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4章 ナイトフォール編
ナイトフォールへの行き方
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「さぁみんな!! 飲んで食べて騒いじゃって~! 」
ワインが入っているグラスを片手に、顔を赤く染めたアリアが大きな声でそう騒いでいる。
そんな彼女からはお酒の匂いがしてきた。
本来アリアがオジサンなのであればこれを『酒臭い』というのだろうが、彼女の場合お酒の臭いをはるかに凌駕するほどの甘い桃の香りが身体中からするため、全く気にならない。
むしろ、その甘い彼女特有の匂いで俺とカイルはドキドキしている。
女性からはいい匂いがするとは言うが、本当なんだな。
「なんらぁ……? 君たち! ボクが入れたお酒がろめないってのかぁ? 」
いつもフラフラと飛んでいるセレスティアが、いつもの10倍は揺れながら寄ってくる。
こいつも顔が真っ赤だ。
そしてお酒の臭いがすごい。
これだ、『酒臭い』ってのは。
しかし神様は皆酒に弱いのか。
「いや俺ら未成年だし…… 」
カイルもミアも引いているじゃないか。
でもこんなに美味しそうな料理が並んでいるのは嬉しい。
とはいえ、もうかなり食べたので満腹だ。
「はぁぁ、食った食ったぁ! 」
満腹そうにお腹を叩いているカイルを見て、
「カイルくん食べすぎでしょ…… 」
ミアは注意している。
そしていつの間にか神様2人は酔いも回ったのかぐったりとしている。
おいおい、大事な話はどうしたよ……。
まぁ今日しなければならないほど急ぎではないが。
「でもさ、ナイトフォールってどこにあるんだろう……。 名前は噂話でよく聞いたから知ってたけど、まさか本当に存在するなんて…… 」
「ミア、まだ怖がってるのか? 俺たちはエレナお嬢を助けるんだろ? 」
「うん、もちろんわかってる。 だからもう怖くない。 ただどうやって行くんだろうって思っただけ…… 」
ノクティス様はアリア様に聞けば分かると言っていた。
急いではいるが、行き方が今分かったとして、もう夜も遅い。
今から行けるわけではないし明日にでも聞こう。
「ナイトフォール……行きたいのかい? 」
少し具合が悪そうに見えるが、アリアは真剣な顔をしている。
「アリア様!? 起きたんですか? 」
「えぇ、ナイトフォールって聞こえてね 」
「アリア様、どうやったらナイトフォールに行けるんですか? 」
俺の問いに対して、ニヤリと不気味な笑みを浮かべて、
「それに答える前に君たちを試させてもらうよ 」
そう言ってきた。
ナイトフォールへ行くにはそれなりの覚悟がいるということか。
それをこの神は試そうとしている。
確かにこのくらい超えられないと、魔族を倒そうなんざ無理な話ってことだ。
すると、アリアは俺たち3人順番に視線を合わせてきた。
そして頭の先から足の先まで舐め回すかのようにジロジロと見てくる。
美人なだけにドキドキするな……。
3人を見たあと、その視線はミアに向いた。
「え……私……ですか? 」
ミアはオロオロと不安そうな様子だ。
アリアは再びニヤリと笑みを零し、彼女に近づいた。
「ミアちゃん……っていったっけ? 君、いいもの持ってるね 」
完全にヤバいやつのセリフだ。
そしてミアも顔が青ざめ、視線の置き場も分からないといったように黒目があっちこっち移動している。
こうして容疑者と被害者のような絵面が生まれた。
横槍を入れるのは申し訳ないが、ミアも困っていることだし俺は助け舟を出すことにした。
「あの、アリア様…… 」
「ちょっと君は黙っててもらえるかな 」
この豪邸に入る前に垣間見たアリア様の怒気が籠った笑顔と金属音を思い出して、一歩引いてしまった。
また怖い笑顔浮かべてるよ……。
「ナイトフォールってのはね、自力では行けないのよ 」
俺はアリアが発した言葉の意味が分からなかった。
それは俺だけではなく、カイル、ミアもピンときていないようだ。
少し沈黙が続いていたが、未だに目が合って気まずいことも含めてかミアがまず口を開いた。
「あの……つまりどういうことですか? 」
「ミアちゃんなら一言で伝わるかな? 闇の精霊に頼むのっ! 」
ミアの顔が再び青ざめていく。
そして助けてと言わんばかりにこちらを見てくるが、ごめんなさい……まだ状況が読めてません。
ワインが入っているグラスを片手に、顔を赤く染めたアリアが大きな声でそう騒いでいる。
そんな彼女からはお酒の匂いがしてきた。
本来アリアがオジサンなのであればこれを『酒臭い』というのだろうが、彼女の場合お酒の臭いをはるかに凌駕するほどの甘い桃の香りが身体中からするため、全く気にならない。
むしろ、その甘い彼女特有の匂いで俺とカイルはドキドキしている。
女性からはいい匂いがするとは言うが、本当なんだな。
「なんらぁ……? 君たち! ボクが入れたお酒がろめないってのかぁ? 」
いつもフラフラと飛んでいるセレスティアが、いつもの10倍は揺れながら寄ってくる。
こいつも顔が真っ赤だ。
そしてお酒の臭いがすごい。
これだ、『酒臭い』ってのは。
しかし神様は皆酒に弱いのか。
「いや俺ら未成年だし…… 」
カイルもミアも引いているじゃないか。
でもこんなに美味しそうな料理が並んでいるのは嬉しい。
とはいえ、もうかなり食べたので満腹だ。
「はぁぁ、食った食ったぁ! 」
満腹そうにお腹を叩いているカイルを見て、
「カイルくん食べすぎでしょ…… 」
ミアは注意している。
そしていつの間にか神様2人は酔いも回ったのかぐったりとしている。
おいおい、大事な話はどうしたよ……。
まぁ今日しなければならないほど急ぎではないが。
「でもさ、ナイトフォールってどこにあるんだろう……。 名前は噂話でよく聞いたから知ってたけど、まさか本当に存在するなんて…… 」
「ミア、まだ怖がってるのか? 俺たちはエレナお嬢を助けるんだろ? 」
「うん、もちろんわかってる。 だからもう怖くない。 ただどうやって行くんだろうって思っただけ…… 」
ノクティス様はアリア様に聞けば分かると言っていた。
急いではいるが、行き方が今分かったとして、もう夜も遅い。
今から行けるわけではないし明日にでも聞こう。
「ナイトフォール……行きたいのかい? 」
少し具合が悪そうに見えるが、アリアは真剣な顔をしている。
「アリア様!? 起きたんですか? 」
「えぇ、ナイトフォールって聞こえてね 」
「アリア様、どうやったらナイトフォールに行けるんですか? 」
俺の問いに対して、ニヤリと不気味な笑みを浮かべて、
「それに答える前に君たちを試させてもらうよ 」
そう言ってきた。
ナイトフォールへ行くにはそれなりの覚悟がいるということか。
それをこの神は試そうとしている。
確かにこのくらい超えられないと、魔族を倒そうなんざ無理な話ってことだ。
すると、アリアは俺たち3人順番に視線を合わせてきた。
そして頭の先から足の先まで舐め回すかのようにジロジロと見てくる。
美人なだけにドキドキするな……。
3人を見たあと、その視線はミアに向いた。
「え……私……ですか? 」
ミアはオロオロと不安そうな様子だ。
アリアは再びニヤリと笑みを零し、彼女に近づいた。
「ミアちゃん……っていったっけ? 君、いいもの持ってるね 」
完全にヤバいやつのセリフだ。
そしてミアも顔が青ざめ、視線の置き場も分からないといったように黒目があっちこっち移動している。
こうして容疑者と被害者のような絵面が生まれた。
横槍を入れるのは申し訳ないが、ミアも困っていることだし俺は助け舟を出すことにした。
「あの、アリア様…… 」
「ちょっと君は黙っててもらえるかな 」
この豪邸に入る前に垣間見たアリア様の怒気が籠った笑顔と金属音を思い出して、一歩引いてしまった。
また怖い笑顔浮かべてるよ……。
「ナイトフォールってのはね、自力では行けないのよ 」
俺はアリアが発した言葉の意味が分からなかった。
それは俺だけではなく、カイル、ミアもピンときていないようだ。
少し沈黙が続いていたが、未だに目が合って気まずいことも含めてかミアがまず口を開いた。
「あの……つまりどういうことですか? 」
「ミアちゃんなら一言で伝わるかな? 闇の精霊に頼むのっ! 」
ミアの顔が再び青ざめていく。
そして助けてと言わんばかりにこちらを見てくるが、ごめんなさい……まだ状況が読めてません。
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