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11晩目 ホースケさんと小狼
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トテトテトテ。尻尾をゆらゆらと揺らしながらホースケは、一枚の紙を持って水路の側を道なりに歩いている。
「えっと、一番街の南ってこっちだよな」
覚えたての文字を指で追いながら、書かれている目的地へ移動中だ。
今回の依頼は、一番街の南側に花屋を営むジェシーからだ。
「ジェシーの婆さん 腰を痛めちまってなぁ 店の手伝いと日常生活の補助が希望だ 見舞いがてら行ってこい」
マンキーからぺらっと依頼書を見せられ、ホースケは二つ返事で引き受けた。午前中の水路の清掃活動で、ジェシーとは顔見知りであっても、今まで店には行ったことがなかった。
一番街は、とても清楚な雰囲気で道行く人たちもお上品な印象だ。
「ジェシーさんのお店ってここだ」
可愛らしい店構えは、ジェシーさんらしい。小さなドアベルをカランコロンと鳴らしながら、ホースケは扉を開けた。
「ごめんくださーい マンキー亭から来ましたー」
ちょっと場違いだなと感じつつも店内にいるだろうジェシーに呼びかける。
「ごめくださーい ホースケでーす」
長いふわふわの尻尾を揺らして店内のジェシーを探す。
「バウッ!」
「うわぁ!ちょっと待って」
テクテクと店の中に入ってきたホースケにいきなり飛びついて押し倒してきた黒い塊。豆柴によく似た風貌の黒い小狼だ。ホースケの腹の上に前脚を置いて、嬉しそうな表情で鼻先を擦り付けてくる。
「あらあら、ホースケちゃん ごめんなさいね ほらニール ホースケちゃんびっくりしてるわよ」
「ワフン」
小狼の名前は、ニール。怪我をしていたところを見つけたジェシーさんが、介抱したところスッカリ懐かれ、一緒に暮らし始めたらしい。ジェシーと一緒に散歩をしている姿を見かけるホースケは、いつも飛び掛かられていた。
「ニール 俺は、今日はお仕事で来たんだぞ」
小さな両手でニールの首筋をわしゃわしゃ撫でるとくるんとした尻尾を千切れそうな勢いで振り回す。
「ホースケちゃんごめんなさいね ニールもお散歩行けずにいたから嬉しかったんだと思うの」
「別に謝らなくてもいいよ それよりもジェシーさん腰を痛めたって聞いたけど大丈夫か?」
「あらあら 心配してくれて、ありがとうね ちょっと転んじゃったのよね」
足首と手首を捻ってしまったらしい。いつも花を買いに来るマンキーが、心配をして冒険者を派遣してくれる事になったと嬉しそうに話してくれた。ギルドのテーブルにいつも花が飾られていると思ったら、実はマンキーがジェシーのお店に買いに来ていたらしい。
「ギャハハ 似合わね~」
「マンキーさんは、意外とロマンチストなのよ」
花をいつも買いに来るというマンキーの姿を想像して笑い転げてしまった。
「お店はお休みすれな良いのだけど、お花の水やりとニールのお散歩だけでもお手伝いしてくれるかしら?」
ホースケは、ジェシーに教えてもらいながらバケツのお水を交換していく。
「ポルダーガイスト」
ふよふよとバケツが宙に浮き、蛇口から水を交換すると自動で戻ってくる様子を見て、ジェシーは目をまん丸にする。バケツが移動宙に浮いている間に、掃除道具も能力で動かした。床を箒で履き、雑巾掛けも出来る能力をジェシーは、「すごいわね」と手を叩いて喜んでいる。
「お掃除までしてくれて、本当に助かったわ 後はニールのお散歩も頼めるかしら?」
「ワフン」
「もちろん!買い物とかもしてくるぞ?」
「ワフワフン」
お散歩と聞いて、ニールはボールを咥えて持ってきた。ジェシーが、ボールをハンカチに包み、ホースケの背中に背負わせてくれた。
「バウッバウ!」
ニールが、両前脚をタタンと鳴らし、ホースケに鼻先をつけて伏せをする。
「背中に乗れってこと?」
「バウ!」
ニールの背中に跨るとジェシーが「いってらっしゃい」と手を振った。
「行くぞ!ニール」
「ワフーン」
シマリスのホースケを背に乗せて、ニールは勢いよく走り出す。ぐんぐんとスピードを上げ、風を切る。
「キャハハ ニールすげえ!」
「ワフワフ」
ニールの背中にがっしりとしがみつき、アイーダの街の外へと飛び出して行った。
「えっと、一番街の南ってこっちだよな」
覚えたての文字を指で追いながら、書かれている目的地へ移動中だ。
今回の依頼は、一番街の南側に花屋を営むジェシーからだ。
「ジェシーの婆さん 腰を痛めちまってなぁ 店の手伝いと日常生活の補助が希望だ 見舞いがてら行ってこい」
マンキーからぺらっと依頼書を見せられ、ホースケは二つ返事で引き受けた。午前中の水路の清掃活動で、ジェシーとは顔見知りであっても、今まで店には行ったことがなかった。
一番街は、とても清楚な雰囲気で道行く人たちもお上品な印象だ。
「ジェシーさんのお店ってここだ」
可愛らしい店構えは、ジェシーさんらしい。小さなドアベルをカランコロンと鳴らしながら、ホースケは扉を開けた。
「ごめんくださーい マンキー亭から来ましたー」
ちょっと場違いだなと感じつつも店内にいるだろうジェシーに呼びかける。
「ごめくださーい ホースケでーす」
長いふわふわの尻尾を揺らして店内のジェシーを探す。
「バウッ!」
「うわぁ!ちょっと待って」
テクテクと店の中に入ってきたホースケにいきなり飛びついて押し倒してきた黒い塊。豆柴によく似た風貌の黒い小狼だ。ホースケの腹の上に前脚を置いて、嬉しそうな表情で鼻先を擦り付けてくる。
「あらあら、ホースケちゃん ごめんなさいね ほらニール ホースケちゃんびっくりしてるわよ」
「ワフン」
小狼の名前は、ニール。怪我をしていたところを見つけたジェシーさんが、介抱したところスッカリ懐かれ、一緒に暮らし始めたらしい。ジェシーと一緒に散歩をしている姿を見かけるホースケは、いつも飛び掛かられていた。
「ニール 俺は、今日はお仕事で来たんだぞ」
小さな両手でニールの首筋をわしゃわしゃ撫でるとくるんとした尻尾を千切れそうな勢いで振り回す。
「ホースケちゃんごめんなさいね ニールもお散歩行けずにいたから嬉しかったんだと思うの」
「別に謝らなくてもいいよ それよりもジェシーさん腰を痛めたって聞いたけど大丈夫か?」
「あらあら 心配してくれて、ありがとうね ちょっと転んじゃったのよね」
足首と手首を捻ってしまったらしい。いつも花を買いに来るマンキーが、心配をして冒険者を派遣してくれる事になったと嬉しそうに話してくれた。ギルドのテーブルにいつも花が飾られていると思ったら、実はマンキーがジェシーのお店に買いに来ていたらしい。
「ギャハハ 似合わね~」
「マンキーさんは、意外とロマンチストなのよ」
花をいつも買いに来るというマンキーの姿を想像して笑い転げてしまった。
「お店はお休みすれな良いのだけど、お花の水やりとニールのお散歩だけでもお手伝いしてくれるかしら?」
ホースケは、ジェシーに教えてもらいながらバケツのお水を交換していく。
「ポルダーガイスト」
ふよふよとバケツが宙に浮き、蛇口から水を交換すると自動で戻ってくる様子を見て、ジェシーは目をまん丸にする。バケツが移動宙に浮いている間に、掃除道具も能力で動かした。床を箒で履き、雑巾掛けも出来る能力をジェシーは、「すごいわね」と手を叩いて喜んでいる。
「お掃除までしてくれて、本当に助かったわ 後はニールのお散歩も頼めるかしら?」
「ワフン」
「もちろん!買い物とかもしてくるぞ?」
「ワフワフン」
お散歩と聞いて、ニールはボールを咥えて持ってきた。ジェシーが、ボールをハンカチに包み、ホースケの背中に背負わせてくれた。
「バウッバウ!」
ニールが、両前脚をタタンと鳴らし、ホースケに鼻先をつけて伏せをする。
「背中に乗れってこと?」
「バウ!」
ニールの背中に跨るとジェシーが「いってらっしゃい」と手を振った。
「行くぞ!ニール」
「ワフーン」
シマリスのホースケを背に乗せて、ニールは勢いよく走り出す。ぐんぐんとスピードを上げ、風を切る。
「キャハハ ニールすげえ!」
「ワフワフ」
ニールの背中にがっしりとしがみつき、アイーダの街の外へと飛び出して行った。
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