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Version 1 - ヴァルケンヘクセ
Ver 1.09 スライムは最強種
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リタとゴブリンたちの死骸から魔石を取るため大部屋へ戻ると大きめのスライムが目についた
「あれ?あんなのさっきいたっけか」
「あ、もう食べちゃったのか」
食べた?
もしかしてスライムがダンジョン掃除している系か
「死骸はスライムが食べちゃうんだ、だからダンジョンは綺麗なんだけど魔石を取り込むと魔法生物でもあるスライムたちが育っちゃうんだよ」
たしかによく見るとスライムの中にすごい勢いで溶けていく骨が見える
「スライムは小さいうちはいいけど大きくなるとすごい厄介なんだよ、核があってそれを破壊すれば死ぬんだけど、大きくなりすぎると届かなくなるし、魔法使うし、はっきり言ってめちゃくちゃ強くなる」
あ、この世界のスライムはヤバいやつか
ゲームでは誰にでも倒せる最初の魔物だったりする設定は多いけど
無形でどこにでも潜り込むことができ、強い物理攻撃耐性と強力な魔法を操るような魔物として登場する作品もある
この世界では後者だな
と、説明しているうちに二匹目のゴブリンを取り込み最初はくるぶしくらいまでいしかなかった背丈がもう膝に届くほど大きくなっている
「やばいな、成長速度すごい」
「ちょっとあれだけやつけてくるね」
リタが剣を突き立て、スライムは溶けていく
戻ってくるとナイフを取り出しゴブリンの胸を裂いた
ゴブリンの胸を開き、イズルに見せる
「ちょ、グロい」
「グロ?…えっとね、だいたいの魔物は心臓の近くに魔石がある。スライムに食べられる前に回収するよ。イズルも手伝って」
「……わかった」
リタに予備のナイフを分けてもらい、急いで解体を進め、魔石を取り出したゴブリンをスライムたちに食わせていく
「ふぅ、12個か。まぁまぁだね」
「1個あたりいくらくらい?」
「銀貨20枚くらいかな、銀貨は1,000枚で金貨1枚」
俺が借りてる宿が1泊銀貨50枚だから3匹分で一泊か
「魔石も指の爪ほどの大きさだし今はこんなもんだよ。親指とかくらいの大きさが取れると1個金貨1枚くらいになるしそういうのが倒せるようになると一気に生活が楽になるよ~」
リタは満面の笑みを浮かべながらイズルに説明する
イズルはうんうんと頷きながら興味深そうに話しを聞いた
「なるほど、狼とかそれくらいのやつらがか」
「そうそう、さらに大きい魔物、熊とか人より大きな蛇とかだと1体持ち帰れば金貨10枚くらいになる」
「へー、たった一匹ですごいな」
「その分強いしそういうとこは危険だけどね。だからこそ夢がある」
夢の狩猟生活か、簡単ではないんだろうけど1匹倒すだけで贅沢しなきゃ1ヵ月は簡単に暮らしていけそうだな
「ゴブリンは楽だったし、もうちょっと奥まで行ってみよう」
「そうこなくちゃ!ジャンジャンいくよー!」
◆ ◆ ◆
小鬼の巣窟は最初のダンジョンというだけあって難易度は低かった
3時間ほど歩き、奥へ進んでスケルトンにも出会ったが動きが遅く
距離を取るのも簡単だし、人間の方が動きが早いため囲まれさえしなければ一方的に攻撃できる
小さな魔石を200個ほど集めて今日は帰還する事にした
「これだけあれば金貨4枚くらいにはなるかな?街に帰ってイズルの装備とかも整えようよ」
「そういえばまだ農民服だな…なんとかしたほうがいいか」
「見た目は重要だよー、よい装備を身に付けるって事はそれだけ稼いでいる。つまり冒険者の格を現しているのだ」
「なるほどな」
「うんうん、これなら簡単だし明日はもう一つ上の難易度のダンジョンに挑戦しよう」
「そうだね、帰ったら術式魔石の数も増やしたいな、もうヘトヘトだよ」
「あはは!ここは魔石が討伐の証みたいなものだから報酬貰ってくるよ。魔石はどれくらい欲しい?」
「とりあえず10個あればいいかな」
「わかったー!じゃあ帰ろうー!」
リタが先導し、洞窟を進むと至る所に落書きがある
”→ 出口”
リタもこの落書きを頼りに奥へ向かったり戻ったりしているようだ
「なんか、落書き多いね。助かるけど」
「うん、数日でダンジョンの修復機能が働いて元に戻るんだけど、冒険者が多いとこはこうやって毎回上書きされるからずっと残ってるんだよね」
「雰囲気が台無しだけど正直ありがたいな。数時間も歩けるほど広いとは思ってなかった」
「うんうん、地図もあるんだけどここは本当に人が頻繁に来るからいらないんだよねー。行ったことはないけど上位のダンジョンだと地形も変わるらしくて迷って帰れなくなる人達もいるらしいよー」
うわぁ、こんなところで餓死とかしたくない
「こんなところで迷子になったら絶望的だな…」
「まぁまだこの辺は大丈夫だよ。上位に行くとしたらそういう準備もしていかなきゃねー」
「そうだねぇ…」
1時間ほど歩いて出口を目指していると、ピチャピチャと水が跳ねるような音が聞こえてくる
リタの表情が暗い
腕を伸ばしてイズルを静止するとゆっくりと後ろへ下がってくる
「ちょっとまずいかも。この先にデカいスライムがいる」
「え?来る時いなかったけど…」
「うん…普通はいない…魔物は誰もいない部屋で産まれるらしいけど、ダンジョンの奥ほど強いやつが産まれる。普通こんなとこで足音が聞こえるようなスライムは産まれないんだ。誰か食われたかも」
こんなところで?魔物に囲まれたのか?
かなり弱かったはずだけど…子供でも迷い込んだのか??
まさか門衛が子供を外に出すわけもないが…
「あたし達を襲ってきたやつら覚えてる?」
「なるほど、あいつらが…」
「可能性があるとしたら…人は魔力の塊だから大きな魔石だと思っていい」
なるほど…結局あいつら出れずに死んでしまったのか
ちょっかいだしてきたのがあいつらとは言えちょっと罪悪感があるな…
「ここにあのスライムを放置してるとまずい。知らずに入ってきた冒険者が餌食になったらまた育っちゃう、様子見て倒せそうならやっちゃおう」
「わかった」
リタと慎重に進みながら水の音を追いかけると既に人より大きく育ったスライムがダンジョンを練り歩いている
ゴブリン達よりも既に強くなっているらしくゴブリンたちが声を上げながら逃げていく
「あちゃ…めちゃデカイね」
「あれは魔法使うかな?」
「うーん…色が無色透明っぽいし、たぶん大丈夫だと思うけど…あたしの剣がギリギリ届くかどうかってとこだなー」
スライムの移動速度は遅く、人が歩くよりもゆっくりと動いている
形をゆっくりと変えながら移動しているようだ
あれなら十分に距離を取って戦えるし、俺の術式魔石ならなんとかならないだろうか
「俺の術式ならなんとかなるかな?」
「魔法は有効だね、やってみる?」
「やってみる」
イズルは先頭に立ち、魔石を構えた
「魔力矢x4…いけ!」
直列に並んだ術式を通って魔力矢が放たれ、スライムに向かっていく
特に避ける動作もせずスライムに魔力矢が突き刺さった
巨大な粘液に守られスライムの表面が揺れ、元に戻っていく
「あれ…?」
「魔力矢じゃダメかも…」
「それなら」
ダンジョンでは酸素を燃やしてしまうのであまり使いたくないけど
「火球x4…これでどうだ!」
火球4つ分の大きさに育った火球がスライムに直撃し、多少蒸発したように見える
「これでもダメか」
「もっと威力が必要だね、でも少し小さくなった。あたしの剣が届くかも」
リタがスライムを囲むように回り込む
「てい!」
動きの遅いスライムの横から十分に踏み込んで剣を突く
スライムの粘膜に邪魔されながらも勢いよく剣は進むがスライムは形を変えて核の位置をズラし、リタの剣撃を躱した
「ちょっと頭使うじゃん…」
「リタ戻って!もう少し弱らせよう」
「わかったー」
リタがじりじりと距離を取り、十分に離れたところで走り出した
スライムはそれまでの緩慢な動きとはうって変わって大きな体で1回転するように転がり、一気にリタとの距離を縮めリタに覆いかぶさるように広がった
「リタ!!」
「え?………あ……」
イズルは全速力でリタに駆け寄り、抱き寄せて術式を展開する
「火球!」
火球はスライムに直撃し、裏返るようにビロビロと薄く伸ばした粘液をなびかせた
「あっつ…」
「あれ?あんなのさっきいたっけか」
「あ、もう食べちゃったのか」
食べた?
もしかしてスライムがダンジョン掃除している系か
「死骸はスライムが食べちゃうんだ、だからダンジョンは綺麗なんだけど魔石を取り込むと魔法生物でもあるスライムたちが育っちゃうんだよ」
たしかによく見るとスライムの中にすごい勢いで溶けていく骨が見える
「スライムは小さいうちはいいけど大きくなるとすごい厄介なんだよ、核があってそれを破壊すれば死ぬんだけど、大きくなりすぎると届かなくなるし、魔法使うし、はっきり言ってめちゃくちゃ強くなる」
あ、この世界のスライムはヤバいやつか
ゲームでは誰にでも倒せる最初の魔物だったりする設定は多いけど
無形でどこにでも潜り込むことができ、強い物理攻撃耐性と強力な魔法を操るような魔物として登場する作品もある
この世界では後者だな
と、説明しているうちに二匹目のゴブリンを取り込み最初はくるぶしくらいまでいしかなかった背丈がもう膝に届くほど大きくなっている
「やばいな、成長速度すごい」
「ちょっとあれだけやつけてくるね」
リタが剣を突き立て、スライムは溶けていく
戻ってくるとナイフを取り出しゴブリンの胸を裂いた
ゴブリンの胸を開き、イズルに見せる
「ちょ、グロい」
「グロ?…えっとね、だいたいの魔物は心臓の近くに魔石がある。スライムに食べられる前に回収するよ。イズルも手伝って」
「……わかった」
リタに予備のナイフを分けてもらい、急いで解体を進め、魔石を取り出したゴブリンをスライムたちに食わせていく
「ふぅ、12個か。まぁまぁだね」
「1個あたりいくらくらい?」
「銀貨20枚くらいかな、銀貨は1,000枚で金貨1枚」
俺が借りてる宿が1泊銀貨50枚だから3匹分で一泊か
「魔石も指の爪ほどの大きさだし今はこんなもんだよ。親指とかくらいの大きさが取れると1個金貨1枚くらいになるしそういうのが倒せるようになると一気に生活が楽になるよ~」
リタは満面の笑みを浮かべながらイズルに説明する
イズルはうんうんと頷きながら興味深そうに話しを聞いた
「なるほど、狼とかそれくらいのやつらがか」
「そうそう、さらに大きい魔物、熊とか人より大きな蛇とかだと1体持ち帰れば金貨10枚くらいになる」
「へー、たった一匹ですごいな」
「その分強いしそういうとこは危険だけどね。だからこそ夢がある」
夢の狩猟生活か、簡単ではないんだろうけど1匹倒すだけで贅沢しなきゃ1ヵ月は簡単に暮らしていけそうだな
「ゴブリンは楽だったし、もうちょっと奥まで行ってみよう」
「そうこなくちゃ!ジャンジャンいくよー!」
◆ ◆ ◆
小鬼の巣窟は最初のダンジョンというだけあって難易度は低かった
3時間ほど歩き、奥へ進んでスケルトンにも出会ったが動きが遅く
距離を取るのも簡単だし、人間の方が動きが早いため囲まれさえしなければ一方的に攻撃できる
小さな魔石を200個ほど集めて今日は帰還する事にした
「これだけあれば金貨4枚くらいにはなるかな?街に帰ってイズルの装備とかも整えようよ」
「そういえばまだ農民服だな…なんとかしたほうがいいか」
「見た目は重要だよー、よい装備を身に付けるって事はそれだけ稼いでいる。つまり冒険者の格を現しているのだ」
「なるほどな」
「うんうん、これなら簡単だし明日はもう一つ上の難易度のダンジョンに挑戦しよう」
「そうだね、帰ったら術式魔石の数も増やしたいな、もうヘトヘトだよ」
「あはは!ここは魔石が討伐の証みたいなものだから報酬貰ってくるよ。魔石はどれくらい欲しい?」
「とりあえず10個あればいいかな」
「わかったー!じゃあ帰ろうー!」
リタが先導し、洞窟を進むと至る所に落書きがある
”→ 出口”
リタもこの落書きを頼りに奥へ向かったり戻ったりしているようだ
「なんか、落書き多いね。助かるけど」
「うん、数日でダンジョンの修復機能が働いて元に戻るんだけど、冒険者が多いとこはこうやって毎回上書きされるからずっと残ってるんだよね」
「雰囲気が台無しだけど正直ありがたいな。数時間も歩けるほど広いとは思ってなかった」
「うんうん、地図もあるんだけどここは本当に人が頻繁に来るからいらないんだよねー。行ったことはないけど上位のダンジョンだと地形も変わるらしくて迷って帰れなくなる人達もいるらしいよー」
うわぁ、こんなところで餓死とかしたくない
「こんなところで迷子になったら絶望的だな…」
「まぁまだこの辺は大丈夫だよ。上位に行くとしたらそういう準備もしていかなきゃねー」
「そうだねぇ…」
1時間ほど歩いて出口を目指していると、ピチャピチャと水が跳ねるような音が聞こえてくる
リタの表情が暗い
腕を伸ばしてイズルを静止するとゆっくりと後ろへ下がってくる
「ちょっとまずいかも。この先にデカいスライムがいる」
「え?来る時いなかったけど…」
「うん…普通はいない…魔物は誰もいない部屋で産まれるらしいけど、ダンジョンの奥ほど強いやつが産まれる。普通こんなとこで足音が聞こえるようなスライムは産まれないんだ。誰か食われたかも」
こんなところで?魔物に囲まれたのか?
かなり弱かったはずだけど…子供でも迷い込んだのか??
まさか門衛が子供を外に出すわけもないが…
「あたし達を襲ってきたやつら覚えてる?」
「なるほど、あいつらが…」
「可能性があるとしたら…人は魔力の塊だから大きな魔石だと思っていい」
なるほど…結局あいつら出れずに死んでしまったのか
ちょっかいだしてきたのがあいつらとは言えちょっと罪悪感があるな…
「ここにあのスライムを放置してるとまずい。知らずに入ってきた冒険者が餌食になったらまた育っちゃう、様子見て倒せそうならやっちゃおう」
「わかった」
リタと慎重に進みながら水の音を追いかけると既に人より大きく育ったスライムがダンジョンを練り歩いている
ゴブリン達よりも既に強くなっているらしくゴブリンたちが声を上げながら逃げていく
「あちゃ…めちゃデカイね」
「あれは魔法使うかな?」
「うーん…色が無色透明っぽいし、たぶん大丈夫だと思うけど…あたしの剣がギリギリ届くかどうかってとこだなー」
スライムの移動速度は遅く、人が歩くよりもゆっくりと動いている
形をゆっくりと変えながら移動しているようだ
あれなら十分に距離を取って戦えるし、俺の術式魔石ならなんとかならないだろうか
「俺の術式ならなんとかなるかな?」
「魔法は有効だね、やってみる?」
「やってみる」
イズルは先頭に立ち、魔石を構えた
「魔力矢x4…いけ!」
直列に並んだ術式を通って魔力矢が放たれ、スライムに向かっていく
特に避ける動作もせずスライムに魔力矢が突き刺さった
巨大な粘液に守られスライムの表面が揺れ、元に戻っていく
「あれ…?」
「魔力矢じゃダメかも…」
「それなら」
ダンジョンでは酸素を燃やしてしまうのであまり使いたくないけど
「火球x4…これでどうだ!」
火球4つ分の大きさに育った火球がスライムに直撃し、多少蒸発したように見える
「これでもダメか」
「もっと威力が必要だね、でも少し小さくなった。あたしの剣が届くかも」
リタがスライムを囲むように回り込む
「てい!」
動きの遅いスライムの横から十分に踏み込んで剣を突く
スライムの粘膜に邪魔されながらも勢いよく剣は進むがスライムは形を変えて核の位置をズラし、リタの剣撃を躱した
「ちょっと頭使うじゃん…」
「リタ戻って!もう少し弱らせよう」
「わかったー」
リタがじりじりと距離を取り、十分に離れたところで走り出した
スライムはそれまでの緩慢な動きとはうって変わって大きな体で1回転するように転がり、一気にリタとの距離を縮めリタに覆いかぶさるように広がった
「リタ!!」
「え?………あ……」
イズルは全速力でリタに駆け寄り、抱き寄せて術式を展開する
「火球!」
火球はスライムに直撃し、裏返るようにビロビロと薄く伸ばした粘液をなびかせた
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