最弱から最強へ【擬人化】スキルによって、僕は神話級アイテムたちに好かれました。どうやら人間の仲間は必要ないようです

お茶っ葉

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第三章

第78話 封印の鍵

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「ロロア、この先に進むのであれば気を付けなさい。目先の名誉より、命を優先するのですよ」

 妖精女王が僕を見つめる。表情はまるで動かないけど。
 言葉では心配してくれている。ライブラさんは変わらない。

「浅層で【深淵化】が作用するなど通常ではあり得ない事です。これは推測ですが、遺跡にある秘密の階層を経由して魔塔最深部から厄災の種が届いているようですね」

「なるほど、だから近道の出入口に住み着いていたクイーンが深化したんだ」

 封印の間から厄災の力が漏れ出て、近道を通りクイーンに蓄積した。
 遺跡に守られていたクイーンは冒険者にも狙われず安全に深化できる。

 僕たちがここを訪れなければ、最悪地上はクイーンに滅ぼされていた。
 地上に戻ったらギルドに報告しないと、このまま遺跡を放置してはいけない。

「……しかし、それだけが要因とは考えにくい。魔塔全体に漂う厄災の種の濃度が異常なのです」

「最深部の封印の間で、何かが起こっているという事ですか?」

「ええ。何者かの、悪意の介入があると踏んでいます。大賢者の封印に細工を施す人物です。候補は限られますが、間違いなく恐るべき力を保持している。制限のある今のワタクシでは対処は難しいでしょう」

「わかりました。命を優先して、確かな情報を掴んできます!」

「こちらでも対策案を練っておきましょう。あとで端末に情報を送ります」

 【地下深淵の塔】にも【理の破壊者】が潜んでいるのだろうか。
 でも、人の限界を超えるのを目的としているのに、魔物を強化するかな。

 ここは別の組織と考えた方がいいかも。
 レイリアが【星渡りの塔】で出会ったらしい二人組の男女。
 【理の破壊者】と敵対していたみたいだけど。可能性としてはそっちか。

「――時間です」

「助けていただき、ありがとうございました!」

 お礼を伝えると、僅かに口元を緩めて光に包まれる。
 妖精女王の肉体が消滅する。砕けた【情報板】が転がった。
 
「ふぁあ……おはようございます」

 元の見慣れた小さな妖精姿に。これで手元から予備がなくなった。

「らいぶらさん、お疲れです!」

「ふぅ……緊張しました。神話級のオーラは私めには眩し過ぎます」

 後ろで大人しくしていたエルとコクエンが戻ってくる。
 神話級という上位存在に対して自然と敬意が出てしまうんだ。

「今回も私様の大活躍でしたね! 可愛くて最強で、うぅん、罪深い♪」

「ああ、いつもの参謀です。本気の姿は冷たい感じがして少し苦手です……」

「エルも神話級に戻れば大きくなります?」

「そうかもね、エルも大人になるのかも」

「わぁあ、楽しみです!」

「んん……あれ……?」

 しばらく休憩していると、気絶していたアイギスが目を覚ます。
 身体を起こして周囲を見渡している。遺跡内部はボロボロだった。

「戦いは終わったよ。もう安全だから」

「……わたし、またやくにたてなかった?」

 泣きそうな顔をして、アイギスが僕に尋ねてくる。
 幼児化する原因となった失敗を、また繰り返したのだと。 

「アイギス、違うよ。君が居たから無事に済んだんだ」

「でも……!」

「はいはい、もう過ぎた話です。早く先に進みましょう!」

 いつになくテンションが高いライブラさんが間に入る。
 根が深い問題だから、少しずつ認識を変えてもらわないと。

「アイちゃん、マスターを困らせてはいけませんよ?」

「……うん」

 アイギスは目元を拭って、ひとまず落ち着いてくれた。

「えっと、秘密の階層を開けるには龍人様の好物を捧げるんだよね」

 遺跡の祭壇には模様の入った扉が。鍵穴は見当たらない。
 
「コクエン、何か心当たりはあるかな?」

「肉体は龍人ではありますが、好物が何かと問われましても。それは私めの好物になってしまいます」

「とりあえず、それで試してみようよ。コクエンの好きなものは?」

 フロアボスも倒した事だし、試行錯誤をする時間はある。
 女王を倒されて配下の虫たちは遺跡から逃げていると思うし。

「……好きなもの」

 ジッと僕を見つめるコクエンは、頬が赤くなる。

「わ、私めはなんて畏れ多い妄想をっ!?」

 急に遺跡の瓦礫の奥に。頭を隠してお尻が出ている。

「コクエンちゃんったら、なんてわかりやすい反応を」

「……ぼ、僕って事でいいのかな?」

 食事方面かと思っていたら、名指しされるとは思わなかった。
 ちょっと気恥ずかしい。もちろん信頼されているのは嬉しいよ。

「エルもあるじさまが一番大好きです!」

「おやおや、ロロアさんったらモテモテですね」

「あはは、気持ちはありがたいけど、これで封印は開かないよね」

 龍人様の好物って漠然とし過ぎている。とても難しい。
 コクエンの言う通り、個人の好き嫌いとの差がわからない。

「コクエンちゃん、他にはないのですか? 例えば好きな食べ物などでも」

「だ、ダメです。考えても考えても……私めはご主人様でいっぱいなんです!」

「……これは重症ですね」

「おおーすごいちゅうせいしんだ」

 直後、ガチャ、っと大きな音が響いた。
 振り返ると、遺跡の壁に光の渦が巻いている。
 
「えっ、転移門が開いた……? な、何に反応したんだろう?」

「これは――忠誠心、どうやらコクエンちゃんのご主人様への気持ちが鍵となったようです」

「そういえば龍人は主君に忠義を尽くす一族だったね」

 龍人自体が希少な存在だから、あまり知られていないけど。
 龍人本人か、親しい人物でないと開かないようになっていたんだ。
 
「奉仕の心がなければ開かない扉ですか。面白い仕掛けですね。悪人は利用できそうにない」

「コクエン、ありがとう。早く戻ってきてよ」

「ひいっ、こんなの私めを辱める罠です!! ご主人様に気持ちを知られて、恥ずかしいよぉ」

 僕への強い想いが結果となって、コクエンはもう真っ赤かだ。

「? 最初からバレバレだったです。こくえんさんもあるじさまが大好きなんですよね!」

「エルエル、そういうのは知っていて黙っておくものですよ」
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