浦島太郎と猫

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浦島太郎と猫

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むかしむかし、ある海辺(うみべ)の村に、浦島太郎(うらしまたろう)という心のやさしい青年がいました。

ある日、太郎が浜辺(はまべ)を歩いていると、子どもたちが一匹のカメをいじめていました。

「やめてあげなよ!」
太郎がとめに入ると――

「ふにゃぁっ! それ、オレにも言わせろニャ!」

どこからともなく、一匹の猫が飛びこんできました。

しっぽをピンと立て、キバを光らせてにらみつけます。

「弱いものいじめは、ねこパンチニャ!」

ネコがビシッと一発パンチすると、子どもたちはあわててにげていきました。

「ありがとう、猫さん」
「俺の名はねこ丸。ヒーローじゃないけど、正義(せいぎ)の味方ニャ!」

カメはぺこりと頭をさげました。

「あなたたちのおかげで助かりました。お礼に、海の底(そこ)にある竜宮城(りゅうぐうじょう)へご招待(しょうたい)します!」



こうして、浦島太郎とねこ丸は、カメの背にのって海の中へ。

たどり着いた竜宮城では、乙姫(おとひめ)さまが出むかえてくれました。

「ようこそ、浦島さま。そしてねこ丸さま。」

きらきら光る城(しろ)の中では、タイやヒラメがまいおどり、音楽(おんがく)にあわせてパーティーが始まりました。

「おいしそうなお魚がたくさんニャ~~~!!」
ねこ丸は目をかがやかせ、さっそくお皿の上の焼き魚にパクッ!

そして次にお刺身(さしみ)、次に煮(に)つけ、次に……なんと、となりでおどっていた魚たちにまで手をのばしました!

「ヒッ! や、やめてください~~!」
「ネコさん、それは生きてます!」

でもねこ丸の手は止まりません。

「魚は食べるためにあるニャーーー!!」



10分後――

竜宮城の台所(だいどころ)はすっからかん。
魚たちは城のすみでふるえていました。

乙姫さまはにっこり笑いながら言いました。

「ねこ丸さま、どうぞ…お帰りくださいませ。」

「えっ。まだ煮つけもおかわりしてないニャ…」

「…今すぐに、です。」

こうしてねこ丸は、竜宮城から追い出されてしまいました。



浦島太郎は玉手箱(たまてばこ)をもらって地上(ちじょう)に帰り、
ねこ丸は、帰り道でも魚をくわえてにこにこしていました。

「おもてなしって最高(さいこう)ニャ~。また行きたいニャ~」

「……あれはもう無理(むり)かもね。」

太郎とねこ丸は、海辺をとぼとぼ歩いて帰っていきました。
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