3 / 4
桃太郎?と猫2
しおりを挟む
昔むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川でせっせと洗濯をしていると、
「どんぶらこ、どんぶらこ」と、大きな大きな桃が流れてきました。
「……なんだか、気味が悪いねぇ」
おばあさんは顔をしかめると、その桃をスルー。
桃はそのまま、ゆらゆら揺れながら海の方へ流れていきました。
しばらくすると、今度は「どんぶらこ、どんぶらこ」と、なんとおじいさんが流れてきました。
「……帰りが面倒(めんどう)になって川で流れて帰ろうとしたのかい? まったくもう」
呆れたおばあさんは、これまた見なかったことにしてスルー。
おじいさんも桃と同じく、ぷかぷかと海へ流れていきました。
さらにしばらくすると、「どんぶらこ、どんぶらこ」と、不思議(ふしぎ)なものが流れてきます。
サングラスをかけ、ふてぶてしい表情の黒猫――その名もねこ丸です。
「……なんだって今日は変なものばっかり流れてくるんだい。縁起(えんぎ)でもないよ」
おばあさんはやはり無視(むし)を決めこみ、ねこ丸もすいすいと流れていきました。
* * *
桃→おじいさん→ねこ丸
三つの“どんぶらこ”はやがて、広い海を越え、鬼ヶ島へと辿り着きました。
鬼ヶ島では、恐ろしい鬼たちが宝物を奪い、人々を苦しめています。
桃は岩にぶつかって割れ、中から出てくるはずの桃太郎は――いません!
おじいさんは岸に打ち上げられ、ぼうぜんとしています。
そこへ、ねこ丸がズブ濡(ぬ)れで登場(とうじょう)。
サングラスをクイッと上げると、おじいさんにこう言いました。
「おじい、ここは任せろニャ。」
──次の瞬間(しゅんかん)。
ねこ丸は腰のポーチから手榴弾(てりゅうだん)を取り出すと、鬼ヶ島めがけて思い切り投げ込みました!
ドォォォォン!!
すさまじい爆音が響き渡り、鬼ヶ島は火の海に。
鬼たちは真っ黒こげになって逃げ出し、宝物はすべて吹っ飛びました。
──かくして、桃太郎が現れなかったにもかかわらず、
ねこ丸の手によって鬼退治はあっけなく完了してしまったのでした。
おじいさんは感動し、
「ねこ丸よ……おまえこそ真の英雄(ヒーロー)じゃ」
と涙を流しましたが、ねこ丸はそっけなくこう言います。
「礼はいらんニャ。洗濯ばあさんによろしくニャ。」
そう言い残すと、ねこ丸はどんぶらこどんぶらことまた海へ流れ去っていきました。
* * *
こうして鬼ヶ島は平和になり、
桃も、おじいさんも、ねこ丸も、それぞれの“どんぶらこ”の旅を終えたのでした。
めでたし、めでたし。
ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川でせっせと洗濯をしていると、
「どんぶらこ、どんぶらこ」と、大きな大きな桃が流れてきました。
「……なんだか、気味が悪いねぇ」
おばあさんは顔をしかめると、その桃をスルー。
桃はそのまま、ゆらゆら揺れながら海の方へ流れていきました。
しばらくすると、今度は「どんぶらこ、どんぶらこ」と、なんとおじいさんが流れてきました。
「……帰りが面倒(めんどう)になって川で流れて帰ろうとしたのかい? まったくもう」
呆れたおばあさんは、これまた見なかったことにしてスルー。
おじいさんも桃と同じく、ぷかぷかと海へ流れていきました。
さらにしばらくすると、「どんぶらこ、どんぶらこ」と、不思議(ふしぎ)なものが流れてきます。
サングラスをかけ、ふてぶてしい表情の黒猫――その名もねこ丸です。
「……なんだって今日は変なものばっかり流れてくるんだい。縁起(えんぎ)でもないよ」
おばあさんはやはり無視(むし)を決めこみ、ねこ丸もすいすいと流れていきました。
* * *
桃→おじいさん→ねこ丸
三つの“どんぶらこ”はやがて、広い海を越え、鬼ヶ島へと辿り着きました。
鬼ヶ島では、恐ろしい鬼たちが宝物を奪い、人々を苦しめています。
桃は岩にぶつかって割れ、中から出てくるはずの桃太郎は――いません!
おじいさんは岸に打ち上げられ、ぼうぜんとしています。
そこへ、ねこ丸がズブ濡(ぬ)れで登場(とうじょう)。
サングラスをクイッと上げると、おじいさんにこう言いました。
「おじい、ここは任せろニャ。」
──次の瞬間(しゅんかん)。
ねこ丸は腰のポーチから手榴弾(てりゅうだん)を取り出すと、鬼ヶ島めがけて思い切り投げ込みました!
ドォォォォン!!
すさまじい爆音が響き渡り、鬼ヶ島は火の海に。
鬼たちは真っ黒こげになって逃げ出し、宝物はすべて吹っ飛びました。
──かくして、桃太郎が現れなかったにもかかわらず、
ねこ丸の手によって鬼退治はあっけなく完了してしまったのでした。
おじいさんは感動し、
「ねこ丸よ……おまえこそ真の英雄(ヒーロー)じゃ」
と涙を流しましたが、ねこ丸はそっけなくこう言います。
「礼はいらんニャ。洗濯ばあさんによろしくニャ。」
そう言い残すと、ねこ丸はどんぶらこどんぶらことまた海へ流れ去っていきました。
* * *
こうして鬼ヶ島は平和になり、
桃も、おじいさんも、ねこ丸も、それぞれの“どんぶらこ”の旅を終えたのでした。
めでたし、めでたし。
11
あなたにおすすめの小説
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
青色のマグカップ
紅夢
児童書・童話
毎月の第一日曜日に開かれる蚤の市――“カーブーツセール”を練り歩くのが趣味の『私』は毎月必ずマグカップだけを見て歩く老人と知り合う。
彼はある思い出のマグカップを探していると話すが……
薄れていく“思い出”という宝物のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる