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可哀想な村娘
第23話 - ゴブリンスウォーム
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東の森のオークを討伐するために森へ着くといつもと雰囲気が違う
しばらく探索してみたが特におかしい様子もなく、オークを五匹討伐して馬車に積み込んだ
いつもと何が違うのだろうか
しばらく観察していると鳥がいないことに気づいた
何度か来たがピチピチと小鳥の声が聞こえ、オークが徘徊しているにも関わらずどこかのどかな雰囲気があったものだ
もう一度森に入ってあちこち調べてみたがネズミもいない
木の根付近に古いかじったような跡はいくつか見つけたがフンがない
兎などの小動物もみかけなかった
こういう時はだいたい災害の前触れだ
スウォームの事が気になり一度街へ戻ると馬だけ借りて東北の山へ向かった
以前ゴブリンを討伐した洞窟をもう一度調べたが戻ってきている気配はない
当然この山にも小動物はいなかった
数時間心当たりをうろうろと探して回ったが特に痕跡らしいものも見当たらなかった
念のためギルドへ報告すると注意しておきますとは言ってくれた
◆ ◆ ◆
夜
胸騒ぎが最悪の形で的中した
ゴブリンスウォームだ
想像を遥かに超える数で200ほどの数だそうだ
門衛では当然止める事ができず飛び起きて装備を装着するころには街に入り込んでいた
住宅街のあちこちで悲鳴が聞こえ
北門前はゴブリンで溢れかえり冒険者ギルド、兵器ギルドが総出で対処に当たっている
状況を知らせに来たポールたちは北門へ向かった
俺は住宅街を荒らしているゴブリンたちを見つけ次第手あたり次第に倒して回った
ゴブリンたちは壁に穴をあけあちこちから侵入してくる
もう手の施しようがなかった
20匹は退治しただろうかというところで上位種がいるという報告を物見が叫んでいる
大通りから住宅街に向かっているそうだ
急いで大通りの方へ向かうとゴブリンチャンピオンが姿を現した
オークバーサーカー並みに危険な魔物で片手で人間の両手武器を振り回せる腕力がある
「これは…まずいな、こんな場所ではまともに戦えない。囲まれないようにするだけで精一杯だ」
ゴブリンチャンピオンの周りからゴブリンたちがわらわらと現れては襲い掛かってくる
ゴブリンたちをお構いなしに叩き潰しながらチャンピオンは武器を振る
ゴブリンたちが波のように襲ってくるので防戦一方となり苦戦を強いられた
距離を保ちながらゴブリンの攻撃を躱すのが精いっぱいになる
チャンピオンがゴブリンを巻き込んでくれるのを期待しながら建物を利用して隠れ、飛び出してくるゴブリンを攻撃する、そしてまた隠れる
目つぶしの煙玉を駆使して無力化させるなどあらゆる手を使った
1時間にも及ぶ逃走劇を繰り広げようやくゴブリンたちがいなくなりチャンピオンと戦った
危険な相手だったが新しい武器と防具が役に立つ
掠ったり受け流したりした程度では傷もつかないため強気に前に出る
足を切り落とし、腕を切り落としようやくトドメを刺した
息を整えているとポールたちがやってきた
「旦那!街の外のゴブリンは撤退した。街に残ったゴブリンの掃討戦だ。俺たちに任せてお嬢ちゃんのとこ行ってやんな」
そうだ、クベアは無事か
家に戻り扉を開ける
クベアは既に犯されていた
ゴブリンたちがクベアを押さえつけゲラゲラと笑いながら腰を振っている
怒りに身を任せてゴブリンたちを薙ぎ払った
クベアを抱きかかえるとブルブルと震えながら涙を流し始めた
「ごめんなさいエーサーさん…」
「クベアが謝る事じゃないだろう…」
「お願いします…殺してください」
なんてことを言うんだ
「穢された女に未来はないの。一生人の子は産めなくなるの。魔物と交わった女と一生言われるの。あたし生きていけない…」
ふとフルーフの事を思い出した
フルーフも同じような目に会ったのだろうか、聖騎士隊長という名誉を捨ててまで憎悪に身を捧げていた
「お願いエーサーさん、最後は好きな人に抱かれて死にたい」
フルーフは復讐するだけの力があった
この子はもし生きていたとしたらどうするだろう
「エーサーさん…あたし、一人ぼっちで死にたくない」
もう生きていくことを諦めている
せめて彼女の願いを叶えてあげるべきだろうか
「ごめんね、エーサーさん。酷いお願いをしちゃった」
クベアは立ち上がり、ゴブリンが落としたナイフを拾い上げ胸に押し込んでいく
刃が埋まり、血が出てくる
俺はクベアの手を握り、止めた
「お願い、エーサーさん…」
ボロボロと涙を流す彼女を救ってあげたい
「どう…したらいい…」
「お願い…エーサーさん…」
「他に方法はあるんじゃないのか」
「お願い…お願い…」
大粒の涙を流し懇願する彼女を見ていられなくなった
彼女に復讐する力はない、身寄りもない彼女は俺がいなくなれば…
「俺がずっと、一緒にいるよ。一緒に生きていこう」
「ダメ…ダメなの…穢れた女と関わる男も魔物と同じ扱いを受けるの…耐えられない…お願い。お願い…エーサーさん…お願い…」
………
………
………
ごめんねクベア、救ってあげられない
きっと生きている事を一生呪い続けるんだろう、フルーフのように
激しい憎悪を抱いたまま
ここで終わらせてあげるのが力を持たないクベアのを救う唯一の手段のように思えた
クベアのナイフをそっと取り上げ、自分のナイフを取り出してクベアを抱いた
そっとクベアの首にナイフをあてると、クベアは力を抜いて抵抗をしなくなった
「ありがとう、エーサーさん」
クベアの動脈を傷つけると、血が勢いよく吹き出した
しばらく探索してみたが特におかしい様子もなく、オークを五匹討伐して馬車に積み込んだ
いつもと何が違うのだろうか
しばらく観察していると鳥がいないことに気づいた
何度か来たがピチピチと小鳥の声が聞こえ、オークが徘徊しているにも関わらずどこかのどかな雰囲気があったものだ
もう一度森に入ってあちこち調べてみたがネズミもいない
木の根付近に古いかじったような跡はいくつか見つけたがフンがない
兎などの小動物もみかけなかった
こういう時はだいたい災害の前触れだ
スウォームの事が気になり一度街へ戻ると馬だけ借りて東北の山へ向かった
以前ゴブリンを討伐した洞窟をもう一度調べたが戻ってきている気配はない
当然この山にも小動物はいなかった
数時間心当たりをうろうろと探して回ったが特に痕跡らしいものも見当たらなかった
念のためギルドへ報告すると注意しておきますとは言ってくれた
◆ ◆ ◆
夜
胸騒ぎが最悪の形で的中した
ゴブリンスウォームだ
想像を遥かに超える数で200ほどの数だそうだ
門衛では当然止める事ができず飛び起きて装備を装着するころには街に入り込んでいた
住宅街のあちこちで悲鳴が聞こえ
北門前はゴブリンで溢れかえり冒険者ギルド、兵器ギルドが総出で対処に当たっている
状況を知らせに来たポールたちは北門へ向かった
俺は住宅街を荒らしているゴブリンたちを見つけ次第手あたり次第に倒して回った
ゴブリンたちは壁に穴をあけあちこちから侵入してくる
もう手の施しようがなかった
20匹は退治しただろうかというところで上位種がいるという報告を物見が叫んでいる
大通りから住宅街に向かっているそうだ
急いで大通りの方へ向かうとゴブリンチャンピオンが姿を現した
オークバーサーカー並みに危険な魔物で片手で人間の両手武器を振り回せる腕力がある
「これは…まずいな、こんな場所ではまともに戦えない。囲まれないようにするだけで精一杯だ」
ゴブリンチャンピオンの周りからゴブリンたちがわらわらと現れては襲い掛かってくる
ゴブリンたちをお構いなしに叩き潰しながらチャンピオンは武器を振る
ゴブリンたちが波のように襲ってくるので防戦一方となり苦戦を強いられた
距離を保ちながらゴブリンの攻撃を躱すのが精いっぱいになる
チャンピオンがゴブリンを巻き込んでくれるのを期待しながら建物を利用して隠れ、飛び出してくるゴブリンを攻撃する、そしてまた隠れる
目つぶしの煙玉を駆使して無力化させるなどあらゆる手を使った
1時間にも及ぶ逃走劇を繰り広げようやくゴブリンたちがいなくなりチャンピオンと戦った
危険な相手だったが新しい武器と防具が役に立つ
掠ったり受け流したりした程度では傷もつかないため強気に前に出る
足を切り落とし、腕を切り落としようやくトドメを刺した
息を整えているとポールたちがやってきた
「旦那!街の外のゴブリンは撤退した。街に残ったゴブリンの掃討戦だ。俺たちに任せてお嬢ちゃんのとこ行ってやんな」
そうだ、クベアは無事か
家に戻り扉を開ける
クベアは既に犯されていた
ゴブリンたちがクベアを押さえつけゲラゲラと笑いながら腰を振っている
怒りに身を任せてゴブリンたちを薙ぎ払った
クベアを抱きかかえるとブルブルと震えながら涙を流し始めた
「ごめんなさいエーサーさん…」
「クベアが謝る事じゃないだろう…」
「お願いします…殺してください」
なんてことを言うんだ
「穢された女に未来はないの。一生人の子は産めなくなるの。魔物と交わった女と一生言われるの。あたし生きていけない…」
ふとフルーフの事を思い出した
フルーフも同じような目に会ったのだろうか、聖騎士隊長という名誉を捨ててまで憎悪に身を捧げていた
「お願いエーサーさん、最後は好きな人に抱かれて死にたい」
フルーフは復讐するだけの力があった
この子はもし生きていたとしたらどうするだろう
「エーサーさん…あたし、一人ぼっちで死にたくない」
もう生きていくことを諦めている
せめて彼女の願いを叶えてあげるべきだろうか
「ごめんね、エーサーさん。酷いお願いをしちゃった」
クベアは立ち上がり、ゴブリンが落としたナイフを拾い上げ胸に押し込んでいく
刃が埋まり、血が出てくる
俺はクベアの手を握り、止めた
「お願い、エーサーさん…」
ボロボロと涙を流す彼女を救ってあげたい
「どう…したらいい…」
「お願い…エーサーさん…」
「他に方法はあるんじゃないのか」
「お願い…お願い…」
大粒の涙を流し懇願する彼女を見ていられなくなった
彼女に復讐する力はない、身寄りもない彼女は俺がいなくなれば…
「俺がずっと、一緒にいるよ。一緒に生きていこう」
「ダメ…ダメなの…穢れた女と関わる男も魔物と同じ扱いを受けるの…耐えられない…お願い。お願い…エーサーさん…お願い…」
………
………
………
ごめんねクベア、救ってあげられない
きっと生きている事を一生呪い続けるんだろう、フルーフのように
激しい憎悪を抱いたまま
ここで終わらせてあげるのが力を持たないクベアのを救う唯一の手段のように思えた
クベアのナイフをそっと取り上げ、自分のナイフを取り出してクベアを抱いた
そっとクベアの首にナイフをあてると、クベアは力を抜いて抵抗をしなくなった
「ありがとう、エーサーさん」
クベアの動脈を傷つけると、血が勢いよく吹き出した
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