深淵の調教 続ある調教物語

あさき のぞみ

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演じさせる

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萱野が最初に「駒」として選んだ男は、**小山(こやま)**という名の、元路上生活者だった。
小山は、元々が寡黙で無口な人間だった。しかし、その眼差しの奥には、並々ならぬ知性と洞察力が宿っていることを、萱野は見抜いていた。経歴を聞けば、以前は小さな会社を経営していたこともあるやり手だったという。育美の美人局で一度はすべてを失い、絶望の淵にいた萱野とは、どこか共通する**「闇」**を感じさせる男だった。
(こいつは使える)
萱野は、小山の秘められた能力と、その寡黙さゆえに**「役を演じさせる」**のに都合が良いと判断した。
萱野は、彼を自らが立ち上げた人材派遣会社の副社長として働かせ始めた。もちろん、表向きの肩書きだ。彼の本当の役割は、萱野の復讐計画の最前線で動く手駒となることだった。
小山への「調教」は始まった。まずは、身なりを整えさせ、立ち居振る舞いを修正する。そして、萱野の復讐計画の全体像を徐々に明かし、彼をその計画の重要な一部として組み込んでいった。小山は、かつての自分の人生を取り戻すかのように、萱野の指示を忠実に実行し始めた。
その一方で、萱野はもう一つの**「駒」**を見つけ出していた。
それは、とある風俗店で働くみすずという名の女だった。彼女は華やかだが、どこか影のある美しさを持ち、HIVに感染しているという秘密を抱えていた。
萱野は、小山とみすずを巧妙に引き合わせ、小山がみすずに**「好意」を抱くように仕向け始めた。小山にとって、みすずは失われた人生の中で初めて現れた「光」**のように映るだろう。
もちろん、みすずがHIVに感染しているという、最も重要な事実は、小山には一切伏せられたままだった。
萱野の復讐という名の舞台は、静かに幕を開けようとしていた。
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