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第一章 ヴォルフ・ガーナイン王国編
第12話 魔族の暗躍
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――――小鳥たちがさえずる声が聞こえる。俺たちは宿屋での朝を迎えた。
幸い2部屋空いていて、俺たちは別々の部屋に泊まった。空いてない方がよかったというのは俺の心の声だ。気にしないでほしい。
昨日はみっともない姿を見せてしまったが、俺はあれでスッキリしたし色々と吹っ切ることが出来た。
そして自分自身で決めた目標が出来た。俺もセレイナを守ると決めた。
別に彼女は守られなくてもいい存在なのかもしれない。彼女が強いのは、昨日色々と吹っ切れた時から感じ取れるようになっていた。
でも俺が守りたいから守る。それでいいと思った。
モテてこなかった男なんてこんなもんだ。ちょろいもんだよね本当に……
でも、昨夜寝る前にそう思った時から、俺の中で何かが変わり、弾け、以前よりも力が溢れているような感じがする。気のせいではない確かな感触だった。
コンコンとドアが鳴る。
「おはようございます。凛人さん」
セレイナがいつもの通りの笑顔で部屋に来た。
眩しい……いや、日差しではなく彼女が。
支度を整え、宿屋を後にする。メイさんには正午ごろと言われていたので、まだ時間には早い。
俺はセレイナに尋ねてみた。
「セレイナって魔法とか使える?」
「はい、使えますよ」
「じゃ、じゃあ俺に魔法を教えてくれないかな! 俺にも出来るのかな!」
「少し、よろしいでしょうか」
そう言うとセレイナはおでことおでこをくっつけてきた。
やばい、心臓の音がセレイナに聴こえてしまう!緊張で酷い動悸を発症してしまった……
「凛人さんからは火属性、そして火よりは少し弱いですが水属性の適性を感じます」
「ってことは、使えるってことだよね!?」
「はい。ウィザードの適性は非常に強いですね。同時に聖属性の波動も感じます」
「聖属性っていうと、回復魔法とかかな」
「そうですね。私も聖に属する者なので、回復魔法は詳しくお教えできると思います」
「ほんとに!? じゃあ場所を移動しようか!」
俺たちは足早に、城塞内の外れにある草原へと向かった。
「それではまず、ご覧になってください」
そう言うと、セレイナは手に火の玉を出して見せた。
「おおスゴイ!! これが魔法なのか!!」
「私は火の属性はあまり得意ではないのですが」
それではやってみてくださいとセレイナに言われ、コツを教えてもらった。
えーと、体内のマナを手に集中させるように意識して……そして熱。熱いという感覚をイメージ。
すると、俺の手の平からボウっと火が出てきた。
「や、やった!やったよセレイナ!!」
「それが生活魔法でも使われているファイアです!一度で出来るなんてお上手です!凛人さん」
セレイナがパチパチと拍手してくれている。なんだかうれしい。
体内のマナを感じ取れるようになっていた俺は、特に苦戦もせず習得できた。
でも俺には、自分からのものではないマナも見えている。空中を揺らいでいるような、オーロラが近くにあるような感じだ。なぜかそれらとは自分との強いつながりを感じる。
そこを意識して発動してみたらどうなるんだろうか?俺は興味本位でやってみた。すると……
空中にバスケットボールサイズの無数の火の玉が発生してしまった!
「あわわわわわっ!!!!せ、セレイナ!どうしたらいいだろう!!!!」
「これは…… 数は多いですが中級魔法のファイアバレットです。この方向に発射すると街に大きな被害が出てしまいます。上の方を意識して飛ばすイメージをしてください!」
「う、上に飛ばすイメージね!わかった!」
すると無数の火の玉は、まるで弾丸のような速さで空へ飛んで行った。
「はぁ、はぁ、び、びっくりしたぁ……」
「魔法の威力や範囲は、熟練度や、個人のマナや魔素の総量によって増減します。絶えず大地からマナが供給されている凛人さんの総量は、およそ人間個人では抱え込めない量ですので」
「は、はは。これじゃあ加減に慣れるまで街じゃ危ないね」
「そうですね、凛人さん」
回復魔法の基礎も教えてもらった。負傷者の代わりに、草原で枯れていた花を見つけ代用にした。
対象のマナの流れを感じ取り、怪我でマナが乱れ滞っている部分に聖属性の魔素を多めに流し、新陳代謝を急激的に高め、血行促進のための水分補給として水魔法を若干混ぜる。
理屈は簡単だが複合魔法も難しいものだし、さらに配分などに途方もない繊細さを要求されるその作業は、間違えば逆に傷を悪化させたり対象を死に至らしめることもある。草木や動物で訓練をし、才能があるものでも初級ヒールでさえ習得まで1年はかかるらしい。
コツをつかむと、俺は2時間で二分の一の確率で成功できるようになっていた。
セレイナが言うには、膨大な星のマナによる二度の死からの復活体験と、自動的に自身の傷が癒されている感覚を、深層心理で理解し感じ取っていることが習得の早さに関係しているらしい。
夢中になっていたせいか気付けばもう約束の正午が近づいていた。なぜ楽しい時間は過ぎるのがこんなにも早いんだろう。
まだ魔法に触れていたかったが、遅刻するわけにはいかないので俺たちはメイさんの屋敷へと向かうことにした。
――――その頃、エブンズダール近くの国境から、魔族領内へ数キロの地点。
一人の男が砦の屋上に立っていた。
「キャンディ・メイ。帰ってきていたのか……」
ドアが開き、一人の異形の兵士が入ってきて男の前で跪く。
「ウォルボレン様。シャドウマヌーバーたちの、準備は整っておりますが、いかがなさいますか?」
「王はどうなさっている?」
「は、未だ城の忘却の塔から、出てきては、おりません」
「……キャンディ・メイが帰ってきている。時期をずらそう」
「ですが、シュバールツ様が、エディアノイの妻、ユリアを殺せと」
「また無駄に同胞たちを死なせるだけだ。シュバールツ殿には私から説明しておく。シャドウマヌーバーたちを一旦引き上げさせろ。」
「かしこまり、ました」
「――我が王よ……このままでは我々はまた同じ過ちを繰り返してしまいます」
男は歯がゆい表情を浮かべ、曇天の空を見上げた。
俺たちはメイさんの屋敷へと着いた。相変わらず圧巻されるほどの豪邸だ。
門兵にメイさんに呼ばれたことを説明すると、また水晶のようなもので何やら会話をし、入りなさいと敷地に通された。
屋敷への長いアプローチを歩いていると、屋敷の扉から人が出てきた。
この人は…… 確かセドリックと呼ばれていたメイさんの付き人だ。相変わらずとんでもないイケメンだ。彼の周りに存在しないはずの薔薇が咲いているように見える。
「リント様。メイ様とエディアノイ様が二階の書斎でお待ちです。ご案内いたします」
「よろしくお願いします」
またあの領主様と顔を合わせるのか…… 俺はあの人のことがあまり得意ではない。
会社で言うと、本社の幹部との面談で感じる圧を100倍くらいにした感じだ。考えただけでも胃がキュッとなる。
屋敷に入ると、使用人たちがせかせかと各々の仕事をしている。
セドリックはこちらです、と俺たちを案内していく。
二階へ上がり、この前と同じ部屋の前に立ち止まるとセドリックはノックをする。
「エディアノイ様、メイ様。リント様がお越しになられました」
「入りたまえ」とエディアノイの声が聞こえた。セドリックはドアを開けて俺たちを中へと通してくれた。
ソファに座っていたメイがこちらへと歩いてくる。エディアノイは相変わらず窓の外を眺めている。
「よく来たわね二人とも」
「はい。 あの、メイさん、頂いたあの鎧なんですけど……」
黙っているのは良くないと俺は思った。あれだけの高額で売れたのだ、大人としてキチンと報告する義務がある。
「金貨20枚で買い取ってもらったんですが、俺達には多すぎるので当面の生活費だけ頂いて、あとはメイさんにお返ししようと」
メイさんは俺の肩にバンッと大きな手を乗せた。
「気にしなくていいって言ったでしょ?あれは私があなたにあげたんだから。あげたものを返すだなんて、私に恥をかかせる気かしら?」
「い、いやそんなつもりは」
「うん?それに男を上げたわね、昨日と同じ人物とは思えないわ。たった一晩で何があったのかしら?」
「え、そんなに変わりました?」
メイは彼女をチラッと見ながら
「まあ男の子が急にそんな目をするようになる理由は一つしかないわよね。ベッドではちゃんとエスコートできたの?」
「……え? えええええええ!!!!ベベ、ベッドって!!違いますよ!!」
何やらメイさんは壮大な勘違いをしている!そ、そりゃあ男としてこんな子とそんな風になれたらいいなぁなんて思わないわけはないけど!思わないわけはないけど!俺にそんな度胸は、ない!!
チラッとセレイナを見たが、なんの話か分かっていないようなので安心した。
「楽しそうなところ悪いが」
エディアノイがこちらを振り向いた。
ちょっと騒ぎすぎたかなと、睨まれる覚悟をした。どうもこの人には萎縮してしまう。
「おや? そちらのお嬢さんはどなたかな?」
「私はセレスティアルヴェレイナ・ウル・アストレイア。 名はセレイナと申します」
その名前を聞くと、エディアノイは「アストレイア……」と呟いた。
エディアノイはワナワナと体を震わせている。
「パパ!? どうしたの!?」とメイも怪訝そうな顔をしている。
「その名前と額の紋様。 も、もしかしてあなたは、大地の女神では!?」
メイもセレイナの方を勢いよく振り向く。
大地の女神? ストレイアのことか。 ……えっ!?セレイナってストレイアなの!?
確かにセレイナの語る名前の最後にはアストレイアとは付くが……
「……私はストレイアではありません。彼女から派生した星骸と呼ばれる者です。ですが、最初に生まれた私は彼女から混じり気のない純度の高いマナを受け取っているため、彼女に一番近い存在と言えるかもしれません」
「女神ストレイアの……星骸……まさか」
エディアノイは膝をガクッと落とした。
「なぜ……大地の女神は、あなたを再びこの世界に遣わしたのですか」
その時、ドアが勢いよく開くと兵士が飛び込んできた。
「え、エディアノイ様!! 魔族領からこれまでにないほどの軍勢が迫っております!!」
静まり返っていた室内に、風雲急を告げる報せが届いた。
幸い2部屋空いていて、俺たちは別々の部屋に泊まった。空いてない方がよかったというのは俺の心の声だ。気にしないでほしい。
昨日はみっともない姿を見せてしまったが、俺はあれでスッキリしたし色々と吹っ切ることが出来た。
そして自分自身で決めた目標が出来た。俺もセレイナを守ると決めた。
別に彼女は守られなくてもいい存在なのかもしれない。彼女が強いのは、昨日色々と吹っ切れた時から感じ取れるようになっていた。
でも俺が守りたいから守る。それでいいと思った。
モテてこなかった男なんてこんなもんだ。ちょろいもんだよね本当に……
でも、昨夜寝る前にそう思った時から、俺の中で何かが変わり、弾け、以前よりも力が溢れているような感じがする。気のせいではない確かな感触だった。
コンコンとドアが鳴る。
「おはようございます。凛人さん」
セレイナがいつもの通りの笑顔で部屋に来た。
眩しい……いや、日差しではなく彼女が。
支度を整え、宿屋を後にする。メイさんには正午ごろと言われていたので、まだ時間には早い。
俺はセレイナに尋ねてみた。
「セレイナって魔法とか使える?」
「はい、使えますよ」
「じゃ、じゃあ俺に魔法を教えてくれないかな! 俺にも出来るのかな!」
「少し、よろしいでしょうか」
そう言うとセレイナはおでことおでこをくっつけてきた。
やばい、心臓の音がセレイナに聴こえてしまう!緊張で酷い動悸を発症してしまった……
「凛人さんからは火属性、そして火よりは少し弱いですが水属性の適性を感じます」
「ってことは、使えるってことだよね!?」
「はい。ウィザードの適性は非常に強いですね。同時に聖属性の波動も感じます」
「聖属性っていうと、回復魔法とかかな」
「そうですね。私も聖に属する者なので、回復魔法は詳しくお教えできると思います」
「ほんとに!? じゃあ場所を移動しようか!」
俺たちは足早に、城塞内の外れにある草原へと向かった。
「それではまず、ご覧になってください」
そう言うと、セレイナは手に火の玉を出して見せた。
「おおスゴイ!! これが魔法なのか!!」
「私は火の属性はあまり得意ではないのですが」
それではやってみてくださいとセレイナに言われ、コツを教えてもらった。
えーと、体内のマナを手に集中させるように意識して……そして熱。熱いという感覚をイメージ。
すると、俺の手の平からボウっと火が出てきた。
「や、やった!やったよセレイナ!!」
「それが生活魔法でも使われているファイアです!一度で出来るなんてお上手です!凛人さん」
セレイナがパチパチと拍手してくれている。なんだかうれしい。
体内のマナを感じ取れるようになっていた俺は、特に苦戦もせず習得できた。
でも俺には、自分からのものではないマナも見えている。空中を揺らいでいるような、オーロラが近くにあるような感じだ。なぜかそれらとは自分との強いつながりを感じる。
そこを意識して発動してみたらどうなるんだろうか?俺は興味本位でやってみた。すると……
空中にバスケットボールサイズの無数の火の玉が発生してしまった!
「あわわわわわっ!!!!せ、セレイナ!どうしたらいいだろう!!!!」
「これは…… 数は多いですが中級魔法のファイアバレットです。この方向に発射すると街に大きな被害が出てしまいます。上の方を意識して飛ばすイメージをしてください!」
「う、上に飛ばすイメージね!わかった!」
すると無数の火の玉は、まるで弾丸のような速さで空へ飛んで行った。
「はぁ、はぁ、び、びっくりしたぁ……」
「魔法の威力や範囲は、熟練度や、個人のマナや魔素の総量によって増減します。絶えず大地からマナが供給されている凛人さんの総量は、およそ人間個人では抱え込めない量ですので」
「は、はは。これじゃあ加減に慣れるまで街じゃ危ないね」
「そうですね、凛人さん」
回復魔法の基礎も教えてもらった。負傷者の代わりに、草原で枯れていた花を見つけ代用にした。
対象のマナの流れを感じ取り、怪我でマナが乱れ滞っている部分に聖属性の魔素を多めに流し、新陳代謝を急激的に高め、血行促進のための水分補給として水魔法を若干混ぜる。
理屈は簡単だが複合魔法も難しいものだし、さらに配分などに途方もない繊細さを要求されるその作業は、間違えば逆に傷を悪化させたり対象を死に至らしめることもある。草木や動物で訓練をし、才能があるものでも初級ヒールでさえ習得まで1年はかかるらしい。
コツをつかむと、俺は2時間で二分の一の確率で成功できるようになっていた。
セレイナが言うには、膨大な星のマナによる二度の死からの復活体験と、自動的に自身の傷が癒されている感覚を、深層心理で理解し感じ取っていることが習得の早さに関係しているらしい。
夢中になっていたせいか気付けばもう約束の正午が近づいていた。なぜ楽しい時間は過ぎるのがこんなにも早いんだろう。
まだ魔法に触れていたかったが、遅刻するわけにはいかないので俺たちはメイさんの屋敷へと向かうことにした。
――――その頃、エブンズダール近くの国境から、魔族領内へ数キロの地点。
一人の男が砦の屋上に立っていた。
「キャンディ・メイ。帰ってきていたのか……」
ドアが開き、一人の異形の兵士が入ってきて男の前で跪く。
「ウォルボレン様。シャドウマヌーバーたちの、準備は整っておりますが、いかがなさいますか?」
「王はどうなさっている?」
「は、未だ城の忘却の塔から、出てきては、おりません」
「……キャンディ・メイが帰ってきている。時期をずらそう」
「ですが、シュバールツ様が、エディアノイの妻、ユリアを殺せと」
「また無駄に同胞たちを死なせるだけだ。シュバールツ殿には私から説明しておく。シャドウマヌーバーたちを一旦引き上げさせろ。」
「かしこまり、ました」
「――我が王よ……このままでは我々はまた同じ過ちを繰り返してしまいます」
男は歯がゆい表情を浮かべ、曇天の空を見上げた。
俺たちはメイさんの屋敷へと着いた。相変わらず圧巻されるほどの豪邸だ。
門兵にメイさんに呼ばれたことを説明すると、また水晶のようなもので何やら会話をし、入りなさいと敷地に通された。
屋敷への長いアプローチを歩いていると、屋敷の扉から人が出てきた。
この人は…… 確かセドリックと呼ばれていたメイさんの付き人だ。相変わらずとんでもないイケメンだ。彼の周りに存在しないはずの薔薇が咲いているように見える。
「リント様。メイ様とエディアノイ様が二階の書斎でお待ちです。ご案内いたします」
「よろしくお願いします」
またあの領主様と顔を合わせるのか…… 俺はあの人のことがあまり得意ではない。
会社で言うと、本社の幹部との面談で感じる圧を100倍くらいにした感じだ。考えただけでも胃がキュッとなる。
屋敷に入ると、使用人たちがせかせかと各々の仕事をしている。
セドリックはこちらです、と俺たちを案内していく。
二階へ上がり、この前と同じ部屋の前に立ち止まるとセドリックはノックをする。
「エディアノイ様、メイ様。リント様がお越しになられました」
「入りたまえ」とエディアノイの声が聞こえた。セドリックはドアを開けて俺たちを中へと通してくれた。
ソファに座っていたメイがこちらへと歩いてくる。エディアノイは相変わらず窓の外を眺めている。
「よく来たわね二人とも」
「はい。 あの、メイさん、頂いたあの鎧なんですけど……」
黙っているのは良くないと俺は思った。あれだけの高額で売れたのだ、大人としてキチンと報告する義務がある。
「金貨20枚で買い取ってもらったんですが、俺達には多すぎるので当面の生活費だけ頂いて、あとはメイさんにお返ししようと」
メイさんは俺の肩にバンッと大きな手を乗せた。
「気にしなくていいって言ったでしょ?あれは私があなたにあげたんだから。あげたものを返すだなんて、私に恥をかかせる気かしら?」
「い、いやそんなつもりは」
「うん?それに男を上げたわね、昨日と同じ人物とは思えないわ。たった一晩で何があったのかしら?」
「え、そんなに変わりました?」
メイは彼女をチラッと見ながら
「まあ男の子が急にそんな目をするようになる理由は一つしかないわよね。ベッドではちゃんとエスコートできたの?」
「……え? えええええええ!!!!ベベ、ベッドって!!違いますよ!!」
何やらメイさんは壮大な勘違いをしている!そ、そりゃあ男としてこんな子とそんな風になれたらいいなぁなんて思わないわけはないけど!思わないわけはないけど!俺にそんな度胸は、ない!!
チラッとセレイナを見たが、なんの話か分かっていないようなので安心した。
「楽しそうなところ悪いが」
エディアノイがこちらを振り向いた。
ちょっと騒ぎすぎたかなと、睨まれる覚悟をした。どうもこの人には萎縮してしまう。
「おや? そちらのお嬢さんはどなたかな?」
「私はセレスティアルヴェレイナ・ウル・アストレイア。 名はセレイナと申します」
その名前を聞くと、エディアノイは「アストレイア……」と呟いた。
エディアノイはワナワナと体を震わせている。
「パパ!? どうしたの!?」とメイも怪訝そうな顔をしている。
「その名前と額の紋様。 も、もしかしてあなたは、大地の女神では!?」
メイもセレイナの方を勢いよく振り向く。
大地の女神? ストレイアのことか。 ……えっ!?セレイナってストレイアなの!?
確かにセレイナの語る名前の最後にはアストレイアとは付くが……
「……私はストレイアではありません。彼女から派生した星骸と呼ばれる者です。ですが、最初に生まれた私は彼女から混じり気のない純度の高いマナを受け取っているため、彼女に一番近い存在と言えるかもしれません」
「女神ストレイアの……星骸……まさか」
エディアノイは膝をガクッと落とした。
「なぜ……大地の女神は、あなたを再びこの世界に遣わしたのですか」
その時、ドアが勢いよく開くと兵士が飛び込んできた。
「え、エディアノイ様!! 魔族領からこれまでにないほどの軍勢が迫っております!!」
静まり返っていた室内に、風雲急を告げる報せが届いた。
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