無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

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3章 空中都市編

イメージの力

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 神に人間の攻撃が当たらないだって?
 まさか、そもそも勝ち目がないとは思わなかった。

「春陽、そのためにボクがいるんだよっ! 」
 セレスティアは久しぶりにドヤ顔をカマしている。

「……? つまりどうにかできるってことか? 」
「うん、それはその時がきたら伝えるねっ 」
「え? 気になるんだけど 」
「えっとね、口では説明できないんだけど、簡単にできることでもないんだっ 」

 そういう事情があるなら仕方がない。
 その辺はセレスティアに任せるか。

 実のところ今日、セレスティアにはノクティス様とここで残ってくれと話すつもりでいた。
 あんなに心配している兄を見て、何も思わないわけがない。
 だが彼女は神を殺すを知っている、つまり魔族の神を倒すにはセレスティアがいないといけないということになる。

「そうか、ということは魔族の神を倒す時が『その時』になるわけだな 」
「そういうことっ! だからボクのことは置いていかせないよ~っ!  」
「なんだ、分かってたのか 」
「当たり前だよ~! ボクを誰だと思ってんのさ~? 」
「……そりゃそうか 」

 言うまでもなく神様にはお見通し、ということか。
 しかしセレスティアがこんなに鋭いとは思わなかったな。

「春陽、そろそろ寝る? 」
 そういってセレスティアはベッドで横になり、ポンポンと布団を叩いている。
 これはまるで男が夜ベッドに誘う時の『こっちこいよ(イケボ)』というやつだ。
 と、ツッコミたい気持ちは置いといて、
「……いや、ちょっと『パージ』ってやつをな、使えるのか試そうかなって 」

 と言うと、先程まで自分なりにお色気ムードを出していたセレスティアが、壁に背が当たるまで後ずさって、「ボ、ボクを消そうってのかいっ!? 」と目に涙を浮かべている。

 あ、そうか。
 神に対して不謹慎にあたるな。
「あ、いやいや外で! 外で試そうかなって。 俺さ魔力を取り込んだら魔法のイメージができるだろ? 『パージ』もイメージできるかなと! 」

 ほっと胸を撫で下ろしたセレスティアは、「そっか。 じゃあボクは先に寝るね。 おやすみ~ 」
 そう言って、自分の空間へ戻っていった。

 じゃあ俺はちょっと外で魔力と対話をしてみますか。


 ◇


 外は少し肌寒い。
 この世界も現実世界と同様に時間が、日付が進んでいっている。
 外はもう現実世界でいう秋頃だ。
 しかし気温も日本が基準となっているのか、ちょうど過ごしやすい。

「さて、パージか……えっとたしか浄化みたいな意味だったか  」
 俺は神を浄化するイメージで魔力を身体に取り込んだ。

 そうすると脳に情報が流れてくる。
 こうやって戦ってない時にのんびり魔力を取り込むのは初めてだったな。
 だからなのか、いつもより明確なイメージが脳に複写される。

 そこに映るのは、横になっている人物……性別や容姿は全く分からない。
 何か光のようなもので包まれているからだ。
 放たれている光はその人物を照らし、徐々に光は強くさらに濃く広がっていく。
 そして人だったものが粒子のように散りばめられ、天へ昇っていった。

 これが『パージ』なのか?
 なんというか暖かい光だった。
 きっとあの人物は神だったのだろう。
 あれは取り込んだ魔力がみせた過去の出来事なのか、とっさに創り出したものなのかは分からないがきっと俺も使える、そんな確信を抱かせてくれた。

 ……!?
 待てよ、こんなにもイメージが明確なら、魔族の殺し方だって……。

 ゴクリッ───
 一気に緊張が走る。
 正直今の情報や戦力だけではエレナを助けることができないと思う。
 ここでもし、なんらかの方法が見つかれば……。

 俺は両手の平を擦り合わせ、神に願った。
 もちろんこの世界の神にというわけではない。
 これは日本の風習みたいなもんだ。
 昔から何かあれば手を合わせて神にお願いしていたな。
 そう現実世界を懐かしむことで心を落ち着かせ、俺は魔力を取り込んだ。
 できるだけ魔族を圧倒するイメージ……もう手も足も出ないくらい。
 少しくらい大袈裟にした方がいい魔法が脳になだれ込むかもしれないと思って。

 そう思っていると、脳にまた映像が流れてきた。

「これは……!? 」
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