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9. 王子の爆弾発言ッッ
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聖封印庫の空気が、アレクシス王子によってさらに冷え込んだ気がした。
黄金の髪と氷のように冷たい瞳。華やかで優雅な微笑みを浮かべているのに、その奥には得体の知れない何かが潜んでいる。
「……君がレオン・カーティスだね」
アレクシスはゆっくりと歩み寄り、僕を頭から足元まで値踏みするように見た。
「……っ」
背筋が自然に強張る。王族特有の威圧感って、物理的に来るんだねこれ。
……でも、なんで王子は僕の名前を……。
「面白い噂を聞いたよ。ヴィランの弁護人になった少年兵がいるって」
「っ……!」
僕は反射的に目を見開く。
アレクシスは愉快そうに唇を歪め、僕に向かって囁くように言った。
「王城にはね、君が思う以上に諜報員が大勢いるんだよ。君の名前はそこからすぐに報告が上がった。だから気になって来てみたんだ」
「……」
「それに、好奇心もあった。英雄族に喧嘩を売るバカを一目見てみたくてね」
……クッソ腹立つ、こいつ。
アレクシスはくすりと笑い、さらに続ける。
「いいかい?教えてあげようか。ヴィランなんて法廷に立たせるだけ無駄だ。君の弁護なんて、ただの茶番さ」
「……ぅ」
ミナの手が、僕の袖をぎゅっと掴む。
その指先は氷みたいに冷たい。
……あぁ、震えてる。この子、奴隷だった頃の記憶を思い出してるんだ。
「それでも必死に足掻く、君みたいな可愛い子は嫌いじゃないけどね。見てて飽きないから」
――ゾワッと僕の背筋が凍った。
うわ、気色悪…。
―――でもね、それもいつまで馬鹿にできるかな?
僕は一歩前に出て、笑顔を作り上目遣いで拳を握った。
「……じゃあ、その〝無駄〟を覆してみせますよ。証拠で、ね」
その場にいたミナが、わずかに息を呑む音がした。
セリーヌまでもがわずかに片眉を上げる。
「……ふぅん」
アレクシスは愉快そうに笑い、僕の方にさらに近づいてきた。
「でもそんなこと言って君さぁ、組み敷かれそうな可愛い顔をしてるよね。……身体だって、女みたいに華奢だ」
「っ……」
「僕の側室候補にでもしてあげようか?」
――こいつは本当に救いようがないなぁ。
だから前世でも、絶対こいつを推さなかったんだ。
ゲーム内ではここまでしゃしゃり出る場面はなかったけど、それでも人間性としての違和感があった。だから…だから…
こんな見せかけの英雄、嫌いだ。
「黙り込んでないで―――イエスかノーか答えてくれないかな」
笑顔を貼り付けたアレクシスの手が僕の手首を取った。ピキッと空気が凍りつく。
ほんとに、ほんとに最悪―――
「……離れろッ」
その時、誰かの声が遠くから聞こえたような気がした。
次の瞬間、聖封印庫のドアが勢いよく開き、怒声が響く。
「離れろ、王子サマァァァァ!!!」
僕は振り返った。
――息を切らした様子のアヅミと、ふむと場を窺うライラさんがいた。
僕の、推しだ。
開いたドアから歩いて来たライラさんがすっとアレクシスの腕を取り、微笑んだ。
「……それ、やめてくれるかな」
――静かな声なのに、空気が一気に張り詰める。余裕のイケメンっぷりだ。
アレクシスの指先がわずかに緩み、僕はすぐに腕を引き戻した。アレクシスは楽しそうに笑ったまま、肩をすくめる。
「……やれやれ、ヴィランの連中は本当に過保護だね」
僕は腰から力が抜けへたり込んだ。
やっぱ、こいつらかっこいい……。
ライラさんは無言で僕を背に庇う。その背中が、やけに頼もしかった。
黄金の髪と氷のように冷たい瞳。華やかで優雅な微笑みを浮かべているのに、その奥には得体の知れない何かが潜んでいる。
「……君がレオン・カーティスだね」
アレクシスはゆっくりと歩み寄り、僕を頭から足元まで値踏みするように見た。
「……っ」
背筋が自然に強張る。王族特有の威圧感って、物理的に来るんだねこれ。
……でも、なんで王子は僕の名前を……。
「面白い噂を聞いたよ。ヴィランの弁護人になった少年兵がいるって」
「っ……!」
僕は反射的に目を見開く。
アレクシスは愉快そうに唇を歪め、僕に向かって囁くように言った。
「王城にはね、君が思う以上に諜報員が大勢いるんだよ。君の名前はそこからすぐに報告が上がった。だから気になって来てみたんだ」
「……」
「それに、好奇心もあった。英雄族に喧嘩を売るバカを一目見てみたくてね」
……クッソ腹立つ、こいつ。
アレクシスはくすりと笑い、さらに続ける。
「いいかい?教えてあげようか。ヴィランなんて法廷に立たせるだけ無駄だ。君の弁護なんて、ただの茶番さ」
「……ぅ」
ミナの手が、僕の袖をぎゅっと掴む。
その指先は氷みたいに冷たい。
……あぁ、震えてる。この子、奴隷だった頃の記憶を思い出してるんだ。
「それでも必死に足掻く、君みたいな可愛い子は嫌いじゃないけどね。見てて飽きないから」
――ゾワッと僕の背筋が凍った。
うわ、気色悪…。
―――でもね、それもいつまで馬鹿にできるかな?
僕は一歩前に出て、笑顔を作り上目遣いで拳を握った。
「……じゃあ、その〝無駄〟を覆してみせますよ。証拠で、ね」
その場にいたミナが、わずかに息を呑む音がした。
セリーヌまでもがわずかに片眉を上げる。
「……ふぅん」
アレクシスは愉快そうに笑い、僕の方にさらに近づいてきた。
「でもそんなこと言って君さぁ、組み敷かれそうな可愛い顔をしてるよね。……身体だって、女みたいに華奢だ」
「っ……」
「僕の側室候補にでもしてあげようか?」
――こいつは本当に救いようがないなぁ。
だから前世でも、絶対こいつを推さなかったんだ。
ゲーム内ではここまでしゃしゃり出る場面はなかったけど、それでも人間性としての違和感があった。だから…だから…
こんな見せかけの英雄、嫌いだ。
「黙り込んでないで―――イエスかノーか答えてくれないかな」
笑顔を貼り付けたアレクシスの手が僕の手首を取った。ピキッと空気が凍りつく。
ほんとに、ほんとに最悪―――
「……離れろッ」
その時、誰かの声が遠くから聞こえたような気がした。
次の瞬間、聖封印庫のドアが勢いよく開き、怒声が響く。
「離れろ、王子サマァァァァ!!!」
僕は振り返った。
――息を切らした様子のアヅミと、ふむと場を窺うライラさんがいた。
僕の、推しだ。
開いたドアから歩いて来たライラさんがすっとアレクシスの腕を取り、微笑んだ。
「……それ、やめてくれるかな」
――静かな声なのに、空気が一気に張り詰める。余裕のイケメンっぷりだ。
アレクシスの指先がわずかに緩み、僕はすぐに腕を引き戻した。アレクシスは楽しそうに笑ったまま、肩をすくめる。
「……やれやれ、ヴィランの連中は本当に過保護だね」
僕は腰から力が抜けへたり込んだ。
やっぱ、こいつらかっこいい……。
ライラさんは無言で僕を背に庇う。その背中が、やけに頼もしかった。
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