桃太郎と猫

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桃太郎?と猫

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昔むかし、山深いある村に、心やさしいおじいさんとおばあさんが仲むつまじく暮らしていました。
ある日の朝——

おじいさんは「山へ芝刈(しばか)りに行ってくる」と出かけ、
おばあさんは「川へ洗濯(せんたく)に行ってまいります」と、大きな風呂敷(ふろしき)を抱えて川原(かわら)へ向かいました。

川でせっせと洗濯をしていると、上流から
「どんぶらこ、どんぶらこ~」と、大きな大きな桃が流れてくるではありませんか。

「うわぁ…なんて大きな桃だい……でもなんだいこの色ツヤ、どこか不気味じゃないかい……」

おばあさんは、気味(きみ)が悪くなり、その桃をじっと見つめたまま、そっとスルーしました。
桃は「どんぶらこ…」と流れ続け、そのまま川を下り、やがて海へと消えていきました。

しばらくすると——

「どんぶらこ、どんぶらこ~」

なんと今度はおじいさんが川を流れてくるではありませんか。

「……えっ」

おばあさんは驚(おどろ)きましたが、桃をスルーした手前、妙(みょう)な気まずさを覚え、
黙って見て見ぬふりをし、そのままやっぱりスルーしました。

おじいさんも流れてゆき、やがて夕方。
おばあさんが家へ戻ると、玄関先に一匹の猫が座っていました。

「……どちら様かしら?」

「ワタクシ、“ねこ丸”という者です。鬼ヶ島へ鬼退治に参ります」

「へ?」

「つきましては、きび団子を一ついただければ、お供を集めてまいりましょう」

おばあさんは訳が分からないまま、もちもちのきび団子をひとつ差し出すと、ねこ丸はうなずいて飛び出していきました。

 * * *

「ブーブー!」
豚、参上。

「キャッキャ!」
猿、参上。

「きび団子の力、しかといただいた!」と、ねこ丸は二匹の動物を仲間にし、鬼ヶ島へ出発。

船の上でねこ丸は背中の袋から、
「最新式(さいしんしき)グレネードランチャー」を取り出します。

「鬼退治に槍(やり)や刀は時代遅れですにゃ」

豚と猿はド肝を抜かれつつも、鬼ヶ島へ上陸!

鬼たちが「ワッハッハ、宝をよこせ~」と大暴れしているところに、

ねこ丸「せーのっ!」

\ドォォォォーーン!!/
\ボガァン!!!/

グレネード弾は炸裂(さくれつ)し、鬼の砦(とりい)は一瞬で壊れてしまいました。

鬼たちは「ご、ごめんなさいぃぃ…!」と土下座して降参(こうさん)。
宝の山、金銀財宝(きんぎんざいほう)はすべて、ねこ丸たちのものになりました。

——そして村に凱旋(がいせん)した猫・豚・猿。

みんなが拍手喝采(はくしゅかっさい)する中、おばあさんはふと思いました。

「……桃もおじいさんもスルーしたけど、結局、世界は猫が救ったのね」

こうして、桃太郎のはずが——
桃は流れ、おじいさんも流れ、ねこ丸が鬼ヶ島の英雄となったのでした。

めでたし、めでたし。
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