寝れない。
たった今、午前2時を半分過ぎた所だ。
まぁまぁ聞いてほしい。私は明日の早朝、大切な仕事が入っているのだ。それも明日は今期で最も忙しくなる1日なのだ。本来ならば私はとっくに夢を見て身体を休めている所だろう。
だがしかし、どうだろうか?
仕事で疲れているはずなのに一向に寝れやしない。身体が睡眠を求めているのが瞼の重みでよく分かる。今日も1日、言い訳もせずに、サボりもなく部下を助け頑張ったのだ。いつもはすぐ眠ってしまうのだが、今日は眠れない。そう、眠れない。
しかしそれにはしっかりとした明瞭な理由があるのだ。私が住んでいる所はマンションの階の1番隅の部屋なのだ。下の階には誰も住んでいないのだが、隣に私好みの若い女性が住んでいる。
私はこのマンションに隣の女性よりも後に引っ越してきたため当然挨拶に行った。見た目は飾り気のなくお淑やか、という言葉がしっくりくる程大人しそうな人だったのだ。
まぁここまでは私の生活は上手く行っていたと思う。
だが引っ越して来て1週間が経過した今日の今の事。
そう、隣の部屋、即ち隣の女性の部屋から叫び声や壁を叩く音が聞こえるのだ。
初めて空を耳にした瞬間、強盗にでも襲われたのか?と思いベランダに出て様子を伺って見るが特にこれといった変化は無かった。
そして疲れていた私もそのうちすぐに止むだろう、と思っていた。思い込んでいたのだ。
だがどうだろう。音がなり始めてから最早1時間が経過しているではないか。それもこんな真夜中に。
私は次第に眠気と疲労によりイライラして来た。
だが引っ越してそうそうこんな夜中に文句を言いに行くのも気が乗らないし、もしかしたらパーティーなどをしていて複数人、人がいるかもしれない。だとかまぁ早い話が私はビビっているのだ。気の狭い人間だと思われて責められたりだとかするのをビビっているのだ。それに男がいない可能性も否定は出来ない。
まぁ結局、何を思おうと泣き寝入りしか今出来ることは無い。明日の朝、時間を考えて文句を、いやおっと。文句ではなく意見をしに行こう。文句は一方的だが意見は話し合いに不可欠な物だから。と、私は臆病な私に自己暗示を重ねてかける。
そして1人で納得して布団の中で感動をしている。
だがやはり、とてつもなく煩い。壁を引っ掻いたり時折殴ったり、呻き声だろうか?声も聞こえたり。
少し不気味に思えて来た。まるで何かを伝えたいかのように、壁は語る。ギシギシと自身を軋ませて。
私は少し怖く思えてきたのでなるべくその音に集中しないようにした。立ち上がり、煙草を吸ったり。携帯をいじつたりなどをして時間を潰して行く。そして私はもう気づいた。完璧にこれは徹夜コースだ。
明日は死ぬほど辛い事になるだろうな、と心の中でボヤく。
さぁて空はだんだんと淡い紺色に染まってきている。
次第に鳥がなきはじめ、そして朝を迎えた。
私は結局、朝を迎えた。5時45分。初夏なのでもう空は美しい朝焼けに染まっていた。太陽が向こうの山から顔を覗かせ鳥達は嬉しそうに鳴いている。
そんなに嬉しそうに喚かれても私の心を逆撫でするばかりだ。隣室のせいで徹夜となり荒んだ私は無関係な鳥達に毒を吐く。
布団から私は身体を起こし、煙草を1本。
内側から頭蓋骨を叩く寝不足の頭痛をニコチンとタールで誤魔化す。身体は倦怠感に包まれ、怠くて重い。
まだ少し吸える煙草を灰皿に叩き付けて、今日の仕事の準備をする。PCを開き今日のプレゼンの最終確認を嫌というほど行い、資料の抜け落ちがないかを細かく細かく見直し、挨拶などの練習をしていた。やがて7時を過ぎ、そういえば今日はゴミ出しの日だと思い出し、昨夜まとめておいたゴミを出しに外へ出る。
雲の淀み一つ無き快晴の朝空にまた腹が立つ。理由は特にない。目にクマが出来ているのが瞼の重みと乾いた眼で分かる。
1回のマンション指定のごみ捨て場にゴミ袋を投げ捨て、帰ろうと振り向いた所で、ちょうど隣人と遭遇した。目が合う。隣人の顔は少し青白く、目が私同様に乾いていた。濁った目をしている。そしてその目の下には、これまた私同様にクマが出来ている。一目見れば完璧に疲労しているのが分かる。
そしてお互い気まずそうに、だがお互い言わねばなる事がある、と何とももどかしい空気が現れる。
だがここで私がやむにやまれず声を出そうと口を開けた瞬間、隣人の女性が「あの……」と申し訳なさそうに声を上げた。私はお、謝罪が来るな。どんな言い訳だろうか。と内心心を踊らせたが隣人の女性から出て来た言葉は私の考えとは全く別で、というより正反対の言葉だった。
「あの…昨夜、遅くまで、宴会か何かでしょうか……?」
は?
私の脳内はフリーズし停止した。
「あの、言い方が悪いですが、少々うるさかったです。というか私、徹夜だったんですが……」
彼女はさらに続けた。
私は理解が出来なかった。彼女のその言葉はまさに私が言おうと考えていた言葉そのものだったのだ。
だが現実は迷惑そうな顔をしている彼女に謎の誤解を掛けられている。
私はその謎の誤解を解こうと、出遅れた形になったが私も意見を述べる。
「私も昨晩は徹夜で……それこそそちらの部屋がうるさくてですね……」
完璧に訳の分からない顔を彼女はする。
いやこの顔はむしろ危険人物と私を怪しむ顔だ。
私は続ける
「ずっと叫び声やら壁を叩く音やらが……」
私の弁明を聞いて彼女はハッとした顔になる。どうやら心当たりがあったみたいだ。
「実は…私も昨晩、貴方の部屋からそんな音が聞こえてました…」
は?
私の脳内は再び停止した。
つまり今彼女が言っていることはお互いがお互いに同じ音を聞いていた。それも隣どおしで。
私は一瞬本気でこれが苦し紛れの言い逃れかと思い、最近の子の言い訳はぶっ飛んでいる、と逆に感心してしまった。私の疑っている気持ちが顔に出ていたのか彼女はさらに続ける。
「それに……へんな呻き声も聞こえて、正直怖かったですよ?」
なんと、またしても私と同じ音を聞いているではないか。私は脳を動かし考えた。そして彼女と私は気持ちを落ち着け、昨晩聞いた音の話を始める。そしてまとめてみるとお互いが同じ音を同じ時間に聞いていることが判明した。そして、だんだんこの事がただ事じゃなく思えてきている自分がいた。それはもちろん、彼女も同じだろう。今日はひとまず仕事の関係で解散したが、ずっと部屋の事だけを考えていた。
仕事は上手く行ったが、やはり部屋の事だけが気がかりだ。そして1日の仕事も終わり私は例の部屋へと帰る。身体を湯船で癒し、適当に軽く夜食を取り、その日は早めに布団に入る。
だが、
またあの音が聞こえる。
寝耳に聞いていたあの音が次第に大きくなり、そして私は眠りの世界から現実へと戻された。昨晩よりも強く強く壁を叩き、そして今度はハッキリと、男の呻き声が聞こえる。激しく激しく激しく激しく何度も何度も何度も何度も。木製の壁がギシギシと軋み、そしてその音に男の苦しそうに喚く呻く声だ。その声は低く、そして重い。耳に残る嫌な音だ。そして声が聞こえる中でも壁を殴る音は聞こえない。
ドンッドンッドンッドンッ。それは一発一発に怨念が篭っているかのような、さながら丑の刻参りのように五寸釘を藁に突き立てるような邪気を感じた。このまま続けば壁が壊れてしまう、とさえ思ったほどだ。
ただ布団の中で呆然としている中、玄関のチャイムが鳴る。激しく激しく。何かに怯えるように。
私はドンッドンッドンッと鳴り響くさなか逃げるように玄関へ向かう。一応ドアの小さな穴から外を確認し出る。やはりそこに居たのは隣室の彼女だった。だが酷く怯えている。いや、私もそれは同じだ。未だに耳に残るし、静かな部屋の中でドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッと重く重く、そしてどこか寂しげなあの音が耳に焼き付いて離れないのだ。彼女は涙を流しながら部屋へ戻りたくないと訴える。同感だ。あそこにいると危険だし何よりも気が狂ってしまう。
そして私達はパジャマのままだが24時間営業のファミレスへと駆け込み、一夜を明かした。
後日。私と隣人は部屋へ戻ることなく、携帯でマンションの管理人へと連絡をして、不動産屋と共に部屋を調べてもらった。あの壁にヒビが入っており、そこを開けると、
苦痛に顔を歪ませた、男性の遺体が入っていた。
彼女は泣き崩れ、不動産屋は腰を抜かし、管理人は絶叫し、私は一瞬気を失いかけた。
やがてそのマンションは壊される事が決まり、私と彼女は別のマンションへと引っ越した。
そして今、新しい部屋でこの文を紡いでいる。
新鮮な空気に満ちた、木製の壁が素敵な部屋で。
たった今、午前2時を半分過ぎた所だ。
まぁまぁ聞いてほしい。私は明日の早朝、大切な仕事が入っているのだ。それも明日は今期で最も忙しくなる1日なのだ。本来ならば私はとっくに夢を見て身体を休めている所だろう。
だがしかし、どうだろうか?
仕事で疲れているはずなのに一向に寝れやしない。身体が睡眠を求めているのが瞼の重みでよく分かる。今日も1日、言い訳もせずに、サボりもなく部下を助け頑張ったのだ。いつもはすぐ眠ってしまうのだが、今日は眠れない。そう、眠れない。
しかしそれにはしっかりとした明瞭な理由があるのだ。私が住んでいる所はマンションの階の1番隅の部屋なのだ。下の階には誰も住んでいないのだが、隣に私好みの若い女性が住んでいる。
私はこのマンションに隣の女性よりも後に引っ越してきたため当然挨拶に行った。見た目は飾り気のなくお淑やか、という言葉がしっくりくる程大人しそうな人だったのだ。
まぁここまでは私の生活は上手く行っていたと思う。
だが引っ越して来て1週間が経過した今日の今の事。
そう、隣の部屋、即ち隣の女性の部屋から叫び声や壁を叩く音が聞こえるのだ。
初めて空を耳にした瞬間、強盗にでも襲われたのか?と思いベランダに出て様子を伺って見るが特にこれといった変化は無かった。
そして疲れていた私もそのうちすぐに止むだろう、と思っていた。思い込んでいたのだ。
だがどうだろう。音がなり始めてから最早1時間が経過しているではないか。それもこんな真夜中に。
私は次第に眠気と疲労によりイライラして来た。
だが引っ越してそうそうこんな夜中に文句を言いに行くのも気が乗らないし、もしかしたらパーティーなどをしていて複数人、人がいるかもしれない。だとかまぁ早い話が私はビビっているのだ。気の狭い人間だと思われて責められたりだとかするのをビビっているのだ。それに男がいない可能性も否定は出来ない。
まぁ結局、何を思おうと泣き寝入りしか今出来ることは無い。明日の朝、時間を考えて文句を、いやおっと。文句ではなく意見をしに行こう。文句は一方的だが意見は話し合いに不可欠な物だから。と、私は臆病な私に自己暗示を重ねてかける。
そして1人で納得して布団の中で感動をしている。
だがやはり、とてつもなく煩い。壁を引っ掻いたり時折殴ったり、呻き声だろうか?声も聞こえたり。
少し不気味に思えて来た。まるで何かを伝えたいかのように、壁は語る。ギシギシと自身を軋ませて。
私は少し怖く思えてきたのでなるべくその音に集中しないようにした。立ち上がり、煙草を吸ったり。携帯をいじつたりなどをして時間を潰して行く。そして私はもう気づいた。完璧にこれは徹夜コースだ。
明日は死ぬほど辛い事になるだろうな、と心の中でボヤく。
さぁて空はだんだんと淡い紺色に染まってきている。
次第に鳥がなきはじめ、そして朝を迎えた。
私は結局、朝を迎えた。5時45分。初夏なのでもう空は美しい朝焼けに染まっていた。太陽が向こうの山から顔を覗かせ鳥達は嬉しそうに鳴いている。
そんなに嬉しそうに喚かれても私の心を逆撫でするばかりだ。隣室のせいで徹夜となり荒んだ私は無関係な鳥達に毒を吐く。
布団から私は身体を起こし、煙草を1本。
内側から頭蓋骨を叩く寝不足の頭痛をニコチンとタールで誤魔化す。身体は倦怠感に包まれ、怠くて重い。
まだ少し吸える煙草を灰皿に叩き付けて、今日の仕事の準備をする。PCを開き今日のプレゼンの最終確認を嫌というほど行い、資料の抜け落ちがないかを細かく細かく見直し、挨拶などの練習をしていた。やがて7時を過ぎ、そういえば今日はゴミ出しの日だと思い出し、昨夜まとめておいたゴミを出しに外へ出る。
雲の淀み一つ無き快晴の朝空にまた腹が立つ。理由は特にない。目にクマが出来ているのが瞼の重みと乾いた眼で分かる。
1回のマンション指定のごみ捨て場にゴミ袋を投げ捨て、帰ろうと振り向いた所で、ちょうど隣人と遭遇した。目が合う。隣人の顔は少し青白く、目が私同様に乾いていた。濁った目をしている。そしてその目の下には、これまた私同様にクマが出来ている。一目見れば完璧に疲労しているのが分かる。
そしてお互い気まずそうに、だがお互い言わねばなる事がある、と何とももどかしい空気が現れる。
だがここで私がやむにやまれず声を出そうと口を開けた瞬間、隣人の女性が「あの……」と申し訳なさそうに声を上げた。私はお、謝罪が来るな。どんな言い訳だろうか。と内心心を踊らせたが隣人の女性から出て来た言葉は私の考えとは全く別で、というより正反対の言葉だった。
「あの…昨夜、遅くまで、宴会か何かでしょうか……?」
は?
私の脳内はフリーズし停止した。
「あの、言い方が悪いですが、少々うるさかったです。というか私、徹夜だったんですが……」
彼女はさらに続けた。
私は理解が出来なかった。彼女のその言葉はまさに私が言おうと考えていた言葉そのものだったのだ。
だが現実は迷惑そうな顔をしている彼女に謎の誤解を掛けられている。
私はその謎の誤解を解こうと、出遅れた形になったが私も意見を述べる。
「私も昨晩は徹夜で……それこそそちらの部屋がうるさくてですね……」
完璧に訳の分からない顔を彼女はする。
いやこの顔はむしろ危険人物と私を怪しむ顔だ。
私は続ける
「ずっと叫び声やら壁を叩く音やらが……」
私の弁明を聞いて彼女はハッとした顔になる。どうやら心当たりがあったみたいだ。
「実は…私も昨晩、貴方の部屋からそんな音が聞こえてました…」
は?
私の脳内は再び停止した。
つまり今彼女が言っていることはお互いがお互いに同じ音を聞いていた。それも隣どおしで。
私は一瞬本気でこれが苦し紛れの言い逃れかと思い、最近の子の言い訳はぶっ飛んでいる、と逆に感心してしまった。私の疑っている気持ちが顔に出ていたのか彼女はさらに続ける。
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なんと、またしても私と同じ音を聞いているではないか。私は脳を動かし考えた。そして彼女と私は気持ちを落ち着け、昨晩聞いた音の話を始める。そしてまとめてみるとお互いが同じ音を同じ時間に聞いていることが判明した。そして、だんだんこの事がただ事じゃなく思えてきている自分がいた。それはもちろん、彼女も同じだろう。今日はひとまず仕事の関係で解散したが、ずっと部屋の事だけを考えていた。
仕事は上手く行ったが、やはり部屋の事だけが気がかりだ。そして1日の仕事も終わり私は例の部屋へと帰る。身体を湯船で癒し、適当に軽く夜食を取り、その日は早めに布団に入る。
だが、
またあの音が聞こえる。
寝耳に聞いていたあの音が次第に大きくなり、そして私は眠りの世界から現実へと戻された。昨晩よりも強く強く壁を叩き、そして今度はハッキリと、男の呻き声が聞こえる。激しく激しく激しく激しく何度も何度も何度も何度も。木製の壁がギシギシと軋み、そしてその音に男の苦しそうに喚く呻く声だ。その声は低く、そして重い。耳に残る嫌な音だ。そして声が聞こえる中でも壁を殴る音は聞こえない。
ドンッドンッドンッドンッ。それは一発一発に怨念が篭っているかのような、さながら丑の刻参りのように五寸釘を藁に突き立てるような邪気を感じた。このまま続けば壁が壊れてしまう、とさえ思ったほどだ。
ただ布団の中で呆然としている中、玄関のチャイムが鳴る。激しく激しく。何かに怯えるように。
私はドンッドンッドンッと鳴り響くさなか逃げるように玄関へ向かう。一応ドアの小さな穴から外を確認し出る。やはりそこに居たのは隣室の彼女だった。だが酷く怯えている。いや、私もそれは同じだ。未だに耳に残るし、静かな部屋の中でドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッと重く重く、そしてどこか寂しげなあの音が耳に焼き付いて離れないのだ。彼女は涙を流しながら部屋へ戻りたくないと訴える。同感だ。あそこにいると危険だし何よりも気が狂ってしまう。
そして私達はパジャマのままだが24時間営業のファミレスへと駆け込み、一夜を明かした。
後日。私と隣人は部屋へ戻ることなく、携帯でマンションの管理人へと連絡をして、不動産屋と共に部屋を調べてもらった。あの壁にヒビが入っており、そこを開けると、
苦痛に顔を歪ませた、男性の遺体が入っていた。
彼女は泣き崩れ、不動産屋は腰を抜かし、管理人は絶叫し、私は一瞬気を失いかけた。
やがてそのマンションは壊される事が決まり、私と彼女は別のマンションへと引っ越した。
そして今、新しい部屋でこの文を紡いでいる。
新鮮な空気に満ちた、木製の壁が素敵な部屋で。
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