結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

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第六部二章 旅に出る

三話

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 ミアの顔に血が飛び交う。その姿がまるでサイコパスのようだったけど、この世に静謐さが生まれていた。空も明るく、夏のような瑞々しいい感じの夕日が上がって、茜色でルカの血を覆い隠した。

「これでわかったでしょ? 私はルカよりも強い」

 ミアは平然と言葉を並べると、リーナはただ茫然と、ミアを見ているだけだ。驚きすぎて絶句しているのだ。

 同様に王国の全兵士が驚愕していた。心を揺さぶるような嬉しさも感じなながら、空を見る者までいたが、新たな天命が下される気もしていた。

 これでミアが屋敷を出た理由が叶っただろう。国民全員を自由にするという、目的が。
 リーナも何処か抜けたような、顔をしていて、安堵の息を漏らしていた。辛いとは不思議と思わなかった。
 
 今までの日常がガラリと変わる、瞬間を皆は目の当たりにしたことだろう。
 リーナまでもが、呆然としているものの、心の中では笑みを溢していた。それほどに、今までが辛かったのだろう。

 そう考えると、不思議と胸が痛む。
 今まで助けに来れなかったという、思いからだろう。
 何時でも殺せたのに、殺さなかったという判断をしてしまったという、思いもあるだろう。そのせいで今まで皆んなを苦しめてしまったと、ミアは自暴自棄になっていた。
 まるで毒の矢が胸に刺さり抜けないような感じだ。

 けれど踏ん張って、前へと進歩する。そのように、ミアは自分への憎しみを溶かしていた。それに自分ミアの判断で失った命を蘇らせることだってできる。
 それが創造の母の特権だ。それに死者蘇生の巻き物もあり、死者を甦らせることが可能だ。それでなんとか、罪滅ぼしをすべきだろう。
 けれど死んだ命を生き返らせると、あまりに衝撃的すぎて、何も考えられなくなってしまう可能性まである。

「み、み、み、あこれはやりすぎなんじゃ・・・・・・・・?」

 リーナは硬い口を開けて喋ると、ミアはニッコリとして「大丈夫」と言った。それもそのはず、これで自由を手に入れたのだ、兵士が動くはずがない。
 人間同士のつまらない戦争も起こらないだろう。
 それなのになぜ、まだ足掻くのか、ミアには理解できないし、もしもそんなことが起きたとして、ミアが思った通りに駒を運ばせることができる。
 だからミアに危険が及ぶことはまずないのだ。

「私達は強いから!」

 後ろにいる、アンとシルバーは座り込み、笑顔で三人を見守った。

 なんだかこの姿を見ると、安堵の息を漏らしてしまいそうだ。リーナはまだこの状況を処理できていない。
 そのため、めまいがしてきて、気が滅入る。これは一旦寝た方がいいのかもしれない。
 
 そう考えた、ミアはリーナは横にさせて、ベッドを製造してそこに寝させた。すると、すぐにいびきかくように、寝始めた。
 ミアはその姿を、頰笑ましく見ているが、このまま寝させてあげたいと、思いミアは部屋から出て、笑って三人を見る。

「よし! 次何処か行こう!」

 と、ミアが笑った途端だった。上から球体の魔力のようなものが落ちてきた。
 この魔力は、凄まじく、ルカなんて小物に見えるくらいの、球体だ。

 しかも光で何も見えない。
 プランスはただその光が止むのをただ待っていた。アンは一旦後ろに下がると見せかけて、村の人々を遠くに連れて行った。そのため被害はない。
 勿論リーナも遠くの街に連れて行った。

「こいつ誰だ? 俺になんのようだ」

 プランスは魔力を向上させると、だんだん光が治ってきた。

「別に僕は・・・・・・。別に・・・・・・・」

 光の先から声が聞こえた。シルバーが先に剣を抜き、光を両断した。
 すると、光が真っ黒になり、すべてを吸い取るようなブラックホールになった。創造の能力でもこの光を肯定することも喋っているやつに攻撃することができなかった。
 
 もしかしたら、創造の力で創り出した生物じゃない可能性もある。

 だから、プランスも少し動揺している。だけど創造の魔力に対抗したとしても、プランスに勝てるとは限らないし、ここには最強の四人が出揃っている。
 負けるはずもない。そう思っていると、黒煙の光が止み、姿を表す。

「僕は別に・・・・・・戦いたいとは思っていません。それよか・・・・・・・たちゅけてくだちゃーい!」

 座り込んで土下座をするようにプランスの足を握る。どうやら殺気だってもいないので、本当に助けて欲しいらしい。プランス達は、怪訝そうな顔しながらも興味深いと思った。
 プランスにここまでして、助けを求めるとはつまり、プランス達よりも弱いということなのだろうか?
 でもプランスは想像していないから、この世界とはまた別の世界から来たのかもしれない。魔力は感じられるが病弱だ。

 ミアは一瞬、ルミの転生前のことを思い出したが、その世界とは違うようだ。ならば何処の世界なのだろうか。
 所謂、異世界というところなのだろう。

「え、つまり、敵じゃないのね?」

 ミアがそう言うと、すごいスピードで首を縦に振った。見てる側も酔いそうだ。

「当たり前ですよぉ~。あなた方なんかに敵対したら、一瞬で死んでしまうので・・・・・・・」

 どうやら、敵を選ぶことも上手いと見られる。おそらくルカよりも強いのに、状況判断ができるとは、創造魔力も効かない。つまりプランスとしては戦いたくない生命体だ。

 仲間になれるのならば、願ったり叶ったりってところだろう。
 けれど、すぐに信用していいのだろうか? という思いにプランスは駆られつつも、男の手を取り立たせた。

 顔立ちは美しく、身分もなかなかというところなのだろう。
 
「それで、何を助けて欲しいんだ? 俺にできることはせいぜい、少しの支援だけだが?」

「では、真面目な話に切り替えますね。僕の世界、ここから見て異世界の場所が、今壊滅状態なんです・・・・・・。理由は戦争ではなく、食料問題なんです。栄養失調で死ぬ者も多いです。なので少しの食材を分けてもらえませぬか? 勿論なんでもお返しします! なのでどうかお願いします」

 土下座をした男を上から見るようにプランスは、男を見た。
 けれどこの男は、頼む相手も選んだようだ。
 食材を絶対に分けてくれるということに、この男は確信していたのだろう。それもそのはず、プランス達は創造の魔力を持っているのだから。

 食材なんてすぐに、創り出すことができる。やはりこの男は見る目がある。プランスはそう思いつつも、条件を提案した。
 当たり前だ、こうでもしないと、交渉は成り立たない。信用も削がれてしまうよりは、条件を提案したほうがいいだろう。

 それもすべて予想をしていたかのように、男は涙を流した。

「条件というのは、これからは、共同国家として、共に歩もうじゃないか!」

 こうすることによって、強すぎる敵を作らなくて済むのだ。この世界で敵を作ったら負けなのだ。
 
 どうやらもう夜ということだ。野宿をするかと、プランスが続ける。男は有り難き幸せと涙を流す。

 プランスは早速、食材を創造した。野菜と肉という感じで、バランスのよい食事になりそうだ。栄養失調ならばこれが必要だ。

 食物繊維も必要だし、タンパク質も必要だからこれを、男に渡すと、笑ってどこかに消えた。急に消えるので、プランスは少し驚いたが、満遍の笑みだったので、微笑ましく思った。これで多くの命が救えたのだと思うと、胸が高鳴る。プランスそう感じて、目を瞑る。
 
 アンはさっき、避難させた村人を再び村に連れてきて、人間界は平和となったと伝えたが、魔族の言うことはすべて嘘だと教わっているからか、鵜呑みにする者はいなかった。
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