最弱から最強へ【擬人化】スキルによって、僕は神話級アイテムたちに好かれました。どうやら人間の仲間は必要ないようです

お茶っ葉

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第三章

第80話 七神宝

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 翌朝、と呼べる時間なのかはわからないけど。
 体力を回復させてから僕たちは探索を開始する。

 最初はあまり遠くは目指さずに、まずは今いる浮島を歩く。
 といっても山火事で灰になっていたので、すぐに回り切った。

「何もなさそうだね。生物もいないし。もう少し奥に進んでみよう」

「隣の浮島に通じる橋が一つありました。あれが正しい順路なのでしょう」

 木製の手作り感のある橋がギシギシと音を立てている。
 火事で燃えなくてよかった。でも人の重みでも落ちそうだ。

 ここで命を失えば永遠の存在になる。戦闘とは違う緊張感が。

「念を入れて、一人ずつ通っていこうか。まずは僕が安全を――」

「わ~!」

 エルが楽しそうに橋を走って渡っていった。
 勢いで大きく横に揺れる。が、何とか無事だった。

 見た目は脆そうだけど、意外と丈夫なのかも。

「エルエル!? 何をされているのですか! 落ちたらおしまいなのですよ!?」

「? エルが安全を確かめたらダメだったですか?」

「誰かがやらないといけなかったけど。走る必要まではなかったよ……?」
 
 エルは不死身だからこそ、死に恐怖するという感情に乏しい。
 無事に済んだけど。あとで危ない事はしないよう教えてあげないと。

「ご主人様、あちらの方に人工物を発見しました!」

「……だれも、いない。あんぜん」

 二つ目の浮島に入り、先行していたコクエンが知らせてくれる。
 トロンが索敵して、魔物の気配はなさそうなのでそこを次の目的地に。

「おおーかくれがだ!」

 森の中に隠れるようにして小さな家が建っている。
 所有者が誰なのかは考えずともわかる。この魔塔の創造主だ。

「……お邪魔します」

 ドアを開けると、大量の白い埃が宙を舞う。
 天井がガラス張りで光が差し込み室内がよく見える。

 机とたくさんの本棚。水を入れる壺に吊るされた保存食。
 竃に暖炉、燃料の炭に色んなものが乱雑に放置されていた。
 一人の人物が暮らしていくのに不自由ない設備が整っている。

「あはは、この部屋を見るだけで、何となくどんな人物だったのか想像できるね」

 本は開きっぱなしで、あれもこれも整理が中途半端になっている。

「めんどうくさがり?」

「男の人の部屋って感じです! あるじさまの部屋はいつも綺麗ですけど!」

「僕の場合はみんなと過ごしているからね」

 僕も一人だけなら、きっとこんな感じに適当になっちゃうかも。

「……私めには読めそうにないです。古代文字で書かれてあります。ケルファなら読めるのかなぁ?」

「本当だ。グネグネしてる」

 読めないけどかなり字が汚いのはわかった。
 きっと他人に見せない個人の日記のようなもの。
 
「こ、これは大賢者ドラウフトの日誌ですよ! ふむふむ、日頃の献立が書き殴られています。――取り留めのない内容ですね。まるで痴呆症対策をする老人ですよ……!」

「どんな優秀な人でも老いには勝てないんだね」

 過去の偉人に一気に親近感が。同じ肉体を持つ人だったんだと。

「この階層で食用できる素材もまとめられています。有益な情報として保存しておきましょう」

「あの四角い実も食べられます?」

「あれは上質な魔力回復薬の材料になりますね。直接口に含むと舌が腫れて七日は戻らないそうで」

「全部自分の身体で試したんだ。何だか食いしん坊のトロンみたい」

「……むぅ。まけない。もっとたべる」

「そっち?」

 調べてみると、回復薬を製造する機材までも見つかる。
 ライブラさんがあとで試して、安全ならたくさん作るみたいだ。

「老人の日誌はさておき。しかしこれは面白い事になりました」

 ライブラさんは興奮気味に、今度は棚の書物を読み漁っていく。

「ロロアさんもご存じのはずですが、七賢人の血を引き継ぐ王家には大賢者の秘宝も継承されています。私様の本体である【ライブラの書】も、現在は大陸中央を支配する帝国が管理しておりまして。ガーベラ王国では大賢者スフィーダが遺した【神槍ブリュンヒルデ】もその一つ。それらをまとめて【七神宝】として、王が王たる証明にも使われています」

「でも大賢者ドラウフトは、孤独を貫き通しその血を絶やしたんだよね?」

 ドワーフ族が国を挙げて魔塔の管理を引き受けているけど。
 七大国家に属しながらも、リンドウ王国は正式な一員ではなく。
 
 王の証明となる【七神宝】にも、一つ欠けが出ている状況なんだ。

「この隠れ家には、失われた【七神宝】の在りかが記されているやもしれません!」

「らいぶらさん、その方も神話級なんです?」

「当然です。まぁ、残る六つが束になったとしても、残念ながら私様に劣りますがね♪」

 ライブラさんがすごい自画自賛をしている。
 本気を知っていると大言ではないのはわかるけど。
 
 同じ神話級でも、やっぱり大きな格差があるみたいだ。

「りゅうじんさまのおたからってなーに?」

「エルも気になります!」
 
「大賢者ドラウフトの秘宝は、【滅龍双盾ティアマト】。伝説の邪龍を討ち滅ぼした巨大盾ですね――あっ」

 ライブラさんが途中でやってしまったという表情に。

「たて……わたしより、ゆうしゅうな、たて」

 アイギスが悲しそうに、何度も口を動かして、俯いてしまう。
 同じ役割で、国宝級を超える大賢者の秘宝。目指していた神話級。

 ことごとく今の心が折れているアイギスには、辛い内容だった。

「ま、まだ見つかると決まった訳じゃないし。巨大な盾なんて僕には使えないよ!」

「ロロアさんの仰る通りです! アイちゃんは気にしなくてよいのですからね? あー私様突然古代文字が読めなくなりました~! 老化ですかね!?」

 僕とライブラさんで必死になって励ます。
 持ち主が亡くなってから数千年は経過しているんだ。

 今さらそんな都合よく失われた秘宝が見つかるはずがないと。
 
「ううぅ……申し訳ありません。あぁ……私めはなんて間の悪い、余計な働きを……!」

「もう、コクエンちゃんまでどうされたのです。急に泣き出したりして」

 何故か入り口に立っていたコクエンまでも泣きそうになっていた。
 その手に持っているものは、巨大な盾は――――えっ。

「今しがた隠れ家の周囲を調べていたのですが、その、地下を見つけてしまいまして……」

「秘宝、見つけちゃったんです?」

「……はい」

「そんな、馬鹿な……!」

 思わず僕は頭を抱えてしまった。喜び以上に戸惑いが募る。
 これが僕とアイギスへの試練だとするならば、あんまりだと思った。
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