R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット

文字の大きさ
38 / 42
幕間

番外編 終 修行の完了とあるべき場所

しおりを挟む
 金色に輝く俺の剣が王の脇腹を抉った。

「うぐっ!! かは!」

 王は膝をつき、剣は不規則に踊りながら地面へと跳ね落ちた。

「くっ…… フフ、合格だ」

 アルメデウス王との修行開始から二ヵ月。俺は、剣技でも徒手でも王を打ち倒せるまでに成長した。
 この短期間でここまで成長できたのは、死んでも関係ないという常軌を逸した修行のおかげだ。

 毎日、早朝から夜遅くまでこれに付き合ってくれた王の体力と精神力にも驚嘆する。生身の普通の人間なのに。

 まさにこの人は人類では最高峰の実力の持ち主なのだ。

「王様!今治癒します!」

「――しかし、凄いな君は」治癒されながらアルメデウス王がいった。
「この短期間で私を超えるとは。それに、あの大地のマナを取り込まないという制限の中でだ」

 そう、俺は揺らぎのマナの吸収を制限させられて修行をしていた。
 オーラへの変換は、元々内包しているマナの総量で十分可能だったため、俺自身の能力の底上げのために素のままでの実践を繰り返していた。

 死なないから。傷が治るから。その深層心理での"甘え"が強くなるには邪魔だと王に何度も言われた。

 戦いとは、いかに攻撃を受けずに相手を攻撃するかというのが基本なのだ。
 当然のことである。俺にはその当然が抜け落ちかけていた。

 制限の中でもアダマンタイト級の冒険者である王を圧倒できた。
 今の俺が揺らぎを取り込んで、それをオーラ変換したら……

 俺はもう人間じゃなくなってきている段階なのかもしれない。少し俺の中に恐怖心が芽生えた。
 俺はこの先、この力を正しく使って行けるのだろうか。

「王様。この二ヵ月、本当にありがとうございました!」俺は土下座をし、深々と頭を下げた。

「このご恩はいつか必ずお返しいたします。何かあったらすぐに俺たちを呼んでください」
「ああ、何とも心強い言葉だ。こちらこそありがとう、リント君」


 ――帰り支度を済ませ部屋の扉を開けると、エレアノール様が立っていた。

「王女殿下、あの、毎日手料理をありがとうございました。訓練が終わると空腹で倒れそうだったのですごく助かりました」
「私のお料理は、リント様をご満足させられたのでしょうか――」
「はい、それはもう!サンドウィッチとフルーツなんてうますぎてむしゃぶりついちゃいましたよ」
「むしゃぶり…… フ、フフ」
「どうかなさいましたか?」
「い、いえなんでも。 ――あの、これをお渡ししたくて」

 エレアノール様は、綺麗なペンダントを差し出し来た。

「これは?」
「これを受け取ってください。私はかごの中の鳥…… それを私だと思って旅に連れて行ってください」
「わかりました。大事にします、王女殿下」俺はペンダントを受け取り、首にかけた。
「リント様!」
「は、はい!」
「あの。 ――これからはエレアノールと呼んで頂けませんか?」
「え、でもそれはさすがに不敬なのでは」
「構いません。どうかお願いします」

 まあ、王様のこともアルメデウス王と呼ぶこともあるし、姫様からの直々の頼みだし……

「わかりました。じゃあ、行ってきます。エレアノール様」
「は、はい!! いってらっしゃいませ!どうかお気をつけて、リント様(未来の旦那様!)」


 城の入り口に差し掛かると、扉の横の壁にもたれるように、腕組みをした騎士が立っていた。

 彼は俺を睨みつけている。謁見の時にも俺に鋭い視線を投げつけてきていた男だ。

「おいお前!」
「なんですか?」俺も少し不機嫌そうに返事を返した。

「星骸は恐ろしい兵器だ。人類にとって危険なものだと思っている。もちろんお前のこともだ!」

 なんなんだいきなり。

 いくら温厚なおれでも、仲間を兵器呼ばわりされるのは許容できない。

「そんな奴らが伯爵だ王との訓練だなんて、俺は不快で仕方がない! (姫のこともな……!)」
「――だったら、自分の力で止めればよかったんじゃないですか?あんたにそれが出来ますか?」

 売り言葉に買い言葉。不毛で汚い罵り合いだ。
 そうは思っても、俺は我慢が出来なかった。

「ふ、本性を現したな? いつか止めて見せるさ、言われなくてもな。俺の勘は外れたことがない」

 そういうと、男は城の奥へと消えていった。

「――なんなんだよ、いったい」

 せっかくの気分が台無しだ。

 俺は苛立ちながら外へと出て城門を抜けた。


 しかし、そんな苛立ちは一瞬で雲の彼方へと吹き飛んで行った。


「お帰りさない! 凛人さん!」

 セレイナが笑顔で俺を出迎えてくれた。

「た、ただいま! セレイナ!」

 あ~、やっぱりこれなんだよ。俺のいるべき場所は彼女の隣なんだ。
 俺は涙が出そうになるのを必死にこらえた。

 たった二ヵ月、彼女の顔を見れないのがこんなにもつらいだなんて。今すぐ彼女を抱きかかえてくるくると舞いたい。

 ちょっとだけ抱きしめてみて、反応を確かめるくらいなら……
 いや、それは…… 

 ――――意気地のない自分が本当にもどかしい……


「二ヵ月で見違えましたね、凛人さん」
「そ、そうかなぁ。そこまで自覚はないんだけど」
「いいえ、こうして立っているだけでもわかります。マナも洗練されていて、お顔もたくましくなられました」

 ま、まあ十回以上は死んだからね…… もはや死線を何度も潜り抜けた歴戦の勇者よりも達観しているかもしれない。

「では、おうちへ戻りましょう、凛人さん」
「うん、そうだね。みんなにも早く会いたいよ」


 俺を乗せてセレイナは飛び立った。

 エディアノイさんにもわがままを聞いてもらった。ここからは急ぎ足でオルディア王国を目指そうと思う。

 ユリア様の目に光を取り戻すために。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

異世界召喚はもう勘弁してください。~五度目の異世界召喚は国の再興からスタートです~

山椒
ファンタジー
今まさに召喚されようとしている男子高校生、星宮勇輝はただの男子高校生ではない。 一度ならず四度異世界召喚を経験している男子高校生であった。 四度も四つの世界を救い、ようやく落ち着けると思ったところで五度目の異世界召喚が行われた。 五度目の異世界召喚を受け異世界召喚されることが常識になりつつあった勇輝であったが、勇輝を呼び出した国は闇の者によって崩壊していた国であった。 世界を救わなければならず、国も復興しなければいけない状況であった。 だが勇輝は異世界召喚ごとにステータスを持ち越していたためそれができる存在であった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...