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第三章
第98話 期待?の新人
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「えっほえっほ。あるじさま~ただいま戻りました!」
エルが両手を広げて、テクテクと駆け寄ってくる。
僕もそれに応じて飛びついてきた身体を支えてあげる。
峡谷での戦いも無事に決着が付いたようで。
ロストワイバーンの大きな反応も消えた事を確認した。
「いっぱい歩きました!」
「おかえり。無事でなによりだよ」
エルの後ろには宝箱を抱えたコクエンとユグが。
ライブラさんは、得意げな表情で羽ばたいていた。
初めての部隊分けは成功したと言っていい。
今後も何度かこういう機会が訪れるはずだ。いい経験になったと思う。
「私様たちは見事に盗人を捕まえて、同時にアイちゃんを救い出しました。任務達成ですよ」
「ほう」
「ほうとは何ですか!? ティアマトの尻拭いをしてあげたのですよっ! 感謝ぐらいしたらどうです! ロロアさんを連れ回して挙句フロアボスに手を出して。貴女はトラブルメーカーですか!?」
「まぁまぁ、無事に終わったのですから~」
顔を真っ赤にして怒るライブラさんをユグがなだめている。
騒がしいなと、ティアマトさんが早足でその場から離れていた。
「あの……ご主人様」
甘えてくるエルをめいっぱい撫でていたらコクエンが。
フードを脱いで、艶のある黒髪に隠れた二本の角が煌めく。
「コクエンもお疲れ様。アイギスを助けてくれてありがとう」
「あっ、はいっ!」
控えめにこちらに身体を傾けてきたので、ゆっくりと背中を撫でる。
すると目を細めて、身体を震わせて喜んでくれた。正解だったみたいだ。
「ご主人様……」
コクエンもエルと似て甘えたがりなのかな。あまり欲を口に出す子じゃないから。
僕の方から気付いてあげて色々と褒めてあげないと。不公平感が出てきてしまう。
「おー、はやい」
逆に欲を発散するのが得意なトロンは、後ろで運搬ゴーレムで遊んでいた。
みんなを待っている間、暇潰しにずっと運転している。曲がり道も完璧だ。
「……いつの間にトロちゃんは運搬ゴーレムの操縦をマスターしたのです? 起動させるにも専門知識が必要なはずですが……!」
「ライブラさんのを見て覚えたらしいよ。優れた観察眼だよね」
「そんな馬鹿な……! あののんびり屋のトロちゃんが、簡単に真似できるものではないのに。私様の唯一無二のポジションがっ!」
ライブラさんは衝撃を受けているけど。トロンは以前から器用万能な子だった。
「ロロア様、こちらの盗人様をお預けしますね~。今は大人しいですが、暴れん坊ですのでお気をつけくださいませ~」
「うん。新しい仲間候補として僕が預かっておくね」
動かなくなった宝箱は中が空のように軽い。
眠っている間だけは重量を感じないみたいだ。
この子は国宝級には届かないので、しばらくはこのまま。
「しかし、移動中に目を覚まされると面倒だぞ。ゴーレムのパーツを喰われるやもしれん」
それは困る。空中分解したらみんな真っ逆さまだ。
「その都度食事を与えればいいのです。アイちゃんのスキルリンクがあります」
「構わないが、アイギスの帰還が遠のくぞ。神話級の魔力も無尽蔵ではないのだからな。我は主人を守らねばならぬから無駄な魔力は差し出せんぞ」
宝箱の食事に使う魔力量が膨大なだけに、持ち運ぶのも大変だ。
「むむ……そこは、アイちゃんもきっと納得してくださる事でしょう。【擬人化】が発動したあとは食べた分だけ働いてもらいますから! 転移も収納も便利ですからね。コストは掛かりますがその分メリットも十分見込めます」
「わくわくですね!」
「はい~。早くもわたくしに後輩ができました~」
エルもユグも一緒になって宝箱を撫でている。
「何だかもう既に掛けられている期待が大きいけど。とりあえずよろしくね」
歓迎の意味も込めて僕も宝箱の縁を撫でる。すると急激に重量が増した。
「わわっ」
ドシリと地面を抉る重さになった宝箱はカタカタと動き出す。
「いけません、さっそくご飯を与えないと! 大事なものが盗まれる前に!!」
「スキルリンクです!」
アイギスの能力を共有して、宝箱に魔力を食べさせていく。
この作業を延々と繰り返さないといけないのか。大変だ……!
「これまでの流れでいくと、【擬人化】には四ヵ月ほど掛かりますから……」
「食事が昼間だけとは限らん。寝ずの番も必要になるぞ」
「……仲間が増えて嬉しい事ばかりではないようですね。ご主人様」
「が、頑張ろう! うん。きっと何とかなるよ!」
ちょっと先行き不安だけど。かなり不安だけど。
ライブラさんの言う通り、この先必要な仲間なんだ。
「……ますた、おなかへった」
「あらら、こちらにも食いしん坊さんがいらっしゃいましたね~」
「僕たちもご飯にしようか」
エルが両手を広げて、テクテクと駆け寄ってくる。
僕もそれに応じて飛びついてきた身体を支えてあげる。
峡谷での戦いも無事に決着が付いたようで。
ロストワイバーンの大きな反応も消えた事を確認した。
「いっぱい歩きました!」
「おかえり。無事でなによりだよ」
エルの後ろには宝箱を抱えたコクエンとユグが。
ライブラさんは、得意げな表情で羽ばたいていた。
初めての部隊分けは成功したと言っていい。
今後も何度かこういう機会が訪れるはずだ。いい経験になったと思う。
「私様たちは見事に盗人を捕まえて、同時にアイちゃんを救い出しました。任務達成ですよ」
「ほう」
「ほうとは何ですか!? ティアマトの尻拭いをしてあげたのですよっ! 感謝ぐらいしたらどうです! ロロアさんを連れ回して挙句フロアボスに手を出して。貴女はトラブルメーカーですか!?」
「まぁまぁ、無事に終わったのですから~」
顔を真っ赤にして怒るライブラさんをユグがなだめている。
騒がしいなと、ティアマトさんが早足でその場から離れていた。
「あの……ご主人様」
甘えてくるエルをめいっぱい撫でていたらコクエンが。
フードを脱いで、艶のある黒髪に隠れた二本の角が煌めく。
「コクエンもお疲れ様。アイギスを助けてくれてありがとう」
「あっ、はいっ!」
控えめにこちらに身体を傾けてきたので、ゆっくりと背中を撫でる。
すると目を細めて、身体を震わせて喜んでくれた。正解だったみたいだ。
「ご主人様……」
コクエンもエルと似て甘えたがりなのかな。あまり欲を口に出す子じゃないから。
僕の方から気付いてあげて色々と褒めてあげないと。不公平感が出てきてしまう。
「おー、はやい」
逆に欲を発散するのが得意なトロンは、後ろで運搬ゴーレムで遊んでいた。
みんなを待っている間、暇潰しにずっと運転している。曲がり道も完璧だ。
「……いつの間にトロちゃんは運搬ゴーレムの操縦をマスターしたのです? 起動させるにも専門知識が必要なはずですが……!」
「ライブラさんのを見て覚えたらしいよ。優れた観察眼だよね」
「そんな馬鹿な……! あののんびり屋のトロちゃんが、簡単に真似できるものではないのに。私様の唯一無二のポジションがっ!」
ライブラさんは衝撃を受けているけど。トロンは以前から器用万能な子だった。
「ロロア様、こちらの盗人様をお預けしますね~。今は大人しいですが、暴れん坊ですのでお気をつけくださいませ~」
「うん。新しい仲間候補として僕が預かっておくね」
動かなくなった宝箱は中が空のように軽い。
眠っている間だけは重量を感じないみたいだ。
この子は国宝級には届かないので、しばらくはこのまま。
「しかし、移動中に目を覚まされると面倒だぞ。ゴーレムのパーツを喰われるやもしれん」
それは困る。空中分解したらみんな真っ逆さまだ。
「その都度食事を与えればいいのです。アイちゃんのスキルリンクがあります」
「構わないが、アイギスの帰還が遠のくぞ。神話級の魔力も無尽蔵ではないのだからな。我は主人を守らねばならぬから無駄な魔力は差し出せんぞ」
宝箱の食事に使う魔力量が膨大なだけに、持ち運ぶのも大変だ。
「むむ……そこは、アイちゃんもきっと納得してくださる事でしょう。【擬人化】が発動したあとは食べた分だけ働いてもらいますから! 転移も収納も便利ですからね。コストは掛かりますがその分メリットも十分見込めます」
「わくわくですね!」
「はい~。早くもわたくしに後輩ができました~」
エルもユグも一緒になって宝箱を撫でている。
「何だかもう既に掛けられている期待が大きいけど。とりあえずよろしくね」
歓迎の意味も込めて僕も宝箱の縁を撫でる。すると急激に重量が増した。
「わわっ」
ドシリと地面を抉る重さになった宝箱はカタカタと動き出す。
「いけません、さっそくご飯を与えないと! 大事なものが盗まれる前に!!」
「スキルリンクです!」
アイギスの能力を共有して、宝箱に魔力を食べさせていく。
この作業を延々と繰り返さないといけないのか。大変だ……!
「これまでの流れでいくと、【擬人化】には四ヵ月ほど掛かりますから……」
「食事が昼間だけとは限らん。寝ずの番も必要になるぞ」
「……仲間が増えて嬉しい事ばかりではないようですね。ご主人様」
「が、頑張ろう! うん。きっと何とかなるよ!」
ちょっと先行き不安だけど。かなり不安だけど。
ライブラさんの言う通り、この先必要な仲間なんだ。
「……ますた、おなかへった」
「あらら、こちらにも食いしん坊さんがいらっしゃいましたね~」
「僕たちもご飯にしようか」
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