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9話 馬鹿と再会
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「兄ちゃんこっちだよ。ここに冒険者たちがたむろしているんだ!」
勇敢な男の子であるロク(後で聞いた)に案内されて森の中に戻って来る。
魔物が出没する森に、子供を連れ出すのはマズいのだが彼には土地勘がある。
鬱蒼と茂った草木をかきわけると、ダンジョンが目の前に現れる。
この場所に既視感があった。
「……ここは、そうか。ミノタウロスが出てきた穴か。元々あったダンジョンなんだな」
「えっ、そんな魔物まで出てきたのか!? 早く村の皆に知らせないと……!」
「大丈夫です! マスターがささっと退治しましたから!」
「えぇ!? 兄ちゃんそんなに強いの!? 本当!?」
「マスターは誰よりも強いのです。フランのマスターなのですから当然です。えっへん」
ロクが尊敬の眼差しを向けてくる。俺は子供に足を蹴られて悶絶していた男だぞ?
全部フランのおかげなんだが。本人がそう言うのであればそういう事にしておこう。
人に説明するのに魔剣の話は出し辛いからな。俺がやったと言う方が誤魔化しやすい。
「それでどうするの? 兄ちゃんが追い出してくれるの?」
「そうだな……フラン。魔物の気配とかわかるか? いつもやってるやつ」
「――獣型の魔物が二匹。それ以外は人……人間がいます。争ってはいないみたいです」
「そんな事がわかるんだ!? フラン姉ちゃんも兄ちゃんもすげぇ!!」
「これでも”元”冒険者だからな。ただ頭の悪い暴力を振るうのが冒険者じゃないんだぞ?」
素人の前で威張ってしまったが。俺は現役時代からずっと素人なんだが。
子供の前では強がるのが大人の仕事だからな。実はちょっと怖いのは内緒だ。
入り口周辺に罠がないか確かめる。
今は手持ちに回復薬が無いので怪我は負いたくない。
安全を確認したのちに、ロクにお礼を告げる。
「案内助かった。ここから先は危険だから村に戻った方がいい」
「え、なんで? オレもついていくよ! 荷物持ちくらいするし!」
「相手は魔物を操る冒険者だぞ。俺は俺の事で精一杯だし君を守ってやれる自信はない」
フランの探知能力のおかげで確信が付いた。
このダンジョンには魔物と人間の気配があり。お互い争う気配はない。
スキルの中に【調教師】と呼ばれる魔物を使役する力がある。
村に魔物が現れ、それを退治したという冒険者。
それからしばらくして再び魔物が現れ……全てが連中の自作自演だ。許されない行為だ。
俺は臆病者だが、それでも冒険者だったんだ。困っている人を助けたいという信念はある。
そしてなにより、冒険者を穢す連中に怒りがこみ上げているんだ。
「兄ちゃん、頼むよ。オレ、かあちゃんの宝物を取り返したいんだ」
「宝物?」
「お守りなんだけど、奪われたんだ。もしかしたらもう売られているかもしれないけど……アイツらがまだ持ってるかもしれない……」
「……そうか」
俺にはそのお守りの事はわからないし。見逃す可能性もある。
大事な物を取り返したい、か。危険だが、それでも連れていく理由にはなる。
「お前も男だな――フラン。この子の事を頼めるか?」
「わかりました! 私がお守りします!」
「……兄ちゃんに姉ちゃんもありがとう!」
三人でダンジョンの中を進んでいく。
少し奥に入ると、壁に松明が掛けてあった。
あまり深くないのかすぐに終点のドアの前に辿り着く。
「ははは、村を脅すだけでこんなに簡単に金が手に入るとはな!」
「真面目に冒険者やってるのが馬鹿らしいぜ。さて、今度は酒でも貰ってくるかな」
「あーくそっ尻の火傷がいてぇ。カイルの野郎、何処に行ったか知らんが次会ったらぶっ殺してやる!」
ドアの向こうで男たちの笑い声が聞こえてくる。
ん? 今、俺の名前を出していなかったか。声にも聞き覚えがある。
「――そこまでだ、お前たち。不当な手段で奪った財産を村の人たちに返してもらうぞ!」
勢いよく蹴り開けて中に突入する。
男が三人。侵入者に驚いて慌てて装備を手にしていた。
「げ、カイルに、剣を持った餓鬼!? どうしてここに!?」
「……それはこっちの台詞だ。尻が燃えて反省したと思ったんだがな。まだ足りなかったのか」
以前フランベルクを奪おうとした、Eランク冒険者リーカスとその取り巻きだ。
前々から碌でもない奴らだったが、それでも頭が悪いだけで一線は越えていないと思っていたんだが。
もう随分と前から悪党に堕ちていたんだな。
「み、見られたからには逃がしはしない。今度は本気でぶっ殺してやるよ!!」
「そうだそうだ。ついでにその高そうな剣も奪ってやる」
「リーカスさん、やっちまいましょう!」
威勢は良いが連中の足が震えている。
前回ボッコボコにされたのが効いているのか。
コイツらの怯えた姿を見ていたら余裕が出てきた。
「次は尻がなくなるかもな? 怒らせた【ぼっち】を舐めんなよ」
勇敢な男の子であるロク(後で聞いた)に案内されて森の中に戻って来る。
魔物が出没する森に、子供を連れ出すのはマズいのだが彼には土地勘がある。
鬱蒼と茂った草木をかきわけると、ダンジョンが目の前に現れる。
この場所に既視感があった。
「……ここは、そうか。ミノタウロスが出てきた穴か。元々あったダンジョンなんだな」
「えっ、そんな魔物まで出てきたのか!? 早く村の皆に知らせないと……!」
「大丈夫です! マスターがささっと退治しましたから!」
「えぇ!? 兄ちゃんそんなに強いの!? 本当!?」
「マスターは誰よりも強いのです。フランのマスターなのですから当然です。えっへん」
ロクが尊敬の眼差しを向けてくる。俺は子供に足を蹴られて悶絶していた男だぞ?
全部フランのおかげなんだが。本人がそう言うのであればそういう事にしておこう。
人に説明するのに魔剣の話は出し辛いからな。俺がやったと言う方が誤魔化しやすい。
「それでどうするの? 兄ちゃんが追い出してくれるの?」
「そうだな……フラン。魔物の気配とかわかるか? いつもやってるやつ」
「――獣型の魔物が二匹。それ以外は人……人間がいます。争ってはいないみたいです」
「そんな事がわかるんだ!? フラン姉ちゃんも兄ちゃんもすげぇ!!」
「これでも”元”冒険者だからな。ただ頭の悪い暴力を振るうのが冒険者じゃないんだぞ?」
素人の前で威張ってしまったが。俺は現役時代からずっと素人なんだが。
子供の前では強がるのが大人の仕事だからな。実はちょっと怖いのは内緒だ。
入り口周辺に罠がないか確かめる。
今は手持ちに回復薬が無いので怪我は負いたくない。
安全を確認したのちに、ロクにお礼を告げる。
「案内助かった。ここから先は危険だから村に戻った方がいい」
「え、なんで? オレもついていくよ! 荷物持ちくらいするし!」
「相手は魔物を操る冒険者だぞ。俺は俺の事で精一杯だし君を守ってやれる自信はない」
フランの探知能力のおかげで確信が付いた。
このダンジョンには魔物と人間の気配があり。お互い争う気配はない。
スキルの中に【調教師】と呼ばれる魔物を使役する力がある。
村に魔物が現れ、それを退治したという冒険者。
それからしばらくして再び魔物が現れ……全てが連中の自作自演だ。許されない行為だ。
俺は臆病者だが、それでも冒険者だったんだ。困っている人を助けたいという信念はある。
そしてなにより、冒険者を穢す連中に怒りがこみ上げているんだ。
「兄ちゃん、頼むよ。オレ、かあちゃんの宝物を取り返したいんだ」
「宝物?」
「お守りなんだけど、奪われたんだ。もしかしたらもう売られているかもしれないけど……アイツらがまだ持ってるかもしれない……」
「……そうか」
俺にはそのお守りの事はわからないし。見逃す可能性もある。
大事な物を取り返したい、か。危険だが、それでも連れていく理由にはなる。
「お前も男だな――フラン。この子の事を頼めるか?」
「わかりました! 私がお守りします!」
「……兄ちゃんに姉ちゃんもありがとう!」
三人でダンジョンの中を進んでいく。
少し奥に入ると、壁に松明が掛けてあった。
あまり深くないのかすぐに終点のドアの前に辿り着く。
「ははは、村を脅すだけでこんなに簡単に金が手に入るとはな!」
「真面目に冒険者やってるのが馬鹿らしいぜ。さて、今度は酒でも貰ってくるかな」
「あーくそっ尻の火傷がいてぇ。カイルの野郎、何処に行ったか知らんが次会ったらぶっ殺してやる!」
ドアの向こうで男たちの笑い声が聞こえてくる。
ん? 今、俺の名前を出していなかったか。声にも聞き覚えがある。
「――そこまでだ、お前たち。不当な手段で奪った財産を村の人たちに返してもらうぞ!」
勢いよく蹴り開けて中に突入する。
男が三人。侵入者に驚いて慌てて装備を手にしていた。
「げ、カイルに、剣を持った餓鬼!? どうしてここに!?」
「……それはこっちの台詞だ。尻が燃えて反省したと思ったんだがな。まだ足りなかったのか」
以前フランベルクを奪おうとした、Eランク冒険者リーカスとその取り巻きだ。
前々から碌でもない奴らだったが、それでも頭が悪いだけで一線は越えていないと思っていたんだが。
もう随分と前から悪党に堕ちていたんだな。
「み、見られたからには逃がしはしない。今度は本気でぶっ殺してやるよ!!」
「そうだそうだ。ついでにその高そうな剣も奪ってやる」
「リーカスさん、やっちまいましょう!」
威勢は良いが連中の足が震えている。
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