最弱から最強へ【擬人化】スキルによって、僕は神話級アイテムたちに好かれました。どうやら人間の仲間は必要ないようです

お茶っ葉

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第三章

第70話 雷光砲撃

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 早朝、異世界内に青空が広がっていた。
 計算すると疑似太陽が昇っている時間は僅か三時間。
 殆どが暗闇に支配された塔で、カンテラの燃料は重要だ。

「よし、明るいうちに先に進もう。みんな急ぐよ!」

「とろんさん、今日から一緒に頑張りましょうね!」

「うん」

「お久しぶりです……私めの事を覚えていらっしゃいますでしょうか?」

「うんうん」

「とろんせなかにへんなのついてるー!」

「うん?」

 復帰したトロンが三人に囲まれていた。
 性格が変わったアイギスをじっと見つめている。
 そして首を傾げながら僕を見た。誰が見てもびっくりするよね。

「その辺りは移動しながら説明するよ」

 ロッジを出て早足で次の階層を目指す。
 異世界の広さは【星渡りの塔】と大差はない。

 つまり大体二~三日で一階層を攻略できるはず。
 
「――という事でして、アイちゃんの精神は子供なのです」

 ライブラさんがトロンにこれまでの状況を説明してくれる。

「ぐぅ……」

「トロちゃん話聞いていました……?」

「うん……」

 お腹を擦りながらトロンは遠い目をしていた。
 多分、理解はしているけどそれ以上に食欲が上回ってる。

「トロンの為に食料は多めに持ってきているよ。たくさん食べて」

「もぐもぐ」

 専用の袋から腹持ちが良いお芋パンを食べさせる。
 肉体労働が得意なドワーフ族の料理は冒険者と相性がいい。 

「ん……てき、みつけた」

 トロンが立ち止まり膝を付いて左方向に構えた。
 背中に浮かぶ長筒が、指先とリンクして動き出す。

「とろんさん、そこに誰もいないですよ?」

「いる、かずは二十。ゆうこうしゃてい」

 僕たちからでは敵の姿は見えないけど。
 右目の照準器を通して遥か先を捉えているんだ。

「狙撃銃となって、トロちゃんの索敵範囲が広がったのですね」

「ますたのてき、げきめつ。どーん」

 いつも通り力の籠っていない掛け声と共に、筒から極光が放たれた。
 眩い光の奔流が遥か前方に収縮して――大爆発。山の一部を削り取った。

 轟音で耳が一時的に遠くなる。衝撃波があとから通り過ぎていく。
 魔物の姿はない。元から存在していなかったかのように塵になった。

「お、おお……もはや弾とか、そういう次元を超えていますね……雷光砲撃ですよ」

「す、凄いです……!」

「うぅ、眩しくて目が……闇が、闇が欲しい……!」

「つかれた」

 一度の射撃だけでトロンは汗をかいてその場に座りこんだ。
 装着した装備の負担によるものだ。より燃費が悪くなってる。

「ありがとう。ちょっと休憩しようか」

「うん」

 失った体力が戻るまで十分ほど休憩だ。
 それにしても威力が高すぎる。誤射に気を付けないと。

「もういっかいもういっかい!」

「アイちゃんは落ち着きましょうね」

 ◇

 順調に階層を攻略していき現在九十五階層。
 最初のフロアボスが生息している異世界に到着した。

「あれ、【情報板】にフロアボスの情報が出てこない」

 夜の暗闇の中、カンテラの光で照らして文字を読んでいく。

「どうやら既に討伐されているみたいですね。地上から一番近いフロアボスですし。魔石目当てのパーティが挑戦したのでしょう。賞金稼ぎです」

「クランバルはDランク以上の冒険者が多いから、しばらくは安全そうだね」

 冒険者の中にはフロアボス討伐を専門とする人たちが居る。
 ちょうど彼らの活動時期と一致したみたいだ。運が良かった。

 ここまで魔物と遭遇したのも数える程で。
 相当優秀なパーティが先行しているみたいだ。

「残念です……」

「エルエルはフロアボスと戦いたかったみたいですね」

「エルはいつの間にそんな好戦的に」

「力を付けて、早く神話級になりたいです。とろんさんに負けません!」

「わたしもー!」

 エルとアイギスが同時に手をあげる。
 急成長したトロンに対抗心が芽生えている。

「六十五階層で必ずフロアボスとぶつかるから。それまで体力を温存しようね」

 辿り着くのは当分先になるけど。遺跡探索も待っているし。
 まずはお爺さんのアドバイス通り九十階層で何かを探すところからだ。
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