最弱から最強へ【擬人化】スキルによって、僕は神話級アイテムたちに好かれました。どうやら人間の仲間は必要ないようです

お茶っ葉

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第三章

第69話 地下深淵の塔

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 【地下深淵の塔】の異世界は他の魔塔と違い夜の時間が長い。

 最初の一階層に入った時点では朝だったのに。
 数時間もしないうちに陽が落ちていた。空に星々が瞬く。 

 また極端に森林地帯が少なく、足場の悪い荒野が続いた。
 その分、見晴らしは良いので魔物の奇襲の心配はない――

 ――と見せかけて、地中からの来訪者が僕たちを襲ってきた。

「いきなり大歓迎だったね……」

 山積みとなって倒れている太く伸びる生物たち。
 アースイーターと呼ばれるミミズを巨大化させた魔物だ。

 普段は地中に潜み、音に反応して獲物を一口で捕食する。
 地上で戦う分には苦戦しないけど、不意打ちだけは注意が必要。
 
 エルが引き寄せてくれて、頭を出したところでコクエンが切り裂いた。

「油断していると足元からパクリですよ! 生きたまま徐々に消化されます」

「ひぃ……! 恐ろしいです」

「エルは溶けないのでずっとお腹の中です」

「こわいねー」

「野営地点も慎重に考えないといけないね。できる限り地面は避けないと」

 寝ている間に襲われて目覚めたら胃袋の中はごめんだ。 
 一階層から【星渡りの塔】との難易度の差を思い知らされる。

 ずっと長く夜が続くので体調面も気を付けないと。
 知らない間に一晩中歩き続けていたとかにもなりそうだ。
 
「ロロアさん、こういう時こそユグちゃんの出番です!」

「ユグちゃん?」

「【創造の樹杖】はユグドラシルの枝木から出来ていますから。そこから愛称を」

「中央にある魔塔と匹敵する大きさの世界樹だね」

 枝木といっても手に入れるのはかなり困難とされている。
 まず世界樹の元まで辿り着くのにエルフ王家の許可が必要だから。
 また加工ができるほどの大きさがある枝は天高く登らないと取れない。
 
「クリエイトで床の高いロッジを作れば地中からの奇襲を防げます」

「快適すぎて魔塔探索をしているとは思えないね」

 重たい荷物を背負って天幕を持ち運ぶパーティだってあるのに。
 僕たちは心強い仲間に恵まれている。質のいい睡眠は確保できそうだ。

「コクエンちゃん」

「は、はい! クリエイト!」

 コクエンがユグに魔力を送り大木を次々と召喚していく。

 数分で見事なロッジが出来上がる。杖に記憶されている形状。
 元になっているのが過去にレイリアが利用していた王族の別荘だ。

 簡易宿に使うには豪華すぎる内装で、少し魔力が勿体ないような。

「うっ……かなり消耗しましたぁ」

「こくえんさん、魔力水です」

 エルが龍の魔力水をコクエンに飲ませていく。

「まずはこの百階層でロッジが機能するか確かめてみよう」

 まだ魔物も弱い入り口近辺で試せる事は試してみる。
 
「おお、家具もしっかり完備されていますね」 

「あるじさま! ベッドの土台もあります!」

「あとで持参した毛布を敷き詰めよう」

「ご主人様、たった今アースイーターが真下を通り過ぎていきました」

「生物が直接地面に立っていない限りは襲ってこないみたいだね」

 あとは巡回する通常の魔物だけに警戒しておく。
 異世界内にロッジは目立つから見張りは交代制で付けよう。

 卓上に火をつけたカンテラを置いて見張りの順番を決める。

「僕とライブラさん、エルとコクエンで組み分けよう。トロンが戻ってきたら再考で」

「アイちゃんは――もう眠ってしまっていますね」

「ずっと夜だから体内時計が狂っちゃったのかな」

 僕の腕を枕にすやすやと寝息を立てている。
 起こすのも可哀想だし、見張りは僕たちが最初になる。

「それではおやすみなさい!」

「ご主人様、参謀、ご無理はなさらずにです」

 先に二人がベッドに入っていった。
 交代は今から五時間後。【情報板】で外の時刻は見れる。
 
「むにゅ……ますたー」

「アイギス、夢でも見ているのかな。可愛いよね」

「不本意ながら認めざるを得ません。私様の方が僅差で可愛いですけどね!」

 ライブラさんがその場でクルリと回る。引き分けかな。

「ますた」

 腕に掛かる重みが増える。どうしたのかなと隣を見ると。
 トロンがくっついていた。背中に筒状の新パーツが浮かんでいる。

「えっ、トロンいつの間に!?」

「おなかすいた……おもい……」

 お腹を押さえてトロンが呻く。髪が以前より伸びて大人っぽく見える。
 青と白の光沢服はそのままに、耳に右目を覆う照準器がくっついていた。

「トロちゃん、しばらく見ない間にゴツゴツしてません?」

「おいしおいし」

 パンをあげると僕の指ごと咥えていく。
 見た目はともかく中身は変わっていないみたいだ。

「おかえり。ずっと待っていたよ」
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