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第1章 ゼノビア王国編
第18話 魔女の戦い方
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強い日差しが降り注ぐ運動場で相まみえる私とセイラ。突然の決闘にイベントの予感を察したのか、授業中にもかかわらず校舎の窓からは野次馬たちが所狭しと観戦している様子が見て取れた。
「ギブアップしたほうの負け、ということでよろしいかしら?」
右手の拳を左の手のひらに打ち付けながら、セイラが決闘方法を提案してくる。
なんでもありということね。望むところよ。
「そんなヒラヒラな服で戦えるの?」
当然着替えてなどいない。私は常に軽装だからいいが、セイラはドレスのような格好だ。とても戦闘向きには見えない。
だが、それは杞憂だった。セイラは考えられない速度で間合いを詰め、一気に急所を狙ってくる!
「!!」
間一髪。反射的に狙われた箇所に防御魔法を張り、直撃を避けた。だが、
「このくらいのハンデ、まったく問題ありませんことよ!」
次々と連続で拳を繰り出してくる!
速い!!
「くっ!」
私は後退しながら防御魔法で打撃をガードしているが、すぐに追い打ちをかけてくる!
それに、この体捌きとパンチの威力!相当の手練れだ!
「よく見えているようね!だけど!」
「!?」
打撃の質が変わる。魔力を載せたフィニッシュブローだ!この簡易な防御魔法では貫かれる!
「そこよ!」
隙を突かれた!連撃に対応するため魔力のリソースをそっちに集中しすぎた!
鋭い回転を入れた回し蹴りで側頭部を狙われる!
「!!」
なんとかガードしたが、衝撃を吸収しきれない!踏ん張りがきかず、その回し蹴りの一撃は私を校舎の壁まで吹き飛ばした。
「かはっ!」
このティアの体になって初めてかもしれない。これほどのダメージを負ったのは。
激突した背中に直接、高圧の電流を流し込まれたような激痛が走る。肺が軋む。まともに呼吸ができない。脳が揺れて思考がまとまらない。
これは、しんどい!
「さぁ、とどめですわ!」
蹴り飛ばした勢いのまま、セイラが突っ込んでくる。このまま次の一撃を受ければ致命傷だ。
「!?」
だが距離を詰めている途中、なにかを察し、急後退するセイラ。
ちっ。勘のいいやつめ。
「こざかしいマネを……」
私は吹っ飛ばされている途中の道筋に、特殊な魔力を注入したヘドロのような物体をまき散らしていた。追撃をかわすため、ある程度自動で発動するよう、常にセットしてある魔法だ。
このヘドロに触れると、接触面から侵食し、神経系統をマヒさせる強烈な毒素を体内に注入できるという代物だ。毒系統の魔法を私なりにアレンジした特別性だ。
そして、この物理的な距離と時間的な猶予が、天才魔術師である私にとって絶好の好機となる。
「さあ、反撃といきましょうか!」
おなじみの魔力の礫を発動する。今回は相手が相手なので、増量キャンペーンだ。私は頭上に20の強力な白い圧縮された魔力の塊を展開した。そして
「この数、かわせるかしら!」
放つ!空中から流星のごとき超速で、次々とセイラに降り注ぐ礫たち。
「くっ!!」
追いつめられながらも、間一髪全て躱してくるセイラ。それにしてもあの女の反応速度はいったいどうなっているの。
というより、この学園の上級生たちの運動能力の高さは異常だ。入学難易度最高ランクの学園というのも伊達ではないらしい。
しかも隙を見て接近のチャンスまでうかがっているのがわかる。こちらも気を抜けない。
ただ、所詮は子供。
かつて様々な苦難と絶望を乗り越えてきた経験を持つ私にとって、この程度の相手は想定の範囲内。
「えっ?なんで……」
礫の追撃を一旦打ち切り、ゆっくりと状況を呑み込めていないセイラに近づく私。
彼女は、もう動くことはできない。礫はおとり。攻撃と見せかけてさりげなく、誘導していたのだ。校舎の壁際まで。
私のもうひとつのトラップ魔法、大影縛り・シャドウバインドの術中にはまったセイラは、校舎の大きな影と自身の影が重なったところに固定された。
運動場へ向かう道すがら、すでに設置させてもらっていた。勝負というのは、始まる前から結果は決まっているもの。交流会の時はボケっとしすぎて準備を怠ったが、あの経験から、エマの戦いの習性を少しずつ思い出していた。
「勝負ありね」
動きを封じられたセイラに向かい、勝利宣言をする私。さっきはカッとなってしまったけど、冷静さはすでに取り戻している。
さて、彼女には聞かなければならないことがある。
「ギブアップしたほうの負け、ということでよろしいかしら?」
右手の拳を左の手のひらに打ち付けながら、セイラが決闘方法を提案してくる。
なんでもありということね。望むところよ。
「そんなヒラヒラな服で戦えるの?」
当然着替えてなどいない。私は常に軽装だからいいが、セイラはドレスのような格好だ。とても戦闘向きには見えない。
だが、それは杞憂だった。セイラは考えられない速度で間合いを詰め、一気に急所を狙ってくる!
「!!」
間一髪。反射的に狙われた箇所に防御魔法を張り、直撃を避けた。だが、
「このくらいのハンデ、まったく問題ありませんことよ!」
次々と連続で拳を繰り出してくる!
速い!!
「くっ!」
私は後退しながら防御魔法で打撃をガードしているが、すぐに追い打ちをかけてくる!
それに、この体捌きとパンチの威力!相当の手練れだ!
「よく見えているようね!だけど!」
「!?」
打撃の質が変わる。魔力を載せたフィニッシュブローだ!この簡易な防御魔法では貫かれる!
「そこよ!」
隙を突かれた!連撃に対応するため魔力のリソースをそっちに集中しすぎた!
鋭い回転を入れた回し蹴りで側頭部を狙われる!
「!!」
なんとかガードしたが、衝撃を吸収しきれない!踏ん張りがきかず、その回し蹴りの一撃は私を校舎の壁まで吹き飛ばした。
「かはっ!」
このティアの体になって初めてかもしれない。これほどのダメージを負ったのは。
激突した背中に直接、高圧の電流を流し込まれたような激痛が走る。肺が軋む。まともに呼吸ができない。脳が揺れて思考がまとまらない。
これは、しんどい!
「さぁ、とどめですわ!」
蹴り飛ばした勢いのまま、セイラが突っ込んでくる。このまま次の一撃を受ければ致命傷だ。
「!?」
だが距離を詰めている途中、なにかを察し、急後退するセイラ。
ちっ。勘のいいやつめ。
「こざかしいマネを……」
私は吹っ飛ばされている途中の道筋に、特殊な魔力を注入したヘドロのような物体をまき散らしていた。追撃をかわすため、ある程度自動で発動するよう、常にセットしてある魔法だ。
このヘドロに触れると、接触面から侵食し、神経系統をマヒさせる強烈な毒素を体内に注入できるという代物だ。毒系統の魔法を私なりにアレンジした特別性だ。
そして、この物理的な距離と時間的な猶予が、天才魔術師である私にとって絶好の好機となる。
「さあ、反撃といきましょうか!」
おなじみの魔力の礫を発動する。今回は相手が相手なので、増量キャンペーンだ。私は頭上に20の強力な白い圧縮された魔力の塊を展開した。そして
「この数、かわせるかしら!」
放つ!空中から流星のごとき超速で、次々とセイラに降り注ぐ礫たち。
「くっ!!」
追いつめられながらも、間一髪全て躱してくるセイラ。それにしてもあの女の反応速度はいったいどうなっているの。
というより、この学園の上級生たちの運動能力の高さは異常だ。入学難易度最高ランクの学園というのも伊達ではないらしい。
しかも隙を見て接近のチャンスまでうかがっているのがわかる。こちらも気を抜けない。
ただ、所詮は子供。
かつて様々な苦難と絶望を乗り越えてきた経験を持つ私にとって、この程度の相手は想定の範囲内。
「えっ?なんで……」
礫の追撃を一旦打ち切り、ゆっくりと状況を呑み込めていないセイラに近づく私。
彼女は、もう動くことはできない。礫はおとり。攻撃と見せかけてさりげなく、誘導していたのだ。校舎の壁際まで。
私のもうひとつのトラップ魔法、大影縛り・シャドウバインドの術中にはまったセイラは、校舎の大きな影と自身の影が重なったところに固定された。
運動場へ向かう道すがら、すでに設置させてもらっていた。勝負というのは、始まる前から結果は決まっているもの。交流会の時はボケっとしすぎて準備を怠ったが、あの経験から、エマの戦いの習性を少しずつ思い出していた。
「勝負ありね」
動きを封じられたセイラに向かい、勝利宣言をする私。さっきはカッとなってしまったけど、冷静さはすでに取り戻している。
さて、彼女には聞かなければならないことがある。
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