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第二章
第38話 敵の目的
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「ふっふっふ。魔石が綺麗ですねぇ♪ 磨いて磨いてご主人様に献上するのです。またお褒めの言葉をいただけるかも……。ぶふっ、想像したら鼻血が……! 私めは卑しい懐刀なのです、はひっ」
コクエンが謎の奇声を発して、フォルネウスの魔石を磨き続けている。
彼女の援護の一撃が決め手となった戦い。未だ興奮が冷めないみたいだ。
――もう十日は経っているのに。いつまで鼻血を流しているんだろう。
「あの魔石、最終的にギルドで換金するのですが。コクエンちゃんは懸命に磨いてどうするつもりなのですかね……?」
「ライブラの部下だから、駄目な部分も引き継いでいるんじゃない?」
「どういう意味ですかっ! 私様の部下のおかげでフォルネウスを倒せたのですよ!」
うん、そうだね。コクエンの活躍は確かに大きかった。
あれはアイギスの作戦らしいけど。息の合った連携だった。
「トドメを刺したのはとろんさんです! とろんさんも褒めてあげてください!」
「……なに?」
「本人は特に何とも思っていないみたい。敵を倒すのが当然だって」
「トロンはクールよねぇ……食事方面以外では」
【星渡りの塔】最強のフロアボスを討伐した僕たちは。
ついに四十階の土を踏みしめていた。残りは二十階層のみ。
まだレイリアさんたちとは合流できていないけど。
いつものように休息所で情報を集めよう。二手に分かれる。
「――小さい子を連れた綺麗な嬢ちゃんなら見かけたな……まさかの二人組で驚いたものよ」
「それはいつ頃でしょうか?」
「確か……十日くらい前だったか……ありゃ、もっとだったか。すまんな。魔塔で過ごしていると日付を忘れちまうんだ。ただ一ヵ月以上は経っていない。何故なら俺の記憶が持たないからな。ワハハハ」
「あ、ありがとうございます」
「おいおい、せっかくだ。飲んでいかないか? ここまでの冒険譚も聞かせてくれよ」
「ごめんなさい。急ぎなので……!」
お酒を勧められたけど、断って天幕から逃げ出す。
上層で活動する冒険者はちょっと愉快な人が多いみたいだ。
つい最近までレイリアさんたちはここに滞在していた。
五十階はまだ到達していないはず。もう少しで追い付けるぞ。
「どうやらあの子たちも近くを探索しているようね。目撃者が何人もいたわ。……私たちが知らない男を一人連れ歩いているみたいだったけど。そのおかげで探索速度が落ちたみたいね」
アイギスが別の情報を持ってきてくれる。
「男? レイリアさんにストブリ以外の仲間がいたのかな?」
「どうでしょう。人間不信の方がわざわざ異性を選ぶとは考えづらいですが」
「迷子です?」
「そっちの方が可能性としては高いね。レイリアさんは困っている人を見逃せる人ではなさそうだし」
このまま無事に合流できそうだ。安心から息が漏れる。
とても長い旅だったけど。ようやく終着点が見えてきた。
「はひっ、恐れながらご主人様に申し上げます。私めは、男の存在に陰謀の匂いがいたしました。魔塔内で何者かを保護した場合、まずは安全な休息所に戻るのが普通ではないでしょうか?」
ゴクエンがフードを深く被りながら、声を震わせ言葉を発する。
「……そうだよ、ゴクエンの言う通りだよ! 上層で仲間とはぐれて、合流の為にまた塔を登るなんて普通じゃ考えられない。行き違いになるリスクもあるし、休息所に仲間が探しに戻って来ていないか確認をしないのも不自然だよ!」
駆け出しの初心者がやるならまだしも。
上層を探索する熟練冒険者の動きじゃない。
こんなの闇雲に動いて二次遭難を生み出すだけ。
まるで初めから合流地点が決まっていて。
確実に仲間が待っていると知っている人の行動だ。
「上層の能力喰らい……なるほど。ようやく連中の目的が見えてきましたよ!」
ライブラさんが僕たちの中央に飛び、全員に聞こえるよう話し出す。
「そも【星渡りの塔】五十階で行方不明のパーティが複数ある時点でおかしな話なのです。何故、わざわざそのような不便な場所で犯行に及ぶのか。ずっと疑問だったのですが、謎の男の存在によりある仮説が浮かびました」
一息おいて、ライブラさんは結論を述べた。
「――答えは逆なのですよ。その行方不明のパーティが能力喰らいの集団だったのです!」
ライブラさんの仮説は、驚きもあるけど、納得させられるものでもあった。
「……なるほどね。それで救助に向かった優秀な冒険者たちを襲うと。上層まで登れる人間だもの。欲しいスキルをたくさん持ってきてくれる。とても効率のいい狩りになるわ」
これまでの能力喰らいの手口は一人の人間を狙ったもの。
それがパーティ単位に変わったんだ。より組織的な犯行に。
「最悪、国の騎士団が動いたとしても、襲われた被害者のふりをして保護されればいいだけ。考えたものだね……ギルドはまだ気付いていない。ううん、気付いたところで手遅れだ!」
そして次の狙いはレイリアさん。彼女のユニークスキルは目立ち過ぎる。
「とにかく、お手柄だよコクエン!」
「ぶふっ。ありがたき幸せ……もうここで死んでも後悔しないよぉ」
「癒しの水! あるじさま、急ぎましょう!」
「そうだね。忙しいけどこれが最後だ。レイリアさんたちを助けに向かおう!」
この話はまだ仮説の段階で、他の冒険者の助けを求められない。
何より、レイリアさんたちの事を考えるともう時間が足りないんだ。
このまま休息を取らずに突き進む。
次に戦う相手は人間。組織的な犯罪者だ。
コクエンが謎の奇声を発して、フォルネウスの魔石を磨き続けている。
彼女の援護の一撃が決め手となった戦い。未だ興奮が冷めないみたいだ。
――もう十日は経っているのに。いつまで鼻血を流しているんだろう。
「あの魔石、最終的にギルドで換金するのですが。コクエンちゃんは懸命に磨いてどうするつもりなのですかね……?」
「ライブラの部下だから、駄目な部分も引き継いでいるんじゃない?」
「どういう意味ですかっ! 私様の部下のおかげでフォルネウスを倒せたのですよ!」
うん、そうだね。コクエンの活躍は確かに大きかった。
あれはアイギスの作戦らしいけど。息の合った連携だった。
「トドメを刺したのはとろんさんです! とろんさんも褒めてあげてください!」
「……なに?」
「本人は特に何とも思っていないみたい。敵を倒すのが当然だって」
「トロンはクールよねぇ……食事方面以外では」
【星渡りの塔】最強のフロアボスを討伐した僕たちは。
ついに四十階の土を踏みしめていた。残りは二十階層のみ。
まだレイリアさんたちとは合流できていないけど。
いつものように休息所で情報を集めよう。二手に分かれる。
「――小さい子を連れた綺麗な嬢ちゃんなら見かけたな……まさかの二人組で驚いたものよ」
「それはいつ頃でしょうか?」
「確か……十日くらい前だったか……ありゃ、もっとだったか。すまんな。魔塔で過ごしていると日付を忘れちまうんだ。ただ一ヵ月以上は経っていない。何故なら俺の記憶が持たないからな。ワハハハ」
「あ、ありがとうございます」
「おいおい、せっかくだ。飲んでいかないか? ここまでの冒険譚も聞かせてくれよ」
「ごめんなさい。急ぎなので……!」
お酒を勧められたけど、断って天幕から逃げ出す。
上層で活動する冒険者はちょっと愉快な人が多いみたいだ。
つい最近までレイリアさんたちはここに滞在していた。
五十階はまだ到達していないはず。もう少しで追い付けるぞ。
「どうやらあの子たちも近くを探索しているようね。目撃者が何人もいたわ。……私たちが知らない男を一人連れ歩いているみたいだったけど。そのおかげで探索速度が落ちたみたいね」
アイギスが別の情報を持ってきてくれる。
「男? レイリアさんにストブリ以外の仲間がいたのかな?」
「どうでしょう。人間不信の方がわざわざ異性を選ぶとは考えづらいですが」
「迷子です?」
「そっちの方が可能性としては高いね。レイリアさんは困っている人を見逃せる人ではなさそうだし」
このまま無事に合流できそうだ。安心から息が漏れる。
とても長い旅だったけど。ようやく終着点が見えてきた。
「はひっ、恐れながらご主人様に申し上げます。私めは、男の存在に陰謀の匂いがいたしました。魔塔内で何者かを保護した場合、まずは安全な休息所に戻るのが普通ではないでしょうか?」
ゴクエンがフードを深く被りながら、声を震わせ言葉を発する。
「……そうだよ、ゴクエンの言う通りだよ! 上層で仲間とはぐれて、合流の為にまた塔を登るなんて普通じゃ考えられない。行き違いになるリスクもあるし、休息所に仲間が探しに戻って来ていないか確認をしないのも不自然だよ!」
駆け出しの初心者がやるならまだしも。
上層を探索する熟練冒険者の動きじゃない。
こんなの闇雲に動いて二次遭難を生み出すだけ。
まるで初めから合流地点が決まっていて。
確実に仲間が待っていると知っている人の行動だ。
「上層の能力喰らい……なるほど。ようやく連中の目的が見えてきましたよ!」
ライブラさんが僕たちの中央に飛び、全員に聞こえるよう話し出す。
「そも【星渡りの塔】五十階で行方不明のパーティが複数ある時点でおかしな話なのです。何故、わざわざそのような不便な場所で犯行に及ぶのか。ずっと疑問だったのですが、謎の男の存在によりある仮説が浮かびました」
一息おいて、ライブラさんは結論を述べた。
「――答えは逆なのですよ。その行方不明のパーティが能力喰らいの集団だったのです!」
ライブラさんの仮説は、驚きもあるけど、納得させられるものでもあった。
「……なるほどね。それで救助に向かった優秀な冒険者たちを襲うと。上層まで登れる人間だもの。欲しいスキルをたくさん持ってきてくれる。とても効率のいい狩りになるわ」
これまでの能力喰らいの手口は一人の人間を狙ったもの。
それがパーティ単位に変わったんだ。より組織的な犯行に。
「最悪、国の騎士団が動いたとしても、襲われた被害者のふりをして保護されればいいだけ。考えたものだね……ギルドはまだ気付いていない。ううん、気付いたところで手遅れだ!」
そして次の狙いはレイリアさん。彼女のユニークスキルは目立ち過ぎる。
「とにかく、お手柄だよコクエン!」
「ぶふっ。ありがたき幸せ……もうここで死んでも後悔しないよぉ」
「癒しの水! あるじさま、急ぎましょう!」
「そうだね。忙しいけどこれが最後だ。レイリアさんたちを助けに向かおう!」
この話はまだ仮説の段階で、他の冒険者の助けを求められない。
何より、レイリアさんたちの事を考えるともう時間が足りないんだ。
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次に戦う相手は人間。組織的な犯罪者だ。
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