転生の魔女~せっかく王女に生まれ変わったのに、無双しすぎてまた魔女って言われちゃいそうです~

十森メメ

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第1章 ゼノビア王国編

第19話 聖なる流星群

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 打撃をもらったのは想定外だったが、それでも概ね予定通りの決着になった。

 あえてセイラを動けない状況にしたのは、彼女には確認しなければならないことがあったからだ。

「質問。ヘスペリデウスの第3聖女、セレス・ヘスペリデウスは生きているの?」

 私がティアに転生してから今日現在に至るまで、かつて冒険を共にした仲間たちに関する情報は一切得ることができてなかった。

 身内であれば、少なくとも生存に関する情報くらいは知っているかもしれないと思い、聞いてみたのだ。

 また、セイラの体捌きはセレスのそれと非常によく似ていたため、より接点があるのではないかと思ったのも理由のひとつだ。

 かつてエマとして冒険をともにしていた時、私はよくセレスに体術を教えてもらっていた。でも、セレスのパーティ内での役割は回復担当。

 ヘスペリデウスの聖女は家系的に聖なる魔法を得意とする一族で、非常に優秀な回復魔法の使い手だったので、本来、体術を鍛える必要性は薄い。

 だが彼女は

「パーティ内で回復魔法が使えるのはあたしだけ。真っ先に狙われて倒れたら、パーティやばい事になっちゃうじゃない?むしろ回復を生業にする者こそ、せめて自分の身くらいは自分で守れるくらいの強さは、備えておかなくっちゃね」

 屈託なく笑うセレスの笑顔を思い出す。非常に共感するとともに、自身にも言えることかもしれないと思い、ともに体術を鍛え合った日々が懐かしい。

 ある程度接近戦に対応できるスキルがあるのは、あの時の経験が生きているからだ。感謝している。

「なぜ、あなたがそれを知りたいの?」

 厳しい表情でセイラが私に聞く。

「ええっと、あ、ほら、本で読んだんだけど。彼女、冒険者として有名だったじゃない?なんかすごい難しいダンジョンを攻略に行って行方不明になったって書いてあったけど、生きてるのかなーって……」

 ちょっと興味がある程度でごまかしながら聞いた。

 実際、エマと仲間たちがそのダンジョンから戻ってこなかったという記述がある書物は一般的に広く存在し、様々な専門家が色々な説を提唱している。

 どれも笑っちゃうくらい適当で専門家の程度も知れるけど。

「……そう」

 セイラの吐息のようなつぶやきに、感情の色を見出すことができなかった。

 ……あれ、なんか空気おかしくない?背筋が寒い。直感的な焦燥感が募る。

「……虚空漂いし星の海。天光煌めく聖輪よ」

 いきなり詠唱を開始するセイラ。明らかに質の違う魔力源がセイラを中心に発生し、彼女を縛っていたシャドウバインドが消し飛ぶ。

 いや、ちょっと待って!その魔法はやばいでしょ!!学校どころか周囲一帯光の穴だらけになっちゃうよ!!

 慌てふためく私をよそに、初夏の青空がゆがむ。空間バランスが崩れ、光の輪を形成し始める。

 聖なる流星群・セレスティアルスター

 Sクラスの範囲魔法で、近々SSクラスに指定され制限がかけられると噂の強力な聖魔法だ。とても11歳の少女が扱える代物ではない。

 完全に想定外だ。発動すれば、非常に広い範囲に光の流星群が降り注ぎ、学校どころか近隣の一般市民まで巻き込む大災害となる。

「間に合うか!?」

 考えていてもしょうがない!対応するしかない!

 瞬時に魔力を集中しろ!私は、やれる!!

「聖痕を刻み、贖罪の果てに散れ!降り注げ!」

「集まり、凝縮せよ!」

「セレスティアル……」

「威力集中・コンセントレーション!!」

 広範囲魔法のセレスティアルスターを一つの場所に収束する術式なら即座に組めると判断し、それで対応した。

 本来複数の敵に対して使用する魔法を1か所に集中し、威力を高めるために使用する魔法だが、それを応用した。

 1か所に落とす分には被害は最小限に食い止められると考えたからだ。ただ、ここで自身の考えが足りなかったことを知る。

「……あれ?」

 1か所に集中すれば、当然落ちた場所には致命的な損害が出る。セレスティアルスターほどのSクラス範囲魔法ならなおさらだ。だが、実際の損害状況を確認すると

「……あれれ??」

 落とす場所まで詳細に計算する余裕はなかった。落ちた場所は体育館の隣にある用具倉庫。天井に蹴球ほどの小さな穴が空き、パラパラ崩れ落ちている。

 うーん、被害が小さすぎる。

 あ、そういうことか。

 11歳の魔力量などそもそもたかが知れていたのだ。本来の威力とは程遠いものだったので、普通に対応していれば、おそらく損害はなかっただろう。

 前兆が転生前にセレスが使用していた時と全く同じだったので、早とちりした。

 そもそも、ギャラリー達が焦っていなかったことを考慮すると、この結果も想定すべきだった。彼女のソレがブラフであると、過去の出来事からわかっていたのだろう。

 私は、出さなくていい被害を出した張本人になってしまったのだ。

「ふぇ、ふええええええええん!!!」

 突然膝をつき、泣き崩れるセイラ。

「うわあああああん!セレスおねぇちゃんの、ばかああああああああ!」

 え?なに?なんなのよ、もう。なんで泣くのよ。しかも、おねぇちゃんって。

 やっぱりこの子、セレスのこと、なんか知ってるよね!

「ねぇ、教えてよセイラ!セレス……あなたのお姉さんは、生きているの!?」
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