無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

文字の大きさ
92 / 129
4章 ナイトフォール編

ダークオーダー再び

しおりを挟む
 その魔族たちは俺たちを見ることなく、会話を繰り広げた。 

「へぇ、ここがナイトフォール? って遺跡じゃん! 」
「ドレア兄さん、あまり騒がないよ 」
「なんだレイズ、お前は外に出れて嬉しくないのか? 」
「そうは言ってないけど、場をわきまえないと 」

「2人とも静かにしろ。 目の前にターゲットがいる  」
 
 明らかに魔族といった見た目の青髪双子美青年と、エレナを拐った張本人、第二席『ゾルガン』だ。

 マズイ!マズイ!マズイ!マズイ!
 ゾルガンだけでお手上げというのに、さらにダークオーダーであろう双子までいるなんて。
 いくらノクティス様の神技を引き継いだとて、勝てる見込みがなさすぎる。 

「仕方ない。 ゾルガンもそう言ってるわけだし、まずはお仕事をしますかっ! ……って誰殺すんだっけ?  」

「ドレア兄さん、ゼフィールでしょ  」

「黙って仕事しろ  」

「はいはいーっ! ゾルガンほんとうるさいっ!  」

「ドレア兄さんが悪いと思うけど  」

 未だ俺たちを見ず、好き勝手話している。
 この人数を相手に味方を守りながら戦えるだろうか。
 ヤバいぞ!ヤバいぞ!どうしたら……。

 そんな時右肩をポンッと叩かれた。

「春陽、背負すぎだ! 難しい顔してたぞ。 お前のことだ! どうやってみんなを守ろうか、なんてことでも考えていたのだろ? あの双子くらいなら俺たちでもどうにかなるだろう! 」

「いや、カイル! ダークオーダーは今までの敵とは……  」

 続いて左肩にも同じ感覚が走った。

「春陽さん、いつでも頼ってくださいって言ったじゃないですか。 もう私は春陽さんに守られるだけじゃ嫌なんです 」

 すると、突然地響きが起こって、

「レイズ、今あの人間さ、双子くらいならとか言ってたよなぁ! 」
「ドレア兄さん、あぁたしかに僕もそう聞こえたよ 」
「なぁレイズ、あの2人俺らで殺しちまおうぜ 」
「いい考えだね兄さん、邪魔者を排除するのも大事な仕事だよ 」

 向こうはカイルの言葉に怒りを覚えたようで、戦闘準備満タンのようだ。

「ミア、手筈通りに行くぞ 」
「わかった! 」

「ちょっと! 2人とも! 」

 ミアとカイルは俺の声が聞こえてないかのように、ことを進めている。

「ミッドナイト! お願い! 」

 その掛け声と同時に、

 (ミア、もう待ちくたびれたわ )

 双子美青年の足元からミッドナイトは現れ、闇のエネルギーで2人を覆い始めた。

「な、なんだ!? 」
「兄さん、これ攻撃じゃない! 転移だよ 」

 双子は抵抗しようともしておらず、ミッドナイトを見ようともしていない。
 というかそもそも視えていないような素振りをしている。
 あ、もしかして視えていない?
 たしか神に分類されるものか、精霊魔法使いにしか視えないんだっけか。

「逆転移! 」

 ミアのその合図で、双子は自らを覆っている闇と共に姿を消した。
 それと同時に、ミアも闇に包まれていく。

「ミアッ!!! 」

 そう呼ぶと、彼女はニッコリと微笑みかけてきて、
「春陽さん、無事に帰ってきたら……よしよししてくださいね? 」
 そのまま姿を消していった。

「春陽! 」

 直後、後ろから名を呼ばれ、振り向いた。

「心配いらん! 俺もミアも無事に帰ってくる! 」

「カイル……  」

 今はもう彼の言葉を……いや、2人のことを信じる他ない。

「あの双子は任せた! 」

 覚悟を決め、カイルにそう伝えた。

「あぁ、春陽も気をつけろよ! 時空間魔法【 ジャンプシフト 】」

 時空間魔法?
 カイルってたしか空間魔法とかじゃなかったっけ?
 ……あ、そうだ、神技で潜在能力を向上させたんだった。
 いや、それでも勝てるのか……いや、今さっき信じるしかないって決めたばっかだろ。
 俺は目の前の敵に集中だ。

 にしてもゾルガンが全く動かないでいる。
 あいつの力ならおそらくミアの逆転移だって止めれたんじゃないか?
 それをしなかったのはなぜだろう。

「仲間の双子が転移されたけどいいのか? 」

 そう聞くと、やつは無表情のまま答えた。

「仮にもダークオーダー第九席と十席だ。 それに、俺は仕事を全うするのみ 」

 仕事というのは、ゼフィールを殺すとか言ってたことか。

 そのゼフィールはというと、恐怖の表情に染まり、さっきから動けていない。

「おい、ゼフィール! 2人であいつを倒すぞ 」

「……!! 悪いな、少し臆してしまっていた。 だがもう大丈夫だ。 俺も戦う! 」

 まだ少し表情が硬いが、戦う意志は見せてくれた。

「ゼフィール、来るぞっ! 」

 そして今、ダークオーダーとの戦いが始まる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

妹と歩く、異世界探訪記

東郷 珠
ファンタジー
ひょんなことから異世界を訪れた兄妹。 そんな兄妹を、数々の難題が襲う。 旅の中で増えていく仲間達。 戦い続ける兄妹は、世界を、仲間を守る事が出来るのか。 天才だけど何処か抜けてる、兄が大好きな妹ペスカ。 「お兄ちゃんを傷つけるやつは、私が絶対許さない!」 妹が大好きで、超過保護な兄冬也。 「兄ちゃんに任せろ。お前は絶対に俺が守るからな!」 どんなトラブルも、兄妹の力で乗り越えていく! 兄妹の愛溢れる冒険記がはじまる。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

処理中です...