「俺、女子高生になります

あさき のぞみ

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文化祭

第46話 担任の行動と報告

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翌日。

ホームルームの時間。

美緒が、スケッチブックを持って教壇の前に立った。

「田中先生、文化祭のメイド服のデザインができました」

「あら、もう? 早いわね」

田中先生が、スケッチブックを受け取る。

ページを開く。

そこには――

普通のメイド服のデザイン。

膝丈のスカート。

控えめな胸元。

校章の刺繍。

「……」

教室中が、静まり返る。

田中先生は、じっくりとデザインを見ている。

数秒の沈黙。

そして――

「いいんじゃない? 可愛いわね」

あっさりと、OKを出した。

「本当ですか!」

「ええ。品があって、学校らしいデザインだと思うわ」

田中先生は、スケッチブックを返した。

「校章も入れてくれて、ありがとう」

「いえいえ!」

美緒は、満面の笑みで席に戻った。

「やった……」

小さな声で、呟いている。

私は――

呆然としていた。

『こんなに簡単に……?』

確認は、それだけ。

細かいサイズも聞かない。

実物を見せてもらうとも言わない。

ただ、デザイン画を見て――

「いいんじゃない?」

それだけ。

田中先生は、放任主義という名のもとの、何もしない人だった。

生徒の自主性といって、全てをほぼ自由にさせていた。

普段は、それが良いところだと思っていた。

生徒を信頼してくれている。

自分たちで考えて、行動できる。

でも、今は――

『ちゃんと確認してほしい……』

そう思った。

実物を見てもらえれば、あの短いスカートに気づくはずだ。

胸を強調するデザインにも、気づくはずだ。

そうしたら、止めてくれるかもしれない。

でも、田中先生は何も言わない。

何もチェックしない。

「みんな、頑張ってね」

それだけ言って、職員室に戻っていった。

「……」

桜井さんが、こちらを見て微笑んだ。

まるで、『計画通り』と言っているような笑顔。

「よし、これで大丈夫だね!」

高橋さんが、拳を上げた。

「家庭科部に、本当のデザイン渡そう!」

「了解!」

話は、どんどん進んでいく。

私と近藤さんは――

ただ、黙って見ているだけだった。

-----

放課後。

家に帰って、報告書を書く。

『11月1日

文化祭のメイド服デザインが決定。
担任教師にも承認された。

しかし、実際に作られているデザインは、
担任に見せたものとは異なる。

より露出の多い、短いスカート丈のデザイン。

生徒たちは、担任の放任主義を利用して、
自分たちの好きなように進めている。

田中先生は、生徒の自主性を尊重するあまり、
細かいチェックをしない。

デザイン画を一度見ただけで、承認した。

これが、女子高生たちのリアルなのかもしれない。
大人の目を巧みにかいくぐって、やりたいことをやる。

ただし、このデザインで文化祭当日を迎えることに、
私自身は非常に不安を感じている。

バレるリスクが、高まる。』

書き終えて、近藤に送信する。

そして――

美山理事長にも、改めて状況を報告した。

件名:文化祭の状況報告

本文:
『美山理事長

文化祭のメイド服デザインが、担任に承認されました。

しかし、実際に作られているのは、
担任に見せたものとは別の、より露出の多いデザインです。

スカート丈:膝上20センチ以上
胸部:強調されるデザイン

担任の田中先生は、放任主義で細かいチェックをしません。
生徒たちは、それを利用しています。

私としては、このデザインで文化祭を迎えることに、
非常に不安を感じています。

タッキングがずれる、偽物の胸がバレる、など
リスクが高まっています。

何か対策をご教示いただけますでしょうか。

斎藤』

送信。

三分後。

返信が来た。

『斎藤様

状況、承知しました。

対策として、以下をお送りします:

1. より強力なタッキング用のテープ
1. より自然に見えるシリコン製の胸パッド
1. 短いスカートでも安心な、ぴったりフィットするショーツ

明日の朝、お届けします。

また、文化祭当日は私も学校に伺います。
理事長として、視察という名目で。

何かあれば、すぐに対応できるようにします。

安心してください。
あなたなら、乗り越えられます。

美山崇子』

「美山さん……」

また、助けてくれる。

いつも、いつも。

「ありがとうございます……」

小さく呟いた。

でも、不安は完全には消えない。

短いスカート。

胸を強調するデザイン。

そして――

桜井さんたちの企み。

『文化祭で、何か仕掛ける』

まだ、それが何なのかわからない。

「……」

窓の外は、もう夜だった。

あと、二週間。

文化祭当日。

その日が、どんどん近づいていく。

美山理事長が来てくれる。

それが、唯一の救いだった。

でも――

それでも、不安は消えなかった。

ベッドに横になる。

目を閉じる。

明日も、学校。

明日も、準備。

そして、二週間後――

運命の日が、やってくる。

「大丈夫……きっと、大丈夫……」

自分に言い聞かせながら、私は眠りについた。

でも、心の底では――

まだ、不安が渦巻いていた。​​​​​​​​​​​​​​​​
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