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幕間
番外編 終 修行の完了とあるべき場所
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金色に輝く俺の剣が王の脇腹を抉った。
「うぐっ!! かは!」
王は膝をつき、剣は不規則に踊りながら地面へと跳ね落ちた。
「くっ…… フフ、合格だ」
アルメデウス王との修行開始から二ヵ月。俺は、剣技でも徒手でも王を打ち倒せるまでに成長した。
この短期間でここまで成長できたのは、死んでも関係ないという常軌を逸した修行のおかげだ。
毎日、早朝から夜遅くまでこれに付き合ってくれた王の体力と精神力にも驚嘆する。生身の普通の人間なのに。
まさにこの人は人類では最高峰の実力の持ち主なのだ。
「王様!今治癒します!」
「――しかし、凄いな君は」治癒されながらアルメデウス王がいった。
「この短期間で私を超えるとは。それに、あの大地のマナを取り込まないという制限の中でだ」
そう、俺は揺らぎのマナの吸収を制限させられて修行をしていた。
オーラへの変換は、元々内包しているマナの総量で十分可能だったため、俺自身の能力の底上げのために素のままでの実践を繰り返していた。
死なないから。傷が治るから。その深層心理での"甘え"が強くなるには邪魔だと王に何度も言われた。
戦いとは、いかに攻撃を受けずに相手を攻撃するかというのが基本なのだ。
当然のことである。俺にはその当然が抜け落ちかけていた。
制限の中でもアダマンタイト級の冒険者である王を圧倒できた。
今の俺が揺らぎを取り込んで、それをオーラ変換したら……
俺はもう人間じゃなくなってきている段階なのかもしれない。少し俺の中に恐怖心が芽生えた。
俺はこの先、この力を正しく使って行けるのだろうか。
「王様。この二ヵ月、本当にありがとうございました!」俺は土下座をし、深々と頭を下げた。
「このご恩はいつか必ずお返しいたします。何かあったらすぐに俺たちを呼んでください」
「ああ、何とも心強い言葉だ。こちらこそありがとう、リント君」
――帰り支度を済ませ部屋の扉を開けると、エレアノール様が立っていた。
「王女殿下、あの、毎日手料理をありがとうございました。訓練が終わると空腹で倒れそうだったのですごく助かりました」
「私のお料理は、リント様をご満足させられたのでしょうか――」
「はい、それはもう!サンドウィッチとフルーツなんてうますぎてむしゃぶりついちゃいましたよ」
「むしゃぶり…… フ、フフ」
「どうかなさいましたか?」
「い、いえなんでも。 ――あの、これをお渡ししたくて」
エレアノール様は、綺麗なペンダントを差し出し来た。
「これは?」
「これを受け取ってください。私はかごの中の鳥…… それを私だと思って旅に連れて行ってください」
「わかりました。大事にします、王女殿下」俺はペンダントを受け取り、首にかけた。
「リント様!」
「は、はい!」
「あの。 ――これからはエレアノールと呼んで頂けませんか?」
「え、でもそれはさすがに不敬なのでは」
「構いません。どうかお願いします」
まあ、王様のこともアルメデウス王と呼ぶこともあるし、姫様からの直々の頼みだし……
「わかりました。じゃあ、行ってきます。エレアノール様」
「は、はい!! いってらっしゃいませ!どうかお気をつけて、リント様(未来の旦那様!)」
城の入り口に差し掛かると、扉の横の壁にもたれるように、腕組みをした騎士が立っていた。
彼は俺を睨みつけている。謁見の時にも俺に鋭い視線を投げつけてきていた男だ。
「おいお前!」
「なんですか?」俺も少し不機嫌そうに返事を返した。
「星骸は恐ろしい兵器だ。人類にとって危険なものだと思っている。もちろんお前のこともだ!」
なんなんだいきなり。
いくら温厚なおれでも、仲間を兵器呼ばわりされるのは許容できない。
「そんな奴らが伯爵だ王との訓練だなんて、俺は不快で仕方がない! (姫のこともな……!)」
「――だったら、自分の力で止めればよかったんじゃないですか?あんたにそれが出来ますか?」
売り言葉に買い言葉。不毛で汚い罵り合いだ。
そうは思っても、俺は我慢が出来なかった。
「ふ、本性を現したな? いつか止めて見せるさ、言われなくてもな。俺の勘は外れたことがない」
そういうと、男は城の奥へと消えていった。
「――なんなんだよ、いったい」
せっかくの気分が台無しだ。
俺は苛立ちながら外へと出て城門を抜けた。
しかし、そんな苛立ちは一瞬で雲の彼方へと吹き飛んで行った。
「お帰りさない! 凛人さん!」
セレイナが笑顔で俺を出迎えてくれた。
「た、ただいま! セレイナ!」
あ~、やっぱりこれなんだよ。俺のいるべき場所は彼女の隣なんだ。
俺は涙が出そうになるのを必死にこらえた。
たった二ヵ月、彼女の顔を見れないのがこんなにもつらいだなんて。今すぐ彼女を抱きかかえてくるくると舞いたい。
ちょっとだけ抱きしめてみて、反応を確かめるくらいなら……
いや、それは……
――――意気地のない自分が本当にもどかしい……
「二ヵ月で見違えましたね、凛人さん」
「そ、そうかなぁ。そこまで自覚はないんだけど」
「いいえ、こうして立っているだけでもわかります。マナも洗練されていて、お顔もたくましくなられました」
ま、まあ十回以上は死んだからね…… もはや死線を何度も潜り抜けた歴戦の勇者よりも達観しているかもしれない。
「では、おうちへ戻りましょう、凛人さん」
「うん、そうだね。みんなにも早く会いたいよ」
俺を乗せてセレイナは飛び立った。
エディアノイさんにもわがままを聞いてもらった。ここからは急ぎ足でオルディア王国を目指そうと思う。
ユリア様の目に光を取り戻すために。
「うぐっ!! かは!」
王は膝をつき、剣は不規則に踊りながら地面へと跳ね落ちた。
「くっ…… フフ、合格だ」
アルメデウス王との修行開始から二ヵ月。俺は、剣技でも徒手でも王を打ち倒せるまでに成長した。
この短期間でここまで成長できたのは、死んでも関係ないという常軌を逸した修行のおかげだ。
毎日、早朝から夜遅くまでこれに付き合ってくれた王の体力と精神力にも驚嘆する。生身の普通の人間なのに。
まさにこの人は人類では最高峰の実力の持ち主なのだ。
「王様!今治癒します!」
「――しかし、凄いな君は」治癒されながらアルメデウス王がいった。
「この短期間で私を超えるとは。それに、あの大地のマナを取り込まないという制限の中でだ」
そう、俺は揺らぎのマナの吸収を制限させられて修行をしていた。
オーラへの変換は、元々内包しているマナの総量で十分可能だったため、俺自身の能力の底上げのために素のままでの実践を繰り返していた。
死なないから。傷が治るから。その深層心理での"甘え"が強くなるには邪魔だと王に何度も言われた。
戦いとは、いかに攻撃を受けずに相手を攻撃するかというのが基本なのだ。
当然のことである。俺にはその当然が抜け落ちかけていた。
制限の中でもアダマンタイト級の冒険者である王を圧倒できた。
今の俺が揺らぎを取り込んで、それをオーラ変換したら……
俺はもう人間じゃなくなってきている段階なのかもしれない。少し俺の中に恐怖心が芽生えた。
俺はこの先、この力を正しく使って行けるのだろうか。
「王様。この二ヵ月、本当にありがとうございました!」俺は土下座をし、深々と頭を下げた。
「このご恩はいつか必ずお返しいたします。何かあったらすぐに俺たちを呼んでください」
「ああ、何とも心強い言葉だ。こちらこそありがとう、リント君」
――帰り支度を済ませ部屋の扉を開けると、エレアノール様が立っていた。
「王女殿下、あの、毎日手料理をありがとうございました。訓練が終わると空腹で倒れそうだったのですごく助かりました」
「私のお料理は、リント様をご満足させられたのでしょうか――」
「はい、それはもう!サンドウィッチとフルーツなんてうますぎてむしゃぶりついちゃいましたよ」
「むしゃぶり…… フ、フフ」
「どうかなさいましたか?」
「い、いえなんでも。 ――あの、これをお渡ししたくて」
エレアノール様は、綺麗なペンダントを差し出し来た。
「これは?」
「これを受け取ってください。私はかごの中の鳥…… それを私だと思って旅に連れて行ってください」
「わかりました。大事にします、王女殿下」俺はペンダントを受け取り、首にかけた。
「リント様!」
「は、はい!」
「あの。 ――これからはエレアノールと呼んで頂けませんか?」
「え、でもそれはさすがに不敬なのでは」
「構いません。どうかお願いします」
まあ、王様のこともアルメデウス王と呼ぶこともあるし、姫様からの直々の頼みだし……
「わかりました。じゃあ、行ってきます。エレアノール様」
「は、はい!! いってらっしゃいませ!どうかお気をつけて、リント様(未来の旦那様!)」
城の入り口に差し掛かると、扉の横の壁にもたれるように、腕組みをした騎士が立っていた。
彼は俺を睨みつけている。謁見の時にも俺に鋭い視線を投げつけてきていた男だ。
「おいお前!」
「なんですか?」俺も少し不機嫌そうに返事を返した。
「星骸は恐ろしい兵器だ。人類にとって危険なものだと思っている。もちろんお前のこともだ!」
なんなんだいきなり。
いくら温厚なおれでも、仲間を兵器呼ばわりされるのは許容できない。
「そんな奴らが伯爵だ王との訓練だなんて、俺は不快で仕方がない! (姫のこともな……!)」
「――だったら、自分の力で止めればよかったんじゃないですか?あんたにそれが出来ますか?」
売り言葉に買い言葉。不毛で汚い罵り合いだ。
そうは思っても、俺は我慢が出来なかった。
「ふ、本性を現したな? いつか止めて見せるさ、言われなくてもな。俺の勘は外れたことがない」
そういうと、男は城の奥へと消えていった。
「――なんなんだよ、いったい」
せっかくの気分が台無しだ。
俺は苛立ちながら外へと出て城門を抜けた。
しかし、そんな苛立ちは一瞬で雲の彼方へと吹き飛んで行った。
「お帰りさない! 凛人さん!」
セレイナが笑顔で俺を出迎えてくれた。
「た、ただいま! セレイナ!」
あ~、やっぱりこれなんだよ。俺のいるべき場所は彼女の隣なんだ。
俺は涙が出そうになるのを必死にこらえた。
たった二ヵ月、彼女の顔を見れないのがこんなにもつらいだなんて。今すぐ彼女を抱きかかえてくるくると舞いたい。
ちょっとだけ抱きしめてみて、反応を確かめるくらいなら……
いや、それは……
――――意気地のない自分が本当にもどかしい……
「二ヵ月で見違えましたね、凛人さん」
「そ、そうかなぁ。そこまで自覚はないんだけど」
「いいえ、こうして立っているだけでもわかります。マナも洗練されていて、お顔もたくましくなられました」
ま、まあ十回以上は死んだからね…… もはや死線を何度も潜り抜けた歴戦の勇者よりも達観しているかもしれない。
「では、おうちへ戻りましょう、凛人さん」
「うん、そうだね。みんなにも早く会いたいよ」
俺を乗せてセレイナは飛び立った。
エディアノイさんにもわがままを聞いてもらった。ここからは急ぎ足でオルディア王国を目指そうと思う。
ユリア様の目に光を取り戻すために。
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