結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系

文字の大きさ
129 / 170
第五部第三章 ルカ

服を着て

しおりを挟む
 服を着る。
 いや、ドレスを着ると一気に存在感が急増した。でも、女神の王には敵わないだろうな、魔界での最大の敵で最大のハプニングの持ち主。
 まあ、最大の敵ではないか、女神の王は確かに長年の敵だけど、ルカほどではない。今現在では、ルカの方が危険と見られており、警戒がすごく高まってしまう、ほどに影響力を持ち、魔界にダメージを与えてきた。
 そのダメージは、修復はできたものの、人々の心についた傷は今も修復できていない。旦那、女房が一度死んでしまった、恐怖は私にもよくわかる。

 例えば、プランスが死んでしまったという、心につた傷は今も尚、悪化したり治ったりしている。
 彼を生き返らせたらなんとか、この傷を治せると思っていたのに、今また悪化している。まあ今は完治でもないし、悪化しているわけでも兄という中間部分だ。
 ならいいじゃんって、無神経なことを言われるかもしれないけど、これが辛くて仕方ない。
 プランスを生き返らせる旅に出てた時となんだ変わらないような、心の傷である。今もそれがまとわりついているような感じだ。
 今もという部分ということは、状況が変わっただけで心の傷は何も治っていないようだ。
 でも、そんなことを、知らないように見せるほどの幸せが今目の前にある。たまにしてくれる、キスが私の心を癒してくれる。まるで、魔法の治癒効果のようだ。
 だけど、キスなんてたまにしかしてくれない。毎日のようにしてくれていたら、心も癒されることはなくなるかもしれない。
 だから、今くらいの距離感がいい。これくらいの距離、で、愛を感じられるかもしれない。

「よし、少し魔王城でも歩くとするか!」

 彼は妙に張り切っているのだが、その理由は明確である。

 理由として挙げられるのは、・今まで敵対していたけど、こちらの提案に見事応えてくれたから・ようやく、不可侵条約を結べるかもしれないから、と、この二つが挙げられる。
 私も内心喜んでいるところもある。ようやく、この残酷な日常から抜け出すことができる。
 女神族が攻めてくることも、なくなるかもしれない。そうなったら、魔界はさらに平和になるかもしれない。それに、不可侵条約だけでなく、他のこととか、共同国家として共に歩むということもいいかもしれない。
 でも、戦争には参加しないと言う条件をつけて。そうすることによって、ただ物流交流だけしていると全世界に見せつけることができる。
 それに女神という、名付けまでされているのだ、話を聞いてくれるだろう。もしかしたら戦争の、宣戦布告かもしれない。

 そうだとしたら、女神族をこの場で殺さなくてはならなくなる。それを避けるため、プランスは不可侵条約を結ぼうと必死になっている。
 女神族との戦争が終わらなければ、平和は訪れることはないだろう。
 ルカを倒したからといって、女神族との戦争はまだ終戦を迎えるわけではなく、睨み合いが永遠と続くだけだ。だから今日、ここで話をつけなければならない。
 
 それには、私の努力も必要となってくるだろう。

♢♢♢

 そんなこんなで、女神の王との対面時間がやってきた。時間は女神族が指定したらしく、こちらはそれに従っているというわけだ。
 会議室に向かう最中、魔力は感じなかった。
 だから、まだ来ていないのだろう。ならば、コーヒーでも淹れて待っておくか。

 そう、会議室の扉を開けると、執事達が、黙々と掃除をしていた。でも、屋敷にいた執事とは、違い顔が笑っている。
 そのおかげで、私も微笑みが垂れてきてしまった。
 
 もらい泣きのようにだ。

「全員、よく頑張ってくれているね! でも、席についた方がいいよ」

 プランスは奴が、来たように顔は濁らした。壮絶な顔をしているけど、内心笑っているようだ。

 ちゃんと時間通りに来てくれたからだろう。
 私も魔力を感知している。今、魔王城のどこかに不時着した頃だろうな。
 プランスほど精度は良くないから、どこの場所かはわからないけど、魔王城のどこかだろう。

「よし、お出ましだ」

 後ろから、黄金のオーラを纏った女性が歩いてくる。思わず凝視してしまうような、顔つき。
 私よりも美しい服装は、間違いなく 神王しんじゅだろう。なぜ、こんなにも美しいのに、護衛をつけないのだろうか?
 戦争しに来ているわけでないことが明らかであった。

 戦争にきていないのなら、まあいいだろう。こちらも、護衛はつけていない。
 執事と、魔界での地位の高い輩だけしか集めていない。
 理由は、戦争が起きるのならこの申し出を断っているだろうからだ。

「どうぞ、部屋の中に」

 プランスが扉を開ける。つられて私も扉を開ける。

 彼女は、ゆっくりとお辞儀すると会議室へと入って行った。私も会議室の中に入ると、彼女が真ん中に座っていた。
 プランスは、奥に回ると真ん中の席に座った。
 私はその、隣に座り彼女のことを見つめた。

「単刀直入に言います。不可侵条約を結ぶ気はありますか?」

「こちらとして、あなた方を信用できる者は少ないですが、私は賛成する」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

私が生きていたことは秘密にしてください

月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。 見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。 「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...