結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

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第五部第三章 ルカ

悲しい

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 私は、朝起きる。何も変哲がなくて、いい一日になりそうだと、起き上がると彼はもう起きていて、コーヒーを淹れていた。
 私のコーヒーもあるのかもしれないと、近づくと黙ってコーヒーをくれた。
 今何をしていたのか、わからないけれど、気になる気持ちを抑えた。理由は気になっても多分教えてくれないからだ。

 それより、コーヒーの香りが鼻に入ってきた。このコーヒーはとても美味しいだろうな。
 一口少しだけ飲んだ。
 それだけなのに、美味しく感じた。
 
 このコーヒーには、砂糖が入っていて少し甘い。でも、香ばしい香りが全てを凌駕するからか、甘いというよりも嗚呼と言いそうだ。
 全てがミックスしているような感じであった。

「美味しいね!」

 そう言うと、プランスは照れるようにコーヒーを飲んで顔を隠した。貴重な顔だと、目に焼き付けた私は何かおかしなところでもあるのだろうか?
 これは義務なのだと思う。そのように顔から微笑みが垂れる。こんな顔、あまりしたことがないのか、私の顔は固まっているように構築していく。
 だんだん、顔が出来上がっていくのを感じつつ、コーヒーを飲んだ。一口ずつ飲むたびに顔が微笑みに変わるのは私は感じ取っていた。

 窓から差し込む、赤い光は、薄くなっているように私は見えた。たぶん、気のせいだろうから気にしないようにしよう。

 そんなこと考えていると、彼が「あ、もしかしたら、今日女神族の王神王しんじゅが来るか持って、手紙で送られてきたから時間を空けておいて」と、言ったので、おめかしをしなければならないことになった。
 だけど、昨日、そんなことを女神に話していたけれど、まさか今日、早速来るとは思ってもいなかった。だって、長年敵対していた魔人達の王と面会なんてそうそうできる、ようなことではない。
 少し不思議に感じながらも、お化粧をした。
 
 彼は服を整えている。
 どんな服を着ているかは、寝起きに確認したけど、ぼやけてたからよく見えなかった。
 だけど、鏡にさりげなく映る彼は、服を整えている。
 綺麗な服を着ているから、私も真剣に着替えないとダメだし、服選びも真剣にしなければならない。

「今日の服、いい服ね」

「当たり前だ。相手も王なのに下手れた格好じゃ駄目だろ。魔族の名に傷がつくだろう?」

 彼は埃一つついていない、騎士のように立つ。数分に渡って服を整えているけど、たぶん数分が経てばいつものプランスになる。
 いつも通りの服そうになって、いつも通りのようにカッコよくなる。その姿を瞼に思い浮かべながら、メイクを済ませると、服選びの時間がやってきた。
 今日はちゃんとしなきゃだから、丁寧に選ばないと、ならない。シワ一つない服を探してそれを着よう。
 今回はドレスでいいのかもしれない。女神族の王となったら女という可能性があるから、ドレスの方が何かといいかもしれない。
 理由としては、女の女神様に対する敬意を見せなければならないからだ。
 スーツに似た堅苦しい格好では、堅苦しい国かと思われてしまう。あ、それとシルバーやアンも参加するだろうから、甘い感じはやめた方がいいよね。少し真面目な感じも追加しなきゃ!
 かと言ってどんなドレスがよろしいのでしょうか? そんなドレス私が持っているとは考え難い。持っていたとしても、それがドレスとは限らない。
 
 そう頭を悩ませていると、後ろから話しかけられた。

「服なら用意しといたから安心してね?」

 この声は間違いなく彼の声だった。でも、プランスが服を用意できるとは考え難いのだが・・・・・。しかも女子の服を選べるとは、さらに考え難いことである。
 
 まあ、どうせ執事に選んでもらったんだろうけど?

 執事さん達はなかなか、女子力が高いと知られている。それは私が保証しよう。
 なぜなら、私の服を作ってくれているいや、デザインしてくれているのは紛れもなく執事だからだ。しかも、要望には全て応えてくれて、言った服を必ず作ってくれる。
 それも特別素材で。別にそこまでして欲しいわけじゃないけど、いいですいいですと、言われて執事が言うままに服を作ってもらっている。
 その服は、今までで結構貰っていて、全て捨てていない。
 せっかく、作ってもらった服であるから、ちゃんと保管しなければならない。

 恩を仇で返すことはしないと胸に決めたのであった。

「どんな服? どうせ、執事さんが作った服なのだろうけど?」

 図星という顔で、彼は眉を顰めた。全く・・・・・。私は腕を組みながら、プランスが歩いていく方へと後を追う。
 彼の後ろ姿は美しく、儚く、悲しいような顔をしている。
 なんでそんな、後ろ姿をしているのだろうか? 

 でもまあ。
 自分の正体が誰なのかも分かって、屋敷を出たからね。[結婚しているのに、屋敷を出たら幸せでした]そう思うとなんだかスッキリしたように優雅な気分になっている。
 まるで、シャワーを浴びた後のようだ。とても気持ちが良い感じがして何度も言いたくなったけど、なぜか何度も何度も言えないようになっている。
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