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番外編
結婚前の蜜月 「いつも我慢して……?」
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リナリは、おろおろと口を押さえている。
「リナリ、まって、飲んじゃ……あ、これに吐き出して……!」
慌てたハルトリードが、汚れを拭う布をリナリの口元に差し出す。
(吐き出す……? いいの? 行儀が悪くないかしら……?)
一度口に含んだものを吐き出すなど、リナリは考えもしなかった。言葉が発せないのでふるふると首を振る。
「だめ、それ、不味いやつ、苦いやつだから、出そう、リナリ」
「っ……」
リナリは言われた通り、布に口の中のものを吐き出した。鼻から抜ける生臭いにおいが、残る。
その様子をハルトリードは鼻息荒く、じっと穴が開く程に見ていた。
「リナリ、ごめん、口濯いで」
リナリは水差しから注がれたカップの水でうがいをした。
「ごめん、あの、良すぎて……いつもはあんなに早く……その」
もじもじと、背を丸めて気落ちするハルトリードに、リナリは首を傾げる。
(早く……? そういえば男性は持続力がどうのと書いてあった気がするわ)
男性用の閨指南書に、そう書いてあった。
女性を頂きに導く前に果ててはならない。体力、持久力を着けよう。精力のつく食材を摂取しよう。
(ハルト様は……いつも……)
思い出して顔が熱くなるが、リナリは感じていた事がある。
「いつも私を何度もその、気持ちよくしてくれますけど、ハルト様は一度だけしか、あの……」
それはつまり、持久力がある、と言えるのではないか。リナリにはそう思える。
もしくは、リナリの体で満足できていないのか。
いくらハルトリードがリナリを好いて猛っても、結局重ねる体の相性というものがある。リナリは、そう考えた。
だがハルトリードは一瞬押し黙り、しゅんと俯いた。
「だって……我慢、しないと、むちゃくちゃする……何回もリナリの中に……リナリ、最後には疲れて眠そうだったから……」
リナリは思い出していた。
確かに、初めて抱かれた夜も、その後も、表面感覚を使った疑似的な性交も、ハルトリードは一度しか果てていない。リナリの記憶では、だが。
「事前に私を何度も、その……するからでは……?」
ハルトリードの前戯は執拗だ。挿入までに何度もリナリを達かせる。
その結果、リナリの方が先に体力を消耗してしまう。経験が少なく、ハルトリード以外を知らないリナリすらそう感じるくらいだ。
だがそれも、リナリを気遣っての事だと分かっているからあまり強くは言えなかった。
誰であろうハルトリードにされているという意識もあり、簡単に熱が上がってしまう。その最中は何も考えられなくなる。終わった後で、彼は気持ち良かっただろうか、と思い返す余裕が生まれるのだ。
「だって、かわいい……リナリが気持ちよくなるの、好きだから……」
落ち込んでいるのか照れているのか、更に真っ赤になって俯くハルトリードに、リナリも釣られ真っ赤になる。
それと同時に目に入る、元気になった赤黒い――。
「あ、ハルト様、それ」
目線を追って、ハルトリードは気まずそうに口をもごもごさせる。
「いつも我慢して……?」
ハルトリードは若い。
愛らしく、自らの手でいやらしく花開く恋人が近くに居て、こうならない理由が無い。
「私だって、ハルト様にもっとよくなってほしい……」
ハルトリードがそう思っているように、リナリにしてみれば、好いた男が自分に欲情し高まる様は、酷く甘美で充足感に満たされる。
ハルトリードは息が荒い。
「リナリ……じゃあ、一緒に……」
「一緒……?」
「僕に跨って……その、おしりこっちに向けて……」
リナリは言われたような体勢を頭に描き、くらりと眩暈がした。
「リナリ、っ、止まって、る……」
「やぁっ、だって……っ、ハルトさまが、はげし、く、するから……!」
リナリは、目の前のびくびくとそそり勃つものを前に手を添えたまま、満足に動けない。
跨って開いた脚の間に熱い存在感が好き勝手に動いて、リナリを翻弄しているからだ。
リナリは、せめて、と剛直を必死で上下に扱く。緩やかに握り、素早く粘液で擦る。
「っは、はぁっ、きもちいい、リナリ、リナリも……どんどん垂れて……、はぁ……」
勢いよく吸い込む音。
中心から低い声が真っ直ぐに芯となって心臓に絡まりながら貫いていくようで、リナリは体をしならせた。支えにしている両膝もがくがくと小刻みに震える。
「ぁっ、喋らない、で……っ!」
達した際、手に持った熱いものを強く握ってしまう。
「っぐ」
びく、と腰が跳ねたハルトリードは衝動のまま、リナリの下から抜け出すようにして、体勢を変えた。
「あっ、ハルトさま……っ!」
そのまま、リナリは四つん這いのまま、後ろから。
「あっ! だめ、それっ……! あんっ、あん……っ!」
挿入するなり激しく動き出した。
こんな事は初めてだった。
ハルトリードはリナリの腰をがっしりと掴み、タガが外れたように腰を打ち付ける。何度も奥へ接触する。
早く、激しく、強く、獣のような息を吐きながら。
時折奥が横に舐られ、リナリは悲鳴のような声で喘ぐ。
激しく自分本位に揺さぶられ、中の具合などお構いなしに擦られているというのに、リナリは心の奥に膨大な熱を湛えた。
求められている。恋しい人が本能で、がっついて、理性など飛ばして、まるで自ら溺れているように。
何度も、すき、かわいい、と言われる。
まるで言葉で愛撫されているように体は敏感になった。
段々と、身体全体がハルトリードに合致していく。一つになるような錯覚で、馴染んでいく。順応し、開かれていく――。
「……リナリ、ごめん、むりさせた」
真っ白な頭にハルトリードの気遣う声が入ってきた。その声も熱い余韻が籠り、リナリを覗き見る目もぼうっと揺れている。
ハルトリードは一度出し、それから体勢を変えまた激しく突き、出し、体力が尽きるまでリナリの中で果てた。
リナリは途中何度か意識が飛んだように感じた。
とにかく耳に残るハルトリードの声と激しい快感だけで、意識を繋いでいた状態だった。
身を清めず、そのまま二人ともぐったりと抱き合ってベッドに寝転がる。途方もない倦怠感だがそこにはほの甘い幸せが混じり、リナリは熱い息を吐いた。
それはハルトリードも同じだったようだ。
「あー……よすぎる……ほんと、だめになる……」
日の出前まで励んでいたため翌朝は間違いなく寝坊だ。だがハルトリードはそう言いつつも、しっかりと仕事はする人間である。
それに思い至ったリナリは、ぼうっとした意識のまま力無く、嬉しそうに笑った。
「すきです……」
ハルトリードの魔道具への熱意や、取り組む姿勢、仕事だからというだけではない真摯な愛。
それが、途方もなく愛しかった。
好きな人が好きな事を熱心にする様が、リナリはとても好きだ。
二人は汗ばむ体を密着させ、熱が溶け混じるように抱きしめ合う。
何人たりとも侵入できない世界を形成した二人はもう、外部の事などどうでもよくなっていた。
「リナリ、まって、飲んじゃ……あ、これに吐き出して……!」
慌てたハルトリードが、汚れを拭う布をリナリの口元に差し出す。
(吐き出す……? いいの? 行儀が悪くないかしら……?)
一度口に含んだものを吐き出すなど、リナリは考えもしなかった。言葉が発せないのでふるふると首を振る。
「だめ、それ、不味いやつ、苦いやつだから、出そう、リナリ」
「っ……」
リナリは言われた通り、布に口の中のものを吐き出した。鼻から抜ける生臭いにおいが、残る。
その様子をハルトリードは鼻息荒く、じっと穴が開く程に見ていた。
「リナリ、ごめん、口濯いで」
リナリは水差しから注がれたカップの水でうがいをした。
「ごめん、あの、良すぎて……いつもはあんなに早く……その」
もじもじと、背を丸めて気落ちするハルトリードに、リナリは首を傾げる。
(早く……? そういえば男性は持続力がどうのと書いてあった気がするわ)
男性用の閨指南書に、そう書いてあった。
女性を頂きに導く前に果ててはならない。体力、持久力を着けよう。精力のつく食材を摂取しよう。
(ハルト様は……いつも……)
思い出して顔が熱くなるが、リナリは感じていた事がある。
「いつも私を何度もその、気持ちよくしてくれますけど、ハルト様は一度だけしか、あの……」
それはつまり、持久力がある、と言えるのではないか。リナリにはそう思える。
もしくは、リナリの体で満足できていないのか。
いくらハルトリードがリナリを好いて猛っても、結局重ねる体の相性というものがある。リナリは、そう考えた。
だがハルトリードは一瞬押し黙り、しゅんと俯いた。
「だって……我慢、しないと、むちゃくちゃする……何回もリナリの中に……リナリ、最後には疲れて眠そうだったから……」
リナリは思い出していた。
確かに、初めて抱かれた夜も、その後も、表面感覚を使った疑似的な性交も、ハルトリードは一度しか果てていない。リナリの記憶では、だが。
「事前に私を何度も、その……するからでは……?」
ハルトリードの前戯は執拗だ。挿入までに何度もリナリを達かせる。
その結果、リナリの方が先に体力を消耗してしまう。経験が少なく、ハルトリード以外を知らないリナリすらそう感じるくらいだ。
だがそれも、リナリを気遣っての事だと分かっているからあまり強くは言えなかった。
誰であろうハルトリードにされているという意識もあり、簡単に熱が上がってしまう。その最中は何も考えられなくなる。終わった後で、彼は気持ち良かっただろうか、と思い返す余裕が生まれるのだ。
「だって、かわいい……リナリが気持ちよくなるの、好きだから……」
落ち込んでいるのか照れているのか、更に真っ赤になって俯くハルトリードに、リナリも釣られ真っ赤になる。
それと同時に目に入る、元気になった赤黒い――。
「あ、ハルト様、それ」
目線を追って、ハルトリードは気まずそうに口をもごもごさせる。
「いつも我慢して……?」
ハルトリードは若い。
愛らしく、自らの手でいやらしく花開く恋人が近くに居て、こうならない理由が無い。
「私だって、ハルト様にもっとよくなってほしい……」
ハルトリードがそう思っているように、リナリにしてみれば、好いた男が自分に欲情し高まる様は、酷く甘美で充足感に満たされる。
ハルトリードは息が荒い。
「リナリ……じゃあ、一緒に……」
「一緒……?」
「僕に跨って……その、おしりこっちに向けて……」
リナリは言われたような体勢を頭に描き、くらりと眩暈がした。
「リナリ、っ、止まって、る……」
「やぁっ、だって……っ、ハルトさまが、はげし、く、するから……!」
リナリは、目の前のびくびくとそそり勃つものを前に手を添えたまま、満足に動けない。
跨って開いた脚の間に熱い存在感が好き勝手に動いて、リナリを翻弄しているからだ。
リナリは、せめて、と剛直を必死で上下に扱く。緩やかに握り、素早く粘液で擦る。
「っは、はぁっ、きもちいい、リナリ、リナリも……どんどん垂れて……、はぁ……」
勢いよく吸い込む音。
中心から低い声が真っ直ぐに芯となって心臓に絡まりながら貫いていくようで、リナリは体をしならせた。支えにしている両膝もがくがくと小刻みに震える。
「ぁっ、喋らない、で……っ!」
達した際、手に持った熱いものを強く握ってしまう。
「っぐ」
びく、と腰が跳ねたハルトリードは衝動のまま、リナリの下から抜け出すようにして、体勢を変えた。
「あっ、ハルトさま……っ!」
そのまま、リナリは四つん這いのまま、後ろから。
「あっ! だめ、それっ……! あんっ、あん……っ!」
挿入するなり激しく動き出した。
こんな事は初めてだった。
ハルトリードはリナリの腰をがっしりと掴み、タガが外れたように腰を打ち付ける。何度も奥へ接触する。
早く、激しく、強く、獣のような息を吐きながら。
時折奥が横に舐られ、リナリは悲鳴のような声で喘ぐ。
激しく自分本位に揺さぶられ、中の具合などお構いなしに擦られているというのに、リナリは心の奥に膨大な熱を湛えた。
求められている。恋しい人が本能で、がっついて、理性など飛ばして、まるで自ら溺れているように。
何度も、すき、かわいい、と言われる。
まるで言葉で愛撫されているように体は敏感になった。
段々と、身体全体がハルトリードに合致していく。一つになるような錯覚で、馴染んでいく。順応し、開かれていく――。
「……リナリ、ごめん、むりさせた」
真っ白な頭にハルトリードの気遣う声が入ってきた。その声も熱い余韻が籠り、リナリを覗き見る目もぼうっと揺れている。
ハルトリードは一度出し、それから体勢を変えまた激しく突き、出し、体力が尽きるまでリナリの中で果てた。
リナリは途中何度か意識が飛んだように感じた。
とにかく耳に残るハルトリードの声と激しい快感だけで、意識を繋いでいた状態だった。
身を清めず、そのまま二人ともぐったりと抱き合ってベッドに寝転がる。途方もない倦怠感だがそこにはほの甘い幸せが混じり、リナリは熱い息を吐いた。
それはハルトリードも同じだったようだ。
「あー……よすぎる……ほんと、だめになる……」
日の出前まで励んでいたため翌朝は間違いなく寝坊だ。だがハルトリードはそう言いつつも、しっかりと仕事はする人間である。
それに思い至ったリナリは、ぼうっとした意識のまま力無く、嬉しそうに笑った。
「すきです……」
ハルトリードの魔道具への熱意や、取り組む姿勢、仕事だからというだけではない真摯な愛。
それが、途方もなく愛しかった。
好きな人が好きな事を熱心にする様が、リナリはとても好きだ。
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