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1章 絆
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「陽子さん、ほら、これが蛍だよ。宇宙の真ん中にいるみたいで、とても幻想的だったんだよ」
「本当、綺麗ねぇ…アラ?コレは藤吉君?あらあら、寝ている姿を見ると、やっぱり年相応に若いわね」
「で、こっちが雪ちゃん!トウちゃんの幼馴染」
僕は、鞄からデジカメを出して、陽子さんに一枚一枚撮った画像を見せて旅行の土産話をしていた。
「そうだ、せっかくだから写真として印刷してあげる」
「ありがとうございます!是非お願いします」
「雪ちゃんの分と合わせて2枚ずつで良いかしら?」
デジカメを持って陽子さんは、データーをパソコンに取り込んだ。全てのデーターを選択して、2枚ずつ印刷していった。
「刷り上がるまで、少し待っててね。新しいお茶淹れてあげる」
静かな事務所にプリンターの音が響いて行く。帰ってさっそくアルバムに並べていかなきゃ。せっかく綺麗に写真にしてもらうんだから。
「ねぇ、信君!写真に大先生にも見せても良いかしら?」
新しいお茶を持ってきた陽子さんが、僕に聞いてきた。
「もちろん、大先生にも見てもらって構いません」
「ありがとう!大先生も喜ぶわ」
僕たちが、再び旅行の話で盛り上がっていると、大先生とトウちゃんが、奥の部屋から出てきた。
「大!プリンターの写真、コッチに持ってきて」
大先生は、プリンターから印刷された写真を手に取る。一枚一枚捲りながら、印刷具合を確かめているようだった。途中から、大先生の凛々しい口元がふよふよに歪んでいった。
「どうしたの大?」
陽子さんが、不思議に思って首を傾げた。
「あ!」
まだまだ陽子さんに見せていない画像だ。僕の短い声に、トウちゃんも悟ったらしく慌てて大先生の側に駆け寄った、が時すでに遅し…。
「大先生!ちょっと待ってください!」
トウちゃんも慌てて写真を奪おうとしたけど、ひょいっと大先生はトウちゃんをかわし、陽子さんの元に急いで見せに来た。後ろで喚くトウちゃん…。
「見てみろ陽子!藤吉に浮いた話が出ないわけだ」
「あらん、藤吉君!乙女じゃないの」
「イヤ、あの、それは、ちょっと…」
「そりゃ、ハニートラップに引っかかるわけないわな」
慌てふためくトウちゃんが、面白い。だけど、僕のせいでも少しあるわけで…。
「トウちゃん…ごめんね」
両手をパチンと鳴らして手を合わせ、首を傾げて謝って見せる。
「信…」
がっくりと項垂れるトウちゃん。
「おぉ!これまた可愛い」
大先生が大きな声をあげる。
「やだ、これ信君でしょ!絶対信君でしょ!」
陽子さんがも何やら絶賛し始める。
項垂れたトウちゃんが、ニヤリと僕を見た。
「信!お前も俺と一緒に弄ばれろ」
ババンと大先生が僕に見せた写真。僕は声にならない悲鳴をあげた。
「トウちゃん…酷い。いつのまにか撮ったの」
「ふふん、スマホだけだと思うな!」
開き直ったトウちゃんが、うらめしく思う。僕が信子ちゃんになってた時の写真まで、しっかりとプリントアウトされてしまったなんて。
「本当、綺麗ねぇ…アラ?コレは藤吉君?あらあら、寝ている姿を見ると、やっぱり年相応に若いわね」
「で、こっちが雪ちゃん!トウちゃんの幼馴染」
僕は、鞄からデジカメを出して、陽子さんに一枚一枚撮った画像を見せて旅行の土産話をしていた。
「そうだ、せっかくだから写真として印刷してあげる」
「ありがとうございます!是非お願いします」
「雪ちゃんの分と合わせて2枚ずつで良いかしら?」
デジカメを持って陽子さんは、データーをパソコンに取り込んだ。全てのデーターを選択して、2枚ずつ印刷していった。
「刷り上がるまで、少し待っててね。新しいお茶淹れてあげる」
静かな事務所にプリンターの音が響いて行く。帰ってさっそくアルバムに並べていかなきゃ。せっかく綺麗に写真にしてもらうんだから。
「ねぇ、信君!写真に大先生にも見せても良いかしら?」
新しいお茶を持ってきた陽子さんが、僕に聞いてきた。
「もちろん、大先生にも見てもらって構いません」
「ありがとう!大先生も喜ぶわ」
僕たちが、再び旅行の話で盛り上がっていると、大先生とトウちゃんが、奥の部屋から出てきた。
「大!プリンターの写真、コッチに持ってきて」
大先生は、プリンターから印刷された写真を手に取る。一枚一枚捲りながら、印刷具合を確かめているようだった。途中から、大先生の凛々しい口元がふよふよに歪んでいった。
「どうしたの大?」
陽子さんが、不思議に思って首を傾げた。
「あ!」
まだまだ陽子さんに見せていない画像だ。僕の短い声に、トウちゃんも悟ったらしく慌てて大先生の側に駆け寄った、が時すでに遅し…。
「大先生!ちょっと待ってください!」
トウちゃんも慌てて写真を奪おうとしたけど、ひょいっと大先生はトウちゃんをかわし、陽子さんの元に急いで見せに来た。後ろで喚くトウちゃん…。
「見てみろ陽子!藤吉に浮いた話が出ないわけだ」
「あらん、藤吉君!乙女じゃないの」
「イヤ、あの、それは、ちょっと…」
「そりゃ、ハニートラップに引っかかるわけないわな」
慌てふためくトウちゃんが、面白い。だけど、僕のせいでも少しあるわけで…。
「トウちゃん…ごめんね」
両手をパチンと鳴らして手を合わせ、首を傾げて謝って見せる。
「信…」
がっくりと項垂れるトウちゃん。
「おぉ!これまた可愛い」
大先生が大きな声をあげる。
「やだ、これ信君でしょ!絶対信君でしょ!」
陽子さんがも何やら絶賛し始める。
項垂れたトウちゃんが、ニヤリと僕を見た。
「信!お前も俺と一緒に弄ばれろ」
ババンと大先生が僕に見せた写真。僕は声にならない悲鳴をあげた。
「トウちゃん…酷い。いつのまにか撮ったの」
「ふふん、スマホだけだと思うな!」
開き直ったトウちゃんが、うらめしく思う。僕が信子ちゃんになってた時の写真まで、しっかりとプリントアウトされてしまったなんて。
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